神様のケーキを頬ばるまで の商品レビュー
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龍の話が好きでした。 オーナーの話はもっと続きが読みたかったなあ… 同じ映画が各話の共通で出てくるけど、いまいちその映画の話題の必要性が理解できなくて勿体なかった。 皆さんは理解できたのか、、、
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好きな作家さんと出会えたとき、私の脳内にはラッパが鳴り響いて花吹雪が舞っている。 初めてその作家さんの小説を読むとき、はたしてこの人の作品は私にとってどんなだろう…どんな世界へ連れていってくれるのだろうという気持ちになる。 当たり、という言葉は下品だけれど今回初めて読んだ作家さんは間違いなく私好みの作風だった。 もっと彼女の作品に浸りたい。 今回は短編集なのだけれど人間のひりひりした生傷みたいな感情を抱えた人たちが出てくる。ままならない日常を過ごしながら、その塩水が猛烈に滲みてしまいそうな気持ちを抱えて何とか生きている。 特に劇的な事件が起こるわけでもない。猛烈なパワーがある人と出会うわけでもない。 そういう鮮烈さは一切ない。 それでも日々のなかで少しずつ自分の持つアンテナを少しだけ広く張ったり少しだけ今までと違う行動をしてみたりして、自分で乗り越えようとする生き様を描く。 読んでる人からしたら明快なカタルシスはほとんどないと思う。読んで登場人物の持つトラブルがすっきり解決して色んなことが上手くいき始めるような、そんなすっきりとした爽快感に満ちたストーリーが好みな人は綾瀬まるさんの作風は合わない気が…する。 だって読み終わっても登場人物たちが抱えているものは何も解決していないし、取り巻く事態が大きく好転しているわけでもない。 状況は何ら変わっていないのだ。 でも流れゆく日々のなかで自分の受けた悲しみや傷を忘れて、許していく。忘れよう、許そうという姿勢を保ちながら生きていく。 その忘れることや許すことを受け入れていくその姿に登場人物の芯の強さというか、生きていくことへの誠実さを感じる。 現実の世界でも悩みやトラブルは生きている限り生まれてしまうし、傷ついたり傷つけられたり、嫌な思いだってする。 軽いものならおいしいものを食べてお風呂に入ってゆっくり寝れば、翌日にはけろっとすることもできる。 でも長期的なことだったりセルフケアを頑張るだけじゃ解決しない、癒えないことがある。 この『神様のケーキを頬張るまで』を読むと、何も問題がないストレスフリーな人生ってなくて、自身の持つ傷や悲しみや苦悩に対して、それを受け入れていこうという気持ちを持ちながら生きていくことが大事なのだという気持ちになれる。生きていくってそういうことなんだろうなと思えるのだ。
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〈ままならないことや手が届かないことに、わずらわしくも甘い不自由が生活のあちこちできらきらと輝いていた。〉〈この部屋が荒れていた頃にはまったく想像も付かなかった新しい幸福。郁子が、波江さんが、晴彦くんが、それまでの私が手を添えて一緒に作ってくれた。〉最後の物語。心がふっと解き放たれた、『塔は崩れ、食事は止まらず』。そしてとてもとても強く刻まれた『龍を見送る』の千景さんの言葉、〈あんたがまだ、自分をぺしゃんこに叩き潰す、でかくて、意志のない、びっくりするほど理不尽なものに出会ってないってことだ〉 物語は雑居ビルのそれぞれの階で繰り広げられる。いろんな感情が合って一生懸命の人たちがいて。生きてるって感じる読書時間だったな。
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どの話も、不幸な出来事を経験した主人公が、決してハッピーな終わり方じゃないけど、少し立ち直って話しは終わる。なんて事ない話しだけど、感情を表現する文章が上手くて、話しに引き込まれた。
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面白かった。 色んな人が一つの映画を見て違った感想を思うところがよかった。感想にその人のそれまでの経験、生活歴、生き方が表れているなと感じた。 最後の章が一番良かった。偶然出会った色んな人々と日々を大切にして、昔トラブルで疎遠になった友人のことも自分なりに踏ん切りをつけて、前に進...
面白かった。 色んな人が一つの映画を見て違った感想を思うところがよかった。感想にその人のそれまでの経験、生活歴、生き方が表れているなと感じた。 最後の章が一番良かった。偶然出会った色んな人々と日々を大切にして、昔トラブルで疎遠になった友人のことも自分なりに踏ん切りをつけて、前に進んでいくところが良かった。 それぞれの主人公の言葉で表現できないドロドロとした気持ちを言葉で表す文章が良かった。
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オススメされていた初読みの作家さん。何かにつまずいた人達が少しのきっかけでまた新たに日常に輝きを取り戻して行く過程が好きでした。不器用だけど愛おしい人達。後からじわじわ来る作風でした。
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挫折を味わった人達が少しずつ前向きになっていく5つの短編 初めての彩瀬まるさんの本は、読み終わった後胸がぎゅっと痛くなるような感覚になりました。 嫉妬や憎悪、妬み、失望、こんがらがりすぎて複雑になってしまったグツグツと煮えた感情を持った人たち。 そんな人間の隠したい感情に焦点...
挫折を味わった人達が少しずつ前向きになっていく5つの短編 初めての彩瀬まるさんの本は、読み終わった後胸がぎゅっと痛くなるような感覚になりました。 嫉妬や憎悪、妬み、失望、こんがらがりすぎて複雑になってしまったグツグツと煮えた感情を持った人たち。 そんな人間の隠したい感情に焦点を当ててます。 この本を読んで、自分のそんな感情がみんな持つものだと思え、次に進もうと諭してくれたような気持ちになります。 ウツミマコトの深海魚という映画が短編を通して出てきます。 主人公たちが好き嫌いさまざまな感想を持っていて、なかでも 「正直に、取り繕わず、制作者の心をさらけ出した作品は、必ず誰かに嫌われます。そういうものは力強い代わりに粗も多く、でこぼこで、違う意見を持つ人にとってはひどく目障りになるからです」 このセリフがズンってきました。 自分の意見も持ちつつ、異なる意見の話も柔軟に聞いていきたいと思いました。
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登場人物みんなそれぞれ色んなことがあって、でももがきながらなんとか一歩前に進むまでが丁寧に描かれててすごくよかった。
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表紙のイメージとは違い、なかなか重い内容の短編集。生きづらさを抱えながらも希望やささやかな幸せを感じることができるお話。 人生はままならないものだよなぁと思った。
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それぞれが『深海魚』の評価と解釈を披露することで、それぞれのキャラクターが際立つようになっていると感じた。
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