彼女の家計簿 の商品レビュー
駆け落ちし自殺したとされていた祖母が書き残したものを、主人公の一人、里里といっしょに読み進めていく。 初めの頃は、夫が出征し姑とつつましやかに暮らす若妻の姿が浮かんできて、この世界の片隅にに少し似てるかな・・・などと思っていると、終戦を迎え、夫が帰ってきて、事態は急展開。夫は仕...
駆け落ちし自殺したとされていた祖母が書き残したものを、主人公の一人、里里といっしょに読み進めていく。 初めの頃は、夫が出征し姑とつつましやかに暮らす若妻の姿が浮かんできて、この世界の片隅にに少し似てるかな・・・などと思っていると、終戦を迎え、夫が帰ってきて、事態は急展開。夫は仕事が長続きせず、彼女は教師として働き続けます。家庭の中はあいかわらずの家父長制一色で、今の眼から見ると、夫も姑も何なの!寄生虫かい!とか言ってやりたくなるレベルなのですが、当時の女性の置かれた状況は本当に過酷だったのですね。その中でも、終戦間もない学校で、(割と裕福な家庭の)ある子が学校に持ってきたきれいな本がなくなった時の彼女の対応とか、思慮深くて、本当にいい先生だったのだと思う。そうこうしているうちに、この家計簿がどうして晩年の彼女の手元にあったのか、不思議に感じるようになる。 その謎は、最終盤に解けていくのだけど、この作品は、女たちの物語だった。女同士の共感と苦しい時期を手を携えて乗り越えようとする、再生の物語。したがって、男どもは添え物。祖母の夫はもちろんのこと、主役級2人の付き合った相手も、かなりひどいレベルだし。それもまた、社会の副産物なのかも知れないけど。 題名に家計簿とあるので、一つだけ。もはや、1パック98円の卵など、あり得ません。
Posted by
家計簿の本ではなかった(笑)。突然渡された昭和17年頃からの古い家計簿の備考欄に記載された日記みたいなものを読みながら、戦後と現代の女性の生き方を描くお話です。
Posted by
原田ひ香さんの作品は、やっぱりおもしろい。 いつの間にか、すうっと作品の中に引き込まれて、いつの間にか読み終わってる。 里里が手にする加寿さんの家計簿で戦中から戦後、当時の暮らしを知る。 歴史としてテキストで知っていることと、その時代を生きた1人の女性の日記を通してみるのとでは...
原田ひ香さんの作品は、やっぱりおもしろい。 いつの間にか、すうっと作品の中に引き込まれて、いつの間にか読み終わってる。 里里が手にする加寿さんの家計簿で戦中から戦後、当時の暮らしを知る。 歴史としてテキストで知っていることと、その時代を生きた1人の女性の日記を通してみるのとでは、リアリティが違う。小説の中のこととは分かっていても、当時を生き抜いた女性たちの強さに感服する。 加寿さんの家計簿は、NPO法人の代表である晴美さんから、里里の母親である朋子を経由し、里里が手にすることになる。 家計簿を大切にしていた加寿、中身を見ることなく里里に渡した朋子、向き合う覚悟をする里里。 3人それぞれの気持ちを思う時、自分も同じように過去を生きた人がいて今の自分があるのだと気づかされる。 将来、里里の娘・啓がその家計簿を手にする時、きっと幸せでいてほしいと思うし、どうか、曾祖母、祖母、母たちの想いを真っ直ぐに受け止めてほしいと思う。 あったかい余韻を残す読後感。 満足の一冊。
Posted by
シングルマザーの里里の元に届けられた五十鈴加寿の家計簿。本当の加寿はどんな人だったのか、と惹きつけられました。読み終わってみれば家計簿を通して戦前から戦中戦後の世の中の動きや思想の変化、一人の女性が自立していく過程を辿っていた。NPO団体「夕顔ネット」の晴美の過去も壮絶。二股相手...
シングルマザーの里里の元に届けられた五十鈴加寿の家計簿。本当の加寿はどんな人だったのか、と惹きつけられました。読み終わってみれば家計簿を通して戦前から戦中戦後の世の中の動きや思想の変化、一人の女性が自立していく過程を辿っていた。NPO団体「夕顔ネット」の晴美の過去も壮絶。二股相手の婚約者は裏切った婚約者とその相手に永遠に自分を忘れないようにあんな死に方をしたのか、愛情なのか憎しみなのか執着心なのか。 みずきはこれからどうなるのかも気になった。
Posted by
シングルマザーの里里は、啓という娘を抱えて暮らしている。母には、子どもを産むことを反対され、迷惑をかけるなと言われた。幼い頃から、母からは、愛情を注がれた記憶が無い。 一方、水商売や風俗関係の仕事をして来た高齢女性の支援をする団体NPO「夕顔ネット」代表の三浦晴美。 「夕顔ネ...
シングルマザーの里里は、啓という娘を抱えて暮らしている。母には、子どもを産むことを反対され、迷惑をかけるなと言われた。幼い頃から、母からは、愛情を注がれた記憶が無い。 一方、水商売や風俗関係の仕事をして来た高齢女性の支援をする団体NPO「夕顔ネット」代表の三浦晴美。 「夕顔ネット」の土地・建物が、里里の祖母が寄付した物だった。祖母は、浮気をして心中したと聞かされていたのだが。 「夕顔ネット」の建物を建て直す際に、祖母の荷物が整理され、昔の家計簿が、里里の母経由で、送られて来たことから、物語が始まる。 百田尚樹の小説「永遠の0」のような展開に感じました。 冒頭から、どういうこと? と、引き込まれていきます。 少しずつ、謎が解けて行き、里里と、晴美の過去が明かされながら、生き方についつ考えされられました。 ブクログ内で、小説読了231冊。
Posted by
戦時中につけられていた家計簿兼日記が、ふとしたきっかけでシングルマザー里里の元に渡り、そこから3世代の女性の繋がりが見えてくる物語です。 題名からは予想もしなかった内容でしたが、一気に読むことができました。
Posted by
タイトルが気になって購入。 お金の話かと思いきや、そうではなく。 どちらかというと、家計簿兼日記を通して、辛い経験をした女の人たちが繋がっていくストーリーでした。 個人的にはみんな悲惨すぎて、あまり感情移入はできなかったかも?(戦時中のお話しは理解できました) でも、家計簿の...
タイトルが気になって購入。 お金の話かと思いきや、そうではなく。 どちらかというと、家計簿兼日記を通して、辛い経験をした女の人たちが繋がっていくストーリーでした。 個人的にはみんな悲惨すぎて、あまり感情移入はできなかったかも?(戦時中のお話しは理解できました) でも、家計簿の使い方って確かに人それぞれだなと思ったり。 お金の使い方からもその人の性格とか考え方がなんとなく読み取れる。(そもそも散財する人は家計簿なんてつけないだろうから、家計簿をつけているってだけでお金を大切にする人だということはわかる) 続くかどうかが問題だけど、今年は紙で家計簿つけてみようかな〜
Posted by
んー…?面白く読めはするんですけど…全体的にバラバラ。 視点も時代も切り替わるのでごちゃごちゃした印象。 母をもっと掘り下げて、親子3代の物語にしたほうがスッキリしたのでは? 解説も読んだけど、結局何が言いたかったの?という印象を受けました。(『女性の経済的自立』?『底辺からの...
んー…?面白く読めはするんですけど…全体的にバラバラ。 視点も時代も切り替わるのでごちゃごちゃした印象。 母をもっと掘り下げて、親子3代の物語にしたほうがスッキリしたのでは? 解説も読んだけど、結局何が言いたかったの?という印象を受けました。(『女性の経済的自立』?『底辺からの再出発』?)
Posted by
え?また? サイコパス里子! 執着心の権現! 永田がゲスでよかった。 これで、サッパリスッパリ過去とおさらばできるよ。晴美さん ある意味里里さんと、里里さんパパも朋子さんも被害者ね。 加害者は加寿さん? 善吉と姑? せめて、がんじがらめな朋子さんの心が少しでもほどけたら、啓ちゃ...
え?また? サイコパス里子! 執着心の権現! 永田がゲスでよかった。 これで、サッパリスッパリ過去とおさらばできるよ。晴美さん ある意味里里さんと、里里さんパパも朋子さんも被害者ね。 加害者は加寿さん? 善吉と姑? せめて、がんじがらめな朋子さんの心が少しでもほどけたら、啓ちゃんがおばあちゃんに抱っこされたら、と思います。 「富士屋」さんや「パピヨン」 が出てきてちょっと嬉しい。 2016年7月 初版1刷発行
Posted by
女性が読んだら響くものがあるのかもしれない。昭和の時代から今も尚、女性が自立するのにはあまりに無理解な社会というのがわかった。
Posted by