あとかた の商品レビュー
暗い海を見ていると引き込まれてしまいそうになる様に、「死」や「ネガティブな感情」は常にすぐ傍にあって、気付かないうちに飲み込まれてしまう…そんな人々を描いた短編集でした。 最後の作品に出てきた水草くんが発する「生への肯定感」が唯一の救いかな、と思いました。
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「私は安らぐ場所に違いない。厳しい現実から逃げられる場所なのだろう。でも非現実、虚構だ。一時の快楽と幸福を与えはするけど現実には何も生み出さない。」 実体のないこの関係性が、この物語が私は好きです
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千早さんの本、一つ目の章が心に刺さることが多いなと思います。 今作の「ほむら」は、結婚を控える主人公の女性と、どこか現実味のない年上の男性とのお話。変わらないために結婚することを決断した配偶者と、結婚しても変わるのだからと前向きにならない主人公。「変わらない」に執着するから生まれ...
千早さんの本、一つ目の章が心に刺さることが多いなと思います。 今作の「ほむら」は、結婚を控える主人公の女性と、どこか現実味のない年上の男性とのお話。変わらないために結婚することを決断した配偶者と、結婚しても変わるのだからと前向きにならない主人公。「変わらない」に執着するから生まれる現実味のない関係って身に覚えがあるなあ。
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ゆらゆら揺れ動く夜の空気みたいな、耽美的な恋愛小説。島清恋愛文学賞受賞作。 古今東西、多くの作家が「恋愛」という普遍的な情熱をテーマにした文学作品を残してきた。熱に浮かされるような感覚、利口に生きられない歓び、嫉妬するのに敢えて装う平静、相手と共有できる非日常の世界、愛する者...
ゆらゆら揺れ動く夜の空気みたいな、耽美的な恋愛小説。島清恋愛文学賞受賞作。 古今東西、多くの作家が「恋愛」という普遍的な情熱をテーマにした文学作品を残してきた。熱に浮かされるような感覚、利口に生きられない歓び、嫉妬するのに敢えて装う平静、相手と共有できる非日常の世界、愛する者に振り向いてもらえない地獄の苦しみ、世界を呪いたくなる惨苦、やがて訪れる静けさ、深い虚無感。 しかし現代の恋愛小説において、そのようなロマンティシズムは見受けられない。「恋愛」は本来もっているはずの性質を失い始めている。現代人の空虚は奥が深い。誰もが孤独を恐れつつ、人に傷つかない孤独な安全地帯に潜り込む。「かたち」あるものを求め、「かたち」が無ければ人間関係は成立しないと思い込む。そして「かたち」の中で他の誰とも想いを共有しにくくなったままに、慎ましく、淡々と、けれど元気を装い必死に生きる。 だからこそ本作で、「日々、同じかたちを保つため」結婚しようとしていた女が、密かに関わった別の男の中で、「かたちからゆるゆると滲みだしてしまう」姿にはっとする。愛してもいない、後腐れのない関係の男からの愛を、心底求めている自分に気付き涙する姿に、胸を打たれる。「だって、たとえ明日、世界が終わるとしても魚も人もきっと恋をするもの。惹かれた相手と一秒でも長く一緒にいたいと願うはずだよ。それは何かを遺したいからじゃなくて、生き物として当たり前の想いだから。」という言葉に救われる。 生きていれば、恋をする。恋をすれば当然苦しい。ならばいっそ苦しみ抜けば良い。生きているというのはそういうことだから。現代の冷たい世の中を俯瞰しつつ、その中で浮き彫りになった生きものとしての生の感情を、味わえる。
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ひりひりとした6つの短編連作集。誰もが傷を負い、その痕跡が誰かを通して浮き立ってくる感じ。『さんかく』でも思ったけど、千早茜さんは語り手の転換がお上手だと思う。
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主人公(視点)が変わりつつ、全ての短編の登場人物に繋がりがある連作の短編集でした。私はこのタイプの作品が好きみたい。初めの章に出てくる男性が全編通してのキーパーソンなんだけど、その男性の視点の章が無いのがすごく良い。想像を掻き立てられます。詳しい説明がない分、ミステリアスで結局1...
主人公(視点)が変わりつつ、全ての短編の登場人物に繋がりがある連作の短編集でした。私はこのタイプの作品が好きみたい。初めの章に出てくる男性が全編通してのキーパーソンなんだけど、その男性の視点の章が無いのがすごく良い。想像を掻き立てられます。詳しい説明がない分、ミステリアスで結局1番印象的な登場人物なのかも。「ほむら」が1番好きかなー。
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千早茜『あとかた』 2016年 新潮文庫 それぞれの愛にまつわる連作短編集。 身近ではないけどリアルに感じ、少し怖さも感じる生き様たち。 身近ではないといったけど、それは行動的や物理的なことの話で、実際の内情や心情においてはどうなのか。そこにリアリティーを感じてしまうのだろう...
千早茜『あとかた』 2016年 新潮文庫 それぞれの愛にまつわる連作短編集。 身近ではないけどリアルに感じ、少し怖さも感じる生き様たち。 身近ではないといったけど、それは行動的や物理的なことの話で、実際の内情や心情においてはどうなのか。そこにリアリティーを感じてしまうのだろう。 また小池真理子氏の解説が秀逸で。まさにそうですね!と強く協調してしまいました。 僕は千早茜さんの世界観や紡ぐ物語は大好きだと改めて思いました。 味覚や触覚、湿度や温度を感じる素敵な作品でした。 #千早茜 #あとかた #新潮文庫 #読了
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この著者さんを読むのは2作目。 前回読んだ高レビューの本は私には全く響かなくてレビューすら書かなかったけれど、この本は好き本だった。 読んでよかった。 ふくらはぎまで、生ぬるいヌルヌルした水でがんじがらめにされてるような登場人物たち。 でも空からはたしかに微かに光が降りていて。...
この著者さんを読むのは2作目。 前回読んだ高レビューの本は私には全く響かなくてレビューすら書かなかったけれど、この本は好き本だった。 読んでよかった。 ふくらはぎまで、生ぬるいヌルヌルした水でがんじがらめにされてるような登場人物たち。 でも空からはたしかに微かに光が降りていて。 将来をどうしていくのかは日々の選択で変わってくるよね 光を見つけることが出来る環境とか自身のモチベーションとか偶然や必然の出会いとか。 みんながみんな、光を見つけられるわけでもない。 いろいろ私の人生も振り返ってしまいました。 オムニバス形式で、いろんな人の人生が絡んでるストーリーです。 1人の自死を選んだ男性から派生する人々のその後。 光が見える最後の2作品が私は好きでした
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短編集かと思ったら、1人の男で繋がってたんだと最後の最後で気づく。ちょっとわかりづらかった(私の読解力が低い)
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各章ごとに主人公は変わるけれど、登場人物が連鎖していく連作短編小説。内容は不倫とか、昼ドラみたいなちょっとドロドロ系っぽいけど、案外スラスラ読み進められた。
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