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あとかた 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2016/01/01 |
JAN | 9784101203812 |
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商品レビュー
3.9
71件のお客様レビュー
千早さんの本、一つ目の章が心に刺さることが多いなと思います。 今作の「ほむら」は、結婚を控える主人公の女性と、どこか現実味のない年上の男性とのお話。変わらないために結婚することを決断した配偶者と、結婚しても変わるのだからと前向きにならない主人公。「変わらない」に執着するから生まれ...
千早さんの本、一つ目の章が心に刺さることが多いなと思います。 今作の「ほむら」は、結婚を控える主人公の女性と、どこか現実味のない年上の男性とのお話。変わらないために結婚することを決断した配偶者と、結婚しても変わるのだからと前向きにならない主人公。「変わらない」に執着するから生まれる現実味のない関係って身に覚えがあるなあ。
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ゆらゆら揺れ動く夜の空気みたいな、耽美的な恋愛小説。島清恋愛文学賞受賞作。 古今東西、多くの作家が「恋愛」という普遍的な情熱をテーマにした文学作品を残してきた。熱に浮かされるような感覚、利口に生きられない歓び、嫉妬するのに敢えて装う平静、相手と共有できる非日常の世界、愛する者...
ゆらゆら揺れ動く夜の空気みたいな、耽美的な恋愛小説。島清恋愛文学賞受賞作。 古今東西、多くの作家が「恋愛」という普遍的な情熱をテーマにした文学作品を残してきた。熱に浮かされるような感覚、利口に生きられない歓び、嫉妬するのに敢えて装う平静、相手と共有できる非日常の世界、愛する者に振り向いてもらえない地獄の苦しみ、世界を呪いたくなる惨苦、やがて訪れる静けさ、深い虚無感。 しかし現代の恋愛小説において、そのようなロマンティシズムは見受けられない。「恋愛」は本来もっているはずの性質を失い始めている。現代人の空虚は奥が深い。誰もが孤独を恐れつつ、人に傷つかない孤独な安全地帯に潜り込む。「かたち」あるものを求め、「かたち」が無ければ人間関係は成立しないと思い込む。そして「かたち」の中で他の誰とも想いを共有しにくくなったままに、慎ましく、淡々と、けれど元気を装い必死に生きる。 だからこそ本作で、「日々、同じかたちを保つため」結婚しようとしていた女が、密かに関わった別の男の中で、「かたちからゆるゆると滲みだしてしまう」姿にはっとする。愛してもいない、後腐れのない関係の男からの愛を、心底求めている自分に気付き涙する姿に、胸を打たれる。「だって、たとえ明日、世界が終わるとしても魚も人もきっと恋をするもの。惹かれた相手と一秒でも長く一緒にいたいと願うはずだよ。それは何かを遺したいからじゃなくて、生き物として当たり前の想いだから。」という言葉に救われる。 生きていれば、恋をする。恋をすれば当然苦しい。ならばいっそ苦しみ抜けば良い。生きているというのはそういうことだから。現代の冷たい世の中を俯瞰しつつ、その中で浮き彫りになった生きものとしての生の感情を、味わえる。
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ひりひりとした6つの短編連作集。誰もが傷を負い、その痕跡が誰かを通して浮き立ってくる感じ。『さんかく』でも思ったけど、千早茜さんは語り手の転換がお上手だと思う。
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