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あとかた の商品レビュー

3.9

74件のお客様レビュー

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2022/02/10

「あとかた」という言葉は、「あとかたもなく消える」というように「消える」という言葉をつれてくる。無ではなく消。消えてしまったあとに、存在していたことをまざまざと知らしめる、人と人との間には、そのような、かたちとして留まらない恋だとか愛だとかがある。 読んでいてそんなことを考えた。...

「あとかた」という言葉は、「あとかたもなく消える」というように「消える」という言葉をつれてくる。無ではなく消。消えてしまったあとに、存在していたことをまざまざと知らしめる、人と人との間には、そのような、かたちとして留まらない恋だとか愛だとかがある。 読んでいてそんなことを考えた。

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2021/12/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

よかった。 千早茜さんの本はなんとなく寂しくて好き。 こういう話を読みたかったのでなお満足。 連作短編集は、私の中でよくあるものになってしまって最近の気分は長編なのだが、この作品は一見繋がってると思わないような感じでよかった。

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2021/09/28

連作短編集で、それぞれのお話がつながってる。 みんなそれぞれ心に傷や痛みを抱えてるんだけど、それさえも綺麗と思えるようなお話でした。

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2021/08/17

現代の恋愛を描いた短編連作集。読み進めるごとに彼の彼女の姿が浮き彫りになっていく。読む手が止まらなくなる。 傷つきたくないから踏み込まない、遺すべきもの、それぞれの愛のかたち...。チリチリ、チクチクする気持ち...。しばし余韻に浸ろう。

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2021/07/07

千早茜の描く物語は、救いだ、といつも思う。 彼女の物語に登場する人々は絶望的なくらい不安定で脆いのに、つよい。駄目になってしまわない、救いがある。 決して堕ちない救いがそこにあるから、嬉しくてほっとして、どこか羨ましくてつらい。 孤独と愛と向き合う、6話の連作短編集。 愛と、...

千早茜の描く物語は、救いだ、といつも思う。 彼女の物語に登場する人々は絶望的なくらい不安定で脆いのに、つよい。駄目になってしまわない、救いがある。 決して堕ちない救いがそこにあるから、嬉しくてほっとして、どこか羨ましくてつらい。 孤独と愛と向き合う、6話の連作短編集。 愛と、「何かを遺すこと」はどうしていつも一括りにされるのだろう。何も遺せなくても、そこに愛があったことは真実で、素晴らしいことなんだ、って。 「ゆびわ」のラストが声が出そうになるくらいつらかった。 友達の店を手伝っている、と夫に嘘をつき、子どもを預け、年下の男の部屋に通っている女性。 何も遺せなくても、何も遺してはならなくても。 “まるいあたたかみが胸を締めつけてくる”という表現が秀逸すぎて鳥肌がたつ。決して振り返ってはならない。 あとラストの「ねいろ」がたまらなくよい。 千影さんの愛を全肯定してくれる水草くん。何も遺せなくても、大義名分なんてなくても、ただ愛したい。 “たとえ明日、世界が終わるとしても魚も人もきっと恋をするもの。”

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2021/05/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 「わるい…」シリーズから流れて著者の小説を手に取った。  単純に6編の短編集ではない。  不思議と登場人物の存在感に空虚さや希薄さを感じる小説だ。もちろん現実の世界にいてもおかしくない登場人物をしっかり描いているのになぜだろう。読み手の問題なのか、著者の表現のしかけなのか。他の小説も読んでみたい。

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2021/03/05

 全て良かったけど、『てがた』が一番好きだった。屋上に座って、ひょいっと飛び降りられるような人が現実で自殺の実行力なり衝動性があるのかどうかは微妙なところだけど、人は見かけによらないというショックを受ける美しい設定だと感じた。『ねいろ』で「はじまりに戻りたかったのだろう」みたいな...

 全て良かったけど、『てがた』が一番好きだった。屋上に座って、ひょいっと飛び降りられるような人が現実で自殺の実行力なり衝動性があるのかどうかは微妙なところだけど、人は見かけによらないというショックを受ける美しい設定だと感じた。『ねいろ』で「はじまりに戻りたかったのだろう」みたいな描写があり、その解釈自体はかなりしっくりきた。  『やけど』と『うろこ』はきゅんきゅんできる良いセット。サキと松本、それを見守る千影さんや啓介のいる世界が温かかった。

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2021/02/10

黒崎という男に関わった人達と、その配偶者・同居人・知り合いの話。 『ほむら』…主人公の女が性交中、黒崎に放った言葉が気になる。結局明かされることはなく。 『てがた』…仕事にかまけて子供のことは放りっぱなしの洋平。黒崎の部下。仕事頑張るのは良いことやけど…ねえ? 『ゆびわ』…...

黒崎という男に関わった人達と、その配偶者・同居人・知り合いの話。 『ほむら』…主人公の女が性交中、黒崎に放った言葉が気になる。結局明かされることはなく。 『てがた』…仕事にかまけて子供のことは放りっぱなしの洋平。黒崎の部下。仕事頑張るのは良いことやけど…ねえ? 『ゆびわ』…洋平の妻・明美。こいつが1番いい性格してると思う(笑) 『やけど』…黒崎に囲われていたサキ。色々と暗い過去を背負って生きている。この子は幸せになってほしい。 『うろこ』…サキの同居人・松本。この子も色々大変な人生を送ってる。幸せになってほしいパート2。 『ねいろ』…サキがパブで知り合ったフィルド弾きの女性・千影。幸せになってほしいパート3。 明美のセフレ・イナダ、千影の恋人・立川、黒崎の話も読んでみたい。

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2020/10/21

連続して千早作品を読んでみた。 短編集だが一つ一つの物語がリンクしてる感じは湊かなえの「告白」や伊坂作品に近い感じ。 女性作家が書くこの手の作品は女性特有の価値観で書かれてるものが多くて好きではないが、この作品は男性目線での感情や心情がとても繊細に描かれてて共感が持てる。 決して...

連続して千早作品を読んでみた。 短編集だが一つ一つの物語がリンクしてる感じは湊かなえの「告白」や伊坂作品に近い感じ。 女性作家が書くこの手の作品は女性特有の価値観で書かれてるものが多くて好きではないが、この作品は男性目線での感情や心情がとても繊細に描かれてて共感が持てる。 決してハッピーエンドではないが読後感がとても良く穏やかな清らかな気持ちになる。 他作品もとても楽しみ❗

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2020/10/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「恋愛連作短編集」とあり、ある短編に登場した人物が別の短編で他の形で登場する。とりわけ、1編目に出てくる男はあちこちに出てくる。物語に登場した時はそんな気配もなく、川上弘美の『ニシノユキヒコの冒険』の主人公のような、太宰治のような、女性の間をゆらりとするような人物に感じたのが、ページが進むごとにそれだけではない面が見える。ふわりふわりとした印象だった男性はその自死ゆえに、意外なほど人々にその影響を残す。ほんの一文、一言出てきただけの人物が、別の章では語り手として登場する。 同じ作者の『西洋菓子店プティ・フール』とは雰囲気も読後感もまるで異なる。他の作品ももう少し読んでみよう。

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