生きるぼくら の商品レビュー
原田マハさんの”本日は~”を読んで、どういう言葉を受け取るか投げかけるかで、その人に大きな影響を与えられるっていう意味で、”言葉”って凄いなって改めて感じたけど、本作品はもう少し”人との出会い”にフォーカスされつつも、誰と出会うかその人をどう受け止めて向かい合うか、で人に与えら...
原田マハさんの”本日は~”を読んで、どういう言葉を受け取るか投げかけるかで、その人に大きな影響を与えられるっていう意味で、”言葉”って凄いなって改めて感じたけど、本作品はもう少し”人との出会い”にフォーカスされつつも、誰と出会うかその人をどう受け止めて向かい合うか、で人に与えられる影響って良くも悪くも大きいなと思った作品。 物語の中心は、主人公の人生/父親の元再婚相手のつぼみ/マーサおばあちゃんで進んでく。 それぞれが違った苦しい過去やトラウマを持ってる中で、たまたま蓼科のおばあちゃんの家で、文字通り一人ぼっちの3人が一緒に生活していく話。 本読み進めていく上で、人生の考え方/発言/行動が、蓼科来てからちょっと時間おかず変わりすぎちゃう?、って思うこともあったけど、以下が彼を変えた要因なのかな。 ・マーサおばちゃん 人生の中で最後に持ってる楽しい記憶が、マーサおばあちゃんがいる蓼科での記憶で、おばあちゃんに会いに行こって思って、おばあちゃんが街のみんなから愛されてたり、米作りを通して生きるって何かを教えてくれたりしから、話の核なのは間違いない。 マーサおばあちゃんのために頑張ろうと思って仕事を始めて、田端さん含め色んな人と会話して、自分でお金を稼いで、お米を作るようになって。 ・食堂で働いてる志乃さん 蓼科にあって初めての人が志乃さんで、本当に良かったんやろうね。 自室で引きこもってた人生が外に出て、1番しっかり向き合ってくれた大人が志乃さんで、作品通して、誰よりも自分の周りの人の身の上を案じてくれてるから、”大変やけど頑張って。何とかなるよ!”とか曖昧な言葉じゃなくて、現実的に具体的に、厳しさの中に優しさがある、言葉を投げてくれたり行動をとってくれたり。 学生時代の同級生は勿論、学校の先生含め、こんな大人がいなかったから塞ぎ込んでたけど、志乃さんに会って世の中嫌な人ばっかじゃないって思えたんかな。 ・つぼみ 自分と同じように学生時代にいじめにあった経験があって、人とのコミュニケーションを取るのが難しい中で、同じような理由でおばあちゃんに会いに来た。 そんな中で彼女も心を開いてくれるようになって、だから自分も自分の話をするようになって、しんどかったこと、モヤモヤしてたことが頭の中でぐるぐるするだけやったのが、人に伝えられたこと、悩みを誰かに打ち明けられたことが大きかったのかな。 後は田端さんの息子の純平君が世の中に対して思ってたこと、家に篭りきりになりかけてたおばあちゃん、引き篭もってた時の人生と被る色んな出来事があって、それを蓼科に来て違った角度で見れたからこそ、その時抱えてた純平の気持ち分かるなあとか、けど自分なんでああいうふうに考えてたんやろ、とか自分を見つめ直す機会になったのかな。 読みながら書いてたから、上のコメント書く段階で感じてたのは、人生考え深くなるし、成長しすぎちゃう?、それは本やし尺もあるしなって最初は思ってた。 けどたぶんそれは違って、人生は誰よりも考えるし悩んできた中で、いじめられて塞ぎ込んでしまってから、そとの世界に出るタイミングが無かっただけで、今も昔もたぶん本質的なところは何も変わってないんやろうなって。 誰よりも優しくて、けど優しすぎて嫌な経験もいっぱいして、だからこれから彼に会ってく人は、彼が志乃さんに救われたみたいに、彼も色んな人の人生変えていくんやろね。 後はツラツラと感じたことを書いてるけど、いじめられて、その時の嫌なきっかけがあって梅干し食べられへんくて、親のお金で生きるためだけに無機質なコンビニのおにぎり食べてた人生が、蓼科に来て米を作り始めて、生きるためだけに栄養素として取ってた米を作ることで向き合うことで、色んな人と触れてサークルオブライフを感じて、最終的にはおばあちゃんが作ってくれた梅干しをふいに食べて過去の清算をして、ストーリーの描かれ方が良かったね。 タイトルの”生きるぼくら”、お米が苗から収穫してご飯になって食べるまでの過程と、人生がお米と向き合いながら成長していく過程で、吐露してたこの作中以下フレーズが大好きやし、言いたかったこと全部詰まってる気がするので、書き留めとこ、素敵な作品でした! あんなに小さく一粒の苗から、青々と育ちつつある稲、その力。”お米の力を信じて、とことん付き合ってあげなさい”と、米づくりを始める前にばあちゃんが言っていた。 自然に備わって生きる生き物としての本能、その力を信じること。すなわち、生きる力、生きることをやめない力を信じること。 お米の力という言葉を、人間の力という言葉に置き換えてみる。すると、それは、自分の力という言葉になる。
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久々に一気読み。止まらない。 誰かのため何かのために生きるというメッセージが伝わる。 みんな苦悩や困難を抱えながらも人を通じて米作りを通じて救われていく。 清々しく優しい気持ちになる。 良い出会いに感謝したい。
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田舎の実家を離れてから読めてよかったなあ 理想の自分になれんくて幻滅したりするけど、何かに全力やったり周りの人大切にして、親に立派になったなって思ってもらえたらそれでいいな
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図書館の「今日返却された本」コーナーから反射神経でサッと差し出した1冊。原田マハの著者名は見えていたので安心感はありましたが、期待を裏切らない良作でした。 24歳の引きこもりが母に出ていかれ、辿り着いたのは祖母のいる蓼科。そこで自然農法での米づくりを始めることになり…という話。 ...
図書館の「今日返却された本」コーナーから反射神経でサッと差し出した1冊。原田マハの著者名は見えていたので安心感はありましたが、期待を裏切らない良作でした。 24歳の引きこもりが母に出ていかれ、辿り着いたのは祖母のいる蓼科。そこで自然農法での米づくりを始めることになり…という話。 少々ステレオタイプ的なキャラ、展開もあるものの、楽しく読める範疇でした。むしろ結局終盤には泣いてるという(笑 いやあの伏線回収はずるいでしょう。。 主人公の「いまの自分は『カッコいい大人』に恵まれている」という記述を読みながら、もはや主人公たちよりは大人たちの年齢に近いんだよなぁ…と思いながら、カッコいい大人たり得ているか…なんて(考えるだけムダな)コトをつい考えてしまいました。 悩ましいなと思ったのは、「家族のかたちにはほど遠い三人。それぞれに何かが欠けていた。」という表現。ストーリーのために欠けさせられたんだよなぁとも思いつつ。。あと、序盤のいじめ描写も主人公のトラウマに必要ではあったんでしょうが、ここまでか…という感覚がありました。 本著を読了して思ったのは、①稲作と日本気質の結びつき、②稲作のサステナビリティの2点です。 ①稲作と日本気質の結びつき 人の手をかけるほど収量が増える稲作、だからこそコミュニティで集まって作業をして、まるで人のように稲の成長を見守る。脱穀後にはみんなで「豊穣の宴」を開く。 稲作文化では人と人の協力は当たり前ですが、種だけ飛行機で撒いて(あるいは自然に落ちた種で種まきもせず?)放置しとけば育つ小麦+牧畜文化とは違うんだなぁと。。 ②稲作のサステナビリティ 本著では自然農法に取り組んでおり、まずまずの収量を上げていましたが、上手くいったケースが描かれているんだろうなぁと。加えて、天然記念物みたいなモンだから守ってあげようという周囲の協力があって成立しているので、なかなか難しいなと。。 ただ、地方の土地はもはや余っている訳で、人手をかける部分を上手く工夫すれば、農薬や化石燃料の使用を抑えながら自然農法でも総収量を高めるコトはできるんじゃないかなと思いました。 (自然農法のお米が間違いなく美味しくて、多少頑張っても産業として育てる意義があるならですが…。) 環境面のサステナビリティと、"苦労"面でのサステナビリティを上手く両立させるなら、ドローンなりパワードスーツなり導入するんですかね。。 ちょっと完全に脱線してしまいましたが、スーッと読めてあたたかい気持ちになれる良著でした。短編なんかで主人公たちのその後を読めたら素敵だなぁ、なんて思ったくらいです。
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読後、こんなにも希望に満ち溢れ胸がいっぱいになった小説は初めてかもしれない。マーサおばあちゃんに会いに、また何度も読み返したいと思った。 マーサおばあちゃんの好きな風景を私もみてみたいと思い、YouTubeで夏の御射鹿池の映像を観た。息を呑むほど美しい風景だった。この風景に出逢...
読後、こんなにも希望に満ち溢れ胸がいっぱいになった小説は初めてかもしれない。マーサおばあちゃんに会いに、また何度も読み返したいと思った。 マーサおばあちゃんの好きな風景を私もみてみたいと思い、YouTubeで夏の御射鹿池の映像を観た。息を呑むほど美しい風景だった。この風景に出逢わせていただいたこと、原田マハさんに感謝したい。
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あれだけの陰湿ないじめを受けて引きこもってたのに お母さんがいなくなったのをきっかけに あんなに変わるのを見ると 本当は真面目で素直だったんだなぁって事と同時に きっかけがあると人はあんなにも変わる可能性があるんだなと思う それかやらざるおえない理由が欲しかったのか 途中で田端...
あれだけの陰湿ないじめを受けて引きこもってたのに お母さんがいなくなったのをきっかけに あんなに変わるのを見ると 本当は真面目で素直だったんだなぁって事と同時に きっかけがあると人はあんなにも変わる可能性があるんだなと思う それかやらざるおえない理由が欲しかったのか 途中で田端さんが人生のことをまっすぐ手放しに褒めるところがあったけど 自分がすごいなと思ってる大人にあんなに率直に褒めてもらえたら嬉しいよね わたしも褒められたいし素直に褒められる大人でいたいな 原田マハさんの本って根っこから悪い人 1人も出てこない優しい世界だから安心して読める
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学生時代の壮絶ないじめを経て高校中退、日雇い派遣の後引きこもりになった麻生人生。 母の稼いだお金とコンビニおにぎりで生活していたが、ある日突然母が置き手紙を残して出ていく。 痴呆症の介護、いじめ、引きこもり等等暗いテーマだが米作り、ふるさとの素晴らしさに溢れ前向きになれる内容が詰...
学生時代の壮絶ないじめを経て高校中退、日雇い派遣の後引きこもりになった麻生人生。 母の稼いだお金とコンビニおにぎりで生活していたが、ある日突然母が置き手紙を残して出ていく。 痴呆症の介護、いじめ、引きこもり等等暗いテーマだが米作り、ふるさとの素晴らしさに溢れ前向きになれる内容が詰まった一冊。
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一言で 大感動!! 何日かかけて読もうと思っていたのに、1日で読んでしまった お米を作ったり、自分の殻を破ったり、病気と共存したり、自然とは何か、生きるって何か、とにかく色々なテーマがたくさんはいっています その中でも私は 頼りになる本当の大人 の存在が貴重なこと 私もそう...
一言で 大感動!! 何日かかけて読もうと思っていたのに、1日で読んでしまった お米を作ったり、自分の殻を破ったり、病気と共存したり、自然とは何か、生きるって何か、とにかく色々なテーマがたくさんはいっています その中でも私は 頼りになる本当の大人 の存在が貴重なこと 私もそういう大人に励まされてきたこと そんな大人を目指していきたい!と思いました この本を読んでない方は是非読んでみてください!
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歳を重ねるごとに環境や家族、人との関わり方も少しずつ変わっていくけど、過去の思い出も大切にしながら、今目の前にある繋がりをもっと大事にしていきたいと思えた。
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とにかくお米とおにぎりがすごーく食べたくなった。 なので、母に言っておにぎりを作ってもらった。もちろん中身は梅干し。 田舎とおばあちゃんと自然と言う大好きなシチュエーションの話。 私も蓼科に行ってみたくなった!
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