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悲嘆の門(下) の商品レビュー

3.6

170件のお客様レビュー

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2015/05/12

 宮部みゆきがファンタジーも書く作家であることは知っていたのだが、こうして手に取った新作が、そうだったと気づいたときには一瞬動揺した。というのは、ぼくはファンタジーが苦手だからだ。下手なレビューでジャンルなど確認しなければよかったのだ。  しかしどういうわけか、この本は抵抗なく...

 宮部みゆきがファンタジーも書く作家であることは知っていたのだが、こうして手に取った新作が、そうだったと気づいたときには一瞬動揺した。というのは、ぼくはファンタジーが苦手だからだ。下手なレビューでジャンルなど確認しなければよかったのだ。  しかしどういうわけか、この本は抵抗なく読み進めることができる。どうしてこれがファンタジーなのだろう、もしやレビュワーが間違っているのでは? と、疑念を抱きつつ、上巻の後半に差し掛かった頃、いきなり小説は異世界からの闖入者たちの訪問を受けて、少しだけ様相を変えてしまうのだ。  しかし、怪物たちは言う。人間の生きる世界は異なる世界も真と言われてきたぼくらの生きる世界もすべては物語の世界であるのだ、と。歴史の真実と定義されたものさえ物語であり、仮定であり、想像であり、表現されるためのものである。人間には死と言う約束された無があるからこそ、その理解できないものに対して物語で救われようとする本能があると。  要約するとそういうことなのだが、ぼくがクライム小説で読む現実に即した設定の物語も、ファンタジーもどちらも総じて想像の世界のことであり、押しなべて物語でなのだということを作者は語りたいのかもしれない。  異世界の描写はさすがに自由度が高く、難しく冷徹なモノローグに満ちた抽象的でありながら、神話的具象に彩られた描写が多いのだが、一方でこちら側(現生)での登場人物たちはそれぞれに生活があり、家族があり、生命に満ちた親しみやすい世界の空気に浸っている。  そして親しみやすいはずの世界では、体の一部を切り取る連続殺人と思われる残虐な事件が続いている。ネットを検索して犯罪を探すというアルバイトをする大学生と退職した元刑事とが謎の連続殺人事件に挑む普通のミステリ小説としての面白さに、異世界の幻視や夢のような体験が織り込まれていると見れば、宮部世界はどこのジャンルであろうと基本的に変わらず、面白く親しみやすい世界であるのだ。  本作は事件の背後にある犯罪衝動を、ネットによる言葉の暴力やいじめの現場、残虐な写真、動画などの無軌道な流出などの社会環境を背景に描いたものとして捉える独特な視点で事件の真実を探り当てる。連続殺人事件という物語が、真実とどう隔たって構築されたものであるのかを検証しながら、多層的に楽しんでゆくことのできる新型エンターテインメント、と言っておきたい力作である。

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2015/05/06

ガラの力を得て自力で悪を裁こうとする孝太郎。そんな主人公を宮部さんが許す訳がないと思っていましたが… 『英雄の書』よりは現実社会の話が多くて入り易かった しかし、私の頭の中では、ガラはデスノートのリュークでした

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2015/05/04

これって、英雄の書〈上〉〈下〉(未読)の続編ってことらしいんだけど、 シリーズって事を、全然知らんかった。 私は、予備知識なしに読んでしまって、 ミステリーとファンタジー(苦手でござる(-_-;))の合体 …みたいな作品だってことも知らなかったので、 途中で、「しまった!」と...

これって、英雄の書〈上〉〈下〉(未読)の続編ってことらしいんだけど、 シリーズって事を、全然知らんかった。 私は、予備知識なしに読んでしまって、 ミステリーとファンタジー(苦手でござる(-_-;))の合体 …みたいな作品だってことも知らなかったので、 途中で、「しまった!」と思った。 続きは、⇒ http://noinu.blog.fc2.com/blog-entry-88.html

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2015/05/03

英雄の門の続編。こちらの方が断然読みやすい。ほぼ一気読みに近い感じ。 ラストは宮部みゆきさんにしては甘い、というか、優しいラストかな。もちろん批判ではなく! シングルマザー2人が纏っていたものだけ綺麗だったところに何か意味はあったのだろうか。 その答えにはなり得ないと思うけど、英...

英雄の門の続編。こちらの方が断然読みやすい。ほぼ一気読みに近い感じ。 ラストは宮部みゆきさんにしては甘い、というか、優しいラストかな。もちろん批判ではなく! シングルマザー2人が纏っていたものだけ綺麗だったところに何か意味はあったのだろうか。 その答えにはなり得ないと思うけど、英雄の門も再読しよう。

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2015/04/28

2009年に出版された「英雄の書」の続編となるダークファンタジー…ということを全く知らなかったので、「英雄の書」は未読なままこちらを読みましたが、問題なく楽しめました。逆にこっちを読んでから、「英雄の書」に戻るのは、ネタばれが多そうで無理かも。 宮部みゆきワールド全開です。

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2015/04/24

期待を持って臨んだ下巻ではありますが、主人公に共感できませんでした。 しかし、さすが宮部さん。上下巻、さくっと読めました。

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2015/04/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

異界の力を借りて、自分の紡いだ正義の物語のために悪を狩る。その代償を支払わなければならないのに都合よくハッピーエンド。

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2015/04/17

想像以上の怒涛の展開。正義の怒りに我を忘れた状態の孝太郎がどうなってしまうのか、あっという間に息をつめて読み切ってしまった。悲嘆の門?言葉だけの世界でのその名づけに意味は有るのか? 「英雄の書」を読み返してみようと思う。

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2015/04/14

「連続切断魔」の正体は?「悲嘆の門」とは何か?圧巻の終章に向けて物語は加速する! このめくるめく結末に震撼せよ。

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2015/04/13

個人が個人の見解で人を裁くなんてこと決してあってはならないのに、なんていう傲慢な正義を振りかざすんだと、孝太郎にはちょっと失望。 やはり生きることが全てなのだ。 それ以上のものなんて有りはしない。 ドロドロになって終わらなかったのが救いだった。 できれば鮎子さんの死も無かった事に...

個人が個人の見解で人を裁くなんてこと決してあってはならないのに、なんていう傲慢な正義を振りかざすんだと、孝太郎にはちょっと失望。 やはり生きることが全てなのだ。 それ以上のものなんて有りはしない。 ドロドロになって終わらなかったのが救いだった。 できれば鮎子さんの死も無かった事になれば良かったのに。

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