悲嘆の門(下) の商品レビュー
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人間の汚い部分が気持ち悪くて。。。 こういう表現がやはりとてもうまいなぁ。 幼馴染の件が「え?そんなかんじ?」っていう 顛末で、ちょっとがっかり。 うーん。綺麗に終わりすぎかな。 でも、最後まで飽きずに読めた。 宮部さんがたまに書く、こういうファンジーも結構好き。 あ。あと都築さんにはもっと活躍して欲しかった! 宮部さんのオッサンと若者の交流、好きかも。
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これは現代の寓話 千草タエが目撃したお茶筒ビル屋上の怪異 ここに端を発した物語は三島孝太郎、都築茂典のふたりの登場によって深化していく 孝太郎はますます深みにはまり、都築は身を引いていく 果たしてどちらが正解なのか 言葉の始原の地からきた、と称する怪物ガラ(何度聞いても理解不...
これは現代の寓話 千草タエが目撃したお茶筒ビル屋上の怪異 ここに端を発した物語は三島孝太郎、都築茂典のふたりの登場によって深化していく 孝太郎はますます深みにはまり、都築は身を引いていく 果たしてどちらが正解なのか 言葉の始原の地からきた、と称する怪物ガラ(何度聞いても理解不能な概念) 深入りした孝太郎は連続殺人事件の犯人を探し出してガラに処刑させる そしてガラとともに決戦の地「悲嘆の門」へと赴く そこでなぜガラが孝太郎に接近したのか、その理由が判明する が、時既に遅し 孝太郎の命運が尽きた…..に見えたが 教訓 物事は中庸をもってよしとなす とまぁこんな図式か 昨年の「荒神」もひどかったが、あれと内容も同列の壮大な失敗作 「英雄の書」とは並列、平行な存在。基本的には無関係といっていい
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初読。図書館。個人的な好みからすると、リアルとファンタジーのバランスがファンタジー寄りで、情景描写が多くて最後の最後で盛り上がれなかった。「生きて」というメッセージが清々しすぎて、一度は怪物になった孝太郎の闇とのギャップが大きい。テーマとストーリーからすると号泣してもおかしくないはずなんだけど。正義をふりかざす危うさというテーマは、宮部さんが何度もとりあげてきているテーマだが、現実世界がこのテーマをより必要とするようになってきている。私がこの大切さを忘れないよう、宮部さんには書き続け、思い出させてほしい。
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上巻で、想定(ミステリ)とちがくてがっかりしたにもかかわらず、ハードカバーにかかわらずかってしまった宮部本。 今度はさ、ファンタジーだぞって心構えして読んだせいか、ちゃんと世界観にもついていけたし。 しかしまぁ、なんて人のどろどろしたグロテスクな感情を書くのがうまいんだろう!! ...
上巻で、想定(ミステリ)とちがくてがっかりしたにもかかわらず、ハードカバーにかかわらずかってしまった宮部本。 今度はさ、ファンタジーだぞって心構えして読んだせいか、ちゃんと世界観にもついていけたし。 しかしまぁ、なんて人のどろどろしたグロテスクな感情を書くのがうまいんだろう!! うーん、頭の中をみてみたいと毎回おもうよなぁ。
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現実とファンタジーの割合が絶妙。話の広げ方とそれらをすべて上手いことまとめていくのは流石。最後の言葉は強烈なメッセージとして胸に残ります。
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宮部さんは「ファンタジー世界」を描きたくてファンタジー作品を書くのではなく、 やはり「人間」や「社会」といった主題を描くために、そのための手法の一つとして、ファンタジーという手法を採ったのだとは思った。 主題のために、現代モノだったり時代モノだったり、そしてファンタジーだったりと、手法が自在なのはすごい。 ファンタジーがお好きなのも事実なのでしょう。 今作は、さすが宮部さん、なんだけど、ファンタジー耐性のないわたしが悪いのでしょう。 たしかにぐいぐい読まされたし、「英雄の書」のときよりは消化しやすかった。 だけどやっぱり、個人的にファンタジーが苦手なため、とても辛かった。 会社としての「クマー」はよくわからなかった。あとファンタジー世界の世界観が消化不良。 ガーゴイルのビルも具体的にイメージしづらかった。回収されていない伏線も幾つかあった気がする。 でも、正義感に溢れる主人公、「道徳」を弁えた両親、くだけたおやっさん、そして二面性のある人々と、とても宮部節な主人公だし、文章もリズムがあってすごく読ませる。 だからこそ、骨太な「社会派現代モノ」で読みたかった。 こういうラストや、現代社会に対するメッセージがとても重いからこそ、ファンタジー世界に持って行かれるのが残念。 「模倣犯」や「楽園」のシゲちゃんみたいな、足掻く主人公と痛みをともにしたかった。 「ソロモンの偽証」は、「できすぎた世界で、筆が急いている?」とも思ったけど、まだソロモンのほうがついていけたし、 事件そのものに対する後味の悪さも納得がいった。
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『英雄の書』の続編と聞いて、正直悪い予感がしていた。『英雄の書』は作品世界が極めて抽象的で、ちんぷんかんぷんのまま読み終えたからである。 ネットの監視を行う会社「クマー」でアルバイトをしている大学生・孝太郎は、猟奇殺人事件の噂を追っていた。一方、元警視庁刑事の都築は、廃墟と化したビルにまつわる噂を調べていた。それぞれに噂を追う2人の前に、〝それ〟は現れた…。 事件が起きれば、ネット上には無責任な噂が飛び交うのが常。あくまで捜査機関ではないクマーだが、増え続ける犠牲者に怒りが募る。その出会いは、孝太郎にとって福音だったのか否か。怒りが限界を超えた彼は、都築の忠告に耳を貸さない。 詳しくは書けないが、こういうパターンはミステリーの定番であり、宮部みゆきさんご自身の他の作品にも例がある。そういう意味で目新しくはないが、ファンタジーの要素が絡んでくるのが本作のやっかいな点である(敢えて言うならあの作品に似ていないことはない)。彼の心情は理解できるが…そりゃ元刑事の都築は看過できないだろう。 都築もやや暴走した面があるものの、孝太郎と違い分別はわきまえている。警視庁刑事として鳴らした都築だけに、一歩引いて考えることができたのかもしれないが。追い打ちをかけるように、孝太郎にさらに身近な不幸が降りかかると、もはや彼を現世に留めることは不可能だった。読者はただポカンとするしかない。 本作は、事件の構図の部分だけで十分に興味深い。ある意味拍子抜けする真相だが、ネット社会への強い警鐘とも受け取れるからである。それ故に、ファンタジーの要素を、よりによって『英雄の書』の要素を持ち込む必要があったのか、疑問が残る。何だか最後はきれいにまとめられているし。一応めでたしなのだろうか…。 我々の日常でも、ちょっと深入りすればネット上には闇が蠢く。常に言葉の闇に接するネットの監視という業務は、大変過酷なのではないかと推察する。普通の人がネットで見せる裏の顔。作中のある人物の懸念は、胸に留め置くべきだろう。 孝太郎の不始末についてはそのままなのだろうなあ…。
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面白かった! 自分の想像を超える話に、どういう事だろうと反問しながら読み返し読み進んだ。 人の発する言葉は音であれ文字であれその人に蓄積されてその人を培っていく。 言葉があって物語を紡ぐのか、物語があるから言葉が生まれ出るのか、そんな根源的な話が現代社会の生活に絡んでくる。 ミス...
面白かった! 自分の想像を超える話に、どういう事だろうと反問しながら読み返し読み進んだ。 人の発する言葉は音であれ文字であれその人に蓄積されてその人を培っていく。 言葉があって物語を紡ぐのか、物語があるから言葉が生まれ出るのか、そんな根源的な話が現代社会の生活に絡んでくる。 ミステリーなのかファンタジーなのか、ネット社会で生きていく私達への警鐘なのかもしれない。 常識ある人達の存在や人間の無償の愛情に救われる思いがする。
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下巻の勢いがすごすぎ。幸太郎が「正義のため」と思うのとは裏腹にどんどん闇へと身を落としていく様がリアルで怖い。人は簡単に一線を越え、越えてしまったら引き返すことは難しいのだとつくづく思った。「人の業」とはとても深く救いがないようにも感じるけど、最後で救われた。本当に面白かった。
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夢中になって読みました 現在の社会で起こっている事件や 気がついていない問題、 見ないふり考えないふりしていること こわいなと思いながら読み続ける ファンタジーと思える世界は隣り合わせで 決してファンタジーではないのだけど そこに逃げ込むわけには行かない わたしも、ペガサスの翼を持った 勇敢な人の姿でありたいと思ふ 苫小牧の刑事が「したっけ、ねえ」と言ったのは なんだか唐突で、言う?言う?北海道弁だけどさと 少し受けてしまった
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