1,800円以上の注文で送料無料

静おばあちゃんにおまかせ の商品レビュー

3.7

118件のお客様レビュー

  1. 5つ

    15

  2. 4つ

    46

  3. 3つ

    43

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2022/04/03

刑事の葛城、女友達の円、円の祖母・静。 各人同士のコミカルなやり取りが微笑ましい社会派ミステリー。 正義、親と子、宗教団体、外国人労働者、独裁国家。 扱う題材には考えさせられるが、意外な真相と盲点を突く推理は面白い。 某神父を彷彿とさせる各話のタイトルも良い。

Posted byブクログ

2022/03/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

他の刑事に比べて突出した技量は何も持ち合わせていなかった。洞察力が優れている訳でも犯罪捜査に広範な知識を有している訳でもなく、また恫喝や交渉術に長けている訳でもなかった。ただ、およそ刑事には似つかわしくない愛想の良さとセールスマン顔負けの粘り強さだけは自信があった。 世の中で起きている紛争や犯罪が正義と正義の衝突ということなの。おカネを盗んだり騙し取る行為だって、今日一日の日銭を稼がないと生活していけないからという正義。人を殺めるのも、この人間を生かしておいたら自分や誰かの不利益になるからという正義。 殺されて然るべき人間なんかどこにもいない。本当なら あの時に告げられた言葉をそのまま返したかったが、やめておいた。どんなに真摯な言葉でも、聞く者の耳が濁っていたら荒唐無稽にしか響かない。 「どんな人にも正義はあるけど組織の中にいると歪んでしまう」 「大人ってのは全体の正義のために罪を犯すことがあるんだ」 「戦争は大義名分のある大量殺戮。全体のために行われる殺人も存在する。でも、それは大抵が男どもの理屈でねえ。正義やら大義やらのために、お腹を痛めて生んだ子を殺されなきゃならない女にしてみたら堪ったもんじゃないわ。」 「行為は法が裁く。でも心を裁くのは神様に任せる。そう割り切るしかないんだってね」 震災、放射能漏れ、度重なる台風被害、そして欧州を起点とした経済機器。この国は千五かつてないほどの局面に立たされている。そんな中で世界一の電波塔を建てる意味は、やはり復興の旗印だ。どんな国難に襲われても何度でも立ち上がる。そういう国の象徴としてのタワーを造ることが建築屋の使命だと、土岐は思っていた。 土岐は、差別勘定は誰にでもあるものと考えている。しかし、それを言動に表すことは間違っている。 「仕事の価値はね、組織の大きさや収入の多寡じゃなくて、自分以外の人をどれだけ幸せにできるかで決まるのよ。」 新生パラグニアの国是は「軍事強盛大国」だった。税金の大部分は軍事予算といて大統領府と軍部が吸い上げ、経済も医療も教育も後回しとなった。ほどなくてして国民の中から不満が噴出いたが、大統領はこれに対し税金アップと国民皆徴兵制で応えた。逆らう者は政治犯の烙印を押され、漏れなく収容所送りにされた。うだるような熱気と伝染性疾病の万円する収容所は現世の地獄そのもので、収容された人間の半数以上が一年を待たずして野垂れ死んだ。 「決して自身の権力を己のために行使しないこと。公務員と名のつく人は皆そうね。既得権益、人事権、予算・・・。そうしたものに毛先ほどでも私欲を絡めたら、直ちにその職を辞さなければ駄目。そのためには絶えず身を律し続けること。それが人の上に立つ者に課せられた最低条件なの」

Posted byブクログ

2022/02/27

どんでん返しは当然のことだけど、こう来たか…とびっくり。 5つの事件もそれぞれミニどんでん返し付きだけど、大筋がこうなるの…?っていう、ほんとびっくり結末。 とても面白かった。 解説にもあったけど、登場人物がほかの作品にも登場するこのリンクがすごく興味深く、さらに中山作品にの...

どんでん返しは当然のことだけど、こう来たか…とびっくり。 5つの事件もそれぞれミニどんでん返し付きだけど、大筋がこうなるの…?っていう、ほんとびっくり結末。 とても面白かった。 解説にもあったけど、登場人物がほかの作品にも登場するこのリンクがすごく興味深く、さらに中山作品にのめりこむことになるのを中山さんは織り込み済みかもしれない。

Posted byブクログ

2022/02/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

元上司の同僚を殺した罪の潔白を晴らすために奮闘する葛城刑事が相談したのは、法の勉強をする大学生の円だった。 葛城刑事は円のひらめきによって事件を解決する裏にいたのは、元裁判官の静おばあちゃんだった。 資産家の女性の殺人事件で、生前の彼女が夫や子供たちによってお金に苦労したことによって、一緒に暮らすようになった孫にすら口うるさくなってしまったことで起きた悲劇。 新興宗教に熱を入れてしまった上司の娘を取り戻すために、葛城刑事と円は潜入捜査をすることになった。 そこで見た教祖の復活と死体遺棄のカラクリの真相。 450mの工事中のスーパータワーで起きたクレーンの中での殺人事件。 犯人にされた外国人労働者の潔白を晴らすために一酸化中毒と真犯人を見つけた刑事と円だったが、 円がそこで再会したのは、彼女が中学生だった当時に起きた飲酒運転での犯人の刑事だった。 両親を失ったその事故の本当の犯人はその人ではないと直感で気づいたこと。 日本に来ていた外国の独裁指導者の暗殺に関わっていたのは、全員アリバイがある独裁指導者と一緒に来ていた人たちが国や自分達のためにと関わっていたこと。 円の両親を奪った飲酒運転の事故の裏に隠されていた警察の隠蔽と、静おばあちゃんの真実。 静おばあちゃんのまさかの姿に、そうか、そうだったのかーと。 葛城刑事と円の出会いは要介護探偵2で書かれているのかな? そっちはまだ読んでないけど、でもこっちが先に発売されてる。

Posted byブクログ

2022/01/15

中山作品にもラブストーリーがあるんだ(^^) 葛城さんのキャラがあまりにも薄い!?(笑)けど、その普通さが高円寺円を呼んだわけだね。もちろん静おばあちゃんも。 ラストにはただただびっくりした!! でもやっぱり人間の嫌な部分が事件のカギになるんだね。

Posted byブクログ

2021/11/11

葛城刑事が抱える事件を大学生の円に相談すると元裁判官の静おばあちゃんが安楽椅子探偵で 短編5話で5つの事件と全体を通して明らかになる過去の事件 さくさく読めて面白かったです 事件追ってない犬養さんは印象が違うな ラストは予想外でびっくり

Posted byブクログ

2021/08/20

ミステリーというより物語として読む一冊だと感じた。困っている人を助ける事が正義という葛城刑事と円の祖母静、その2人の考え方に惹かれる円が静おばあちゃんの知恵から事件を紐解いていく。オムニバス形式での5話。かなり無理な設定もあるものの、物語的には「部下を見ると上司の器量が分かる」「...

ミステリーというより物語として読む一冊だと感じた。困っている人を助ける事が正義という葛城刑事と円の祖母静、その2人の考え方に惹かれる円が静おばあちゃんの知恵から事件を紐解いていく。オムニバス形式での5話。かなり無理な設定もあるものの、物語的には「部下を見ると上司の器量が分かる」「その人なりの行動規範は自然にあり、自分の規範と世間の常識を擦り合わせていく作業を成長という」「仕事の価値は自分以外の人をどれだけ幸せにできるかで決まる」「巧遅は拙速に如かずではない」と静おばあちゃん、こうした言葉に生きる指針を感じる作品。

Posted byブクログ

2021/08/18

表紙の絵が可愛らしい…なぜ? 読み終えて納得(^^) 葛城刑事は数ある作者の本の中でも一番現実味があると思う。 でもそれぞれの事件はトリックありの最後はあらっとなるファンタジー? その組み合わせの妙がちょっと好きかも? 今後の葛城刑事の登場が楽しみです♪

Posted byブクログ

2021/08/06

普段の中山さんとは違う雰囲気の作品で、若干物足りないかな、、。ストーリー自体は面白いけれど、心に深く残る感じではないと思った。 登場人物のキャラはよかった!ラストは「‥え?」となったが笑

Posted byブクログ

2021/08/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

トリックも面白い、読みやすいミステリーだった。けど最後はお婆ちゃんは幽霊だったっていうファンタジーなオチにちょっと苦笑。読み応えのある作品でした。

Posted byブクログ