明日の子供たち の商品レビュー
こんなに重いテーマを見事エンタメとして書き切った有川浩、すごい。ダヴィンチかなんかのインタビューで、超綿密な取材したって書いてあったけど、その取材が、施設の子ども(とその周辺の大人)の気持ちや思いをリアルなものにしていると思う。この一冊は、有川浩の物語力のすごさを感じさせる。これ...
こんなに重いテーマを見事エンタメとして書き切った有川浩、すごい。ダヴィンチかなんかのインタビューで、超綿密な取材したって書いてあったけど、その取材が、施設の子ども(とその周辺の大人)の気持ちや思いをリアルなものにしていると思う。この一冊は、有川浩の物語力のすごさを感じさせる。これぞエンタメ作家の真骨頂。出会えてよかった。
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待望の有川浩新刊!図書館で予約してやっと借りることができました。 児童養護施設のドキュメンタリーを見て、会社を辞め、職員になることを決めた三田村慎平。彼を指導する立場にある3年目の和泉和恵。陰気な感じで冷静で理論的だけど、実は熱いところもあるベテランの猪俣吉行。問題のないと言われ...
待望の有川浩新刊!図書館で予約してやっと借りることができました。 児童養護施設のドキュメンタリーを見て、会社を辞め、職員になることを決めた三田村慎平。彼を指導する立場にある3年目の和泉和恵。陰気な感じで冷静で理論的だけど、実は熱いところもあるベテランの猪俣吉行。問題のないと言われる奏子と久志。 それぞれの視点で描かれた作品。 和泉と渡会のお話、アッコと猪俣のお話、感動しました。アッコが無事で本当に良かったです。 児童養護施設が舞台と聞いて、あぁ重そうだな…と思いましたが、読み始めてみると、有川浩さんらしい文章でスラスラと読むことができました。 大切に描かれているのは、児童養護施設に入る前ではなく、児童養護施設「あしたの家」に入っている子供たちが、どう生きるか、どう成長していくのか…を描かれていました。過去の入るきっかけとかは、過去のエピソードとして取り入れられていましたが、つらい描写は少なかったです。 私の周りには、施設育ちの子がいないので、あまりよく知りませんでしたが、よくドラマなどの映像化の舞台として取り上げられやすいですよね。施設育ちっていうと、三田村先生のように、やっぱり「かわいそう」というイメージが強くなってしまう自分がいたので、三田村先生と一緒に進んでいく感じがしました。施設に入る理由は、一人一人様々で、必ずしも親が亡くなったからとかではない。親が育てられないからという理由もあるということを改めて再認識させられました。 奏子のように、施設に入ったことで普通の生活を送れるようになった子供も沢山いる。 施設育ちだから、かわいそうな訳じゃない。ただ、不便なことはもちろんあり、独り立ちした時に頼れる大人がいない。普通の家庭なら、親に聞けることでも、聞くことができない環境にある。 私も三田村先生のように思っていたので、とても勉強になりました。 また、施設長の言葉、いいです。 ご本を読むのは素敵なことよ。みんな自分の人生は一回だけなのに、本を読んだら、本の中にいる人の人生もたくさん見せてもらえるでしょ。先生たちだけじゃなくて、本の中の人もヒサちゃんにいろんなことを教えてくれるのよ。 踏み外しそうなときに、本で読んだ言葉が助けてくれたりとか… 私も本はとても大切なものだと思っています。小学生時代、つらいことがあっても本を読んだらすごく明るい気持ちになれました。今でも本をたくさん読む習慣はなくならず、本が大好きです。 どこまでが実話なのか、わからないし、有川浩さんのあとがきもなかったのが少し残念でした。でも、有川浩さんが、すごく取材をして、心から言いたいことを綴った物語だということはよくわかりました。 とても心に響いた物語でした。もっといろんな人達に読んでもらいたいです。
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有川浩さんの新作。児童養護施設に預けられた少年少女と養護教員との信頼関係を切り口に、将来、大人に育っていく子供たちの姿を描く作品でした。 養護施設に入所していることが偏見と思われるのか、考えさせられました。 でも、どんな子供でも、将来は大人になる。養護施設を出る時期には大人への階...
有川浩さんの新作。児童養護施設に預けられた少年少女と養護教員との信頼関係を切り口に、将来、大人に育っていく子供たちの姿を描く作品でした。 養護施設に入所していることが偏見と思われるのか、考えさせられました。 でも、どんな子供でも、将来は大人になる。養護施設を出る時期には大人への階段を踏みだしている。 そんな子供たちへの熱きエールを有川さんが贈っていると思いました。 泣けるほどの作品ではありませんでしたが、社会への問題提起として考えさせられた1冊です。
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大好きな有川浩さんだけど、児童養護施設が舞台なので重そう(--;)と思っていたけれど、有川節にグイグイ引き込まれてサラッと読めた!今まで児童目線で語られる話ばかり読んでいたけれど、先生目線で多く語られてるのも良かった(^^)猪俣先生とアッコちゃんの再会の場面に号泣o(T□T)o ...
大好きな有川浩さんだけど、児童養護施設が舞台なので重そう(--;)と思っていたけれど、有川節にグイグイ引き込まれてサラッと読めた!今まで児童目線で語られる話ばかり読んでいたけれど、先生目線で多く語られてるのも良かった(^^)猪俣先生とアッコちゃんの再会の場面に号泣o(T□T)o それから、慎平ちゃん恋と仕事頑張れ‼\(^o^)/
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児童養護施設を舞台にしたドラマ『明日、ママがいない』の描写が物議を醸したことは、大きく報じられた。僕はこのドラマをわざわざ見たいとは思わなかった。だが、それは児童養護施設の存在から目を逸らしたことに他ならないのではないか。 意欲に燃えて、児童養護施設『あしたの家』に転職した...
児童養護施設を舞台にしたドラマ『明日、ママがいない』の描写が物議を醸したことは、大きく報じられた。僕はこのドラマをわざわざ見たいとは思わなかった。だが、それは児童養護施設の存在から目を逸らしたことに他ならないのではないか。 意欲に燃えて、児童養護施設『あしたの家』に転職した青年、三田村。着任初日早々、彼は冷や水を浴びせられる。彼がよかれと思ってしたことは、職員たちの苦労を無駄にする行為だった。しかし、説明されても三田村は納得し切れない。 親元から離れて暮らす子供たちの、大人を見る目は厳しい。ドキュメンタリーを見たことが志望理由だった三田村は、あっさり見透かされてしまう。職員には、むしろ厳しく接することが求められる。新人の三田村に最初からわかるわけがない。 重くしようと思えばいくらでも重くできただろう。実際、主要人物たちも虐待を受けて育ったが、敢えて辛い描写は省き、読みやすくしている。一方で、児童養護施設の知られざる実態など、訴えるべき点はしっかりと描かれているのは、さすが有川浩と言うしかない。 例えば、高校卒業後には退所しなければならないが、極力就職を薦めるという。僕自身、漠然と大学に進学したが、親に頼れない彼らに、何となく進学というのは許されない。奏子なんて僕の高校当時よりはるかに意識が高いと思うのに…。 ある意味悪役的ポジションにいる副施設長の梨田だが、その頑なさの裏には、巣立つ子供たちを案ずる心がある。それでも施設の常識に公然と異を唱える三田村。どこまでも真っ直ぐな彼が、和泉や猪俣ら先輩職員を動かした。 和泉や猪俣だって悩むし、苦い経験も積んでいる。仕事に慣れてきた三田村も、これから大きな壁にぶち当たるかもしれない。職員の入れ替わりが激しいこの世界。それでも、彼はへこたれないだろう。僕にはできない仕事を選んだ彼を、応援しよう。 終盤は論点が変わる点に注目したい。一施設の内部に留まらない重要テーマ。従来の施設運営に欠けていた視点である。役所も会社も学校も、組織でも社会でも、無駄が許されないご時世だからこそ、この取り組みが一石を投じてほしい。 僕も含め、身近に施設関係者がいない読者が、本作を読んでどう考えるべきか。
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東京から新大阪までの新幹線の中で、泣きながら読む。 わかりやすい、わかりやすい小説で、いつも通り優しくて、痛い。 でもなんとも幸せなのは、登場人物が皆優しい人間だから。 養護施設が舞台の書き下ろし。 主人公の三田村先生のピュアさは才能。羨ましい限り。 すごい大きな事件が起こるわ...
東京から新大阪までの新幹線の中で、泣きながら読む。 わかりやすい、わかりやすい小説で、いつも通り優しくて、痛い。 でもなんとも幸せなのは、登場人物が皆優しい人間だから。 養護施設が舞台の書き下ろし。 主人公の三田村先生のピュアさは才能。羨ましい限り。 すごい大きな事件が起こるわけでもなく、ドラマチックすぎるわけでもないが、温かく、ストーリーは進む。少しのやまたにはあるものの。 あったかい。に尽きる。何かできること、ないかな、とか、社会に無関心だったな、とか、思ったりした。 2014.09.07
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児童養護施設を舞台にした小説です。 児童養護施設がテーマの小説はいくつか読んだことがありますが,どうしても家庭に恵まれない子供たちが登場し,親からの暴力,性的虐待等読んでいていたたまれない気持ちにさせられることが度々です。 しかし,この小説は,子供たちがどうして施設に入所すること...
児童養護施設を舞台にした小説です。 児童養護施設がテーマの小説はいくつか読んだことがありますが,どうしても家庭に恵まれない子供たちが登場し,親からの暴力,性的虐待等読んでいていたたまれない気持ちにさせられることが度々です。 しかし,この小説は,子供たちがどうして施設に入所することになったかという経緯については重きをおかず,入所してからの出来事を中心に描かれています。 いわゆる聞き分けのよい子が主要登場人物のため,悲壮感はありません。そこが私にはかえってよかったです。 少子化対策も重要ですが,生まれいづる子供たちを立派な社会人として育てるということも同じぐらい大切だと考えます。 そのために,これから自分にも何かできることはないだろうかと考えるきっかけを与えてくれる小説です。
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有川浩さんの新刊きたー!と興奮して本屋さんで手に取ったら、児童養護施設がテーマ…ということで、単行本の質量以上に心にかかる重みを覚悟しながら読み始めました。 が。やはりそこは有川さん、いつものように見事に、ネガティブ方面に傾きがちな予想を鮮やかに打ち砕いてくれました。 新人...
有川浩さんの新刊きたー!と興奮して本屋さんで手に取ったら、児童養護施設がテーマ…ということで、単行本の質量以上に心にかかる重みを覚悟しながら読み始めました。 が。やはりそこは有川さん、いつものように見事に、ネガティブ方面に傾きがちな予想を鮮やかに打ち砕いてくれました。 新人・慎平ちゃんの成長を通じて、考えが足らなかった読者(私)の固定観念を砕き、社会への問題提起をしながらも、なぜだが読後は爽快感が残る。不思議。 ◇ 途中、施設長さんが「ご本を読むのは素敵なことよ」と話をして下さいますが、有川浩作品こそが、私にとってのそれです。 自分が経験できないファンタジーな世界へ連れて行ってくれる(図書館戦争とかね)ことはもちろんですが、この作品は、いまの社会の中で生きている自分の知識の少なさや、偏見や、視野の狭さを正して、広げてくれる作品です。 ◇ 「読書」って言うと、いかにもインドアな趣味のイメージがありますが、読書から得るものって、頭の中だけで終わるものではないですよね。 そこから得た知識や感情が、その人の行動として外に現れてくる。 本という、いわば無機物が、全力で外に働きかけてる感じがして、不思議。
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※このレビューにはネタバレを含みます
初読。図書館。児童養護施設が舞台ということで、どうなのかと危惧していたら、真剣だが深刻ではなかった。有川さんの執筆意図は十分伝わってきた。相変わらずの軽やかさで、ラノベ作家の本領発揮。久しぶりに読むと、ちょっと表現がストレートすぎだろ、と苦笑する場面もないわけではないが、それが逆に気持ちよい。
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児童養護施設が舞台。 主人公である熱血新任職員のキャラが有川作品にはありがちで 行動や心理が読めてしまい 期待外れかと思ったけれど やはりしっかりと読ませてくれた。 「昨日を悔やむ」が特によかった。 実際の本やドラマのタイトルを微妙に変えるのってなんか興醒めなんだが仕方ないのかな...
児童養護施設が舞台。 主人公である熱血新任職員のキャラが有川作品にはありがちで 行動や心理が読めてしまい 期待外れかと思ったけれど やはりしっかりと読ませてくれた。 「昨日を悔やむ」が特によかった。 実際の本やドラマのタイトルを微妙に変えるのってなんか興醒めなんだが仕方ないのかなー。 あとがきが無いのが残念。 「手紙の文面協力」の裏話が知りたいところ。 【図書館・初読・9/2読了】
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