明日の子供たち の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
児童養護施設を舞台に、主人公が働き始めてからの1年間?を描いたはなし。児童養護施設のはなしだと、少しお涙頂戴的な内容かと思ってしまうけれど、まったくそんなことはなく、全体的に明るい雰囲気で、読んでいて暗くなるようなことはなかった。 児童養護施設にいる子供たちはけして両親がいないわけでもなく、捨てられたわけでもないこと。両親が育てる能力がなかったということ。そして、養護施設にいることが「かわいそうなこと」ではないことが分かった。 ただ、一般家庭で育った子よりも、早く自分ひとりで生きていかなければならないこと、大人にならなくてはならないこと、頼ることができる大人がいないことがやっぱり切ない気持ちにさせられた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読みやすいけれど心に響く。有川さんの作品はいつもそうだけれど児童福祉に近い者としてこの作品はいつもより一層考えさせられる作品だった。 もちろん、現実的にこの外出にこんなに職員割けるのか?とか障がい児福祉も全然色々なことが足りていないよ!とか突っ込みたくなる部分は多々あったけれど、施設にいる子どもたちの心の動きや職員の葛藤などがとてもリアルに描かれていて、少しでも世の中の人に児童養護施設や児童福祉の現状について知ってもらえるといいなと感じた。 そして、だれか障がい児福祉の現場のことも描いてくれないかなー。すこしでも理解してくれる人が増えれば障がいのある子達もその親御さんたちもその受け皿を運営する施設や職員も救われることもあると思うのだけれど。きっとどの福祉分野も問題が一杯。見たくないことから目をそらさずに、いまこそ福祉業界に先入観なきスポットライトを!
Posted by
2015-73 児童養護施設を舞台にした話。 施設にいる子たちはかわいそうなのか。 理由はどうあれ実親と一緒にいられないことや社会的にハンデがあることはかわいそうだと思うけど、こういう施設で救われている子たちがいるのも事実。
Posted by
九〇人のこどもたちを擁する児童養護施設を部隊にした連作。 新人職員からの目線を最初にもってくるあたり、うまいなとおもいます。「かわいそう」っていうイメージをまず壊すところから、という。 読みやすいし後味もいい。こういう世界というか、いろんな子供たちがいるのだということが実に分か...
九〇人のこどもたちを擁する児童養護施設を部隊にした連作。 新人職員からの目線を最初にもってくるあたり、うまいなとおもいます。「かわいそう」っていうイメージをまず壊すところから、という。 読みやすいし後味もいい。こういう世界というか、いろんな子供たちがいるのだということが実に分かりやすい。
Posted by
児童養護施設を舞台にした小説。私達一般人にとっては小説やドラマ等でしか知らない児童養護施設。どうしても「孤児院」という古いイメージをもってしまう。しかしこれは大変な誤解であるということがこの小説でわかる。 小説としてすばらしい作品に仕上がっており、その上で、小説という形態をとりな...
児童養護施設を舞台にした小説。私達一般人にとっては小説やドラマ等でしか知らない児童養護施設。どうしても「孤児院」という古いイメージをもってしまう。しかしこれは大変な誤解であるということがこの小説でわかる。 小説としてすばらしい作品に仕上がっており、その上で、小説という形態をとりながら「児童養護施設」の真実の姿を伝えるという使命も果たしてる。 この小説で私達の偏見が完全に払拭される訳ではないが、認識は変わると思う。また児童虐待や育児放棄等が日々マスコミ等のニュースで取り上げられる昨今である。この施設の重要さ大切さを知り、その支援や行政での取り扱い方を考えていかなければならないだろう。 爽やかな読後感を得、心が温かくなる作品だ。
Posted by
やっぱり有川さんの本って読みやすい。 キケンのときもそうだったけど、なんでか分からないけど泣けてくる… 特に今は“明日の子供たち”に平和な日本を残せるかどうかの瀬戸際だから余計に響いたのかな。 児童養護施設の実態…とまではいかないのかもしれないけど、同情だけではいけないと当たり...
やっぱり有川さんの本って読みやすい。 キケンのときもそうだったけど、なんでか分からないけど泣けてくる… 特に今は“明日の子供たち”に平和な日本を残せるかどうかの瀬戸際だから余計に響いたのかな。 児童養護施設の実態…とまではいかないのかもしれないけど、同情だけではいけないと当たり前のことに気付きます。
Posted by
初っ端から新人職員のかわいそう発言で、ああ、やっちまったなぁと思った私。こういう施設の子に限らず、かわいそうというのは違うという感覚を知っていただけに、こういう世間のイメージをまず持ってくるあたり、うまいなと思いました。 読みながら、実際に有川さんにこんな読者がいたのじゃないだろ...
初っ端から新人職員のかわいそう発言で、ああ、やっちまったなぁと思った私。こういう施設の子に限らず、かわいそうというのは違うという感覚を知っていただけに、こういう世間のイメージをまず持ってくるあたり、うまいなと思いました。 読みながら、実際に有川さんにこんな読者がいたのじゃないだろうかと思いながら読み終え、もしも本当にそんな読者がいたのなら、後味の良い終わり方でよかったと思います。 ただ、奨学金を受け取って大学進学の話は、昨今の不景気で普通の家庭でもありそうな話だと思います。安易に頼って安易に行くのは考え物だと。誰もが進学する時代ではありますが、きちんと就職して収入を得ないとそれだけで返済が滞ってしまうのだと思いいたっている学生がどれだけいるのか。親を頼れない施設の子どもたちとは背景に大きな違いがあることは承知のうえですが。 そしてさりげなく自衛隊が出てきたり(もちろん学費がかからない大学の選択肢の一つとして防衛大は候補の一つでしょうが)、ちょっとした淡い恋話とか、有川さんらしさもあって、読みやすさというのは読書のハードルを越えるのに大事なことだと思います。
Posted by
児童養護施設とは普段接する機会がないためその実情がよくわからない。本書によって内実の一面に触れる事が出来た気がする。
Posted by
テーマは別として、読み物としての話の展開は、よくある 予定調和であり、後半向けて読み進むにつれて、読むスピードが 早くなった。前半部分は、テーマについての興味もあり、 じっくり読むことができた。1冊として完結するには、もったいない ほど、個々のサブテーマがあった。本としての構成...
テーマは別として、読み物としての話の展開は、よくある 予定調和であり、後半向けて読み進むにつれて、読むスピードが 早くなった。前半部分は、テーマについての興味もあり、 じっくり読むことができた。1冊として完結するには、もったいない ほど、個々のサブテーマがあった。本としての構成は、この1冊で 完結させるのではなく、問題提起というつくりにし、続編で サブテーマを丁寧に深堀したほうが、よいのではないかと感じた。 登場人物のなかの一人が、養護施設退所後の進学・就職先として 防衛大または自衛隊入隊を検討している場面がある。日本でもアメ リカ同様に経済弱者が国防志願者になるとうことを考えさせられた。 経済弱者が国防を担うことが悪いわけではなく、経済弱者の若年像の 選択肢が限られていることが問題ということである。 第一線で任務を担う者が、あらゆる意味で弱者であってはならない。 安全保障関連法案が衆議院で可決されたことはよいことだが、 国会前でシュプレヒコールをあげる暇があるなら、真摯に政治に 参画するべきである。選挙権があるなら投票をする。被選挙権が あるなら自ら立候補し議員となるべきである。マスゴミが何度も何度も シュプレヒコールの様子をニュースやワイドショーで流すことで 煽っているようだが、不快でたまらない。あの場所の警備に係る 費用も税で賄われている事に、当事者もマスゴミもわかっていない様子だ。 こういった不埒なことを先導する首謀者をもっと強く取り締まるべきだ。
Posted by
児童養護施設が舞台の本。 有川浩さんと言えども、可哀想な話だったら嫌だなぁと思いながらよんだら、全然可哀想じゃない!むしろ幸せ!養護施設に入れて本当に良かった! 今まで多くの人と同様に、親に虐待されたり捨てられたり、いろんな事情で親と一緒に暮らせない境遇の子供たちを、私も可哀想だ...
児童養護施設が舞台の本。 有川浩さんと言えども、可哀想な話だったら嫌だなぁと思いながらよんだら、全然可哀想じゃない!むしろ幸せ!養護施設に入れて本当に良かった! 今まで多くの人と同様に、親に虐待されたり捨てられたり、いろんな事情で親と一緒に暮らせない境遇の子供たちを、私も可哀想だと思ってた。 だけど施設で暮らす事はちっとも不幸じゃない。 今まで知らなかったたくさんの事を知る事ができた。 私も少しだけでも何か協力できれば、と思った。 重いテーマだけど、それぞれ魅力的な登場人物のおかげで、物語は明るく、テンポよく読んだ。 思わずふっと笑ってしまったり、涙で字がかすむ事もあったり、握りこぶしを作ったり、読んでるこちらも奏子や久志を応援しながら。 有川浩さんって、本当にすごいなぁ。 和泉さんと三田村くんのその後が気になるけど〜
Posted by