明日の子供たち の商品レビュー
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とある児童養護施設で働く職員たちと、そこで暮らす子供たちの奮闘の日々を描いた長編小説。 家庭に問題があり、施設で暮らす子供たちの、周りからの偏見に苦しむ姿や、将来への不安、葛藤など、とてもリアルに描かれている。有川先生、かなり時間をかけて取材をしたんだろうなぁ。施設の子供・奏子、久志と、新米教師の三田村、泉、猪俣。シーンによってそれぞれ視点は変わっていく。 私も、子供の時、兄がボーイスカウトに通っていた時、何度か付き添いで施設に行った記憶がある。子供ながらに、なんとなく「お母さんもお父さんもいないんだな、可哀想だな」と思っていた。しかし、かわいそう、という表現は彼らからすればお門違い。家庭では暴力や、両親の不仲、など様々な事情を抱え、親と一緒に暮らせない子供たちが共同生活をするんだけれど、普通に食事ができて、学校にも行けて、叩かれたりしない…そんな普通なことが、彼らには十分幸せと感じられるのだ。 当たり前のことを、幸せと感じる。 その大切さを痛感した。 そして、やはりキャラクターたちがとても魅力的だよね。有川さんの小説って嫌いなキャラクターが一人も現れないの。それがすごい。変に叙述トリックを使ったり、影のある人風にカッコつけて書いたり、など、奇をてらった書き方を、有川さんはしない。全員がどこかしら人間臭い。それぞれ弱みもあって、人間らしい。 後半の、奏子のスピーチは素敵だったな。新米で空回り気味だった三田村先生も、後半は子供たちを全力でサポート。カッコよくなっていく。 これ、続編を強く希望! 素晴らしかった!
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児童養護施設の子供たちのお話。自分たちはかわいそうなんかじゃない、と胸をはって言う彼らにぐっとくる。有川さんがこういう本を書いて世に広まるっていうのがいい。
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夜中3時まで一気読み。二人の関係に胸がキュッとなりつつ、もろもろエピソードにもひきこまれた。 2016.01.7
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テレビ番組で、可愛そうな児童養護施設で暮らす子供を見て、児童指導員として『あしたの家』に赴任した、三田村慎平。 希望にあふれて着任した、三田村を待っていたものは・・・ 世間で考えられている児童養護施設と、現実の児童養護施設とのギャップが登場人物を通して丁寧に語られていく。 知的障害者が身近にいて、その人が親元にいるより、良い環境なのを実際に知っているので、児童養護施設にいるからかわいそうじゃない、という事が良く分かった。 すごく良いっていう評価が多くて、期待し過ぎたせいもあるかもしれないけど、良かった程度の評価になってしまった。 でも、だんだん三田村が良い指導員になっていくのが、とっても嬉しかった。
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難しい問題を取り上げていましたが、とても分かりやすく読めました。 新人の三田村先生と一緒に、共感しながら、反省しながら読み進められました。 確かに、これまでの生活の中で、関わりのない話でした。改めて、色々な人が生活をしているんだなと言う思いになりました。
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2015.12 有川さんにはいつも知らない世界を教わる。今回は児童養護施設。子どもは大人にたくさん愛されて育って欲しい。こういう場所をちゃんと整えてほしい。わたしにできることは?自分の周りに存在する子どもに笑顔をむけること。店に来る子どもたちが楽しめるいい絵本をおくこと。子どもが...
2015.12 有川さんにはいつも知らない世界を教わる。今回は児童養護施設。子どもは大人にたくさん愛されて育って欲しい。こういう場所をちゃんと整えてほしい。わたしにできることは?自分の周りに存在する子どもに笑顔をむけること。店に来る子どもたちが楽しめるいい絵本をおくこと。子どもが楽しいおはなし会をすること。みんなが安心してこれるあたたかい場所にすること。
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児童養護施設について、そこに住む子供たちの気持ちについて、初めて知ることができたのは良かった。 2015年12月16日
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児童養護施設に暮らしている子とそこで働いている職員の方たちの話です。まず、施設で暮らしている子達は可哀想なんかじゃない、施設で生活できる事を幸せという子達に目から鱗でした。可哀想って一言で、片付けてしまったら見えなかった現実がこの本の中に描かれていました。どんなドラマや本よりも施...
児童養護施設に暮らしている子とそこで働いている職員の方たちの話です。まず、施設で暮らしている子達は可哀想なんかじゃない、施設で生活できる事を幸せという子達に目から鱗でした。可哀想って一言で、片付けてしまったら見えなかった現実がこの本の中に描かれていました。どんなドラマや本よりも施設の、リアルを描いている本なのかなと思うと同時に有川さんの調査力・取材力に、脱帽です。施設長の福原先生の仰る通り、読書は素晴らしいんですね。人生はたった一つですけど、読書でたくさんの人生を感じ、相手の立場に立てる。素敵な本でした。
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2015/12/7 913.6||アリ (3階日本の小説類) 様々な事情で児童養護施設に暮らす子供たち。 18歳になれば施設を出なければならずその後の彼らの生活は厳しいものがあり、大学進学もままならない。 新任職員の三田村が子供たちに信頼を得ていく過程と、子供たちのそれぞれ...
2015/12/7 913.6||アリ (3階日本の小説類) 様々な事情で児童養護施設に暮らす子供たち。 18歳になれば施設を出なければならずその後の彼らの生活は厳しいものがあり、大学進学もままならない。 新任職員の三田村が子供たちに信頼を得ていく過程と、子供たちのそれぞれの成長過程が面白い。 児童養護施設の知識が全くない方にはぜひ読んでほしい一冊。
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児童養護施設「あしたの家」での半年間。 猪俣先生が魅力的だったなぁ。頑なに進学を推奨しない先生の、過去と現在の救済が泣けた。 90人入所という大所帯でも、登場人物がかなり限定されていた印象。その分、一人ひとりの過去を挟みながらのシビアであったかい作品になってた。 大きな事件とかはおきないゆるやかなお話だけど、それぞれの事情や想いがあふれた作品。
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