明日の子供たち の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
人の事情に貴賤をつけるべきではないというのは理想です。しかし、やはりハンデはハンデで、引け目はどうしたって引け目です。彼は引け目をあなたにさらしたくなかったんだと思います。 もし、「気にしない」じゃなくて、「分かったって言ってたら、私を振り向いてくれたでしょうか」優しさをひけらかすように寄り添うのではなく、ただ率直に「分かった」と言っていたら。分かった。でも好き。 猪俣の子供たちへの寄り添い方は、常に冷静さを失わないのに同時に優しさが感じられた。 これは生徒や先生が困ってるときに助けてあげる術を知ってるからなのではないか。そしてそれを提供できるほどの強さと頼りがいを感じさせるのが猪俣先生。 施設に求められるニーズ 厳しいけど、ぶれない人ですからね。男としては、ぶれないっていうのは結構好感度高いんです。 このままだと騙しちゃうことになるよって心配したんじゃないかな。←これは大正解 私は猪俣先生の代わりにいいとこどりをしただけですよ。←ウィット利いてるな~。 私が落ち着いて子供たちにあたれるのは、梨田先生がいるからですよ。誰かは厳しくしてくださらなくちゃ。甘やかすだけではねえ。私は厳しくするのが苦手だから、いつも助かってますよ。 頑なになっているのだとしたら、理屈では突き崩せない。 ヒサはこれだから施設の子はって言われるんだぞ。 猪俣に謝らせないあたりに屈折した優しさがにじんでいることは、若い職員には分からない機微である。 子供を育てる能力がない親の元に生まれてしまったことがかわいそう、というならそれは確かにそのとおりなんですけど・・・私的には、育てる能力がなかった親のほうをみじめだと思います。親としての能力がないって烙印を押されたわけなので。むしろ、捨ててほしいのに捨ててくれなくてトラブルになったりすることもあります。 ところで、みなさんは施設にどんなイメージを持っていらっしゃるでしょうか。←この質問から入るプレゼンは一気に聴衆を引き込む。 児童養護施設に対する認識が変わった。何となくかわいそうだとしか思っていなかったが、それは浅い認識だった。小説として楽しませようというより、児童養護施設に対する認識をストーリーにしたという意図がより強く感じられた。でもところどころに人間の心の機微を言語化してくれていて、勉強になった。感謝。
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想いがつらなり響く時、昨日と違う明日が待っている! 児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマティック長篇。 諦める前に、踏み出せ。 思い込みの壁を打ち砕け! 児童養護施設に転職した元営業マンの三田村慎平はやる気は人一倍ある新任職員。 愛想はないが涙もろい三年目の和泉和恵や、理...
想いがつらなり響く時、昨日と違う明日が待っている! 児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマティック長篇。 諦める前に、踏み出せ。 思い込みの壁を打ち砕け! 児童養護施設に転職した元営業マンの三田村慎平はやる気は人一倍ある新任職員。 愛想はないが涙もろい三年目の和泉和恵や、理論派の熱血ベテラン猪俣吉行、“問題のない子供"谷村奏子、大人より大人びている17歳の平田久志に囲まれて繰り広げられるドラマティック長篇。
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児童養護施設に入っている子供と先生のお話し。先生の視点を基本に書いてあり、読みやすい。そして、この施設に入っている子供たちは「かわいそう」というひとくくりにするのではなく、子供が育てられなかった親や色んな環境の中でここに来た子供たちが、生きていくのに必要なことができるようになるこ...
児童養護施設に入っている子供と先生のお話し。先生の視点を基本に書いてあり、読みやすい。そして、この施設に入っている子供たちは「かわいそう」というひとくくりにするのではなく、子供が育てられなかった親や色んな環境の中でここに来た子供たちが、生きていくのに必要なことができるようになること、そして、将来、どこかよりどころになるところがあるといいなと思わせる内容だった。 高校を卒業したら、住む場所もない、保証人もいない、自活する能力を養わなくてはならない、そのうえで、大学に行くなんて言うのは途方もない話なんだなあと思った。
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2017/4/26読了 (児童)施設で暮らし、育つこと。 その実態を私はよく知らない。 本の通りには行かなくとも、同じように思い、励み、生活する子供たちは存在する。 生活ではなく、施設の在り方、そして行政に求めることはきっと、実際のそれでも。 自衛隊や行政の話が出ると、有川さ...
2017/4/26読了 (児童)施設で暮らし、育つこと。 その実態を私はよく知らない。 本の通りには行かなくとも、同じように思い、励み、生活する子供たちは存在する。 生活ではなく、施設の在り方、そして行政に求めることはきっと、実際のそれでも。 自衛隊や行政の話が出ると、有川さんだなと思う。 知っていても話題にしない、知ろうとしないところにあえて切り込んでいく。 世間の印象をも加味した舞台でのフィクションストーリーは 誰かにとってのノンフィクションにもなりうる。 三田村、和泉という大人をベースにおいて、サポートする側から書き連ねるのは珍しい視点だと思うし 「普通である子供」を各人の目から視て 動かすことによって、リアリティも増す。 どこかにある、いる、施設を体現している。 願わくば、同境遇の子供に幸あらんことを。 多くの人に読んでほしい、リアルの話でした。 余談 三田村の人物像がちょくちょく変わるのが気になった。 お調子者の面が、第三章では出すぎ 痛々しい人になっていたのがいまいちだった。 職員らも一人の人間なのだと実感はできるが 一時期ハチャメチャだった三田村だけはどうにもわからなかったのだけが残念だと思った、、、。
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久々の有川さん。 読んですぐの懐かしい有川節に、久々に会った友人かのように嬉しい気持ちになる。 児童養護施設、存在は理解しているものの、実態は理解不足だったなと感じる。 難しい境遇に生まれてしまった子供達に胸が痛くなるが、その子供達を見る自分の目はどうだったかと反省。
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三田村慎平が成長して行く様が手に取るよう解ってどんどん読めた 皆んなが頑固で、笑っちゃいけない風で、教えちゃいけない風で もっとリラックスしても良い様な気がします
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児童養護施設で暮らす子供たちと、そこで働く職員たちの物語である。 さまざまな事情で児童養護施設で暮らしている子供たちだが、施設にいることを隠そうとする子供もいればおおっぴらにしている子供もいる。 職員の意識もいろいろで、共通しているのは子供たちへの想いだけだ。 児童養護施設に対し...
児童養護施設で暮らす子供たちと、そこで働く職員たちの物語である。 さまざまな事情で児童養護施設で暮らしている子供たちだが、施設にいることを隠そうとする子供もいればおおっぴらにしている子供もいる。 職員の意識もいろいろで、共通しているのは子供たちへの想いだけだ。 児童養護施設に対しての知識はほとんどない。 三田村が純粋な好意から子供たちの靴を直す場面には、この職場の難しさが詰まっているような気がした。 職員は親にはなれない。 厳しいけれどこれが現実なのだろう。 施設にいられる年齢に制限があること。 その後は頼るべき人や場所を持たずに生きていかなければならないこと。 もしも、少しでも息抜きが出来る場所があれば。 考えることは誰にでも出来るかもしれないけれど、その実現に向けて動いた人たちはすごいなと。 そして維持していくことはきっともっと難しい。 存続に向けての三田村たちをはじめ、子供たち自身の変化が嬉しかった。 暗くなりがちなテーマを、ときにはお気楽に思えるほど明るく描いている。 だが現実は厳しい。 厳しい現状を淡々と描くことも出来るだろうが、有川さんの物語は厳しい現実を縦糸に、優しいまなざしを横糸にして紡がれている。 とても読みやすい物語だ。 ほんの少しだけでも「理解」するために多くの人に読んでほしいなと感じた。
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児童養護施設の話。 新米やら3年目やらベテランやらのいろんな大人と、施設にいる子供の目を通して、児童養護について語られる。 新米の先生が勝手に思い込んで持っていたイメージに、当事者である子供が傷ついて怒りをぶつけるシーンがあったけど、私も自分の偏見や知識のなさで刺さる部分がたくさ...
児童養護施設の話。 新米やら3年目やらベテランやらのいろんな大人と、施設にいる子供の目を通して、児童養護について語られる。 新米の先生が勝手に思い込んで持っていたイメージに、当事者である子供が傷ついて怒りをぶつけるシーンがあったけど、私も自分の偏見や知識のなさで刺さる部分がたくさんあった。 いろんな人に届くといいね。
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共感できる部分がたくさんありました。 施設であろうが何であろうが、子どもたちはそこで普通に暮らしてるわけでそれを可哀想と感じることは見当違いだと思います。自分自身も児童養護について学んでいなければ同じように感じていたかもしれないし、この本をきっかけに児童養護について興味を持つ人が...
共感できる部分がたくさんありました。 施設であろうが何であろうが、子どもたちはそこで普通に暮らしてるわけでそれを可哀想と感じることは見当違いだと思います。自分自身も児童養護について学んでいなければ同じように感じていたかもしれないし、この本をきっかけに児童養護について興味を持つ人が増えたら良いと感じました。
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朝井リョウさんの世界地図の下書きに続く児童養護施設を舞台にしたお話。 今回は指導員目線の話で、登場する担当児童も高校生達でした。 我が家には同年代の子供います。 当たり前のように親の庇護の元、好きなように生活しています。 この本に出てくる自立をしいられることになる子供達と、我...
朝井リョウさんの世界地図の下書きに続く児童養護施設を舞台にしたお話。 今回は指導員目線の話で、登場する担当児童も高校生達でした。 我が家には同年代の子供います。 当たり前のように親の庇護の元、好きなように生活しています。 この本に出てくる自立をしいられることになる子供達と、我が子をどうしても比べてしまいましたが、それは違うなと、読み進むにつれて思えるようになりました。 『世界にはいろんな人がいて、いろんな事情があるってこと』、この歳にしてそれを思い知らされた感じです。 知るということは大切なこと。 この本で知れたことは、ホントに良かったと思います。 福原先生の「本を読むことは素敵なことよ」が身にしみました。
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