虐殺器官 新版 の商品レビュー
読み終わる直前、最後まで衝撃が残った。 虐殺や殺人、紛争といった重く暗い内容が描写される一方で、繰り広げられる思想については考えさせられる内容が多くあった。 人工筋肉のように「もの」であるのに偽の生命が宿っているような物質は、不思議な感じがした。 自由について、平和についての話は...
読み終わる直前、最後まで衝撃が残った。 虐殺や殺人、紛争といった重く暗い内容が描写される一方で、繰り広げられる思想については考えさせられる内容が多くあった。 人工筋肉のように「もの」であるのに偽の生命が宿っているような物質は、不思議な感じがした。 自由について、平和についての話は自分自身でも今一度考え直す必要がありそう。 ところどころで難しい表現や理解しにくい論理展開があったので、しばらくしたら読み返して、改めて理解したいと思う。
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読み始めてすぐ、主人公のアンバランスさが目につきます。強い軍人で頭もいい、そして幼い。俗に言う厨二病感ある主人公。 同僚が望んでいたいつものピザを食べて過ごす日々を無視したくせに、一人で行き着く。嘲笑も含めつつ最高にクールだな!と言いたくなります。 虐殺という重々しい内容が吹き飛...
読み始めてすぐ、主人公のアンバランスさが目につきます。強い軍人で頭もいい、そして幼い。俗に言う厨二病感ある主人公。 同僚が望んでいたいつものピザを食べて過ごす日々を無視したくせに、一人で行き着く。嘲笑も含めつつ最高にクールだな!と言いたくなります。 虐殺という重々しい内容が吹き飛ばされるようなラストで、作者の「爽快感をめざした」という言葉の意味が感じられます。
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近未来に起こるであろう、核使用、生体認証による総監視システム。描写のグロテスクさ、SFだけど、リアルさもあった。 また、風景に溶け込む迷彩等メタギアを彷彿とできた。
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世界各地で起こる虐殺の場に見え隠れするジョン・ポールを追う、米国の暗殺部隊員クラヴィス・シェパードのお話 ものすごい小説を読んだというのはわかるが、自分の中でうまく咀嚼できていない いずれ読み返す事になるだろう…… 以下、公式のあらすじ ---------------- ...
世界各地で起こる虐殺の場に見え隠れするジョン・ポールを追う、米国の暗殺部隊員クラヴィス・シェパードのお話 ものすごい小説を読んだというのはわかるが、自分の中でうまく咀嚼できていない いずれ読み返す事になるだろう…… 以下、公式のあらすじ ---------------- 9・11を経て、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。 米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう……彼の目的とはいったいなにか? 大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは? ---------------- 序盤はジョン・ポールが虐殺の原因なのか? 虐殺を起こす原因は何か? 虐殺を引き起こす器官は言葉を生み出すところ 言葉は人間を狂わせ、虐殺へと導く 動物の一斉自殺という現象の真偽 もしそんな現象が本能として備わっているのであれば、それは生態学的にどんな意味を持つのか? 虐殺は人間に備わった本能なのか? 虐殺の文脈があるかどうかは別として 歴史を振り返れば、戦争が起こる前の状態には共通点があるというのと同じようなものかもしれない 最近はその傾向がより強く、タモリが「新たな戦前になるのでは」といった発言をしていたのも、ある意味で納得感がある
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高度SF×戦争モノ。ストーリーの内容は難しくディストピア的な雰囲気が漂っているが、主人公は社会に立ち向かうのではなく、ただただ自分の中の罪と向き合い続けるというストーリーに反したシンプルなもの。その為、独特の言い回しでもすんなりとストーリーが入ってくるのはSF小説に慣れてなくても...
高度SF×戦争モノ。ストーリーの内容は難しくディストピア的な雰囲気が漂っているが、主人公は社会に立ち向かうのではなく、ただただ自分の中の罪と向き合い続けるというストーリーに反したシンプルなもの。その為、独特の言い回しでもすんなりとストーリーが入ってくるのはSF小説に慣れてなくても読みやすいと思う。終盤の主人公とその敵役であるジョン・ポールとのやり取りは特に印象的で現代に生きる人にも訴えかけてくるメッセージを感じる。
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PSYCHO-PASSと世界観が似ている、という感想を目にして手に取りました。 似ているかどうかはとにかく、話は暴力的であり理不尽である一方、哲学的であり計略的な話。 話の理解はむずかし〜〜〜と思いつつも、魅力的なキャラクターと思想について追っているうちに読み終わった、という感じなのでもう一度読むかも。一応、罪と罰についてが話の中核を成しているのかな、というのがにわかの感想です。 思想の先に言語は立たず、思想は遺伝子によって規定されているものの、罪や罰を規定するのはやはり言語なのかしら。 そして、またその罪や罰を赦すのも言語によるものなのかもしれない。
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読みはじめの印象は海外SF作品のよう。ストーリー展開の早さ、戦闘描写のグロテスクさ、心理描写、ミステリー要素、様々な要素が絡まって非常に素晴らしい作品でした。 またこの巻を読んでいてMGS味をメチャクチャ感じましたね。虐殺の文法、特殊部隊、作戦・・・まさにMGS5じゃないですか...
読みはじめの印象は海外SF作品のよう。ストーリー展開の早さ、戦闘描写のグロテスクさ、心理描写、ミステリー要素、様々な要素が絡まって非常に素晴らしい作品でした。 またこの巻を読んでいてMGS味をメチャクチャ感じましたね。虐殺の文法、特殊部隊、作戦・・・まさにMGS5じゃないですか。伊藤計劃氏はMGSのノベライズも担当していましたが、本当にいなくなるのが早すぎますよね・・・ ゾンビという存在もこの本に出てくるような近未来に起こりうる痛みを認識はしても感じることはできないという地獄のような状況を想定していたと言われても違和感がありませんね。 胸糞描写(虐殺と主人公の平坦さとのギャップ)が多いので読む人は選ぶかもしれませんが、素晴らしい作品だと思います。
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一言で物語の結末を言うと、「ポールはアメリカがテロに巻き込まれないように世界中で紛争を起こしていた」というもの。そして彼が紛争を起こせたのは、人間の感情の底に眠る負の感情を利用したからだった。この負の感情は飢餓などの追い詰められた状態においては殺戮の道具となるらしい。 私はそこまでの状況に陥ったことがない。ただ、ももしもの事態に遭遇したときに、私にもそんな感情があるのかと思うと怖くなった。 結構リアルに情景を想像できるものだったので、それも相まって、色々考えさせられる話だった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
伊藤計劃さんの作品はこれが初読みなのですが、この小説の主人公のシェパード大尉と同じく、ご本人も言葉が好きな方だったのではないか…と思える文章が多かったですね! 話の内容としてはダークな雰囲気なのに、装飾的で独特な言葉のお陰で何故か色彩豊かな文章だな〜と感じました。シェパード大尉は暗殺を仕事としているだけあって、人を殺すことや殺した人々に余り感情を持たないドライなイメージでしたが、大切な人だったルツィアの死体は物に見えない、という表現にぐっと来ました…。
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言語って不思議。なぜみんな話せるようになるんだろう?実際、赤ちゃんがどのように話せるようになるのかは謎のようです。 〝普遍文法〟という考え方があって、それによると、話す力はもともと生まれたときから持っている(進化で獲得した)もの、ということらしいですが、環境—例えば親が日本語を話...
言語って不思議。なぜみんな話せるようになるんだろう?実際、赤ちゃんがどのように話せるようになるのかは謎のようです。 〝普遍文法〟という考え方があって、それによると、話す力はもともと生まれたときから持っている(進化で獲得した)もの、ということらしいですが、環境—例えば親が日本語を話す—によって特定の言語に固定される(〝個別文法〟という)らしいです。 もともと持っているという点で「器官」は言い得て妙ですね。 リセットしてトリリンガルで是非やり直したい。 言葉は、とるにたらないものです。 Words are cheap. それでも、人を生かしもするし、殺しもすることを、わたしたちは知ってます。 実際に「虐殺」のトリガーもあるのかもしれません。 それでも、 We all want to help one another. Human beings are like that. —Charlie Chaplin ほんとうの絶望の中でそう言えるほど、強くはないのかなぁ… 筆者の早逝が惜しまれます。
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