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なぎさ の商品レビュー

3.8

122件のお客様レビュー

  1. 5つ

    25

  2. 4つ

    47

  3. 3つ

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  4. 2つ

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  5. 1つ

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2014/11/03

14/11/02読了 誰にも感情移入はできず、好きにもなれず。なのに、気持ちと行動を否定しきれないので、嫌いになれない。 頼りなく神経質な冬乃とやはり不甲斐なく器の小さな川崎哲夫。この二人に加えて、モリの目からも語られるのが意外であったけれど、彼を登場させたのがこの話ではとても...

14/11/02読了 誰にも感情移入はできず、好きにもなれず。なのに、気持ちと行動を否定しきれないので、嫌いになれない。 頼りなく神経質な冬乃とやはり不甲斐なく器の小さな川崎哲夫。この二人に加えて、モリの目からも語られるのが意外であったけれど、彼を登場させたのがこの話ではとても効いていた。適度な毒気。 話の組み立てもうまくて、するする読めた。

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2014/11/10

帯の言葉「同じ悩みにそろそろ飽きろ、人生の登場人物を変えるんだ」に惹かれてこの本を手に取ると、肩透かしを食らうかもしれない。 実際のこの本の登場人物の多くは、この言葉に惹かれながら、どこかうらやましく思いながらも、けれど、けれど、と悩む。そして結局は登場人物を変えずに、自分が巻き...

帯の言葉「同じ悩みにそろそろ飽きろ、人生の登場人物を変えるんだ」に惹かれてこの本を手に取ると、肩透かしを食らうかもしれない。 実際のこの本の登場人物の多くは、この言葉に惹かれながら、どこかうらやましく思いながらも、けれど、けれど、と悩む。そして結局は登場人物を変えずに、自分が巻き込まれていくこと、自分も巻き込んでいくことを受け入れていく。 随所に山本節が炸裂し、悩みを抱える人が、人として劣っているわけではないこと、悩みが人生の深みとなっていく場合があることを示してくれる。 悩みの受け入れ方の問題は、山本作品に一貫したテーマだけれど、今回の作品の新しさは、人と人とが巻き込まれ合うところ、その様子を何パターンも何パターンも描いてラストにつなげていくところにあると思う。 この「巻き込まれ合うこと」を支えてくれる「所さん」という年配の登場人物がいて、この「所さん」について山本文緒さんはインタビューで、実際にはいないだろうけれども、物語を動かすために設定したと話されていた。 実際に所さんがいると信じられるように。 所さんになれるように。 穏やかな海の底の大きな流れを感じるそんな素敵な作品

Posted byブクログ

2014/10/10

どうなっていくんだろう?と展開が気になって途中から一気読み。人間って、みんな器用な人ばかりじゃないよねってつい共感してしまいます。 この姉妹、ブラック企業で働いていて夫と、川崎君、なんだか、この男性二人は正反対なようで、とても仲良しだったり・・・。 ラストは、少し物足りないよう...

どうなっていくんだろう?と展開が気になって途中から一気読み。人間って、みんな器用な人ばかりじゃないよねってつい共感してしまいます。 この姉妹、ブラック企業で働いていて夫と、川崎君、なんだか、この男性二人は正反対なようで、とても仲良しだったり・・・。 ラストは、少し物足りないような?でも、なぜだか納得しました。頑張れ!川崎君って感じでしょうかね~笑

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2014/09/07

この小説は私をどこに連れていくのだろうと思いながら読み進めた。 行き着いたのは解放だったのかもしれない。 その解放は私にはもう必要のないものだった。 でも、きっと必要な人がいる。 その人たちにとって良い小説になるかもしれない。 私のリズムと山本文緒さんが奏でるリズムは合わない...

この小説は私をどこに連れていくのだろうと思いながら読み進めた。 行き着いたのは解放だったのかもしれない。 その解放は私にはもう必要のないものだった。 でも、きっと必要な人がいる。 その人たちにとって良い小説になるかもしれない。 私のリズムと山本文緒さんが奏でるリズムは合わないなーと思った。

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2014/08/26

久ーしぶりの山本文緒。 終わり方は、あっけなくて、ここで終わり⁉︎って感じも正直あったけど…全体的には満足。読後感もよい感じ。 全体的には淡々と描かれてて。だからこそ、その淡々さの中にある怖さとか歪みとかドロドロした感情とかが際立って見えて面白かった。

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2014/08/17

妹と一緒にオープンさせたかもめ食堂のような?カフェ、カフェとそれを取り巻く人々の話が立体的に描かれている秀作。

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2014/08/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

山本文緒さんの15年ぶりの長編小説ということで10年ほど彼女の本を追い続けた私にとってはとても楽しみに読みました。 まず感じたのは、今までの長編小説よりいくらか「山本節」の毒に変わりはないものの、少し柔らかくなった感じがします。彼女自身がうつ病を患った経験からこそ書けるのでは、という言葉選びも随所に感じられました。 前半は状況描写ばかりで退屈しかけたものの、喫茶店オープンの話が出たあたりから山本節炸裂という感じでのめりこみサクサクと読むことができました。 傑作中の傑作とまではいきませんが、登場人物の現代に生きる全世代の泥臭さ、エゴ、そしてそこから解放され1人の人間として再出発して行くための原動力までを丁寧に描いた良い作品だと思います。

Posted byブクログ

2014/08/03

山本さんの作品は久しぶりに読みました。 冬乃と菫の姉妹、冬乃の夫佐々井、佐々井の会社の後輩の川崎、そして菫の友人のモリ。 色々な人物の視点から描かれる。 子供に寄生する親も 人生が定まらない若者も 生き甲斐が見つからない主婦も 何にもこだわらずノマド的に放浪する人も。 確かに...

山本さんの作品は久しぶりに読みました。 冬乃と菫の姉妹、冬乃の夫佐々井、佐々井の会社の後輩の川崎、そして菫の友人のモリ。 色々な人物の視点から描かれる。 子供に寄生する親も 人生が定まらない若者も 生き甲斐が見つからない主婦も 何にもこだわらずノマド的に放浪する人も。 確かに現代的だなーと思った。 これが今の縮図かもしれない。 夢とか目標とかやたら意気揚々としている人たちがフューチャーされる一方で こういう人たちもいて、でもなんとか抜け出したいとか変わりたいとか思います。 どっちかというと、この小説の登場人物たちには共感できるところが多かった。 ラストはフラフラした川崎が 少しは方向性を見いだせたのかなと感じられました。 冬乃と佐々井夫婦もきっといい方向に 変わっていけるだろうし…。

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2014/07/13

姉妹、夫、夫の後輩のそれぞれの視点で話がつづられていく。 ブラック企業、両親への仕送り、夢、仕事…? みんなそれぞれになかなかうまく行かない日々の中、タイトルがなぎさだからなんとなーく波の音が聞こえる気がして、さわやかさがプラスされ続けたような… ブラック企業の話のあたりはずしー...

姉妹、夫、夫の後輩のそれぞれの視点で話がつづられていく。 ブラック企業、両親への仕送り、夢、仕事…? みんなそれぞれになかなかうまく行かない日々の中、タイトルがなぎさだからなんとなーく波の音が聞こえる気がして、さわやかさがプラスされ続けたような… ブラック企業の話のあたりはずしーんと重く、カフェも乗っ取られて姉妹いまいち仲悪く、 でも夫婦は荒波越えて少し深まったような。 ふわふわと、ひとつところに留まらないで漂う人間もいる。そういうのが嫌いな人ももちろんいるけど。 自分はなにがしたいかな、ってちょっと思わさるところもあった。

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2014/07/06

もがいてももがいても、見つからないものがある。何を探しているのか、自分でもわからない時がある。誰もが、経験したことが、あるのではないか。人間関係は、シンクロし、ある時期深くかかわり、そして離れていく。恵まれた実家暮らしで、自分を見つけられずもがく青年。家族関係で苦労した生い立ちの...

もがいてももがいても、見つからないものがある。何を探しているのか、自分でもわからない時がある。誰もが、経験したことが、あるのではないか。人間関係は、シンクロし、ある時期深くかかわり、そして離れていく。恵まれた実家暮らしで、自分を見つけられずもがく青年。家族関係で苦労した生い立ちの、もう若くない夫婦。若い頃の夢に破れ、恋人にも去られた者。不毛な職場環境で心身ともに疲弊し、妻にも心を閉ざし、病んでいくもの。限界ギリギリの親子関係を、唯一の姉妹で分かち合えず、歪んだ心の襞を、持て余す者。 物語には、始まりも終わりもない。限りなく続く人生の、一部をすっぽり切り抜いたような。 自身同じ病に苦しんだ著書の、病んでいく心の描写は秀逸。

Posted byブクログ