なぎさ の商品レビュー
もがいてももがいても、見つからないものがある。何を探しているのか、自分でもわからない時がある。誰もが、経験したことが、あるのではないか。人間関係は、シンクロし、ある時期深くかかわり、そして離れていく。恵まれた実家暮らしで、自分を見つけられずもがく青年。家族関係で苦労した生い立ちの...
もがいてももがいても、見つからないものがある。何を探しているのか、自分でもわからない時がある。誰もが、経験したことが、あるのではないか。人間関係は、シンクロし、ある時期深くかかわり、そして離れていく。恵まれた実家暮らしで、自分を見つけられずもがく青年。家族関係で苦労した生い立ちの、もう若くない夫婦。若い頃の夢に破れ、恋人にも去られた者。不毛な職場環境で心身ともに疲弊し、妻にも心を閉ざし、病んでいくもの。限界ギリギリの親子関係を、唯一の姉妹で分かち合えず、歪んだ心の襞を、持て余す者。 物語には、始まりも終わりもない。限りなく続く人生の、一部をすっぽり切り抜いたような。 自身同じ病に苦しんだ著書の、病んでいく心の描写は秀逸。
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彼女(調べて分かった女性だね)が書いた本は初めてだけど,こんなネガティブものしか書かないのだろうかねぇ?~長野の山の中に両親を置いてきた冬乃と佐々井君は,久里浜で暮らしている。佐々井君は美容用品をサロンに卸す会社に勤めているが,暇を持て余して元お笑い芸人の川崎君と釣りで時間を潰し...
彼女(調べて分かった女性だね)が書いた本は初めてだけど,こんなネガティブものしか書かないのだろうかねぇ?~長野の山の中に両親を置いてきた冬乃と佐々井君は,久里浜で暮らしている。佐々井君は美容用品をサロンに卸す会社に勤めているが,暇を持て余して元お笑い芸人の川崎君と釣りで時間を潰している。絶縁状態だった元漫画家の妹・菫が借りている部屋で小火を起こして,住まわせろと連絡をしてきた。ぶらぶらしていると思ったら,駅近くに昭和レトロのカフェを開くという。私は猛烈に反対したが,いつの間にか本気で手伝っていた。佐々井君の会社が取引を中断していた先と和解し,急に忙しくなったが,川崎君は取引先に無理難題を吹っかけられ,ミスをすると先輩達が責め立てる。川崎君が退職を決意した晩,菫の店を手伝い始めたモリと出会い,芸人時代の知り合いとして,店の手伝いに誘われる。2月に開店したカフェ・なぎさは4月に雑誌に宣伝がてらの記事が載って,順調に推移し,取引再開した相手が潰れて営業所もなくなった佐々井君が会社を辞めたことも振り返る暇もないほど,忙しかった。店長らしく,バイト仲間の主婦とトラブルを起こした川崎君を馘したのに,菫は店を2300万で売って,退職金代わりに冬乃には500万円払うという。一度,須坂に帰って両親にはっきりと云おう~ 視点としてないのは,冬乃の夫,母,父,妹,川崎の元彼女,あるのは川崎君,モリ,冬乃。そうだね,モリ目線は要らないんじゃないかな。引っ張って・・・謎解きして・・・それで終わりで良いはずなのに,また川崎目線に戻っての・・そういう終わり方は無いんじゃない! 苛っと来る本でした:嫌い!!
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登場人物の殆どが”自分の思っている事が上手く言葉にできない”または”自分の思っている事を自分でも整理出来ない。”そんな不器用な大人たちの物語。 色々あって開くことになる「なぎさカフェ」を巡って人間模様が描かれる。
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倦んだ日常からの脱却。 パワフルで元気が出る本ではなく、静かに、でも確実に 自分が変わって、目の前が開けてくるような印象。 根本的な解決ってしていないけど、明日もがんばれる、 そんな元気を分けてもらった。 装丁のうす曇りな色がイメージにぴったり。 佐々井君とのすれ違いはすごくリ...
倦んだ日常からの脱却。 パワフルで元気が出る本ではなく、静かに、でも確実に 自分が変わって、目の前が開けてくるような印象。 根本的な解決ってしていないけど、明日もがんばれる、 そんな元気を分けてもらった。 装丁のうす曇りな色がイメージにぴったり。 佐々井君とのすれ違いはすごくリアルだ。 モリのような人間も確かに存在はするわけで、彼みたいな考え方ができる人って世の中のいわゆる勝ち組だったりもして。 所さんのような存在が私にはリアルではなかったけど、こんなあたたかい人に出会いたい。
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話の展開にどんどん引き込まれた。話が進むにつれてその人の過去からどう今に影響し繋がってきたのか。個性的とまではいかないけど、どこかにいる人たち。家族の影響。しがみつくものと捨てるもの。生きていると悪いこともいいこともあるけど、自分の必要な部分を見極めてなんとか進んでいく。
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久里浜にひっそり暮らす冬乃の家に妹の菫が同居を始めた。やがて菫はなぎさカフェをオープンすることに。徐々に明かされる両親との関係がクライマックスだが、夫の部下の川崎の話がからんできて、各自の視点からの思いをかき綴る形式の重い雰囲気の中で、読者を代弁するかのように”所さん”や百花が明...
久里浜にひっそり暮らす冬乃の家に妹の菫が同居を始めた。やがて菫はなぎさカフェをオープンすることに。徐々に明かされる両親との関係がクライマックスだが、夫の部下の川崎の話がからんできて、各自の視点からの思いをかき綴る形式の重い雰囲気の中で、読者を代弁するかのように”所さん”や百花が明快な説明で話を前に進めてくれる。プロットを決めて書いたのではなく、人物達が勝手に動き出していったように思う。着地点が最後までわからず面白く読めた。
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初めて読んだ 山本文緒さん 舞台は三浦半島、久里浜。 登場人物がみんな細かいところまで明確に描かれているのと、土地勘があるので、読みながらずっと映像が頭の中に浮かんでいた。 おそらく、作者には作品の中の世界がずっと見えている。だから、こんなにも細かく、そしてみんなが活き活きと動い...
初めて読んだ 山本文緒さん 舞台は三浦半島、久里浜。 登場人物がみんな細かいところまで明確に描かれているのと、土地勘があるので、読みながらずっと映像が頭の中に浮かんでいた。 おそらく、作者には作品の中の世界がずっと見えている。だから、こんなにも細かく、そしてみんなが活き活きと動いているのだろうなと思えた。 そして、だからこんなにも撒かれてしまった、いろいろな筋書きがそのまま放置されてしまったのだろうなと。 放置されたのでは、たぶんなくて、作品のなかではきっと話が続いている。だって世界は続いているのだから。
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久しぶりの山本文緒。 自分と冬乃がダブって見えてしまった。 冬乃ほど悲惨な状況にはないけど。 劇的に人生が好転するわけではない。 でもその中で必死にもがく冬乃と川崎君が愛おしい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
家族、書いたらやはり上手ですねぇ。 旦那さん、自分語りは何もせず主人公目線で状況や内面が進行していくのに旦那さんの心の移り変わりや心境が伝わってきて切なくなる場面多々。登場人物中この人に一番共感できたかなぁという感じですね。 主人公みたいな人は私はあまり好きではないのだけれど、多分自分にも通じるところがあるからだろうなぁと感じながら読み進めました。 主人公の家族のように子供にがっぷり寄りかからなければ生きていけない親も世の中にはたくさんいるでしょう。 それがいいことではないとわかっててももう、状況がそうさせるようないい悪いの話しじゃなくなっている家庭もたくさんあるだろうなと思います。 主人公の妹の立場からこの一連の話を描いたら、全く別のストーリーになるのでしょうね。 モリみたいなヤツ、いますよねぇ。 嫌いだし、好きな人少ないだろうな。でもこういう人ほど人たらすのがうまいと言うのも世の理。 山本さんは人物描くのが本当にお上手。 今後も心の繊細さに迫る作品をお待ちしたい作家さんですね。
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内容(「BOOK」データベースより) 家事だけが取り柄の主婦、冬乃と、会社員の佐々井。同窓生夫婦二人は故郷長野を飛び出し、久里浜で静かに暮らしていた。佐々井は毎日妻の作る弁当を食べながら、出社せず釣り三昧。佐々井と行動を共にする会社の後輩の川崎は、自分たちの勤め先がブラック企業だ...
内容(「BOOK」データベースより) 家事だけが取り柄の主婦、冬乃と、会社員の佐々井。同窓生夫婦二人は故郷長野を飛び出し、久里浜で静かに暮らしていた。佐々井は毎日妻の作る弁当を食べながら、出社せず釣り三昧。佐々井と行動を共にする会社の後輩の川崎は、自分たちの勤め先がブラック企業だと気づいていた。元芸人志望、何をやっても中途半端な川崎は、恋人以外の女性とも関係を持ち、自堕落に日々を過ごしている。夫と川崎に黙々と弁当を作っていた冬乃だったが、転がり込んできた元漫画家の妹、菫に誘われ、「なぎさカフェ」を始めることになる。姉妹が開店準備に忙殺されるうち、佐々井と川崎の身にはそれぞれ大変なことが起こっていた―。苦難を乗り越え生きることの希望を描く、著者15年ぶりの長編小説!
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