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映画「Hello, World」の紹介に関連して本作に触れた記事では「ゴリゴリのSF」と書いてあったのだが、どちらかというとFantasy色が極めて強くて、SF部分は結構弱い。 正直にいうと、読みながら「あれ?」と思う部分はたくさんあったのだが、もしかしたら最後まで読めば解釈可能になるのかもしれないという期待で最後まで読みきった。その期待は半分あたりで半分はずれだった。。 色々きになる点があるのだが、最も決定的なのは、本作のクライマックスである「ダンスをしながら銃弾を避ける」シーンが、本作の設定を受けいれると無理だということなのだ。 京都御所はその性質から情報材を受け入れていない。そのため、京都御所を目指す連レルと知ルは量子葉を使うことができず、情報庁の妨害をどのように避けるか・・・というのがこの部分の見所だ。 この危機に、知ルは「事前に情報庁の人間の情報を取得することで弾丸を全て予測し、ダンスを踊ることで連レルの体をリードして避ける」ことを実現するのだが、これ実は無理なのである。しかも作中で、その矛盾に気づいていないように見える。 作中ではダンスの最後、知ルが御所の石の上に足を乗せる・・・というシーンが出てくる。屈指の名場面だが、ここでの疑問は「知ルはどうやって石の場所を正確に理解したのか?」ということだ。 上述したように京都御所は情報材を利用することができない。つまり、御所の地面の石の配置や凹凸、形の不揃いを事前に把握することはできないのだ。なのに、知ルはまるで「知っているかのごとく」ダンスを踊ることができた。 ・・・・という感じで、SFとしては色々な粗が目に見えすぎて、評価は辛くならざるをえない。 とはいえ、それが話として面白くないということを意味するわけではない。ファンタジーとしてとらえれば素晴らしく美しい場面が複数あるし(ハイクラス同士の戦闘シーンは興奮した)、テーマとなる輪廻転成もうまく処理されている。 ストーリーテラーとしてのレベルは非常に高いことはこの1作から明らかなので、次はSFではない作品を読んでみようかと思っている。
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面白いSFだった。ライトノベル寄りなのでSF初心者にも読みやすそう。 自分の想像力試されてるなーと感じつつ後半は一気読み。知るって何か、死ってなにか考えさせられる。
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野崎まどさんは個人的に大注目している作家です。アニメ『正解するカド』で大ブレークする、かと思ってたんですがあれは後半で失速しましたね。残念。 『野崎まど劇場』なんていう狂った短編集を出したりしてますが、本作はわりとまっとうなSF。タイトルどおり、知ることとはどういうことかを追求...
野崎まどさんは個人的に大注目している作家です。アニメ『正解するカド』で大ブレークする、かと思ってたんですがあれは後半で失速しましたね。残念。 『野崎まど劇場』なんていう狂った短編集を出したりしてますが、本作はわりとまっとうなSF。タイトルどおり、知ることとはどういうことかを追求した作品です。 知ることを極めたとき、人は死の限界を超えるのかもしれない……。 相変わらずふざけたところもあるので、生粋のSFファンからは嫌悪されそうですが、私は野崎まどさんのことを、「キャラの書けるグレッグ・イーガン」だと思っています。 ちなみに正しい表記は『野﨑まど』です。一発で変換できるように、みなさん単語登録しましょう!
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正解するカド以来の野崎まど SFみが凄い好き 主人公が官僚なのは彼あるあるなのかもしれん 未知との遭遇と人類の進化も彼あるあるなのかもしれんね そこまで長くないし、文章の加速度がすごい
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そうなるかぁと感じた。 こうなればいいなと思うことは多々あっても、実際に出来てしまうとそれはそれで嫌だなと思ってしまいました。
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『指先が冷たい、当たり前でしょ、死んだんだから』 野崎まどは面白い。読めばだれだってわかる。1番稚拙な例えをするなら、西尾維新と伊坂幸太郎と森博嗣を足して3で割らなかったような作家だ。渦巻いている。均等なんかではない。溺れる夢のような現実に取り残されそうだ。死んだあとの先なんか...
『指先が冷たい、当たり前でしょ、死んだんだから』 野崎まどは面白い。読めばだれだってわかる。1番稚拙な例えをするなら、西尾維新と伊坂幸太郎と森博嗣を足して3で割らなかったような作家だ。渦巻いている。均等なんかではない。溺れる夢のような現実に取り残されそうだ。死んだあとの先なんか、私は知りたくないけれど。
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面白かったけど、この作品の面白さを理解するには情報工学的なリテラシーが必要だと思う。 読み味とかではなく、前提とする知識レベルで読者を選ぶ作品。
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超高度化情報社会が到来した近未来、人々のは自前の脳だけでなく、”電子葉”とよばれる腎臓脳に頼る世界になっていた。そこで働く優秀な官僚の御野は、かつての恩師の娘「知ル」を連れて「すべてを知る」旅に出る。 ======================== ストーリーは「boy ...
超高度化情報社会が到来した近未来、人々のは自前の脳だけでなく、”電子葉”とよばれる腎臓脳に頼る世界になっていた。そこで働く優秀な官僚の御野は、かつての恩師の娘「知ル」を連れて「すべてを知る」旅に出る。 ======================== ストーリーは「boy meets girl」で「師匠の残した課題を解く」など王道で楽しめた。 特に惹かれたのは「超高度化情報社会」という設定と京都という町が舞台だったこと。 「超高度化情報社会」は歴然たる「情報格差」が存在する(作中ではレベル0-6、ヒロインたる知ルはレベル9というバケモノクラスに設定されている)。現代における「格差」は簡単に言うと「お金をどれだけ持っているか」だが、この世界では「情報にどれだけアクセスできるか」&「自分の情報をどれだけ守れるか」となっている。 つまり、攻撃力と防御力として設定されている。 「悪事千里を走る」とはいうが、特にネットで、高速で広がっていく情報を見ていると、情報が物理的な暴力に匹敵する様を見せつけられているような気分になる。 私は滋賀県に住んでいて、中学・高校時代は京都に通っていた。が、どーーーーも、京都という町が苦手で、大学になってから住み始めた大阪という町の方が親和性があった。ざっくりとした理由は、京都は閉鎖的で、大阪は開放的だったからだ(もちろん、私の年齢、中高という自意識過剰で閉鎖的な思春期だったせいもあると思う)。 ただ、30歳を超えると感じ方も変わってきて、京都という町は平面は非常に狭いけれど、古くからの文化が連綿と維持されている、ひとつの「箱庭的空間」ではないかと捉えるようになった。 そこでは、横の広がり(物理的な空間における専有)よりも縦の広がり(時間による積み重ね)の方が圧倒的に重い。「情報」が時間に伴って積み重なっていくことが「文化」にほかならないのであれば、「情報」を扱うこのSFの舞台が京都だったことが偶然だったのか、必然だったのかが興味がある。
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1章の完成度と圧倒的な面白さは、他に類を見ないほどハイレベル。 ぐいぐいと物語に引き込まれ、その「新しさ」に陶酔させてもらえる。 特に、主人公と恩師のシーンは見事のひと言。 個人的に、「すべてがFになる」を初めて読んだ時に感じた興奮に近い。 それくらい、とんでもないレベルで面白か...
1章の完成度と圧倒的な面白さは、他に類を見ないほどハイレベル。 ぐいぐいと物語に引き込まれ、その「新しさ」に陶酔させてもらえる。 特に、主人公と恩師のシーンは見事のひと言。 個人的に、「すべてがFになる」を初めて読んだ時に感じた興奮に近い。 それくらい、とんでもないレベルで面白かった。 だからこそ、2章以降の展開が残念で仕方ない。 「アスタリスク」のステロタイプすぎる造形なんて、もう。。。 エピローグも、それほど気が利いているとは思えなかった。 1章のテンションのまま、その鋭利で硬質な世界を紡ぎ切ることができていれば。 たぶん、SFの世界に新たな金字塔を打ち立てることが出来たと思う。 そのくらい、1章の素晴らしさは、ちょっとどころじゃなく群を抜いている。 ああ勿体ない。勿体なさ過ぎるなあ。 著者に、恐るべき才能があることは間違いないと思う。 いつかきっと、とんでもない物語を世に放ってくれると信じたい。
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電子処理副脳が義務化されるほど普及した超高度情報社会下に 量子処理を行えるすーぱーヒロインが大降臨 というお話 量子副脳なら現在の充分な情報で高精度未来予測もできるらしい ムジュンとかラプラスとかそういう次元じゃないんである 中編くらいの素材をはったりかまして 語り手にやっぱり天...
電子処理副脳が義務化されるほど普及した超高度情報社会下に 量子処理を行えるすーぱーヒロインが大降臨 というお話 量子副脳なら現在の充分な情報で高精度未来予測もできるらしい ムジュンとかラプラスとかそういう次元じゃないんである 中編くらいの素材をはったりかまして 語り手にやっぱり天才すごい言わせているだけのような気もするが 娯楽作品としてはなんら問題ない
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