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読書について の商品レビュー

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104件のお客様レビュー

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2022/08/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初ショペンハウアー!読書についていろんな考え方を知りたく、小林秀雄の「読書について」に続いて読んだ読書、哲学に関して述べられた本。これを機にほかのショペンハウアーの本も読んでみたくなった! 著者は、文体や体裁のような「読みやすさ」から、作者の思想や思索の深さまで含めた様々な観点から良書/悪書とは何か、をはっきりと主張している。伝わりにくい文章や、よく練られていない内容を出版する作家を痛烈に批判しており、これまで以上に読んだ本に対して、評価する(その本を読むことに使った時間の価値を考える)ことができそうだ。 これまではほとんど評価することはなく、自分にとっての新情報が発見できればいいや、くらいに考えていた。 また、多読についても厳しい意見を述べている。本を読むことで「考える」ことを放棄するのはいかがなものかということである。興味深かった! ただ私は、良書を見極めるための眼を養うためには、一定期間、多読に挑戦しても良いのではないかと思う。著者が言いたいことはきっと、読書を自己研鑽の手段として位置付けているにもかかわらず、読書そのものが目的化している人への批判なんだと思うが。   著者に考え抜かれた「読書とは」は、何度も読み返して咀嚼したいフレーズがたくさんあったので、ぜひ購入したい。(基本図書館で借りる人間) P106 ・いい加減に書く人は、初めから自分の思想に大きな価値を置いていないと告白するようなものだ。というのも、自分の思想がいかに重要で真理を含んでいるか確認していれば、情熱がおのずからわき起こる。その情熱は、倦まずたゆまず、最も明瞭で美しい力強い表現を追求するのに欠かせぬものであり、一般の人なら聖遺物や計り知れない価値のある芸術品、金銀の器に対してのみ沸き起こるものだろう。 P138 ・無知は人間の品格を落とす。しかし品格の下落がはじめるのは、無知な人間が金持ちになったときだ。貧しければ、貧苦が枷となり、仕事が知識の肩代わりをし、頭は仕事のことでいっぱいだ。これに対して無知な金持ちは、ただ情欲にふけり、日ごろ目にする家畜と同じだ。さらにそうした連中は富と暇を、もっとも価値あるものに活用しなかったという非難がくわわる P138 ・読書するとは、自分でものを考えずに、代わりに他人に考えてもらうことだ。他人の心の運びをなぞっているだけだ。(中略)したがって読書をしていると、ものを考える活動は大部分、棚上げされる。自分の頭で考える営みをはなれて、読書にうつると、ほっとするのはそのためだ。 P141 ・作家には説得力、イメージの豊かさ、比喩の才能、大胆さ、辛辣さ、簡潔化、優美さ、軽快な言い回し、さらにウィット、意表をつうコントラスト、簡にして要を得た表現、飾り気のなさなど、さまざまな特性がある。だがその作家の作品を読んだからと言って、そうした特性が私たちの身につくわけではない。しかし私たちが、そうした特性を素質として、ポテンシャルとして持っていれば、読書することでこれらを心に呼び起こし、自覚することができる。 P149 ・読んだものをすべて覚えておきたがるのは、食べたものをみな身体にとどめておきたがるようなものだ。(中略)身体が自分と同質のものしか吸収しないように、私たちはみな、自分が興味あるもの、つまり自分の思想体系や目的に合うものしか自分の中にとどめておけない。 ・重要な本はみな、続けて二度読むべきだ。二度目になると、内容のつながりがいっそうよくわかるし、結末がわかっていれば、出だしをいっそう正しく理解できるからだ。また二度目になると、どの箇所も一度目とはちがうムード、ちがう気分で読むので、あたかも同じ対象をちがう証明のもとで見るように、印象も変わってくるからだ。

Posted byブクログ

2022/07/19

「本を買うとき、それを読む時間も一緒に買えたら、すばらしいことだろう。」 「読んだものをすべて覚えておきたがるのは、食べたものをみな身体にとどめておきたがるようなものだ。」 本が沢山あろうとなかろうと、自分の時間は変わらない。そして、読んだ本を消化して自分の中に落とし込むのもま...

「本を買うとき、それを読む時間も一緒に買えたら、すばらしいことだろう。」 「読んだものをすべて覚えておきたがるのは、食べたものをみな身体にとどめておきたがるようなものだ。」 本が沢山あろうとなかろうと、自分の時間は変わらない。そして、読んだ本を消化して自分の中に落とし込むのもまた時間が必要である。読んだ本を忘れない、という人がすごいと思ってた。でも、大事なのは内容を覚えてるだけじゃなくて自分の中に取り入れること。自分の、思索体系に。 読めなくて苦労する本があっても、それは自分に間違いじゃないことがわかった。 前読んだ岡本太郎の本に「知識は積み上げるな、むしろ蹴飛ばしてしまえ」と書いてあったのはこういうことか、と思った。岡本太郎もショーペンハウアーに読みふけっていたそうだ。なんとなく、つながった。 『著述と文体について』ではドイツ語の乱れと金儲けのために物書きをする風潮を激しく批判しいる。ショーペンハウアーは言葉を非常に大切にしているのだと感じた。それゆえに考えなしに言葉を使うこと、もとより乱れた言葉を使うほど何も考えてないことを鋭く批判している。 自分の頭で考えろ。 哲学の先人に、言葉で殴られた気分になるほど目が覚める本だった。

Posted byブクログ

2022/07/18

ショーペンハウアー「読書について」読了。3つ小論で編成されどれも参考になった。読書に関する事はもちろん文章を書くための明快な指摘が良かった。例えばタイトルはシンプルでわかりやすい事。生真面目なショーペンハウアー先生が愚痴を溢しながら説教してくれる様子が幾度となく思い浮かんだ。

Posted byブクログ

2022/07/09

私は少なからず読書信者なところがあるけど、そこに釘を刺される機会を与えてくれる本だった 知識を蓄えることは大事だけど、何より大事なのは自分の頭で考えること それは自分の考えなのか他人の考えなのか吟味することを怠れば自分自身の核が失われてしまうだろう ✏こうして見ると、自分の頭...

私は少なからず読書信者なところがあるけど、そこに釘を刺される機会を与えてくれる本だった 知識を蓄えることは大事だけど、何より大事なのは自分の頭で考えること それは自分の考えなのか他人の考えなのか吟味することを怠れば自分自身の核が失われてしまうだろう ✏こうして見ると、自分の頭で考える思索家と博覧強記の愛書家を、その話しぶりに接するだけで容易に見分けられるのは不思議ではない。自分の頭で考える思索家は、真剣で、直接的で根源的なものを取り扱うという特徴があり、自分の考えや表現をすべてみずから検証してゆく。これに対して博覧強記の愛書家は、なにもかも二番煎じで、使い古された概念、古物商で買い集めたがらくたにすぎず、複製品をまた複製したかのように、どんよりと色あせている。型どおりの陳腐な言い回しや、はやりの流行語から成る彼の文体は、他国の硬貨ばかり流通している小国を思わせる。すなわち自分の力ではなにも造り出せないのだ。 ✏セネカが言うように「誰だって、判断するより、むしろ信じたい」(『幸福な人生について』Ⅰ、四)からだ。 ✏だが真に価値があるのは、自分自身のために考えたことだけだ。思索者は第一におのずから思索するタイプ、第二に他者を指向するタイプ、この二つに分けられる。 ✏第一のタイプは真の思索家だ。二重の意味で〈Selbstdenker〉、自分の頭で、自分のために考える人だ。本来の哲学者、知を愛する者だ。すなわち、かれらだけが真剣に問題と向き合っている。かれらの生きる喜びと幸せは、まさしく考えることにある。 第二のタイプはソフィスト、詭弁家だ。「~らしさ」を求め、他人の目に哲学者らしく映ることに幸福をもとめる。かれらはこれを真剣に追究している。二つのタイプのどちらに入るかは、やり方全般をみれば、ほどなく気づく。リヒテンベルクは第一のタイプの鑑であり、ヘルダーは第二のタイプに入る。 ✏思想の価値を決めるのは、素材か、表現形式だ。素材とは「何について考えたのか」であり、表現形式とはどう素材に手を加えたのか、「どう考えたのか」だ。 ✏したがって有名な本なら、それは素材のおかげか、表現形式のおかげか、よく区別しなければいけない。 ✏しかしながら一般読者は表現形式よりも、素材にずっと多くの関心を向け、まさにそのためになかなか教養がつちかわれない。 ✏何ひとつ悪とみなさない人間にとって、善もまた存在しない。 ✏「どのように」考えたか、つまり思索の根っこにある特徴と一貫したクオリティを精確に写し出したのが文体だ。文体は、?その人の全思想の外形的特徴であり、「何を」「何について」考えていようとも、常に同じはずだ。 ✏読書するとは、自分でものを考えずに、代わりに他人に考えてもらうことだ。

Posted byブクログ

2022/06/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

印象に残った言葉 読書は自分で考えることの代わりにしかならない。 自分の思索の手綱を他人に委ねることだ。 習得しただけの真理は、義手や義足、義歯、蝋製の鼻やせいぜい別の肉でこしらえた降鼻術のように、私たちに貼り付いているにすぎない。だが自分で考えて獲得した真理は生まれながらに備わっている四肢に等しい。それだけがほんとうに私たちの血となり!肉となる。考える人と、単なる物知りとの違いはここにある。

Posted byブクログ

2022/03/23

自らの頭で考え、読書することの大切さを教えてくれる作品です。 中盤の、当時のドイツ文学会への批判は、やや執拗かつ冗長に感じたため、読み飛ばしました。これらの批判的な考えは、当時の学問の発展においては重要な意義をもっていたのかもしれませんが、現代人には共感しにくいもののように思いま...

自らの頭で考え、読書することの大切さを教えてくれる作品です。 中盤の、当時のドイツ文学会への批判は、やや執拗かつ冗長に感じたため、読み飛ばしました。これらの批判的な考えは、当時の学問の発展においては重要な意義をもっていたのかもしれませんが、現代人には共感しにくいもののように思います。

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2022/03/13

読書について知見を広めたくて色々漁ってたら見つけた本。普段こういう本って敷居が高くて手が出しにくいけど、電子書籍になってたので結構読みやすかった。 まず、ドイツ人、ドイツ文学批判が凄すぎる!笑 著者の豊富な語彙力が巧みに生かされ、辛辣な言葉で言いたい放題。これ、ドイツの人は怒るの...

読書について知見を広めたくて色々漁ってたら見つけた本。普段こういう本って敷居が高くて手が出しにくいけど、電子書籍になってたので結構読みやすかった。 まず、ドイツ人、ドイツ文学批判が凄すぎる!笑 著者の豊富な語彙力が巧みに生かされ、辛辣な言葉で言いたい放題。これ、ドイツの人は怒るのでは?レベル。すごく刺激的。 基本的には読書は良いものである、という考えのもとで話が進むと思いきや、読書ばっかりしてる人間はダメだ!という主張から始まった。面白い。詳細にいうと、読書は他の人の考えを自分の中に落とし込む行為だから、読書ばっかりして自分で何も考えなくなったらオシマイという意味でしたが。 あと古人の名作を読まないで現代人の書いた最新作を読みたがるというくだり。いやいや、現代にも素晴らしい作家はいますよ!と共に、なんだかんだ近代文学は敬遠しがちなので、挑戦してみなきゃダメだなと思った。思ったけど実践するかどうかはわからん。読書は娯楽派だから…。

Posted byブクログ

2022/03/11
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再読 本書は自分で考えるとは何か、本に対する姿勢、読むべき本について書いた本。本書の内容と自分の考えを以下にまとめる。 まず自分の頭で考えると言う事は、自説を立てて後から得た情報をもとに学ぶ。だから自説を補強するに過ぎない。しかし本ばかり読んでいる人は本から拾い集めた考えで全体を構成しており肝心となる骨組みがない。だから本を読むより思考に励むことが重要。 本書引用 「頭の中は本の山 永遠に読み続ける。悟ることなく。」ーポープ  「誰だって、判断するより、むしろ信じたい。」ーセネカ 本はあくまでも助言であり、正解ではない。しかし信じてやまない人が多くいるために、ポープやセネカの言葉を用いて説明したのではないだろうか。 怪しい宗教や著名人の考えを一部切り抜いた記事がはびこるのも説明がつく。 思考することをやめ、他人の考えを信じてしまえば楽なんだろう。しかし人生はそんな簡単なものではない。その人はその考えで上手くいったが、誰にでも当てはまることではないと思う。つまり人生とは自分で思考し模索しながら自分だけの正解を探していく旅だと思う。 次に読書する姿勢について。読書っていうのは他人の考えをなぞる行為であると言う事、つまり本を読むばかりでは骨休めになっても自分の頭で考える能力はつかない。本当に自分の力になる時は反芻しじっくり考えたときだけ。 本書引用「書き記された思想は砂浜の足跡以上のものではない。歩行者のたどった道は見えるが、歩行者が見た景色が見えない。」 本はあくまでも他人の思想だ。自分の思想ではない。 だから思考や体験を通して自らの思想を確立する必要がある。いつまでも他人の思想に寄りかかっていては自分の生を本当の意味で生きることができない。 自らの目で人生を見つめ、自らの足で人生を歩むのだ。 最後に読むべき本について。本書ではもっぱら不朽の名作をお勧めしている。 そして「現代人が古人について書いた本は大したことない。」と述べている。 この考えに関してはいかがなものかと思う。確かに今もなお、読み継がれている作品は良書が多いが、中には現代にも当てはまるのだろうかと思う作品も少なからずある。 名作には読み継がれる理由があるのも理解できるが、だからといって現代人が書いた本は大したことないと言うのは誤りでは無いだろうか。現代の作品が今後読み継がれる可能性も充分にある。名作は確かに良いが、そればかり読むのはどうなのだろうか、現代人の柔軟な思考をした作家の作品も読むべきだと思う。  これに関しては自分の中ではっきりとした正解が出ていない為に少しあやふやだ。 ショーペンハウアーの他の作品も気になるな。

Posted byブクログ

2022/03/01
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「著述と文体について」 文章には主張・思想が必要である/それを伝えるために簡潔・明解でなければならない/したがって正しい言葉を使わなければならない、ということをブチギレながら3、4回は繰り返されるので、疲れる。サラウンドで怒鳴られている気分。自分がどこを歩いているのかわからなくなる。 それを除けば、主張が丁寧に、何度も出てくるので読みやすい。

Posted byブクログ

2022/03/24
  • ネタバレ

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ショーペンハウエル 18.19世紀のドイツ文豪で、ゲーテとも関わりがある。 外国の方の書いた本を読んだのはいつぶりか分からないが、やはり日本の本とは全く違う視点で書かれていて新鮮だった。ドイツの国民気質や歴史についても少し知る事ができた。 全体的に比喩が巧みであり、切れ味のある文章だと感じた。本文でも述べられていたが、物事の本質を理解するには、身近な比喩が出来ることが重要となる。それを自ら体現していると感じた。 読書をすることは、自分で思考するのを辞めて、他人に代わりに思考してもらっている状態である、という指摘。どうすれば良いか、流行りの本ではなく、昔から廃ることなく読み継がれている良書を読み、続けて2度読み、思考するべき。

Posted byブクログ