愛の夢とか の商品レビュー
心象風景だけで物語が進行していく感じ。 この人はたまらなく文章がうまい。はっとさせられる表現が何度もでてくる。 曖昧模糊とした感情を文字で掬い上げることができるのは才能よなぁ。 「アイスクリーム熱」、とかめちゃくちゃリアル。あの、わーっと叫んでしまいそうな話をこんなに落ち着いた...
心象風景だけで物語が進行していく感じ。 この人はたまらなく文章がうまい。はっとさせられる表現が何度もでてくる。 曖昧模糊とした感情を文字で掬い上げることができるのは才能よなぁ。 「アイスクリーム熱」、とかめちゃくちゃリアル。あの、わーっと叫んでしまいそうな話をこんなに落ち着いた文章に落とし込めるとは。 全体的にふわふわしてる不思議なはなしなんだけど、妙にリアル。その塩梅が絶妙で好き。
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「アイスクリーム熱」が気になって手に取ってみたけど、どの話も良くて、「十三月怪談」は汝、星のごとくぶりに小説を読んで泣いた。だんだんひらがなが多くなってくのに気づいたときは本当に切ない気持ちになった。時子と潤ちゃんの見えてる世界が違うのも、色んな解釈の仕方ができるんだよな…(2023.8.)
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日曜日はどこへ。今更執着してるわけではないけど忘れられない約束の話。 お花畑自身。自分と他人の境界の話。夫にすべてを誂えてもらっているいっぽうで、買い手には「あなたのものじゃない」と思う感じ、わかりたくないけどわかる。 十三月怪談。愛の話。切なくて泣きそうになった。
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五月、図書館の入り口に、 「いちごの本」と題したコーナーができていて、 その中にあったこの本に目がとまりました 読み終わったのは真夏ですが、、、 めんどくさい女ばっかりで、 男もややこしく、 物語もあいまいで、 フワフワとモヤモヤしながら、 なんとなく読み進めてしまった 読...
五月、図書館の入り口に、 「いちごの本」と題したコーナーができていて、 その中にあったこの本に目がとまりました 読み終わったのは真夏ですが、、、 めんどくさい女ばっかりで、 男もややこしく、 物語もあいまいで、 フワフワとモヤモヤしながら、 なんとなく読み進めてしまった 読了になんだか体力がもってかれました まあそんだけ心が揺れた、そんな本でした。
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装丁と帯と中身が合っていないような気がする。 全体を通して、時間を持て余した女の執着は怖いと思った。 ひまな女たちの頭の中に入り込んだようで、 自分もがんじがらめになった気分になる。 この閉塞感との美しい装丁は計算されたものなんやろか。だとしたら毒々しい。 (全て褒めている)...
装丁と帯と中身が合っていないような気がする。 全体を通して、時間を持て余した女の執着は怖いと思った。 ひまな女たちの頭の中に入り込んだようで、 自分もがんじがらめになった気分になる。 この閉塞感との美しい装丁は計算されたものなんやろか。だとしたら毒々しい。 (全て褒めている) 読み終わった後みなさんとの感想の違いに驚き。
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十三月怪談がすごくよかった 涙が出た。読み進めていったら時子が見ていたその後の潤一は、彼女が自覚していたようにやっぱり夢と現実の間で、彼女の中に強く残っていた気持ちというか思念のようなものが形作ったものだと感じて切なかった。彼には一人のままじゃなく誰かと一緒に生きてくれたら本当に嬉しいという気持ちを持ちながら、いつの間にか過去疑っていた彼の元職場の女性が彼を支えている、彼らは二人の間にはいなかった子供を持つ、その子供から「見られた」気がすることによってまた生きることについて噛み締めて、胸を痛くしながらも潤一の幸せをぼんやり受け止める時子、全部が溶け合ってぼんやりしていったとき、もっと潤一と生きていたかったという時子の気持ちが苦しかった。 死んだ後のことなんてわからないのに時子の語りはすごくリアルに感じた。大事な人の幸せを願うのは本当なのに、自分以外とはもう結婚しないと言ってくれたことを思い出したり、過去の気になっていた女性の影のことをなぜか思い出してしまったり(生きていた時の時子が嫉妬深かったことがこんな形になったのかと思うと苦しさもある)、大事なことと胸の奥にあったかけらのようなものが混ざって作られた世界でどこへも行けない、夢のようだけど現実的で、死んだらこういう風になるのかもなぁとか思ってしまった。幽霊という言葉はぴったり来ないな 残された潤一も見ていて胸がぎゅっとなった。時子が見ていたのと違う形で時子の記憶は薄くなって彼は生きていくけれど、息を引き取るまでの長い時間に時子との時間が過ごせてよかった。時子がふわふわとした狭間の間でこのままずっとここにいて潤ちゃんとまた会えるのを待っているのかもしれない、と思っていたから、二人の狭間が繋がったんだと思った。そこからのいまはずっと続いて欲しい。切なくて怖くてでもあたたかい、好きな物語だった。
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愛とか恋に関わる短編集。 川上未映子さんの本は描写が繊細で、字を読んでいるはずなのに風景や人、お店が目の裏に浮かび上がってきて面白い。 こだわりぬいた家を手放すことになった主婦目線の「お花畑自身」と、病死した妻とその夫目線のお話の「十三月怪談」がとても良かった。 後者の方は、魂だけになった妻が、だんだん自我を無くしていく様子をひらがなを多用することで表現されていて、そのままふっと消えてしまったのかなあと思ってしまうほどだった。表現力がすごい。 妻が魂となって見ていたのは数年後他の女性と新しい家庭を築いた夫だったけれど、現実の夫は実家に戻り生涯を終えていて、どちらが本当だったの?と思ったけれど、妻は明晰夢を見ていたと感想を書かれている方がいて、なるほどと思った。
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「十三月怪談」があまりにも良すぎた。短編集で初めて泣いた。 色々な台詞が胸に刺さり、お話自体はシンプルで短いのに信じられないほど感情移入してしまった。 あとは「アイスクリーム熱」もとても好きです。 図書館で借りたけど、この本は手元に置いておきたくて、読了後すぐにAmazonで...
「十三月怪談」があまりにも良すぎた。短編集で初めて泣いた。 色々な台詞が胸に刺さり、お話自体はシンプルで短いのに信じられないほど感情移入してしまった。 あとは「アイスクリーム熱」もとても好きです。 図書館で借りたけど、この本は手元に置いておきたくて、読了後すぐにAmazonで購入。
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2013年発刊の短編集。 「日常がゆらいで光を放つ瞬間をとらえた、心ゆさぶる(オビより)」7つの短編が収録されている。 看板に偽りなし。いずれもすばらしい短編。 とくに、最後の2篇は衝撃的とすら思えた。 お家が好きすぎて自分自身がお庭になっちゃう「お花畑自身」と妻の発病から死、...
2013年発刊の短編集。 「日常がゆらいで光を放つ瞬間をとらえた、心ゆさぶる(オビより)」7つの短編が収録されている。 看板に偽りなし。いずれもすばらしい短編。 とくに、最後の2篇は衝撃的とすら思えた。 お家が好きすぎて自分自身がお庭になっちゃう「お花畑自身」と妻の発病から死、死の瞬間の妻の意識、残された夫をフラットに描く「十三月階段」。 終盤に畳み掛けられます。注意。 村上春樹さんとの対談集「みみずくは黄昏に旅立つ」を読んだからなのか、オマージュなのかな?と思うくらい村上さんの影響を強く感じる部分があって、新たな発見というか、おもしろかった。
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うーん…。感覚的。人が頭の中で思考する、それ以前に感じる、思う時は非言語の様々な情報が交錯するはず。その一部を文章表現という形にするのも小説を書く上での1つのアプローチだろうと。その要素が特に多い印象。面白いと言えば面白いが、それが丸一冊続くとなると個人的にはちょっとキツかった。...
うーん…。感覚的。人が頭の中で思考する、それ以前に感じる、思う時は非言語の様々な情報が交錯するはず。その一部を文章表現という形にするのも小説を書く上での1つのアプローチだろうと。その要素が特に多い印象。面白いと言えば面白いが、それが丸一冊続くとなると個人的にはちょっとキツかった。面白いのは確かなんだけど。
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