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愛の夢とか の商品レビュー

3.8

97件のお客様レビュー

  1. 5つ

    18

  2. 4つ

    41

  3. 3つ

    21

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

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2022/04/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「十三月怪談」 とても美しい話だった。 人は死んだら神様みたいになって、生きているとき大切だった人をニコニコ見守っているんじゃないかなんて夢想で、やっぱり生きている時同様、いやそれ以上に不安を抱えて誤解して嫉妬して、でももっと深く愛したりして。意思疎通は叶わなくても相互に影響しあっている点が愛おしいな、本当にそうだったらいいなと思った。死はやっぱり恐怖で、死別はうんと悲しく寂しいけど、死者にも生きる者にも救いはあるように思える。 十三月=12月をおわりとせず、続いていること。永遠性を表現しているのかと。 怪談=無論、これは客観的には怪談の部類。 「日曜日はどこへ」もよかった。喪失の物語。 「お花畑自身」は恐ろしかったが、惹き込まれるように読んでしまった。 他の短編は咀嚼しきれない部分もあったが、細かな表現が好きなものがいくつかあった。 著者は、関西弁でキレのある文章、というイメージが強かったが、この短編集もまた魅力的。

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2021/10/06

一人称で書かれた作品が多かった。 比喩方法、語尾選択、文章の長さ、、余り好きなタイプでは無かった。2007年から2012年に発表された作品。 今(2021年)書いていらっしゃるものが変化しているか、は興味がある。

Posted byブクログ

2021/02/02

『アイスクリーム熱』 「うまく言葉にできないということは、誰にも共有されないということでもあるのだから。つまりそのよさは今のところ、わたしだけのものということだ。」 『お花畑自身』 読んでて怖さと不安さをよく感じた。多分この女性は世間で言うお花畑なんだろうけど、そこまでの執着は...

『アイスクリーム熱』 「うまく言葉にできないということは、誰にも共有されないということでもあるのだから。つまりそのよさは今のところ、わたしだけのものということだ。」 『お花畑自身』 読んでて怖さと不安さをよく感じた。多分この女性は世間で言うお花畑なんだろうけど、そこまでの執着はそのひとにとっての愛そのもので作り上げたものだと思うと恐怖だし、そういう執着する愛は不安定だなと思う。 『十三月怪談』 2人が見たり経験したものは異なるものだったかもしれないけど、確かに2人は愛し合っていてそれが全てだなと思った。先のことは関係なくてそうであった事実があってそれだけでよかった。 『日曜日はどこへ』もよかったな

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2020/10/06

こんなこと、本当にあるのだろうかと思いつつ、どこかふわふわしつつも冷静に物語の世界を味わってしまう。 失ったものは決して戻ってこないのだけど、そのことに対するひとりひとりの登場人物から生まれる考え方や行動はときに突拍子もなく、ときにあまりに偏ったりもするけれど、なぜかちょっぴり...

こんなこと、本当にあるのだろうかと思いつつ、どこかふわふわしつつも冷静に物語の世界を味わってしまう。 失ったものは決して戻ってこないのだけど、そのことに対するひとりひとりの登場人物から生まれる考え方や行動はときに突拍子もなく、ときにあまりに偏ったりもするけれど、なぜかちょっぴり愛しくなるのは何故だろう。

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2019/11/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『アイスクリーム熱』  アイスクリーム屋の店員と常連客の小さな小さな恋?物語。 「うまく言葉にできないということは、誰にも共有されないということでもあるのだから。つまりそのよさは今のところ、わたしだけのものということだ。」  このフレーズ好き。 『愛の夢とか』  表題作。隣に住んでいるということ以外接点のない2人の女性が、リストの「愛の夢」を通じて交流する。 『いちご畑が永遠につづいてゆくのだから』  決定的にすれ違ってしまった2人のきまずい時間。あるのはいちご。いちごの専用スプーン。いちごは何の比喩なんだろう。 『日曜日はどこへ』  とある作家が死んだら会おうと約束した昔の恋人たち。女は約束の地へ足を運ぶが、彼が来ることはなかった。 『三月の毛糸』  産前の京都旅行。毛糸の夢。 「その世界では、三月までもが毛糸でできあがっているのよ」 『お花畑自身』  夫の庇護のもと豊かな生活を送っていた女性。ある日夫の事業が失敗し、お気に入りの家が競売にかかる。手をかけた庭も、お花畑も、買主のものに。  飼われるということはそういうこと。この妻の現実感のなさがまさにお花畑。 『十三月怪談』  結婚して間もない若い女の死。死後彼女が見る世界。彼女の死後夫が歩む人生。意識や魂はその人自身の中にあり、現実世界とは交わらないのかもしれないなと、そんなことをぼんやり思う。  以上7つの短編集。どれもふわふわしたどこか現実感に欠ける女性が主人公で、「交わらなさ」が描かれる。

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2018/08/29

最初のお話は、ひゅっと冷たいものが懐かしさを連れて通ったような感じがしました。 何度も何度も読み返したいです。たぶん、女としての節目に読み返すと思います。

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2018/05/27

川上未映子さんの作品を読むのはは『乳と卵』についでこちらが2作目なのですが文体が独特ですね。ラフな流れるような語り口で深いテーマを語るような…。7つの短編なのですがすっきりハッピーエンドではなくどこか切なさが残るお話が多かったです。『日曜日はどこへ』は読者の期待通りの展開なら雨宮...

川上未映子さんの作品を読むのはは『乳と卵』についでこちらが2作目なのですが文体が独特ですね。ラフな流れるような語り口で深いテーマを語るような…。7つの短編なのですがすっきりハッピーエンドではなくどこか切なさが残るお話が多かったです。『日曜日はどこへ』は読者の期待通りの展開なら雨宮くんが現れるのだけど現れない。後日談もない。だけどそこが妙にリアルというか。 誰も知らない場所なんて。どうやっても辿りつけるわけがなく、そんな場所はこの世界のどこにもありはしないのだ。 というのが否応なしに現実的で胸が痛いのだけど、共感をさそって切なさに浸ってしまうのでした。 『お花畑自身』は女性の内面の自分ですら気づけないエゴ的などろっとしたものが見られて、狂気を感じました。また家の買い手が主人公の生き方を見下げているようなところ、グサリときました。辛辣でしたね。 最後の『十三月怪談』は、死んだらどうなるのか?という誰もが1度は考える疑問にこたえるような作品で、体は無くなって意識だけが残っている状態、なるほどこんな感じかもなぁ…と思いつつ切なすぎてたいへん辛かったです。 本のタイトルである『愛の夢とか』はとてもチャーミングなお話で好きです。今はちょうど薔薇の季節ですしね。愛の夢を聴きながら読むといいかも。 全部の作品、儚い感じがしてそこがよかったかも。

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2017/02/01

「どこか知らない場所へなんて。誰も知らない場所なんて。どうやったって辿りつけるわけがなく、そんな場所はこの世界のどこにもありはしないのだ。」この絶望感よくわかる。

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2016/04/28

2016/4/28 雰囲気を読むような短編集。 「十三月怪談」 愛する人を遺して死ぬ。死後、相手がまた恋をして幸せに暮らしているお話とひとりで暮らすお話。どちらがいいんだろう。「幸せになって」と言いつつも自分を蔑ろにされたようで寂しいのかもしれない。自分の心の狭さ見せつけられた...

2016/4/28 雰囲気を読むような短編集。 「十三月怪談」 愛する人を遺して死ぬ。死後、相手がまた恋をして幸せに暮らしているお話とひとりで暮らすお話。どちらがいいんだろう。「幸せになって」と言いつつも自分を蔑ろにされたようで寂しいのかもしれない。自分の心の狭さ見せつけられた気分。

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2016/04/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

装幀が好み。 つかみどころのない感じで、おもしろいのかよくわからないまま読む。 「愛の夢とか」の『ビアンカ、でお願いします』の文章からぐぐぐっとおもしろさで満たされる。 「十三月怪談」の切ない感じが好きだった。 泣きそうになりながら読む。 読み終わって、心地よさでいっぱいになった。 好きでした。

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