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評価と贈与の経済学 の商品レビュー

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100件のお客様レビュー

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2023/10/23

岡田:……うちの学校の生徒にはぼくと話している時でも平気でケータイを操作する子がいるんですよ。恋人や友達と一緒にいる時でも同じなんです。なぜかって考えると、それって彼らの中での礼儀作法なんですね。……ぼくらの古典的な考えでは、第一世界のほんとうに大事なときはケータイいじらないって...

岡田:……うちの学校の生徒にはぼくと話している時でも平気でケータイを操作する子がいるんですよ。恋人や友達と一緒にいる時でも同じなんです。なぜかって考えると、それって彼らの中での礼儀作法なんですね。……ぼくらの古典的な考えでは、第一世界のほんとうに大事なときはケータイいじらないって思いますけど、ほんとうに大事な時でも彼ら彼女らはいじるんですよ。それは「自分のなかで複数世界がレイヤー構造になっているという真実」を目の前で見せるという行為を通じて、「各レイヤーのマネジメントをするリアルな姿まで見せてるのは、あなたが大切な人だからだよ」というメタ・メッセージを送っていることになると考えているからだと思います。(pp.125-6) 内田:サンデル教授に「こっちを選ぶと五人死んで、こっちを選ぶと一人死ぬ、さあどちらを選びますか?」っていう問題があったけれど、そういう決断をするように追い込まれるってことは「間違った決断」を連続的に下し続けてきたことの結果なんだよ。それは「問題」じゃなくて「答え」なの。そんな決断しかねる窮地に直面するはるか手前で、そういう羽目に陥らないようにするため、何をしたらいいかを考えなくちゃ。……(p. 199)

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2022/01/14
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岡田 大事なときでもスマホをいじる 「自分の中で複数世界がレイヤー構造になっているという真実」を目の前でみせる行為を通じて 「各レイヤーのマネジメントをするリアルな姿まで見せてるのは、あなたが大切な人だよ」というメタ・メッセージを送っている

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2018/11/18

内田センセイの「贈与経済」に賛同している者として見過ごすことのできなかった一冊は、内田ファンだという岡田斗司夫との対談本。 意見の合うところもあれば、まったく食い違うところもあったが、それでも内田センセイの「贈与経済」のコンセプトをさらに進化させたのはさすが。彼の言う「評価経済」...

内田センセイの「贈与経済」に賛同している者として見過ごすことのできなかった一冊は、内田ファンだという岡田斗司夫との対談本。 意見の合うところもあれば、まったく食い違うところもあったが、それでも内田センセイの「贈与経済」のコンセプトをさらに進化させたのはさすが。彼の言う「評価経済」は「贈与経済」とほぼ同じコンセプトだ。 また、ウチダ本特有の流れるような論理展開は、この本の中でも生きている。岡田の「イワシ化する社会」「拡張型家族」といった現代を表す秀逸なコピーが、二人の対談の潤滑油になっていて、意見が異なることはあっても流れはよどみなく、いちいちストンと落ちてくる。 それにしても、「YMO」に注釈が付いていたのは軽くショックだった。(YMOをリアルで知らない人はもうかなりたくさんいるのか。。)

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2018/06/06

まえがきで、全く別の視点・立場みたいに書かれていたけど、基本的には同じスタンスの両者の対話。だからといってつまらない訳ではなく、相変わらずの内田節も堪能出来るし、ちょいちょい繰り込まれる斬新な岡田案も見どころ。血縁的な意味じゃなく、共同生活的な大家族の構想、良いですね。究極的に磨...

まえがきで、全く別の視点・立場みたいに書かれていたけど、基本的には同じスタンスの両者の対話。だからといってつまらない訳ではなく、相変わらずの内田節も堪能出来るし、ちょいちょい繰り込まれる斬新な岡田案も見どころ。血縁的な意味じゃなく、共同生活的な大家族の構想、良いですね。究極的に磨くべくは、小手先の金銭的嗅覚じゃなく、大きな意味での人間性ってのも納得。ただ、腑には落ちるんだけど、いざそれを実行に移すっていう段になると、どうしても困難を感じる。人間性の研鑽は、誰でもいつからでも始められるわけで、まずはそこを深く意識することですね。

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2017/11/23

報酬は運である。だから成功したら他人に回さないといけない。 日本はもともとこんなに働かなくてもよい社会だったのに、働かないといけない社会に追い立てられた。その結果として経済的繁栄を手に入れた。経済的繁栄は個々人の強制的な労働参加=貧困化の代償 人間の作る集団のベースには、御飯を一...

報酬は運である。だから成功したら他人に回さないといけない。 日本はもともとこんなに働かなくてもよい社会だったのに、働かないといけない社会に追い立てられた。その結果として経済的繁栄を手に入れた。経済的繁栄は個々人の強制的な労働参加=貧困化の代償 人間の作る集団のベースには、御飯を一緒に食べるなどの生活習慣を置くべき。生活は惰性が強い。そこがしっかりしていればどんなに感情的に対立しても生活ベースの関係は瞬間的には解体しない。 現代人はスナフキン的ではない。人に迷惑をかけられたくない、という気持ちが先行するから、いきなりセーフティーネットなしで路上に放り出される 決断を迫られている時点で負け戦。いつも正しい道を行っている人は分岐点を経験しない。こんなのこっちに決まってるじゃん、というのが正しい選択であって、その時には決断しているという意識はない。 アメリカ人は危機的な状況を予防する、という発想が乏しい。どうすればトラブルが起こらないようにできるか、という事に知恵を使わない 国家成立に王がいないと嫉妬的なものを国民性として持ってしまう。王がいたら順風満帆な生き方も工程できる。 漢文や世界史なんて子どもにはその価値は分からない。それでいい。それを教えるのは今の君にではなくて君の眠っている知性に対してだから。教える側が教わる側の潜在的な知力に対して敬意を持って接しなければ知性は開花しない。花に水をやるのと一緒。芽が出ると信じて、日に当てて、水やりする。学校教育の必要条件は、気長に待つ、ということ。 恋愛感情よりも信頼と信義をベースにして結婚を考えるべき。恋愛至上主義というのは、豊かで安全な社会のみで存立可能なイデオロギー。豊かでも安全でもない社会では、社会性の高さを重くみるようになって当然。配偶者を選ぶ時に、ルックスとかセンスではなくて、市民的成熟を条件に挙げるような時代がもうすぐそこに来ている。セックスアピールは歴史の関数だから時代とともに揺れ動く。これからの時代一番頼りになる人間的素質は「人柄の良さ」。多様なチャンネルを持っていて、質の高い相互扶助関係ネットワークに登録されている人の方が生き延びる確率が高い。結婚相手として一番いいのは、誰と結婚しても幸福になれる人。 女の子にも幼児化したい、甘えたいっていう顔貌があるからお互いに相手に求めているものは同じ。つまり母親。モテる男は母親になれる男。相手の幼児性を暖かく許容することができる男。 20世紀は金でかいけつできた。でも21世紀になってそういうシンプルな生き方はできなくなった。まず金がない。次に、本当に必要なものは金では買えない。そういう状況から共同体論が生まれた。

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2017/10/31
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これからの日本社会、若者はどう生きていくべき?という視点から、縦横無尽に対談は進む。よく言いがちな「世代的に恵まれている・いない」は幻想である、という話は、ハッとさせられる。報道に刷り込まれてきた部分はあるから。受動的にしか見れないTVはほとんど見ていないけれど、気をつけないと。 結婚についての内田さんのお話。 《一番頼りになる人間的資質は「人柄の良さ」です。多様なチャンネルを持っていて、質の高い相互扶助関係ネットワークに登録されている人のほうが生き延びる確率が高い。》 《失業したときに食わせてくれるけれど恩着せがましくしない人、病気になったときにぶつぶつ言わずに手厚く看病してくれそうな人》なるほど~~!! 岡田さんの、会社に給料払って働くというシステム、面白い。学校制度も、フリースクールが普通の選択肢のひとつになったり、留学したければもっと手軽に行かせてもらえたりすればいいのに…と、読みながらも妄想拡がる。 頭を動かす着火剤になりうる一冊。

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2017/07/19

内田樹と岡田斗司夫の対談本です。両者とも、他の著書で述べているのと同様の主張をおこなっていて、対談を通じてお互いの論点が深まると言った印象は薄いように感じました。 現代の資本主義の行き詰まりを指摘する声は多いのですが、共産主義という実験が頓挫して以来、説得力のある新しいモデルは...

内田樹と岡田斗司夫の対談本です。両者とも、他の著書で述べているのと同様の主張をおこなっていて、対談を通じてお互いの論点が深まると言った印象は薄いように感じました。 現代の資本主義の行き詰まりを指摘する声は多いのですが、共産主義という実験が頓挫して以来、説得力のある新しいモデルはいまだ提出されるに至っていません。岡田は従来の一枚岩のリアルな世界とは異なるネット社会における人のつながりに新しい可能性を見出そうとしており、内田は人類学的な知見を自由に読み替えながらオルタナティヴを示そうとしているのですが、その両者が奇しくも同じような結論に至ってしまうのは、やはりおもしろいと感じました。

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2016/09/24

拡大家族をつくる必要は共感できた。 複数をマネジメントしている姿を見せることが礼儀というのもなるほどと。

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2016/06/04
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※このレビューにはネタバレを含みます

岡田の「社員が社長に給料を払う会社」「家族株式会社」という発想は極端に例示することによって議論を広くしていて好ましい。前者は実践しているというから迷惑千万だろうなと苦笑はするが。究極の選択という局面を迎えていることがすでに失敗で、選択肢は「悪い」「すごく悪い」の二択を必然と余儀なくされているというアフォリズムに共感。また、アメリカという国が歴史的にこの二者選択に自らを追い込んだ上にダッチロールして解決していくというストーリーを好んでいるに過ぎないとの指摘も慧眼だと思う。それは人格の成長ではなく、単なる回復、復旧でしかない。

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2015/12/07

堅い題名であり、とっつきにくい感じがあったが、実際には、内田氏と岡田氏の対談をまとめたものであり、簡単に読める。 ただし、内田氏と岡田氏のレベル差というかコメントの重さが明確に分かってしまう形になっており、やや微妙。(明らかに内田氏の話す部分の方が、よく考えられていて、重みがある...

堅い題名であり、とっつきにくい感じがあったが、実際には、内田氏と岡田氏の対談をまとめたものであり、簡単に読める。 ただし、内田氏と岡田氏のレベル差というかコメントの重さが明確に分かってしまう形になっており、やや微妙。(明らかに内田氏の話す部分の方が、よく考えられていて、重みがある。岡田氏は全体的に微妙な役回り。経歴を見る前は、イキがった若者が内田氏にチャレンジしているのかと感じた。) 共同体の在り方とか、社会構造とか、色々考えさせられるが、やはり、本著の中でも指摘されているが、結婚が相対的にしづらい(相手に求めるものが大きすぎる)ようになっており、人間社会(動物社会?)の基本である結婚して子供を産み育てるという社会構造が成り立たなくなってしまった世代が不幸にもあったことは、社会にとっても不幸だったのだろう。最近の若い世代は、団塊ジュニア世代を反面教師にしているので、結婚・出産への意識が高いのは朗報。ただし、本著で言われているように、夫婦が双方一生懸命労働して、ようやく小さな家族が養えるという状況。 思わずメモした小噺。なぜ、校長先生の話はつまらないのか。 話法には、3つある。 みんなに話す あなたに話す 空中に話す

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