評価と贈与の経済学 の商品レビュー
◼P54:成功が運っていう言葉の意味は、成功というのは基本的に他人が手を差し伸べてくれて、「あ、すいません」つてひきあげてもらってようやく岸にたどり着いた、っていうようなことです。自分で這い上がったわけじゃないよ。 ◼P57:いま若い人に一番足りないのは、「努力あるいは才能に対す...
◼P54:成功が運っていう言葉の意味は、成功というのは基本的に他人が手を差し伸べてくれて、「あ、すいません」つてひきあげてもらってようやく岸にたどり着いた、っていうようなことです。自分で這い上がったわけじゃないよ。 ◼P57:いま若い人に一番足りないのは、「努力あるいは才能に対する報酬は、いつか必ず来る」っていうことに対する素直な信仰だと思う。 ◼P62:自分で「こんな、いいことしてるおれって、ほんとにいいやつだな」って思えれば、それだけで生命力って向上するんです。医学的な統計を取ればわかると思うけど、道ばたのゴミ拾ったり、電車で妊婦に席譲ったりしたあと、計測したら臓器の機能とか上がっているとおもいますよ。いきことって、した時点にすでに報酬を得てるんですよ。 ◼P91:社会的に弱い立場の人にもちゃんと社会的上昇のチャンスを提供するパイプライン ◼P94:他人の為にそれができる人を豊な人と呼ぶわけで、豊な人になるために努力するのが社会人の義務だと思う。 ◼P128:当たり前に見えることが実は無数の人間的努力の総和なんだということを思い知るって、ほんとうに大切なんです。 ◼P132:先生は答えを教えなくていいんです。最終的な回答を与えないのが先生の仕事なんですから。〜もんだいは、どういうふうにすればその子が自学自習のシステムを自分で発見して、エンドレスの成熟プロセスに自分を放り込むようになるか、それだけなんですから。〜教師のしごとはどうやって学びを起動させるとりがーを見つけるかだけなんです。 ◼P149:貨幣も情報も評価も、動いているところに集まって来る。貨幣の本質は運動だから、貨幣は運動ににきつけられるんです。だから、どんどんパスを、出していると「あそこはよくパスが通るところだ」って貨幣のほうから進んでやってくるんです。 ◼P150:良きパッサーたれ、というのが社会人の重要な条件だとぼくは思うんです。とにかくパスを受けたら、ワンタッチで次へ回す。 ◼P152:パスするゲームには手ぶらで参加していいです。だって、人間的せいを促すための人類学的装置なんだから。自分は未熟で、非力だから、成長しなくちゃいけないと思っていたら、それだけでゲームに参加する資格はあるんです。とりあえずこのプレイヤーにはパスが出せるわけですからね。問題は受け取った彼がその贈与に対する反対給付義務を感じたら、どういうふうに、いつ次のプレイヤーにパスを出せるか。それだけです。 ◼自分より弱い人間がいて、つまり自分が養う人間がいて初めて自分が確立するわけですよね。人間は強いものに導かれて強くなるんじゃなくて、弱いものをかばうことでしか強くなれない。 生きる根拠がないと悩んでいる人たちは、他人二生きる根拠を与えることでしか、その悩みは解消されない。 ◻つまり、自分が行う、行なおうとしてることは贈与なんだ。これだけ仕組みを整えて運営してるから代価を下さいではないのだ。 ◼P158:ネスレニートのお兄さんたちに、どういうふうに働くきっかけを伝えたらいいか悩んでいたんです。その答えは、そのひとたちが誰かの面倒をみればいいんだってこと。 ◼P159:人間は誰かにぞうよするっていうシチュエーションに遭遇しないと、自分が実は持っている側、つまり贈与を受けている側だっていう、へりくだった自覚することが不可能だから。 ◼人間の働く意味っていうのは、誰かを養うためなんですよね。〜贈り物をするためですね。 ◼P161:とにかく誰かに与える経験をさせるしかないわけですよね。理屈をこねる人たち、とくに「搾取されている」っておもっているひとには、自分が下の人たちを支えているんだという自覚を持ってもらうしかない。 ◼P161:若者も家に引きこもっているだけだと、贈与の機会にはなかなかめぐり合えない。 ◼P165:自分が他人からなにをしてもらえるかよりさきに、自分が他人になにをしてあげられるかを考える人間だけが贈与のサイクルに参入できる。 ◼P169:この人だったら信用できるとかこの人はこんなことをしてきたといった情報を手軽に入手できるようになれば、贈与経済のスピードは格段に上がる。
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岡田斗司夫と内田樹、二人とも好きな人なので読んでみようと思った。 面白かった。 かたや「評価」、かたや「贈与」という考え方からこれからの人間の経済活動(ひいては共同体の在り方など)について脱線したりしながらゆるーく進む対談。 読了からレビューを書くまでに少し時間がかかったのでうろ覚えだけど、ぜひまた読みなおしてもう一度レビューを書きたい一冊。
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はじめて岡田斗司夫さんという方を知りましたが、既存のテクストをアレンジしつつもユニークなアイデアを出されていて、面白いなあと感じました。 内田さんの対談もの、あまりハズレがないような気がします。
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内田樹、岡田斗司夫の対談本。ここまで「贈与」について考えたことないなぁ。費用対効果ばかり叫ばれる今、見返りを求めない「贈与」がもたらす幸せな効能を実感。実は一つ一つの事象は贈与と反対給付の長いサイクルのごく一部にすぎない。自分が生き延びるための共同体、拡張型家族、面白いな。
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自己責任、自己実現を旗印に、即物的な成功を追い求めて煮詰まった社会の、一つの行く先を提示しています。今、足りないものは、生かされている、才能や環境を与えられている、という謙虚さで、それを意識することの大切さを説いているように感じました。
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図書館で借りた本。 二人の対談形式になっていて、読みやすかった。 共感できる部分と、そうでない部分があって、若者の携帯を人前で触ることは、 礼儀だという行は、とうてい共感できない。 自分をマネジメントしている自分を見せているのだから、これが誠意だと言うことらしいけど。 やっぱり、目の前に相手がいるのに、携帯ばかり触られるのは、良い気持ちはしない。 古い人間なんだろうなぁ。 助け合いの経済学の部分は、とても興味深かった。 怠け者はとことん怠けそうな気がするから、人を信じきれていないということかもしれないなぁ。
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岡田斗司夫氏は内田樹先生のファンということでこの対談は実現している模様。2人がこれからの時代を生き抜いていくための知恵を出しあうような体裁で進行する。 しかし、熱く語る岡田氏に対しての内田先生のやんわりとした受け答えは、どう考えても岡田氏と意見を異にしていると思えるものが多く、実はこの対談は失敗しているのではと思った。 一つ一つの考え方やキーワードは面白く、ヒントになるものもあるが、ちょっと飛躍しすぎている部分もあった。典型的なのは、岡田氏のFREEexという会社では社員が月1万円出して岡田氏と仕事する権利を買っているという話だったが、私には理解し難いものだった。 お二人共それなりに好きな作家なだけに残念。
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Kindleで出てることを知らず、紙本買って自炊してもうた。しまった。 全編通して見ると、割とどうでも良いことも書いているんだが、要所要所で、ちょっと唸った。以下、私的メモ。 ①価値評価 *価格/貨幣によって価値を評価する世界から、より厚みのある情報によって価値を評価するモデ...
Kindleで出てることを知らず、紙本買って自炊してもうた。しまった。 全編通して見ると、割とどうでも良いことも書いているんだが、要所要所で、ちょっと唸った。以下、私的メモ。 ①価値評価 *価格/貨幣によって価値を評価する世界から、より厚みのある情報によって価値を評価するモデルへ。ネット社会・ビックデータ社会がそれを可能にせしめる。 ②交換と贈与 *「等価交換:与えたものを貰う(奪う)」から、「贈与・反対給付:貰ったものを与える(パスする)」へ。 *「貰ったもの」をスタート地点とする発想は、過去先人の歴史遺産や文化、社会的なアドバンテージに対して目を向けるもの。(大体の社会的強者は、成功の理由を、自らの努力や勤勉さで説明するが、「そうじゃなくてお前の成功の理由なんて8割方、『先進国のそこそこの家柄に生まれたこと』でしかないんだよって話) *自発的に富を融通する世界。「獲得した富の量」を誇るのではなく、「社会に還元した富の量」を誇れる世界へ。科学的社会主義(経済システムとして強制的に集産化をせしむもの)ではなく、空想的社会主義(個々人の貸し借りの関係で富を融通する)のイメージ。前者は国家(間)単位での富を融通しようとしたものだが、後者は家族やそれに類するコミュニティー単位(ゲマインシャフト、ゲゼルシャフト)で為すもの。
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このお二人は初めて知ったのだけれど、すごく多角的な目線を持ちつつ、とてもユーモア・人間味があるなあ・・・といった印象 引きこもっている人だって一種仕事をしているんだよ、という切り口が私はすごく新鮮で好きです。なぜなら、レッテルというものを一面でしかみようとしない人があまりに多すぎるから。 読んでいて、気持ちが軽くなりました^^ありがとう。
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まあ、対談集としてはまあまあの出来だと考えている。しゃべりだすと止まらない岡田に対して内田樹がそれに対応するといった状況が目に浮かぶ。内容としては若者論と経済論といった話だが、踏み込んだ場所まで話しておらず、岡田のつくったシステムを称賛するといった話になっているのが少々残念 。二人共知識力やら会話力はあるのだから、もう少し深い内容が欲しかった。
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