終わりの感覚 の商品レビュー
初めてブッカー賞をとったという作品を読んだ。 案外早く引き込まれて、外国文学にしては読みやすくて面白かった。 長さが短くてちょうど良い。
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2011年ブッカー賞受賞作。 思えばこの40年人との連絡方法やつながり方が随分変化した。 ジュリアンバーンズは、連絡方法の進化が精神に与える影響について 内省的な主人公の思いを通して 見事に描いてみせた。 男はいつの時代も独善的で、またそれ程女性のこころの支えになれない。 なぜあのとき 彼女はという 疑問が 読み進むにつれて 私(主人公)はあのときなぜあんなことを と言う悔恨に変わっていく。 精神小説ですが、なかなか読ませます。
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道徳哲学や欧米文化特有のシニカルな表現が満載のインテリジェンスな文章であるが、なぜか割と読みやすかった。 主人公の性別も年代も違うため、自己投影はしにくかったけど、妄想気味のところが共感しやすかったんだろうかww ところで学校のレベルにもよるだろうが、今の学生はこんな会話をする...
道徳哲学や欧米文化特有のシニカルな表現が満載のインテリジェンスな文章であるが、なぜか割と読みやすかった。 主人公の性別も年代も違うため、自己投影はしにくかったけど、妄想気味のところが共感しやすかったんだろうかww ところで学校のレベルにもよるだろうが、今の学生はこんな会話をするんだろうか?
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アマゾンの書評で、本書はあまりにも下品な内容で星1つとしていたものがあった。読んでみてなるほどと思ったが、私は下品という感覚とは違い、人間の愚かな行動の連鎖を描いたものではないかと感じた。それは特別なものではなく、誰でもおかすようなものであって、それだけにとても共感でき、またリア...
アマゾンの書評で、本書はあまりにも下品な内容で星1つとしていたものがあった。読んでみてなるほどと思ったが、私は下品という感覚とは違い、人間の愚かな行動の連鎖を描いたものではないかと感じた。それは特別なものではなく、誰でもおかすようなものであって、それだけにとても共感でき、またリアルに感じた。これらを下品と云ってしまっては、世の中の人間の殆ど全てが下品と云わざるを得ないのではないだろうか。 ミステリーに分類されているが、どちらかというと文学に近い感じがした。謎解きの部分はあるけれど、かなり前の段階でオチが判ってしまった。だからと云って価値が下がるというものではないと思う。
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[関連リンク] Twitter / mkmmk85: トヨザキさんが去年とってもおすすめしていたジュリアンバーン ...: https://twitter.com/mkmmk85/status/424467630099935232
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やはり歳をとったせいか,老年小説(そんなジャンルがあるかしならないが)がとても気になる.というわけで,ブクログでこの本を見つけてさっそく読んでみた. うまい.巧みにいくつも張られた伏線,それを回収していく手際のあざやかさ,アフォリズムの多用.精巧なプランのもとで書いている感じ....
やはり歳をとったせいか,老年小説(そんなジャンルがあるかしならないが)がとても気になる.というわけで,ブクログでこの本を見つけてさっそく読んでみた. うまい.巧みにいくつも張られた伏線,それを回収していく手際のあざやかさ,アフォリズムの多用.精巧なプランのもとで書いている感じ.ちょっと人工的な感じさえする. さて,なんとも,寂しさの漂う話である.それなりにまっとうに生きてきたつもりが,老年になって大きな負債を抱え込んでいるのに気付く感じ.そんなこと今になって言われてもなぁ.若い頃のことはどうしようもないよ.
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読んだことのない作家だが、ブッカー賞受賞作品ということなので、読んでみた。 老年を迎えた語り手が、若かりし頃をシニカルに回想する。その語り口が魅力的。はっきり言って、ストーリーがつまらなくても、この語りだけで十分に面白いので(生徒と教師のやりとりなど)惹きつけられて夢中で読んだ。...
読んだことのない作家だが、ブッカー賞受賞作品ということなので、読んでみた。 老年を迎えた語り手が、若かりし頃をシニカルに回想する。その語り口が魅力的。はっきり言って、ストーリーがつまらなくても、この語りだけで十分に面白いので(生徒と教師のやりとりなど)惹きつけられて夢中で読んだ。 予備知識はなかったので、結末にはやはりある種のショックを受けたが、それは、ストーリーの巧さとはやはり違うな、と思った。 はじめは語り手と同じ気持ちになって読むので、ヴェロニカという女は思わせぶりで、条件が上の男を狙う厭な女だと思っている。しかし終わってみれば、語り手の主観に惑わされていたことがわかる。 ヴェロニカという女の内面は彼女自身が言うように、語り手は全くわからなかったのだろうと思う。 人間というものはかようにわかり合えないものであり、老いてそれに気づいた語り手はある意味幸福なのかもしれない。 真実を知らずに、自分が作り出した記憶だけで人生を終わる人の方が多いのだから。
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うーむ、何だか。身につまされるようなお話ではあるかもしれない。まぁ、誰しも「若さゆえの過ち」は認めたくないものです。歴史だけじゃなくて、人の記憶が作り出す自分の思い出も都合の良いようにねつ造されているものなのかもしれない。しかし主人公の性格・行動には共感できん。ダメダメな奴だ。翻...
うーむ、何だか。身につまされるようなお話ではあるかもしれない。まぁ、誰しも「若さゆえの過ち」は認めたくないものです。歴史だけじゃなくて、人の記憶が作り出す自分の思い出も都合の良いようにねつ造されているものなのかもしれない。しかし主人公の性格・行動には共感できん。ダメダメな奴だ。翻訳が流れるような日本語になっていて読みやすかったのは良かった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
初老を迎え、青春の失恋、結婚、離婚、それなりの棘はあっても つつがない人生の締めくくりに入ろうとしている男性のもとに 突然とどく、遺産受け取りの知らせ。それは40年前に別れたきりの 気難しい恋人の母親からのものだった…。 歴史が記憶の積み重ねだとしたら、そこには誰の記憶がどのような 形で残るのだろう。誰の主観で、立場で、記憶されるのかで 出来事の様相はまったく異なる。 「あなたはまったくわかっていない。なにもわかっていない」と 元の恋人に繰り返し告げられるのは、なぜ。 圧巻のどんでん返し。 読み終えたとたんに伏線を捜すため、ページをもう一度繰ることに なるのは必至である。
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とても「イタい」小説。主人公自身が。 そして、自分の身につまされる、という意味でも。 年老いたトニーが過去を振り返り語り始める物語が、現在の彼に思わぬ形でつながっていく――。 一人称の語りを読み進めるうちに、記憶というものの持つあやうさが徐々に浮き彫りになっていきます。 人間...
とても「イタい」小説。主人公自身が。 そして、自分の身につまされる、という意味でも。 年老いたトニーが過去を振り返り語り始める物語が、現在の彼に思わぬ形でつながっていく――。 一人称の語りを読み進めるうちに、記憶というものの持つあやうさが徐々に浮き彫りになっていきます。 人間の持つ「業」のようなもの、人生が問いかけてくるものについて考えさせられてしまいます。 読んだ後の気持ちがなんともいえない。・・・苦い、苦過ぎる。 でもきちんと受け止めるべき何か、のある小説です。
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