終わりの感覚 の商品レビュー
「追憶のスモールタウン」に続いてこちらも、初老の男性が過去を回想する物語。やはりブクログメンバーの本棚でみつけて表紙に目をとめた。 話は高校大学、その後の回想と続く。早熟な学友エイドリアン、恋人だったベロニカ、離婚したけど妻とは仲良しだし娘や孫ともいい距離感の引退生活だ、で終わ...
「追憶のスモールタウン」に続いてこちらも、初老の男性が過去を回想する物語。やはりブクログメンバーの本棚でみつけて表紙に目をとめた。 話は高校大学、その後の回想と続く。早熟な学友エイドリアン、恋人だったベロニカ、離婚したけど妻とは仲良しだし娘や孫ともいい距離感の引退生活だ、で終わり、ああ、そうですか、それはそれは。何か男性の回想って、いやいや男性とくくってはいけないか、しかしう~んその雰囲気、ちょっとなんかなあ、と微妙な感じ。しかしまだ半分だ。 そして二部は今。なんとベロニカの亡母から私に500ポンドとケンブリッジ在学中に自殺したエイドリアンの日記を遺贈するという手紙を受け取る。なぜに? 長らく連絡をとってないベロニカと連絡をとろうとするも、なかなかうまくゆかない。そしてベロニカは車いすの若い男性を世話している。そして私は気づく。いやいや、これはなんだ。当人はともかく結果としての果実は・・ しかし、あれっ、ここまできて、ここの気づきに既視感。この関係、何かをネタにしているか? と思いきや、ブクログの感想をみると、映画化されたとあった。ああ、思い出した。「ベロニカとの記憶」という題名でシャーロット・ランプリングが出ているのでレンタルで見て、ブクログに感想も記していた・・ なんと。 本では、最初の方、高校時代のエイドリアンと私を含めた凡庸な3人組との学校生活は生き生きと感じる。最初19世紀か?とも思ったが、カミュを読み、大学での恋人ベロニカには、レコード棚からサウンドトラックの「男と女」を隠し、しかしビートルズ、ストーンズはまだしも、ホリーズ、アニマルズ、ムーディーブルースに冷たい一瞥をくらう、の描写があり、ああ60年代末あたりなのか、と分かる。 小説は2011年刊、映画化は2017年。その映画の自分の記事をみてみると、「おめでたいお爺さんの話」とくくってある。・・すいません、そういう見方になってました。 映画にはストーンズの「Time is on my saide」に合わせて踊るシーンがある、とありこれは小説にもあった。小節ではエイドリアンが印象に残るが、映画では最後に出てくる年取ったシャーロット・ランプリングのベロニカしか覚えていない。 2011発表 2012.12.20発行
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感想 恋と死。始まりと終わり。人は生きているだけで誰かを傷つけてしまう。その事実に目をつぶって歩いていかなくてはいけない。最期の時まで。
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ブッカー賞受賞作。 知らない人の文章なのにまるで自分の人生を振り返っているような気がした。 なにより伏線回収が圧倒的だった。ただサスペンス小説じゃなくて恋愛小説としての結末が見たかった。 500ポンドを渡した理由はトニーの恋を終わらせてしまったことと友人を死なせてしまったことに対する謝罪だったのか。
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〈人生〉〈歴史〉についての思索だった。ウィットに富んだ文体でやや難しさも感じられた。“若さ”と“老い”の対比が絶妙で、トニーの一人称の語りはレトロスペクティブに進行していき、場末で暗澹たる気持ちにもなった。トニーとエイドリアン、ヴェロニカ。漱石の『こころ』にも通じるような。
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主人公の一人称で物語が展開されていくが、曖昧な記憶が徐々にクリアになっていく(一方で主人公の思い込みもある)ことで真相が分かっていくところが面白い。学生時代の授業の話等も伏線になっているところがすごい。 繊細な表現が多いので原書を読みたいところ。
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引退生活を送る男のもとに弁護士から手紙が届く。高校時代の自殺した友達の日記と500ポンドが遺されているという内容。自殺した友人は、かつて男が分かれた女性と付き合っていた…。ラストは確かにちょっとした衝撃がある。けれども物語の筋よりも時間の流れ、過去の表現の仕方が好み。
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とても好き。年老いてから過去を見る目線の感覚の描写が今の自分にないもので、でも理解できそうで、ずっと読んでたいと思った。 今の自分の過去を見る目線、記憶の曖昧さが求める補強、「歴史とは、不完全な記憶が文書の不備と出会うところに生まれる確信である」というフレーズに納得。トニーのダメ...
とても好き。年老いてから過去を見る目線の感覚の描写が今の自分にないもので、でも理解できそうで、ずっと読んでたいと思った。 今の自分の過去を見る目線、記憶の曖昧さが求める補強、「歴史とは、不完全な記憶が文書の不備と出会うところに生まれる確信である」というフレーズに納得。トニーのダメさ、過去をやり直そうとする思い上がりが自分に当てはまる。 「当時、私たちはどこか囲われた場所に留め置かれているように感じていた。人生に解放されるまで一時的に、と。」 「先を見て、その地点から過去を振り返ることーそれが若者にはできない。•••たとえば人生の証人が次第に減っていき、記憶の補強がおぼつかなくなり、自分が何者であり、何者であったかが次第に不確かになっていく。」
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背伸びして、外国文学を読みたかったけど、未熟な私には理解できないところが多い。どうしても主人公の行動や考え方が分からない。読み心地がちょっと悪い感じ。これが、この作品の良いところかもしれないけれど。
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久しぶりにジュリアン・バーンズを読みました。「ベロニカとの記憶」という邦題で映画化された作品らしいですが、映画は見ていません。でも、映画が見たくなるタイプの作品でした。 小説らしい(?)小説でした。「あなたは何もわかっていない」という言葉が、作品から出てきて、読んでいるぼ...
久しぶりにジュリアン・バーンズを読みました。「ベロニカとの記憶」という邦題で映画化された作品らしいですが、映画は見ていません。でも、映画が見たくなるタイプの作品でした。 小説らしい(?)小説でした。「あなたは何もわかっていない」という言葉が、作品から出てきて、読んでいるぼくのなかに突き刺さる、久しぶりにそういう体験をしました。 ブログで、少し書きました。覗いてくださればうれしい。 https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202111070000/
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軸:他人の見え方は変化するということ。 自分から見えている他人像は、他人のごく一部に過ぎないということ。 エイドリアン:秀才で、世を憂い自殺したと思っていた。 が、実際は彼女の母親を妊娠させ、その事実/責任から逃れるため自殺していた。 ベロニカ:学生時代に翻弄される。エイドリアンに乗り換え最低というイメージ。久しぶりに再会し、苦労が滲み性格は前よりもキツくなっている部分も大人になっている部分もある。 キーフレーズ ・「歴史とは、不完全な記憶が文書の不備と出会うところに生まれる確信である」 ・「歴史とは、勝者の嘘の塊」であり、「生き残った者の記憶の塊」であり、「敗者の自己欺瞞の塊」である。
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