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終わりの感覚 の商品レビュー

3.7

63件のお客様レビュー

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2018/04/27

 洋の東西を問わず玄冬小説が流行なのか、ニュージェネレーションと呼ばれた世代が玄冬期を迎えているのか。  この小説は英国のインテリおっさんが主人公。学生時代の記憶はあやふやで、とかく美化される傾向がある。このおっさんは、元カノや友人に対しての厳しい手紙のことは忘れていた。夏目漱...

 洋の東西を問わず玄冬小説が流行なのか、ニュージェネレーションと呼ばれた世代が玄冬期を迎えているのか。  この小説は英国のインテリおっさんが主人公。学生時代の記憶はあやふやで、とかく美化される傾向がある。このおっさんは、元カノや友人に対しての厳しい手紙のことは忘れていた。夏目漱石の『こころ』を彷彿させるストーリーで、おっさんは元カノと再会し、過去と向き合っていく。学生時代のエピソードが終わるころから面白さは加速し、最後はちょっとしたどんでん返しで終わる。    同じ玄冬小説だが、『おらおらでひとりいぐも』のような陽気さはない。用の東西を問わず、おっさんは陰気なのかもしれない・・・。

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2017/08/02

無駄のないストーリーに加えて、裏表紙にもあるアニータ・ブルックナーを思わせる硬筆な筆致。 これだけで素敵じゃないか!と思わせてくれる。 本筋からはズレてしまう部分も魅力的だ。 物語に出てくるビートルズ、ストーンズ、ホリーズ、ドノヴァンetc、リズムに乗り、腰をくねらせダンスを踊...

無駄のないストーリーに加えて、裏表紙にもあるアニータ・ブルックナーを思わせる硬筆な筆致。 これだけで素敵じゃないか!と思わせてくれる。 本筋からはズレてしまう部分も魅力的だ。 物語に出てくるビートルズ、ストーンズ、ホリーズ、ドノヴァンetc、リズムに乗り、腰をくねらせダンスを踊る主人公とヒロイン… 読んでいて思わずニヤリとしてしまった。 (私は彼らと違い今でも腰をくねらせ踊っているが…) いかに私たちの中にある記憶があやふやで自分勝手に捏造されたものなのか。いかに私たちが一つの目線からでしか物事を捉えられず、考えられないか。 序盤に飄々とした語り口で読者に学生時代の記憶を語る主人公だが、中盤以降次第にその語りもたどたどしくなってくる。しばらくの後に、この主人公が矮小で逃げ腰のいわゆる'信用出来ない語り手'だと気づいた途端に物語がパッと開けた感覚があった。実に英国小説らしい。 この辺りの手腕はおっ、流石イギリス人小説家の名手だな!と思わせてくれる。 一冊の本の読了に優に1ヶ月はかかる、実に遅読人間の私には極めて珍しく本書は1日足らずで読み終えることができた。バーンズの文章が魅力的であり、土屋政雄さんによる翻訳も実に見事な出来栄えである。そのお陰なのだろう。

Posted byブクログ

2017/04/15

「歴史とは、不完全な記憶が文書の不備と出会うところに生まれる確信である」人生の終わりが近付いた頃に読み返したい。イギリスでは映画の公開が始まったばかり。早く観たいな。

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2017/03/22

けっして軽くはない衝撃。なにもかもが主人公トニーのせいじゃないし、ベロニカとエイドリアンが幸せになれなかったのは、エイドリアンが人生を諦めたからだと思う。ふられた男の腹いせに出された手紙が運命をかえたなんて、ずうずうしい。記憶はかけちがいもあるかもしれないけど、これは衝撃だった。...

けっして軽くはない衝撃。なにもかもが主人公トニーのせいじゃないし、ベロニカとエイドリアンが幸せになれなかったのは、エイドリアンが人生を諦めたからだと思う。ふられた男の腹いせに出された手紙が運命をかえたなんて、ずうずうしい。記憶はかけちがいもあるかもしれないけど、これは衝撃だった。うけいれられないひともいるかも。映画化するから見てみたいな。

Posted byブクログ

2016/09/25

独りよがりな主人公が平凡な人生や苦い青春を振り返る。 過去は、誰もが年を経ればそうであるように、鮮明に思い返せるものもあれば、曖昧だったり、忘れてしまったり、都合よく塗り替えられたりしていく。 思い込みの強さで行動にも移してしまう様や悔恨の思いが皮肉っぽく書かれているけど、少し退...

独りよがりな主人公が平凡な人生や苦い青春を振り返る。 過去は、誰もが年を経ればそうであるように、鮮明に思い返せるものもあれば、曖昧だったり、忘れてしまったり、都合よく塗り替えられたりしていく。 思い込みの強さで行動にも移してしまう様や悔恨の思いが皮肉っぽく書かれているけど、少し退屈で下品だと思った。

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2016/06/24

実を言うと『フロベール鸚鵡』の方が好き。トニーはどこまでエイドリアンの死やベロニカの不幸に責任を感じるべきなんだろうか。トニーの呪いの言霊が二人を襲ったってことなんだろうか。トニーは覚えてさえいなかったのに。エイドリアンもロブソンも自殺の理由に大して差はないのでは。結局逃げたって...

実を言うと『フロベール鸚鵡』の方が好き。トニーはどこまでエイドリアンの死やベロニカの不幸に責任を感じるべきなんだろうか。トニーの呪いの言霊が二人を襲ったってことなんだろうか。トニーは覚えてさえいなかったのに。エイドリアンもロブソンも自殺の理由に大して差はないのでは。結局逃げたってことだ。嫌な女に思えたベロニカの愛する人達の裏切りに耐えて責任を果たしている姿が崇高に見えた。男は逃げ、女は受け止める。トニーも逃げの人生だったように思える。エイドリアンが本当に愛していたのは誰か?

Posted byブクログ

2015/11/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

イギリスらしく、回りくどくて要らない情報/描写が多過ぎる。「日の名残り」を思い出したが、「日の名残り」ほどの美しさやカタルシスは感じず・・・後味の悪い真実が要因かもしれないけど

Posted byブクログ

2015/01/07

若くして自殺した天才肌の親友。その日記の存在を知らされた初老の男。男はかつての記憶の断片を探りつつ、日記を持っているはずの元恋人と40年ぶりの再会を果たす…。微笑ましい青春の日々、かつての恋人の謎と記憶の濁流に翻弄される描写は、秀逸。ただ、この結末には個人的に不愉快さを感じてしま...

若くして自殺した天才肌の親友。その日記の存在を知らされた初老の男。男はかつての記憶の断片を探りつつ、日記を持っているはずの元恋人と40年ぶりの再会を果たす…。微笑ましい青春の日々、かつての恋人の謎と記憶の濁流に翻弄される描写は、秀逸。ただ、この結末には個人的に不愉快さを感じてしまう。さらに追い討ちをかけるようなどんでん返しにも。結局、彼は誰にとっても取るに足らない、矮小な脇役でしかなかった。というように読めてしまう。彼にとって、この記憶の濁流は、セバーン川の潮津波ほどの衝撃をもたらしたのだろうか。

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2014/08/31

自分にとってはちょっと難しい作品だった。 あらすじを読むと叙情的な内容かなと思ったが、後半はわりとミステリーみたいなどんでん返しがあって面白かった。

Posted byブクログ

2014/08/13

このミス8位。序盤の展開、過去の日記の謎など重苦しい雰囲気の中、ミステリ要素があるのかと期待したが、最後はちょっと残念だった。

Posted byブクログ