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小さいおうち の商品レビュー

4

466件のお客様レビュー

  1. 5つ

    130

  2. 4つ

    181

  3. 3つ

    105

  4. 2つ

    6

  5. 1つ

    3

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2022/12/04

面白かった。 最初は、昭和初期の話なので知らない言葉だらけでなかなか読み進められませんでした。少しずつ少しずつ読んでいって、終盤ですよ…ギュンッ!と引き込まれました。後はノンストップで読み切りました。 結論をはっきり書いていないので、想像が膨らみます。

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2022/12/02

昭和の初期。難しい時代を女中として生きた女性の手記によって物語は進みます。柔らかく静かな中に、ざらっとした不安定な危うさを持ち続けている文章だな、と感じながら読み進めました。自分は嫁ぐことなくずっとここで暮らしたいと思うほどタキの心をとらえたものとは何だったのか。 最終章は衝撃で...

昭和の初期。難しい時代を女中として生きた女性の手記によって物語は進みます。柔らかく静かな中に、ざらっとした不安定な危うさを持ち続けている文章だな、と感じながら読み進めました。自分は嫁ぐことなくずっとここで暮らしたいと思うほどタキの心をとらえたものとは何だったのか。 最終章は衝撃でした。物語の流れが一変して、もう一度最初から読み返すと全く違った物語が見えてくる程。胸の奥に隠していた想いをぎゅっとつかまれたような鈍い痛みが残りました。 一人の女性の生き方に、大きな余韻がしばらく続いた一冊です。

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2022/11/21

すごい良くて、映画も見たいってなって見てたけれど色々、端折られてるのが、もったいないなって途中でやめてしまった。それぐらい、小説がよかった。配役はとても良かったと思うけれど。

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2022/11/12

戦前、昭和初期の東京の文化華やかなるこの時代の雰囲気が好きです。 晩年のタキが女中だった当時の時代を振り返って綴った記憶は、慎ましやかな中にも生きる喜びが感じられこの時代の空気を味わう事が出来ました。 タキを取り巻く登場人物に起こる様々な出来事、戦後何十年も経ってから明かされた真...

戦前、昭和初期の東京の文化華やかなるこの時代の雰囲気が好きです。 晩年のタキが女中だった当時の時代を振り返って綴った記憶は、慎ましやかな中にも生きる喜びが感じられこの時代の空気を味わう事が出来ました。 タキを取り巻く登場人物に起こる様々な出来事、戦後何十年も経ってから明かされた真実、イタクラショージ記念館。。人と人との営みから繋がる歴史に感動しました。 また、タキが綴ったノートを読んだ甥の次男健史の殺伐とした反応は、失われた古き良き時代の美しさをむしろ際立たせるものだった。 私も若い時は健史の様に戦争でただ暗い時代という印象しか持ってなかった気がする。しかし歳を重ねるうち健史同様、祖父母や父母やこの時代の人も我々と同じ様に懸命に生きておりその歴史が今に繋がっていると言うことを肌で感じるようになったものだ。 戦争の渦中にあっても、街は賑やかで明るかったと言うタキの記憶も本当にそうなのだろうと思った。自分の周りに爆弾が落ちてこない限り、衣食住に不自由しない限り、人は希望を持って明るく生きようとするものだ。今だって海外では戦争が止まず、どこからかのミサイルが頻繁に発射されている様な中で平和だと思って生きている我々と何ら変わらない気がするのです。

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2023/05/09

何度目かな、再読 ほんと好きな本。文体もすき。 時子の危うさとエロスと、板倉のフニャフニャしつつ意外とやるとこ(これはどっちかというと映画の感想かな)、タキちゃんの強さと哀しみ。 時局に流される時子の夫や会社の社長。 そういうみんなのそれぞれを、根こそぎ奪う戦争への怒り

Posted byブクログ

2022/10/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

本当は小説を読んでから映画を観たかったのだけど、うっかりテレビで映画のほうを視てしまい、ネタバレ状態で読む小説はいかがなものだろうと思ったけれども、杞憂でした。 映画は一つの解釈ではあるけれど、小説を読んで思ったのは、正解なんてものは各々の心の中にしかないということ。 というよりも、正解なんて、ない。 解釈という名の想像がどこまでも広く深く感じられるほどの奥行きを、この作品は持っていました。 昭和の、まだ支那との間にだけ軍事的いざこざがあると庶民が認識していた頃。 山形から女中奉公に出たタキという娘が、女中として一家を切り盛りする話。 奥様は再婚だけれどもまだ若く、そしてとても美しい。 華やかで美しい奥様はタキにとって、憧れという言葉では言い尽くせないほどの存在だったということは容易に読み取れる。 穏やかで新し物好きの旦那様と、足が悪いく毎日のタキのマッサージが欠かせない坊ちゃま。 戦争の気配はじわじわ近寄ってきていたけれども、おおぜいの日本人はアメリカが日本と戦争するなんて考えもしなかった。 だって日本軍が強いのは世界の常識だもの。 アメリカがそんな馬鹿な選択をするはずがないと、信じていた。 だから戦前も、戦中も昭和18年くらいまでは、驚くほど平和に日々は過ぎていったのだ。 少しずつ生活が窮屈になったとしても。 そしてそんな生活の中に、旦那様の会社の板倉青年が顔を出す。 おもちゃの会社でデザイン部門を担当している板倉は、絵画だけではなくクラシック音楽にも造詣が深く、奥様ととても話が合う。 奥様と板倉と坊ちゃまの3人で他愛のない話に笑い合う。 タキはそんな姿を見ているだけで、とても幸せだった。 しかし戦局は刻一刻と悪化し、目と気管支が悪いので戦場にはいかないだろうと思われていた板倉も出征することになり、タキは奥様の秘密を知ってしまう。 タキの手記という形でこの本を読んでいるのだけど、文章には書かれていないことが実は重要だったりする。 故意にしろ無自覚にしろ、タキには書くことができなかった自分の思い。 あの日の出来事。 言葉にされなかったからこそ胸に迫るものがある。 あらすじだけを追えば、ストーリーがわかればそれでよし、という昨今の風潮ではとうてい気づくことができない心の奥の奥にしまい込まれた温かな思いと苦い悔恨。 それから、多くを語られることがなかった板倉の人生。 そこにもつい思いを馳せてしまう、そんな幾層もの機微が織りなす切なくも骨太の作品でした。 なんでもっと早く読まなかったのか。

Posted byブクログ

2022/09/23

今では馴染みのない女中さん、タキが静かに見守る小さいおうちに住む平井家の人々の物語。昭和初期の生活がリアルに描かれていて、まるで一緒に生活をしているかの様な感覚になった。時代は違えど、どの人物からも人間臭さがものすごく伝わってくる。

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2022/09/16

おばあちゃんのお話を聞いているような安らぎを得られる素敵な作品でした。映画化されていますね。ジブリ作品となってもいいのではないかと勝手に思ってしまいました。漂うノスタルジーがなんともいえず美しいです。 女中奉公に出た少女の回想記。仕えた奥様への思慕、恋路を阻んだことへの悔恨の涙。...

おばあちゃんのお話を聞いているような安らぎを得られる素敵な作品でした。映画化されていますね。ジブリ作品となってもいいのではないかと勝手に思ってしまいました。漂うノスタルジーがなんともいえず美しいです。 女中奉公に出た少女の回想記。仕えた奥様への思慕、恋路を阻んだことへの悔恨の涙。 太平洋戦争に突入する間際にも、当然ながらほのぼのとした日常がありました。当時の人々の暮らしというと、なんとなくモノクロの、貧しい様相ばかり思い浮かべるけれど、それはあくまでも一面にすぎないのですよね。一方、戦争に導く民衆の空気って、意外と明るいものなんだなと、薄ら寒くなりました。

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2022/08/31

戦前の街並みや文化の美しさが伝わりました。健史と同じで、歴史だけみると暗く苦しい世の中だと思ってましたが、とても素晴らしい時代だったと改められました。タキの要領の良さが心地よく時子さんの雰囲気も良かった。タキの生き様は好きです。最後の手紙は短いけどよかった。

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2022/08/30

昭和初期、山形の田舎から女中奉公のために上京した少女タキは、持ち前の気転のきく賢さで女中としては重宝がられ、幾つか奉公先を変えながら長年に渡り女中として生涯を送った。 やがて老境を迎えたタキは女中としての生涯のうち、決して忘れることのできない赤い瓦屋根の「小さいおうち」の家族に仕...

昭和初期、山形の田舎から女中奉公のために上京した少女タキは、持ち前の気転のきく賢さで女中としては重宝がられ、幾つか奉公先を変えながら長年に渡り女中として生涯を送った。 やがて老境を迎えたタキは女中としての生涯のうち、決して忘れることのできない赤い瓦屋根の「小さいおうち」の家族に仕えていた時のことを大学ノートに書き記すことを始める。玩具会社の役員の旦那様と時子奥様、恭一ぼっちゃんの 三人の家族に仕え、中でも時子奥様に心酔し、心からの忠義をもって勤めた10年間、平井家での女中としての生活は、タキの青春のすべてだった。 老年のタキがつづった手記から、意外な形で現在へとつながっていく。明るい未来に向かっていると信じていられた前半から、戦争の影がひたひたと迫ってくる手記の後半、そしてタキの没後タキが生涯抱えていた秘密、苦悩が明らかとなる。「奥様、わたし、一生、この家を守ってまいります」 新しい家に引っ越してきたとき、タキが目を輝かせて奥様に語ったが、守りたかったのは奥様の幸せ、奥様の笑顔であった。その決意は、戦争になっても揺らぐことなく、だからこそ守れなかったことがずっとタキの心の中に後悔としてくすぶり続けたのであろうか。 余韻の残る深い作品でした。

Posted byブクログ