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私とは何か の商品レビュー

4.2

504件のお客様レビュー

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2024/06/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「分人」という考え方は微かに触れたことがあったけど、自分から見た自分と他者から見た自分とのギャップに対する違和感の話をした時に改めてこの「分人」の考え方を紹介してもらって、ちゃんと知りたいと思って読んでみました。 ”人間には「本当の自分」という中心があり、それが場面に応じてキャラを演じている。 わけではなく、 人間は相手次第で、その人との相互作用により自然と様々な自分、人格になりうる。その「様々な自分」が「分人」であり、自分というのはその分人のネットワークなのである。 そして相互作用により生じる人格であるということはつまり、私たちの人格そのものが「半分は自分、半分は相手のおかげ(せい)」であり、混ざり気のない純粋無垢な自己など存在しない。” というのが分人主義の基本的な考え方です。 人は人との関係性の中に生きていて、それがどういう関係性なのかは相手が誰かによって違っているのだから、「相手によって自分が変わる」というのはある程度自然なこと。そう思うと、そこに違和感とか罪悪感を感じなくていいんだと思えます。 ”誰に対しても首尾一貫した自分でいようとすると、当たり障りのない自分でいるしかない。 八方美人というのは、誰に対しても調子良く、相手ごとに分人化しようとしない人のことである。” とも言われていて、私はこの「当たり障りのない自分」、八方美人になりがちな気がします。 相手ごとに分人化するということは、相手との関係性を深めていくことなんだと思います。私は相手とより深い関係性に踏み込まないように、分人化しないようにしがち、あるいは分人化に長い時間がかかるのかも、と感じました。 この分人化の傾向的なところは、これまでに形成されてきた強固な分人の人格の影響を受けうるのか、遺伝的なところもあるのか、どうなんだろう…?というのはちょっと疑問。 そして「個性」についても分人主義の視点から語られています。 ”個性というのは分人の構成比率である。だから、自分の現状を変えたいなら、分人の構成比率=付き合う人間・環境を変えることが重要になる。 快活で楽しい自分になれると感じる分人を足場に生きる道を考えるべきである。自分を好きになるのは難しくても、誰それといる時の自分(分人)は好きだとは言える。その相手は生きた人間でなくても構わない。 重要なのは、常に自分の分人全体のバランスを見ていること。 自分が見つかるというのは、理想的な構成比率の分人を生きられるようになるということ。” 自分の嫌いな部分は、誰といるとき・どういう環境にいるときに出てきやすいのか、自分が嫌だなと思う分人が「誰(何)に対する分人なのか」を見極めて、その分人が現れる機会を減らしていくことが必要になるんだなと思いました。そして好きな分人は増やしていく。そうやって、心地よい分人のバランスを見つけていけると生きやすくなるんだろうな。 自分から見た自分と他者から見た自分との間のギャップに違和感を抱いていたのは、自分を誤解なくちゃんと理解してもらいたいと思っていたということなのかも。でも分人主義的には、相手のことを全部知ることも、自分のことを全部知ってもらうこともできないわけで、それでいいんだと思います。むしろ全部知ろう・知ってもらおうとするのは横暴なのかもしれない。 人間関係ってそういうものなんだなと思えると、「裏切られた」と感じたり、「あの人への態度は自分へのものと違う」とモヤモヤしたりしなくて済むのかもなと思いました。

Posted byブクログ

2024/05/25

他者との関わり、コミュニケーションの中で分人が生まれる。分割可能な分人という単位で捉えれば、身近な悩みに対しても自分を一方的に責める事なく、客観的な視点で自分を捉え直す事も出来る。分人主義という新しい概念が、人付き合い、恋愛、死などという普遍的なフィールドで存分に活躍するのではな...

他者との関わり、コミュニケーションの中で分人が生まれる。分割可能な分人という単位で捉えれば、身近な悩みに対しても自分を一方的に責める事なく、客観的な視点で自分を捉え直す事も出来る。分人主義という新しい概念が、人付き合い、恋愛、死などという普遍的なフィールドで存分に活躍するのではないかと思った。そしてこの主義を多分に含んでいる著者の小説を読んでみたいと思った。

Posted byブクログ

2024/05/24

これまで平野著の小説は多数読んだが、そこへ散りばめられていた分人という考えの集約が、理路整然と記されており、これまで点と点で理解していたところを線として理解、納得することができた。 アイデンティティの問いの連続に対し、一つずつ例を出して説明がありとても分かり易い。 結局、自...

これまで平野著の小説は多数読んだが、そこへ散りばめられていた分人という考えの集約が、理路整然と記されており、これまで点と点で理解していたところを線として理解、納得することができた。 アイデンティティの問いの連続に対し、一つずつ例を出して説明がありとても分かり易い。 結局、自分は他者によるところが大きく、相手の分人はこの私が材料であるし、その逆も真なり。 ただ、光の三原色で言うところの白、色の三原色で言うところの黒が、"遺伝"としてそれぞれの分人への影響があるのだな、と。 エヴァファンなので思うが、すこしゲンドウの思想と通ずるものがあるのでは? 庵野秀明は、優劣、貧富の差など「個」が存在することで生まれる差を、人類を全と捉えることで平坦なものにし、生きやすくすることを唱えた。 平野の提唱はその延長であり、各々が相互関係にあることで、様々なしがらみや憎しみも連鎖はしやすいが、全て他人ごとでもなくなる。 両者とも結論は、相手がいるから自分がいるし、自分がいるから相手がいる、相手を認めることで自分を認められるという着地であった。 孤立、寂しさを殺すことのできる、まさに優しい考え。 この本は、それぞれの例を深掘りし、悲観的にならず愛のあるまとめに至っていたので読んで良かった。

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2024/05/22

分人という考え方について記載されている。何回も同じような事を記載してるし、少し読みにくかった。分人という考え方で本一冊書くのはきついと感じた。

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2024/05/14

志望学部・職種:国際関係学部 ここがオススメ!:対人関係ごとに見せる複数の人格を意味する分人という考え方によって自分の視野が広がりました。この本には、私自身とても共感できるものが多く「分人」という考えが悩み解決の一つになると感じました。人間関係やコミュニケーションの取り方に悩んで...

志望学部・職種:国際関係学部 ここがオススメ!:対人関係ごとに見せる複数の人格を意味する分人という考え方によって自分の視野が広がりました。この本には、私自身とても共感できるものが多く「分人」という考えが悩み解決の一つになると感じました。人間関係やコミュニケーションの取り方に悩んでいる方にお勧めだと思います。

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2024/05/12

社会に出ると様々な人に出会い、時に愛想笑いをし、時に自分をごまがして同調してみたり、また時には本音と建前を使い分ける。 そうしてふとした時に、「自分は何者なのか?」と焦燥に駆られ、自分探しを始める。 自分探しの手段として、海外留学や転職をする人もいれば、新たなコミュニティーに属す...

社会に出ると様々な人に出会い、時に愛想笑いをし、時に自分をごまがして同調してみたり、また時には本音と建前を使い分ける。 そうしてふとした時に、「自分は何者なのか?」と焦燥に駆られ、自分探しを始める。 自分探しの手段として、海外留学や転職をする人もいれば、新たなコミュニティーに属することもある。 はたまた新しい趣味を始めてみたり、自分を導いてくれる師や団体を支持する人もいる。 その結果、「自分とは何者か」を言語化し、腹落ちできる人は実は相当少ないのではないか。 実は多くの人がそれでもなお、ループにはまり、自分探しのジレンマに陥っているのではないか。 程度問題こそあれ、私も同じジレンマにハマっている節があり、本書はこのジレンマに別の角度からの視点を投げかけてくれます。 それが『分人主義』 以下、私が良いなと思ったフレーズや要約 ◼︎たった一つの「本当の自分」など存在しない。 対人関係ごとに見せる複数の顔が、全て「本当の自分」であるという考え。 対人関係ごとの様々な自分のことを『分人』と呼び、相手とのコミュニケーションを通じて、自分の中に形成されていく。 個人を整数の1とするなら、分人は分数のイメージ。 私たちはごく自然に、相手の個性との間に調和を見出そうとし、コミュニケーション可能な人格をその都度生じさせ、その人格を現に生きている。 複数の人格でそれぞれ、本音を語り合い、相手の言動に心を動かされ、考え込み、人生を変える決断を下したりしている。 それはつまり、複数の人格は全て、「本当の自分」なのである。 ◼︎分人には中心が存在しない。 分人は、自分で勝手に生み出す人格ではなく、常に環境や対人関係の中で形成される人格である。 鏡の前で1人で会話していても分人は形成されない。 ※人格とは 朝日が昇って、夕陽が沈む反復的なサイクルを生きる中で、身の回りの他者とも反復的なコミュニケーションを重ね、それらの反復を通じて形成される一種のパターンのこと。 ◼︎分人の形成プロセス 分人は、特定の誰かとの反復的なコミュニケーションにより形成されるが、その形成プロセスは大きく3つに分けられる。 ①社会的な分人 不特定多数の人とのコミュニケーション可能な、汎用性の高い分人 ②グループ向けの分人 特定のカテゴリー、グループに向けた分人。 学校や会社、サークル等。 ③特定の相手に向けた分人 ①②を経て、最終的に生まれるのがこれ。 全ての関係がこの段階まで至るわけではない。 そうなるかどうかは運や相性もある。 ◼︎コミュニケーションが苦手な人への提言 コミュニケーションが苦手だと思う人は、その原因を話術の不足に求めがちだが、そうではなくて、相互の分人化の失敗と考えてみると、見方が変わってくる。 コミュニケーションがうまくいかない人は、まず社会的な分人という入りの部分で何か違和感を与えているかもしれない。 或いは、そこから自分の個性を発揮することに気を取られすぎて、勝手なペースで分人化を進めようとしているのかもしれない。 重要なのはまず、『柔軟な社会的な分人』が双方にあること。 ◼︎個性とは分人の構成比率 誰とどう付き合うかで、自身の中の分人の構成比率は変化する。 その総体が個性になる。 個性とは、決して生まれつきの、生涯不変のものではない。 だから、例えば「自分は愛されない人間だ」というような本質規定をしてはならない。 「人格は一つしかない」「本当の自分はただ一つ」という考え方は、不毛な苦しみを強いてしまう。 自分が分割できない個人だと思ってしまうと、例えば会社の状態のままで他の人とも接しなくてはいけない。それはきっと楽しくない。 ◼︎悩みや好きな分人は半分は他者のせい(のおかげ) 分人が他者との相互関係によって生まれる人格である以上、ネガティブな分人は、半分は相手のせい。 逆に、ポジティブな分人もまた、半分は他者のおかげ。 そう思えば、感謝や謙虚さも芽生える。

Posted byブクログ

2024/05/12

人を表す最小単位として使われてきた「個人」。 社会においてはそれが最小単位だけど、自分の内側においてそれは一つではない。 Aさんと会ってる時の自分、Bさんと会ってる時、Cさん…、それぞれ違うことを自認している。 この人といる時の自分が好き は、相手のことを好きである理由にならない...

人を表す最小単位として使われてきた「個人」。 社会においてはそれが最小単位だけど、自分の内側においてそれは一つではない。 Aさんと会ってる時の自分、Bさんと会ってる時、Cさん…、それぞれ違うことを自認している。 この人といる時の自分が好き は、相手のことを好きである理由にならないと思ってたけど、その自分になれてるのはあなたのおかげなんだって思えば、立派に人を好きになる理由だと思えた。

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2024/05/11

高校の現代文の教科書に載っていて、授業でもとりあつかった作品を最初から最後まで読んでみた。高校のときに教科書で読んだときにはほとんど理解できなかったが、本書のなかでの分人の定義を十分に理解したうえで、読み進めると平野さんが言いたいことがよく理解できたと感じる。 接する人によって自...

高校の現代文の教科書に載っていて、授業でもとりあつかった作品を最初から最後まで読んでみた。高校のときに教科書で読んだときにはほとんど理解できなかったが、本書のなかでの分人の定義を十分に理解したうえで、読み進めると平野さんが言いたいことがよく理解できたと感じる。 接する人によって自分というキャラクターは違うが、それを意識して人と接することなどほとんどないのが当たり前のこと。それゆえに、自分って何者なのか、どれが本当の自分なのか分からなくなってしまう。この分人の存在を自分の中に認めることにより、人間関係やアイデンティティの問題や悩みは少しは解決されるのではないかと考える。 自分を構成する多数の分人のなかで、自分がある誰かと接しているときの好きな分人をなるべく多く占めるようにするという考え方は素晴らしいと感じた。 また、本書のなかの説明や具体例でたびたび出てきた平野さんの小説も興味があるので読んでみたい。一冊も読んだことがないから、どんな作品なのか気になった。

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2024/04/22

「結局、教育現場で『個性の尊重』が叫ばれるのは、将来的に、個性と職業とを結びつけなさいという意味である」 「職業の多様性は、個性の多様性と比べて遥かに限定的」 「色々な人格はあっても、逆説的だが、顔は1つしかない。」 「自傷行為は、自己そのものを殺したいわけではない。ただ、...

「結局、教育現場で『個性の尊重』が叫ばれるのは、将来的に、個性と職業とを結びつけなさいという意味である」 「職業の多様性は、個性の多様性と比べて遥かに限定的」 「色々な人格はあっても、逆説的だが、顔は1つしかない。」 「自傷行為は、自己そのものを殺したいわけではない。ただ、『自己像(セルフイメージ)』を殺そうとしているのだと。」 別の自分になりたい、という願望。アイデンティティの整理。 「ロボットと人間の最大の違いは、ロボットはーー今のところーー分人化できない点である」 「ナルシシズムが気持ち悪いのは、他者を一切必要とせずに、自分に酔っているところである。」 「誰かといる自分(分人)は好き、という考え方は、必ず一度、他者を経由している。自分を愛するためには、他者の存在が不可欠だという、その逆説こそが、分人主義の自己肯定の最も重要な点である。」 「『愛』は、関係の継続性が重視される概念だ。」 親子愛、兄弟愛、師弟愛、郷土愛…… 「『恋』とは、一時的に燃え上がって、何としても相手と結ばれたいと願う、激しく強い感情だ。」 「持続する関係とは、相互の献身の応酬ではなく、相手のお陰で、それぞれが、自分自身に感じる何か特別な居心地の良さなのではないだろうか?」 分人主義的恋愛観 「愛とは、『その人といるときの自分の分人が好き』という状態のことである。……(略)他者を経由した自己肯定の状態」 「愛とは、相手の存在が、あなた自身を愛させてくれることだ。そして同時に、あなたの存在によって、相手が自らを愛せるようになることだ。」 真綿で首を絞める

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2024/04/09

たしかに、誰かの知らない一面は裏の顔っていうよりもう一つの顔。たしかに、好きでいられる自分の割合を増やしていけば良いのだ。他人は自分を映す鏡ってそついうことか。。。納得の考え方 結局、人間は社会の中、他人との関わりの中で形成されていくんだなあ。アドラー的。 そのへん、動物ってどう...

たしかに、誰かの知らない一面は裏の顔っていうよりもう一つの顔。たしかに、好きでいられる自分の割合を増やしていけば良いのだ。他人は自分を映す鏡ってそついうことか。。。納得の考え方 結局、人間は社会の中、他人との関わりの中で形成されていくんだなあ。アドラー的。 そのへん、動物ってどうなんだろう。

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