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私とは何か の商品レビュー

4.2

525件のお客様レビュー

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2024/05/11

高校の現代文の教科書に載っていて、授業でもとりあつかった作品を最初から最後まで読んでみた。高校のときに教科書で読んだときにはほとんど理解できなかったが、本書のなかでの分人の定義を十分に理解したうえで、読み進めると平野さんが言いたいことがよく理解できたと感じる。 接する人によって自...

高校の現代文の教科書に載っていて、授業でもとりあつかった作品を最初から最後まで読んでみた。高校のときに教科書で読んだときにはほとんど理解できなかったが、本書のなかでの分人の定義を十分に理解したうえで、読み進めると平野さんが言いたいことがよく理解できたと感じる。 接する人によって自分というキャラクターは違うが、それを意識して人と接することなどほとんどないのが当たり前のこと。それゆえに、自分って何者なのか、どれが本当の自分なのか分からなくなってしまう。この分人の存在を自分の中に認めることにより、人間関係やアイデンティティの問題や悩みは少しは解決されるのではないかと考える。 自分を構成する多数の分人のなかで、自分がある誰かと接しているときの好きな分人をなるべく多く占めるようにするという考え方は素晴らしいと感じた。 また、本書のなかの説明や具体例でたびたび出てきた平野さんの小説も興味があるので読んでみたい。一冊も読んだことがないから、どんな作品なのか気になった。

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2024/04/22

「結局、教育現場で『個性の尊重』が叫ばれるのは、将来的に、個性と職業とを結びつけなさいという意味である」 「職業の多様性は、個性の多様性と比べて遥かに限定的」 「色々な人格はあっても、逆説的だが、顔は1つしかない。」 「自傷行為は、自己そのものを殺したいわけではない。ただ、...

「結局、教育現場で『個性の尊重』が叫ばれるのは、将来的に、個性と職業とを結びつけなさいという意味である」 「職業の多様性は、個性の多様性と比べて遥かに限定的」 「色々な人格はあっても、逆説的だが、顔は1つしかない。」 「自傷行為は、自己そのものを殺したいわけではない。ただ、『自己像(セルフイメージ)』を殺そうとしているのだと。」 別の自分になりたい、という願望。アイデンティティの整理。 「ロボットと人間の最大の違いは、ロボットはーー今のところーー分人化できない点である」 「ナルシシズムが気持ち悪いのは、他者を一切必要とせずに、自分に酔っているところである。」 「誰かといる自分(分人)は好き、という考え方は、必ず一度、他者を経由している。自分を愛するためには、他者の存在が不可欠だという、その逆説こそが、分人主義の自己肯定の最も重要な点である。」 「『愛』は、関係の継続性が重視される概念だ。」 親子愛、兄弟愛、師弟愛、郷土愛…… 「『恋』とは、一時的に燃え上がって、何としても相手と結ばれたいと願う、激しく強い感情だ。」 「持続する関係とは、相互の献身の応酬ではなく、相手のお陰で、それぞれが、自分自身に感じる何か特別な居心地の良さなのではないだろうか?」 分人主義的恋愛観 「愛とは、『その人といるときの自分の分人が好き』という状態のことである。……(略)他者を経由した自己肯定の状態」 「愛とは、相手の存在が、あなた自身を愛させてくれることだ。そして同時に、あなたの存在によって、相手が自らを愛せるようになることだ。」 真綿で首を絞める

Posted byブクログ

2024/04/09

たしかに、誰かの知らない一面は裏の顔っていうよりもう一つの顔。たしかに、好きでいられる自分の割合を増やしていけば良いのだ。他人は自分を映す鏡ってそついうことか。。。納得の考え方 結局、人間は社会の中、他人との関わりの中で形成されていくんだなあ。アドラー的。 そのへん、動物ってどう...

たしかに、誰かの知らない一面は裏の顔っていうよりもう一つの顔。たしかに、好きでいられる自分の割合を増やしていけば良いのだ。他人は自分を映す鏡ってそついうことか。。。納得の考え方 結局、人間は社会の中、他人との関わりの中で形成されていくんだなあ。アドラー的。 そのへん、動物ってどうなんだろう。

Posted byブクログ

2024/04/08

10年以上も前の本だが、普遍的な概念の提示をしてくれる本書。 結構、人間観が変わると思う。 人を「個人」(individual:分けられないもの)として考えるから色々複雑になってしまうのではないか、という問題意識から、人の中には複数の分人(dividual:分けられるもの)があ...

10年以上も前の本だが、普遍的な概念の提示をしてくれる本書。 結構、人間観が変わると思う。 人を「個人」(individual:分けられないもの)として考えるから色々複雑になってしまうのではないか、という問題意識から、人の中には複数の分人(dividual:分けられるもの)があるのではないか、という提案。 さらに、この分人は他人との相互関係によって形成されるという。例えば、高校時代の友達と数年ぶりに会ったとき、どこか違和感を持つとすれば、それは高校時代、その相手に対して作っていた分人がすでに小さくなっているからだという。 本書は一貫して「分人」の提案というワンメッセージだが、それだけで普段の生活に示唆があり、かなり人間観の変わる記述であると思う。 個人的には、コロナ禍で家族としか過ごす時間がなく辛かったのも、リモートワークで精神的に疲れるのも、その1日に家族用の「分人」、仕事用の「分人」しか現れていないからなのかなとぼんやり。

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2024/03/29

平野啓一郎さんの実際の体験などをもとに書かれた本。実際に自分の周りにもありそうな実例で正直親近感が湧き、想像しながら読むことができた。ネットの中の姿とリアルの姿。正直私も平野さん同様、どちらが『本当』の姿でもいいと思う。肝心なのは本文にもあるように、一部を見て恣意的に他人が「本当...

平野啓一郎さんの実際の体験などをもとに書かれた本。実際に自分の周りにもありそうな実例で正直親近感が湧き、想像しながら読むことができた。ネットの中の姿とリアルの姿。正直私も平野さん同様、どちらが『本当』の姿でもいいと思う。肝心なのは本文にもあるように、一部を見て恣意的に他人が「本当の姿」だと本質を規定することは違うと思う。すべての分人は結局は「本当の自分」である。そして、個性とは唯一不変のものでなく、他者の存在なしには決して生じないものだとこの本を読んで知ることができた。とても勉強になる本だった。

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2024/03/03

本当の自分とは?自分らしさとは? 常についてまわる呪いのような問いを軽くしてもらえた一冊です。 対人関係ごとに見せる複数の顔を、「個人」をさらに分けた「分人」とし、 分人は偽りの自分ではなくすべて本当の自分だという考え方を知りました。 この人たちといる自分はのびのび笑っていら...

本当の自分とは?自分らしさとは? 常についてまわる呪いのような問いを軽くしてもらえた一冊です。 対人関係ごとに見せる複数の顔を、「個人」をさらに分けた「分人」とし、 分人は偽りの自分ではなくすべて本当の自分だという考え方を知りました。 この人たちといる自分はのびのび笑っていられて好き。 ここにいる時は人の顔色をうかがって縮こまって息苦しい。 身を置く環境よって分人は複数存在し、逆にいうとたったひとつの本当の自分は存在しない。 コミュ障気味で初対面の人となかなか打ち解けられないことを気にしていましたが、ちょっと気が楽になりました。 のびのび出来る分人に重きをおき、大切に育てていくことは、いやな自分とも距離をおくことにもつながる。 まだ出会っていない自分を知るためにいろいろな環境に身をおきたいと思いました。 異世界転生ものが流行っているのは、 いまもっている分人に満足できず新しい自分の姿を見つけたい願望からきているのかな? とも感じました。

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2024/02/27

あの人といる時の自分。この人といる時の自分。自分が持ってるいろんな顔。実際にあの人やこの人の顔を浮かべながら、その発想に新鮮さを感じたり、なるほどねと納得したり。なにかで苦しくなった時、こういう考え方が助けになるかもしれないなと、やっぱり読んでよかった本です。

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2024/03/02

自分は誰に対しても一貫性のある人格ではなく、対話をする相手によって、何人にも別人格として分けられるという考え方はとても理解しやすかった。私は誰とでも打ち解けて話すことができないので、コミュ力がないとしばしば落ち込んでいたけど、そうではなくて話が弾まない人との分人が育たなかっただけ...

自分は誰に対しても一貫性のある人格ではなく、対話をする相手によって、何人にも別人格として分けられるという考え方はとても理解しやすかった。私は誰とでも打ち解けて話すことができないので、コミュ力がないとしばしば落ち込んでいたけど、そうではなくて話が弾まない人との分人が育たなかっただけだと、割り切って考えることができるようになったので、無駄に自己否定をしなくて済むようになった。 人に対しても本当の姿や裏の顔があるのではと疑う必要もなく、自分の前にいる姿が、自分に対してのその人の分人なんだと、素直に接することができる。コミュニケーションが楽になった気がする。

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2024/02/25

本書で平野啓一郎氏が提起した「分人」という新しい概念は、対立概念の「個人」に囚われた考え方から解放し、 新しいものの見方、捉え方を提案し、現代社会での様々な苦悩への解決策になると感じた。 この「分人」の考え方は自分が悶々としていた「感情や思考、嗜好が矛盾する自分」に対して、今まで...

本書で平野啓一郎氏が提起した「分人」という新しい概念は、対立概念の「個人」に囚われた考え方から解放し、 新しいものの見方、捉え方を提案し、現代社会での様々な苦悩への解決策になると感じた。 この「分人」の考え方は自分が悶々としていた「感情や思考、嗜好が矛盾する自分」に対して、今までに出会った言葉の中で最も正解に近い、また、よくぞこれを分かりやすくまとめてくれた!!という感じがある 平野啓一郎氏の本の中では読みやすいし、この「分人」の概念から、物事をシンプルに考えたり、要らないことで悩んだりすることが無くなりそう!

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2024/02/19

◾️内容 人間の単位を「個人」から「分人」へ 「本当の自分」つまり自我が一つであると言う幻想は捨てよ 対人関係においてさまざまに変わる自分を「分人」とし、複数の分人の構成比率で私を成立させていると考える ◾️自分なりの解釈 そうするといいことがたくさんある ・「あの人、裏では〇...

◾️内容 人間の単位を「個人」から「分人」へ 「本当の自分」つまり自我が一つであると言う幻想は捨てよ 対人関係においてさまざまに変わる自分を「分人」とし、複数の分人の構成比率で私を成立させていると考える ◾️自分なりの解釈 そうするといいことがたくさんある ・「あの人、裏では〇〇してて、本当は変な人なんだよ」 私にその人が見せる分人がどうであるかでだけ考えられる。 私にとって良い人なら、良い人なのだ。 これはめちゃくちゃ大学の時にあって、この本読んでおいて良かった。 ・分人が複数あればリスクヘッジできる 一つの環境で、精神がだめになってしまっても、その分人だけがダメなだけであって、他は大丈夫。 その対人関係さえ切ってしまえばいい。 好きじゃない自分がでる関係はどんどん薄くしていけば良い ・分人は構成比率なので、自分の好きな比率にできる 「この人に会っている時の自分が好き」はよく感じると思う。どんな人と会うか?どんなことをするか?を自分自身で決めることが、好きな自分を作り上げていくことにつながる。 「個人」という大雑把な概念では考えづらいと思う。 ◾️感想 僕は結構人見知りで、はじめましての環境に行くと、「なんやこいつおもんな」みたいな顔でよく見られます。 その一瞬はよく自己肯定感下がるんですけど、「お前に見せている分人は私の一つに過ぎないのだ、、、」と思って保てるようになりました。 自己肯定感下がる時は、好きな友達、というか、(そいつといる時の自分が)好きな友達と会うようにできれば復活するんです。 ここまで自分の価値観を変えた本はなかなかないので巡り会えて良かったなと思っています。 平野さんに感謝。皆さんもぜひ一読を。

Posted byブクログ