私とは何か の商品レビュー
これまで平野著の小説は多数読んだが、そこへ散りばめられていた分人という考えの集約が、理路整然と記されており、これまで点と点で理解していたところを線として理解、納得することができた。 アイデンティティの問いの連続に対し、一つずつ例を出して説明がありとても分かり易い。 結局、自...
これまで平野著の小説は多数読んだが、そこへ散りばめられていた分人という考えの集約が、理路整然と記されており、これまで点と点で理解していたところを線として理解、納得することができた。 アイデンティティの問いの連続に対し、一つずつ例を出して説明がありとても分かり易い。 結局、自分は他者によるところが大きく、相手の分人はこの私が材料であるし、その逆も真なり。 ただ、光の三原色で言うところの白、色の三原色で言うところの黒が、"遺伝"としてそれぞれの分人への影響があるのだな、と。 エヴァファンなので思うが、すこしゲンドウの思想と通ずるものがあるのでは? 庵野秀明は、優劣、貧富の差など「個」が存在することで生まれる差を、人類を全と捉えることで平坦なものにし、生きやすくすることを唱えた。 平野の提唱はその延長であり、各々が相互関係にあることで、様々なしがらみや憎しみも連鎖はしやすいが、全て他人ごとでもなくなる。 両者とも結論は、相手がいるから自分がいるし、自分がいるから相手がいる、相手を認めることで自分を認められるという着地であった。 孤立、寂しさを殺すことのできる、まさに優しい考え。 この本は、それぞれの例を深掘りし、悲観的にならず愛のあるまとめに至っていたので読んで良かった。
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分人という考え方について記載されている。何回も同じような事を記載してるし、少し読みにくかった。分人という考え方で本一冊書くのはきついと感じた。
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志望学部・職種:国際関係学部 ここがオススメ!:対人関係ごとに見せる複数の人格を意味する分人という考え方によって自分の視野が広がりました。この本には、私自身とても共感できるものが多く「分人」という考えが悩み解決の一つになると感じました。人間関係やコミュニケーションの取り方に悩んで...
志望学部・職種:国際関係学部 ここがオススメ!:対人関係ごとに見せる複数の人格を意味する分人という考え方によって自分の視野が広がりました。この本には、私自身とても共感できるものが多く「分人」という考えが悩み解決の一つになると感じました。人間関係やコミュニケーションの取り方に悩んでいる方にお勧めだと思います。
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社会に出ると様々な人に出会い、時に愛想笑いをし、時に自分をごまがして同調してみたり、また時には本音と建前を使い分ける。 そうしてふとした時に、「自分は何者なのか?」と焦燥に駆られ、自分探しを始める。 自分探しの手段として、海外留学や転職をする人もいれば、新たなコミュニティーに属す...
社会に出ると様々な人に出会い、時に愛想笑いをし、時に自分をごまがして同調してみたり、また時には本音と建前を使い分ける。 そうしてふとした時に、「自分は何者なのか?」と焦燥に駆られ、自分探しを始める。 自分探しの手段として、海外留学や転職をする人もいれば、新たなコミュニティーに属することもある。 はたまた新しい趣味を始めてみたり、自分を導いてくれる師や団体を支持する人もいる。 その結果、「自分とは何者か」を言語化し、腹落ちできる人は実は相当少ないのではないか。 実は多くの人がそれでもなお、ループにはまり、自分探しのジレンマに陥っているのではないか。 程度問題こそあれ、私も同じジレンマにハマっている節があり、本書はこのジレンマに別の角度からの視点を投げかけてくれます。 それが『分人主義』 以下、私が良いなと思ったフレーズや要約 ◼︎たった一つの「本当の自分」など存在しない。 対人関係ごとに見せる複数の顔が、全て「本当の自分」であるという考え。 対人関係ごとの様々な自分のことを『分人』と呼び、相手とのコミュニケーションを通じて、自分の中に形成されていく。 個人を整数の1とするなら、分人は分数のイメージ。 私たちはごく自然に、相手の個性との間に調和を見出そうとし、コミュニケーション可能な人格をその都度生じさせ、その人格を現に生きている。 複数の人格でそれぞれ、本音を語り合い、相手の言動に心を動かされ、考え込み、人生を変える決断を下したりしている。 それはつまり、複数の人格は全て、「本当の自分」なのである。 ◼︎分人には中心が存在しない。 分人は、自分で勝手に生み出す人格ではなく、常に環境や対人関係の中で形成される人格である。 鏡の前で1人で会話していても分人は形成されない。 ※人格とは 朝日が昇って、夕陽が沈む反復的なサイクルを生きる中で、身の回りの他者とも反復的なコミュニケーションを重ね、それらの反復を通じて形成される一種のパターンのこと。 ◼︎分人の形成プロセス 分人は、特定の誰かとの反復的なコミュニケーションにより形成されるが、その形成プロセスは大きく3つに分けられる。 ①社会的な分人 不特定多数の人とのコミュニケーション可能な、汎用性の高い分人 ②グループ向けの分人 特定のカテゴリー、グループに向けた分人。 学校や会社、サークル等。 ③特定の相手に向けた分人 ①②を経て、最終的に生まれるのがこれ。 全ての関係がこの段階まで至るわけではない。 そうなるかどうかは運や相性もある。 ◼︎コミュニケーションが苦手な人への提言 コミュニケーションが苦手だと思う人は、その原因を話術の不足に求めがちだが、そうではなくて、相互の分人化の失敗と考えてみると、見方が変わってくる。 コミュニケーションがうまくいかない人は、まず社会的な分人という入りの部分で何か違和感を与えているかもしれない。 或いは、そこから自分の個性を発揮することに気を取られすぎて、勝手なペースで分人化を進めようとしているのかもしれない。 重要なのはまず、『柔軟な社会的な分人』が双方にあること。 ◼︎個性とは分人の構成比率 誰とどう付き合うかで、自身の中の分人の構成比率は変化する。 その総体が個性になる。 個性とは、決して生まれつきの、生涯不変のものではない。 だから、例えば「自分は愛されない人間だ」というような本質規定をしてはならない。 「人格は一つしかない」「本当の自分はただ一つ」という考え方は、不毛な苦しみを強いてしまう。 自分が分割できない個人だと思ってしまうと、例えば会社の状態のままで他の人とも接しなくてはいけない。それはきっと楽しくない。 ◼︎悩みや好きな分人は半分は他者のせい(のおかげ) 分人が他者との相互関係によって生まれる人格である以上、ネガティブな分人は、半分は相手のせい。 逆に、ポジティブな分人もまた、半分は他者のおかげ。 そう思えば、感謝や謙虚さも芽生える。
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人を表す最小単位として使われてきた「個人」。 社会においてはそれが最小単位だけど、自分の内側においてそれは一つではない。 Aさんと会ってる時の自分、Bさんと会ってる時、Cさん…、それぞれ違うことを自認している。 この人といる時の自分が好き は、相手のことを好きである理由にならない...
人を表す最小単位として使われてきた「個人」。 社会においてはそれが最小単位だけど、自分の内側においてそれは一つではない。 Aさんと会ってる時の自分、Bさんと会ってる時、Cさん…、それぞれ違うことを自認している。 この人といる時の自分が好き は、相手のことを好きである理由にならないと思ってたけど、その自分になれてるのはあなたのおかげなんだって思えば、立派に人を好きになる理由だと思えた。
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高校の現代文の教科書に載っていて、授業でもとりあつかった作品を最初から最後まで読んでみた。高校のときに教科書で読んだときにはほとんど理解できなかったが、本書のなかでの分人の定義を十分に理解したうえで、読み進めると平野さんが言いたいことがよく理解できたと感じる。 接する人によって自...
高校の現代文の教科書に載っていて、授業でもとりあつかった作品を最初から最後まで読んでみた。高校のときに教科書で読んだときにはほとんど理解できなかったが、本書のなかでの分人の定義を十分に理解したうえで、読み進めると平野さんが言いたいことがよく理解できたと感じる。 接する人によって自分というキャラクターは違うが、それを意識して人と接することなどほとんどないのが当たり前のこと。それゆえに、自分って何者なのか、どれが本当の自分なのか分からなくなってしまう。この分人の存在を自分の中に認めることにより、人間関係やアイデンティティの問題や悩みは少しは解決されるのではないかと考える。 自分を構成する多数の分人のなかで、自分がある誰かと接しているときの好きな分人をなるべく多く占めるようにするという考え方は素晴らしいと感じた。 また、本書のなかの説明や具体例でたびたび出てきた平野さんの小説も興味があるので読んでみたい。一冊も読んだことがないから、どんな作品なのか気になった。
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「結局、教育現場で『個性の尊重』が叫ばれるのは、将来的に、個性と職業とを結びつけなさいという意味である」 「職業の多様性は、個性の多様性と比べて遥かに限定的」 「色々な人格はあっても、逆説的だが、顔は1つしかない。」 「自傷行為は、自己そのものを殺したいわけではない。ただ、...
「結局、教育現場で『個性の尊重』が叫ばれるのは、将来的に、個性と職業とを結びつけなさいという意味である」 「職業の多様性は、個性の多様性と比べて遥かに限定的」 「色々な人格はあっても、逆説的だが、顔は1つしかない。」 「自傷行為は、自己そのものを殺したいわけではない。ただ、『自己像(セルフイメージ)』を殺そうとしているのだと。」 別の自分になりたい、という願望。アイデンティティの整理。 「ロボットと人間の最大の違いは、ロボットはーー今のところーー分人化できない点である」 「ナルシシズムが気持ち悪いのは、他者を一切必要とせずに、自分に酔っているところである。」 「誰かといる自分(分人)は好き、という考え方は、必ず一度、他者を経由している。自分を愛するためには、他者の存在が不可欠だという、その逆説こそが、分人主義の自己肯定の最も重要な点である。」 「『愛』は、関係の継続性が重視される概念だ。」 親子愛、兄弟愛、師弟愛、郷土愛…… 「『恋』とは、一時的に燃え上がって、何としても相手と結ばれたいと願う、激しく強い感情だ。」 「持続する関係とは、相互の献身の応酬ではなく、相手のお陰で、それぞれが、自分自身に感じる何か特別な居心地の良さなのではないだろうか?」 分人主義的恋愛観 「愛とは、『その人といるときの自分の分人が好き』という状態のことである。……(略)他者を経由した自己肯定の状態」 「愛とは、相手の存在が、あなた自身を愛させてくれることだ。そして同時に、あなたの存在によって、相手が自らを愛せるようになることだ。」 真綿で首を絞める
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たしかに、誰かの知らない一面は裏の顔っていうよりもう一つの顔。たしかに、好きでいられる自分の割合を増やしていけば良いのだ。他人は自分を映す鏡ってそついうことか。。。納得の考え方 結局、人間は社会の中、他人との関わりの中で形成されていくんだなあ。アドラー的。 そのへん、動物ってどう...
たしかに、誰かの知らない一面は裏の顔っていうよりもう一つの顔。たしかに、好きでいられる自分の割合を増やしていけば良いのだ。他人は自分を映す鏡ってそついうことか。。。納得の考え方 結局、人間は社会の中、他人との関わりの中で形成されていくんだなあ。アドラー的。 そのへん、動物ってどうなんだろう。
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10年以上も前の本だが、普遍的な概念の提示をしてくれる本書。 結構、人間観が変わると思う。 人を「個人」(individual:分けられないもの)として考えるから色々複雑になってしまうのではないか、という問題意識から、人の中には複数の分人(dividual:分けられるもの)があ...
10年以上も前の本だが、普遍的な概念の提示をしてくれる本書。 結構、人間観が変わると思う。 人を「個人」(individual:分けられないもの)として考えるから色々複雑になってしまうのではないか、という問題意識から、人の中には複数の分人(dividual:分けられるもの)があるのではないか、という提案。 さらに、この分人は他人との相互関係によって形成されるという。例えば、高校時代の友達と数年ぶりに会ったとき、どこか違和感を持つとすれば、それは高校時代、その相手に対して作っていた分人がすでに小さくなっているからだという。 本書は一貫して「分人」の提案というワンメッセージだが、それだけで普段の生活に示唆があり、かなり人間観の変わる記述であると思う。 個人的には、コロナ禍で家族としか過ごす時間がなく辛かったのも、リモートワークで精神的に疲れるのも、その1日に家族用の「分人」、仕事用の「分人」しか現れていないからなのかなとぼんやり。
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平野啓一郎さんの実際の体験などをもとに書かれた本。実際に自分の周りにもありそうな実例で正直親近感が湧き、想像しながら読むことができた。ネットの中の姿とリアルの姿。正直私も平野さん同様、どちらが『本当』の姿でもいいと思う。肝心なのは本文にもあるように、一部を見て恣意的に他人が「本当...
平野啓一郎さんの実際の体験などをもとに書かれた本。実際に自分の周りにもありそうな実例で正直親近感が湧き、想像しながら読むことができた。ネットの中の姿とリアルの姿。正直私も平野さん同様、どちらが『本当』の姿でもいいと思う。肝心なのは本文にもあるように、一部を見て恣意的に他人が「本当の姿」だと本質を規定することは違うと思う。すべての分人は結局は「本当の自分」である。そして、個性とは唯一不変のものでなく、他者の存在なしには決して生じないものだとこの本を読んで知ることができた。とても勉強になる本だった。
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