光圀伝 の商品レビュー
渾身という言葉が装丁されて出てきたような気魄あふれる作品だった。熱さ負けしてすらすらさらさらとは読めない。 今生の生を未来に捧ぐ、人の生命をその手で奪うことも多かった光圀が至った言葉は史書に名前が遺ることない数多の人生もまた背負ったもので、史を遺すことの意義ここにあり、であった。...
渾身という言葉が装丁されて出てきたような気魄あふれる作品だった。熱さ負けしてすらすらさらさらとは読めない。 今生の生を未来に捧ぐ、人の生命をその手で奪うことも多かった光圀が至った言葉は史書に名前が遺ることない数多の人生もまた背負ったもので、史を遺すことの意義ここにあり、であった。 義というのはやっかいだ。全うするには時期にも人にも恵まれなければならない。そうでなかった者の生にも意義がある、と言われても全うできなければやはり無念であろう。 光圀は支配者として民に尽くす、民と混じり笑い合い、そして使う。そんな描写を読みながら浮かんだのは、全く、日本という国は君主制がよく合う国民性であることだ。
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750ページに及ぶ、水戸光圀を描いた大作。さすがに読了に時間かかりました…。 ですが長さをまったく感じさせず、どこまでも前のめりで読める文章はお見事の一言。 父、兄、友、妻、師匠、その他多くの周りの人との熱い交流に胸震え、読みながら何度も表情筋を動かされます。 『天地明察』に続き...
750ページに及ぶ、水戸光圀を描いた大作。さすがに読了に時間かかりました…。 ですが長さをまったく感じさせず、どこまでも前のめりで読める文章はお見事の一言。 父、兄、友、妻、師匠、その他多くの周りの人との熱い交流に胸震え、読みながら何度も表情筋を動かされます。 『天地明察』に続き、忘れられない言葉もたくさん。 個人的には詩の天下を目指すなかでの後水尾天皇との関わりが印象深い。 「義であるか」を問い続け、人生を生ききった水戸光圀。 とにかく描かれている内容のスケールが桁違い。名作でありました。
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かっかっかっと笑うシーンも印籠も無い。 菓子箱の下に小判を入れて、『おぬしも悪よのぉ』 と言うセリフも無い。もちろん由美かおるの入浴 シーンもある訳が無いが確かに読み応え十分有り。 紋太夫の生きる時代がもう少しだけ後になってい たのなら紋太夫は時代に名を残せる偉業を成し遂 げた...
かっかっかっと笑うシーンも印籠も無い。 菓子箱の下に小判を入れて、『おぬしも悪よのぉ』 と言うセリフも無い。もちろん由美かおるの入浴 シーンもある訳が無いが確かに読み応え十分有り。 紋太夫の生きる時代がもう少しだけ後になってい たのなら紋太夫は時代に名を残せる偉業を成し遂 げたのかもしれない。生きる時代とタイミングが 合ってさえいれば…あのタイミングでは光圀も苦 渋であるが生かしておけなかったんだろうな。 読了感は大きな達成感だ。光圀の生き様が大きす ぎて、もっともっと頁が欲しかったとも思う。 映像化に期待感がある。これなら大河ドラマの視 聴率が上がるのは間違いないと思うし…そうなっ って欲しい。 『天地明察』の外伝的な要素も少しあり楽しめた どちらも主人公が何故自分が?と言う苦悩のまま 時間が経過していく。大義の為に人はどれだけ本 気になれるのであろうか?と考えさせられた。 水戸へ歴史探訪に行きたくなった。 冲方さんに、今後も歴史大作を期待します。
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750ページにも及ぶ大作で密度も濃い。久々の本格歴史小説を堪能出来た。絶頂期の司馬遼太郎の作品に近いものを感じた。登場人物が全て魅力的で特に泰姫には惚れた。映画化するなら宮崎あおいかな、お付きの左近は、美人だから香椎由宇あたりがいいかも。しかし、冒頭が死で始まり、底流に流れるのは...
750ページにも及ぶ大作で密度も濃い。久々の本格歴史小説を堪能出来た。絶頂期の司馬遼太郎の作品に近いものを感じた。登場人物が全て魅力的で特に泰姫には惚れた。映画化するなら宮崎あおいかな、お付きの左近は、美人だから香椎由宇あたりがいいかも。しかし、冒頭が死で始まり、底流に流れるのは死の連鎖であり死の物語でもあった。次作は、この物語にも重要な位置付けで登場した宮本武蔵を書いてもらいたいな。
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誰もが知っている、あの「水戸黄門」伝冲方版は、誰も知らなかった黄門様が描かれます。「天地明察」とも少しリンクしていて楽しめました。ただ750ページと言うボリュームは半端じゃありません。使用している紙のせいもあるんでしょうけどとにかく重たくて、電車の中で片手で読むのは苦労しました。
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光圀さんってTVのお気楽なご隠居さんのイメージで読みはじめたら…幼少期から何故自分なのかを問い続け、結構辛い思いを抱えた「義」の人で、理解者との別れも多く、泣けました。 読者サービスでチラッと算哲も登場し(つながってたか〜)、もう一度「天地明察」を読みたいと思わせるところあり。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
面白かった。水戸黄門といえば、テレビのイメージしかなかったが、 全く別人だということがわかった。 若い頃の光圀は見栄えもよく、頭もよく、行動力も力もあるという 魅力溢れるキャラクターで描かれていて、ぐいぐい惹きこまれた。 義の通し方が半端ではなく、兄に対して義を通した時には 思わず涙が溢れた。 後半は破天荒なキャラクターが少し落ち着き、 政治的な話、死にまつわる話も多くなるが、それでも読ませる力は衰えず、最後まで一気に読めた。 これを読む前に「海賊と呼ばれた男」 を読んでいたので、義を通すなど、二人の男に 共通点を感じた。
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【今年No.1】 総700ページ超のハードカバー仕様を2日に分けて約6時間かけて読み終えた。 「壮絶に面白い」 これが感想だ。 読んでいる間は、本書に描かれている光圀公の熱量に圧倒されっぱなしであった。 己の出生を呪い、義を求め続けた青年期。 家族、友人の死に打ちのめさ...
【今年No.1】 総700ページ超のハードカバー仕様を2日に分けて約6時間かけて読み終えた。 「壮絶に面白い」 これが感想だ。 読んでいる間は、本書に描かれている光圀公の熱量に圧倒されっぱなしであった。 己の出生を呪い、義を求め続けた青年期。 家族、友人の死に打ちのめされながら進んだ成年期。 文学や史書の発展に身を尽くした壮年期。 ここにはTVのような勧善懲悪劇は殆ど描かれていない。 義とは何かを求め、詩で天下を取るという欲望をギラつかせ、史書に人の生きた証を込めた水戸光國公の生涯がある。 蛇足かもしれないが、義に生も悪もないということが改めて分かる。 義はただ純粋に、義である。 「これは義であるか?」 常に己に問いたい言葉だ。 おそらく、来年の本屋大賞の有力候補になるだろう。
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天地明察より、ユーモラスな要素が増え、そして、静かに積み重なる面白さ。歴史物苦手な人でもするする読ませちゃうところは、さすが沖方さんです♪
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「天地明察」でちょっとだけ登場していた徳川光圀の一代記。水戸黄門のイメージを一新してくれる良い物語を読む事ができました。単に有名人を登場させて事件を解決というのではなく、水戸光圀の生き様を書ききった傑作だと思います。それにしても、自分を理解してくれる人に先立たれるというのは、半身...
「天地明察」でちょっとだけ登場していた徳川光圀の一代記。水戸黄門のイメージを一新してくれる良い物語を読む事ができました。単に有名人を登場させて事件を解決というのではなく、水戸光圀の生き様を書ききった傑作だと思います。それにしても、自分を理解してくれる人に先立たれるというのは、半身を引きちぎられるような気分になるんでしょうね、読んでない人は読むべしです。
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