ツナグ の商品レビュー
泣けた。電車の中ではだめだったな。 死者の視点を持ちながら生きていく、と言う作者のメッセージがすごく胸に響いた。自分もそうやって生きているから。忘れられないいい物語を読んだ。
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書評にも書いてあったけれど、日本人にとって「死後の世界」を描写するのって特に難しいことではないかと。 何かと信仰と結びつけられがちな死という概念は、民族として決まった信仰のない”無宗教“の日本人には腹落ちしにくいなーっていうのが素直な感想です。 ただ、固定概念がないからこそ理想...
書評にも書いてあったけれど、日本人にとって「死後の世界」を描写するのって特に難しいことではないかと。 何かと信仰と結びつけられがちな死という概念は、民族として決まった信仰のない”無宗教“の日本人には腹落ちしにくいなーっていうのが素直な感想です。 ただ、固定概念がないからこそ理想とか妄想、空想なんていうことが可能なわけで。 死んでしまったあの人にもう一度会いたい!という願望を叶える使者(ツナグ)がこういうシステムになっているという設定も、割とすんなり受け入れられるかなと感じます。 何よりツナグ自身が思い悩む描写があるのが秀逸。 伊坂の「死神の精度」とはまた違った観点であの世とこの世を認識できて良かったです。 全てがハッピーじゃないところも◎。
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悼む人を思い出してしまうような、なんか不思議な話の作り。 2つめの女子高生の話のところでは、ついて行けなくなり、読破するのをあきらめようかと感じたが、何とか読み続けると、不思議な話が徐々に繋がってきて、世代間をツナグ話になってきた。 どちらかというと、女性向けの話だなぁ。
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映画館で映画の予告を見てしまい、これは面白そうだと原作に手を伸ばした。 前々から周りの人に辻村ファンが多く、いつかは読みたいと思っていたのでちょうどいい機会だし。 本の内容。「ツナグ」と呼ばれる人達がこの世にはいると。「ツナグ」は文字通り人と人とをつなぐのだけれど、生きている人ではなくて相手は亡くなった人。1日だけ、しかも1回しかチャンスがないその機会を与えるのが使命。「使命」と書いて「ツナグ」と読む。 その能力を持つこととなった高校生、渋谷歩美。17歳。彼が主人公のオムニバス形式5編で出来てる作品。 読んでみて思ったのは、伊坂幸太郎の死神の精度に似てるなぁと。話は全然違うんだけれど、雰囲気とか。 個人的には最後の歩美自体がツナグを始めるきっかけとなったことが書かれてる章が一番気にいった。 この作品は本当に読後感も良くて、文体も自分に合ってて、何度でも読み返したくなる作品。
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もう一度だけ会いたいと思う死者に合わせてくれるのが「使者(ツナグ)」。 指定された番号に電話をかけて依頼すると、 高校生ぐらいの若い男性が現れてホテルの一室で無くなった人に会わせてくれます。 会うためには色々なルールがあるものの、 指定された日に一晩だけ会える死者には実体があり...
もう一度だけ会いたいと思う死者に合わせてくれるのが「使者(ツナグ)」。 指定された番号に電話をかけて依頼すると、 高校生ぐらいの若い男性が現れてホテルの一室で無くなった人に会わせてくれます。 会うためには色々なルールがあるものの、 指定された日に一晩だけ会える死者には実体があり、 生きている時とまったく同じ様子で現れて依頼者と話をすることが出来ます。 会いたいと思う依頼者の気持ちや事情もさることながら、 一晩だけ会える「会いたいと思われた人」にも想いがあって、 依頼者が悩んでいたことが解決されて行きます。 物語は4つの話がそれぞれ1話ずつ完結しているものの、 最後の1話ですべてが総括されて全体的な謎が解かれる流れとなっています。 それぞれの話も感動的な内容ながら最後の5話目は「ツナグ」の秘密が明らかになるなど、 4つの話がさらに深く絡み合って終焉を迎えます。 この物語に全体的に流れているのは「愛情」であり「人の心の複雑さ」だと思います。 「死者と会える」という設定ながら悲壮感が漂っていないのは著者の文章力の賜物。 複雑な事情や考えさせられるテーマを含んでいながらも、 読んでいて心が温かくなり感動を覚える一冊です。
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以前、図書館で借りた本が文庫化されていたので購入・再読。 たった一度だけ、死者との再会をすることができる。 もし私だったらいったい誰との再会を望むだろうか。 様々な人が様々な理由で使者(ツナグ)に死者との再会を依頼する。 心の支えだった人、家族、婚約者、中でも亡くなった親友に会いにゆく「親友の心得」は話に引き込まれ、後ろ暗い理由を持って再会を望んだ嵐が死者との再会で決定的な後悔を抱えることとなり、死者との再会が必ずしも使者にとっても生者にとっても良いほうに左右される事ではないのだと、どんな再会の時間を持つかで一生の後悔になってしまう事もあるのだと感じだ。 それにしても、使者である歩美から嵐の言葉を聞いた時の御園の気持はどんなだったのだろうか。
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不思議な存在、「ツナグ」。三本の読み切り話とその後のツナグ本人「歩美」の話とで構成されていて、先の話が後の話に絡み合う。歩美の成長記録にもなってるし、両親の謎が解き明かされるのも面白かったんだけど、結局実際にはどんな風に死者を呼び出してるのかがわからなかった。そこが一番知りたかったんだけどな。けれど話としては何度もうるっと来たし、毒もあったし、面白かった。続きがあるならまた読みたい。そして何よりもしかして今書きたいものとネタがかぶってるんじゃないかと思って慌てて買って読んだんだけど、何とか棲み分けが出来そうで良かった……!(笑)
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ジーンとくる話も、エグい話もあり。使者の少年は、あまりに落ち着いているので、人間に化けた 霊界とかからきた不思議な力を持っているキャラなのかと思いきや、普通の人間の高校生。最終章で、新米使者として、戸惑いや葛藤するさまが描かれている それまで読んできた4つの章を、別の視点で振り替えれるという点がおもしろかったし、新鮮だった
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久し振りの辻村深月! 良かった〜! 彼女の作品にはどうしてこんなに共感できるんだろう。 一冊読むあいだ、何度涙をこらえたことか。 亡くなった主人に生まれたての息子を会わせに行った老婦人。 それがどんな感情なのか分かった瞬間、感極まってしまった。 いつも気持ちのよい涙を流させてくれるなあ。 そして最後に全ての物語がつながる。 彼女らしさ健在!面白かった〜!
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アイドル、長男、親友、待ち人、使者、それぞれの「心得」の話。 死者と生者をツナグ。辻村深月っぽい淡い文体が心地よい。
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