ツナグ の商品レビュー
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映画でチラッと見た程度のある作品だったので、しっかり原作を読もうと思い手に取りました。 死者と生者を合わせる窓口である使者は、現実的にはあり得ない設定だと思いました。しかし、作中で「都市と伝説的に語られているもの」と書かれており、私が生きる社会にもそういった類の話は聞くなーっと思った瞬間にはもう作品に引き込まれていました。 1人目のOLとアイドルの話で、自分が生きている中で何気なく人のために、出来る良いことは積極的に行おうという気持ちになり、 2人目の長男と母親の話では、素直に生きる事と、誰かに甘える大切さをしり、 3人目の親友2人の話では、腹を割って話せる間柄の関係がいかに貴重か。そして、やらない事で起きる後悔の大きさを学び、 4人目の婚約者の話で、一歩踏み出す勇気の大切さをしりました。 そして、物語の最終章では使者自身である歩美にフォーカスされます。母親と父親のどちらに会うかをずっと悩む本人でしたが、鏡の秘密と父母の関係を見つめ直した際に素晴らしい結論が出ました。 その結論を通して、おばあちゃんの気持ちにも整理がついたと思います。 読後に自分なら誰に会いたいかを想像しましたしたが、出てきませんでした。これは今の所、大切な人を失っていないからなのかなと思います。 この先の人生では悔いのないように、様々な事に前向きに挑戦していきたいです。
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再読 そばにいる人と、それに関わる全ての物を大切にしたい。何気ない日常、すれ違いや喧嘩も全て宝物。そばに居るだけで幸せなことなんだと、特にキラリちゃんが失踪した話で感じた。 また嵐のように美園に会ったのに本当の気持ちを伝えられなくて終わってしまったという後悔が残る話も対照的でよかった。切ない。 自分だったら誰に会うか、誰に会いに来て欲しいと願うのか。
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最初から4章続けて、使者への依頼から死者との面会までが同じ流れで進んでいくため、話の展開が少なく読み進めるのに時間がかかった。
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死者と会える世界線 羨ましいな〜 大切な人に旅立たれてからも、残されたものは生きていかなければいけないことは誰しも直面しうるであろうテーマ。 友情、家族、恋人、尊敬など様々なテーマで描かれておりかんじょういんにゅうしやすい。
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死者との交流を描くそれぞれの短編はありきたりなストーリーだった。 が、ラストでツナグの視点からストーリーを語ることでそれぞれの短編に厚みが増し、さらにツナグの境遇やツナグになったあらましがわかるにつれ作品全体の完成度が高まった印象でした。
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連作長編小説で全5話構成、前4話がA面とするなら残りの1話が、B面でありメインの印象。特に、5話目で伏線を一気にかつきれいに回収し話がまとまる様は感動を覚えた。 生者と死者をつなぐ使者の物語で、メインのストーリーも去ることながら前半4話を通じて、生者とは、死者とは、死生観を考えさ...
連作長編小説で全5話構成、前4話がA面とするなら残りの1話が、B面でありメインの印象。特に、5話目で伏線を一気にかつきれいに回収し話がまとまる様は感動を覚えた。 生者と死者をつなぐ使者の物語で、メインのストーリーも去ることながら前半4話を通じて、生者とは、死者とは、死生観を考えさせられる場面もいくつもあった。 年齢を重ねた時に再読しても新たな発見、気付きがあるような一冊。
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一生に一度、一夜だけ、死者との再会を叶えてくれる使者(ツナグ)。その存在にたどり着き、奇跡の再会を果たした人たちの姿を描く連作長編小説。 まず感じたのは「長男の心得」の主人公が嫌なやつすぎるということ…!頑固で意地っぱり、人をバカにしたような言動が多く、見ていて辟易した。 しか...
一生に一度、一夜だけ、死者との再会を叶えてくれる使者(ツナグ)。その存在にたどり着き、奇跡の再会を果たした人たちの姿を描く連作長編小説。 まず感じたのは「長男の心得」の主人公が嫌なやつすぎるということ…!頑固で意地っぱり、人をバカにしたような言動が多く、見ていて辟易した。 しかしその嫌なイメージの反動もあってか、彼がある人と再会するシーンは、温かくて懐かしくて寂しい気持ちになり、ぼろぼろと泣いてしまった。そして彼も実はそんなに悪いやつではないかも…と見方を変えてしまいそうになったが、普段の言動があまりに酷かったため、彼の印象をどこに落ち着かせればいいか分からなくなった(笑) さて。死んでしまった人と一度だけ会えるとしたら。私なら迷わず、数年前に死んだ母と会いたい。そんなチャンスがあったら、どれだけいいだろうと思う一方で、実際にはそんなチャンスがなくてよかったと心底思う。 普通、「会うのはこれで最後」と確信を持って人と会うことはない。最後にしよう、とか最後になるかもしれない、と思うことはあれど、また会える可能性は残っている。だから大切な人が死んで二度と会えなくなってから、もっとああしてればと後悔する。でもそれでいいのだと思う。 ツナグに頼んで大切な人と会うことができても、この人とはもう会えないんだ、死んじゃったんだと思いながら、平静を保って話せる気がしない。その一夜が明けたとき、亡くなったとき以上の悲しみにも襲われそうだ。 そして後から、もっとあの話をすればよかったとまた同じような後悔に苛まれる気がする。 死んだら会うチャンスはない、弁解も懺悔もできず、死者と生者をきっぱり断絶してくれているこの世界のほうがずっと優しい。だからこそこの世で会って話せるうちに、ちゃんと向き合おうと思える。 「親友の心得」はまさに、再会を果たしたにも関わらず後悔が残ってしまった人の話。 前に読んだ『Another side of 辻村深月』で辻村さんが語るところによると、この章は本当は後味のいい話を書くつもりだったが、締め切りを勘違いしていて、慌てて書いたらあのラストになったそう。私は死者との再会が温かく後味の良いものばかりではないことを描くこの章が、他とは違うリアリティがあってとても好きだ。 総じてどの章も強く引き込まれ、それぞれ違う意味合いで心に残った。 ただ連作長編小説のため、一つ一つのストーリーが濃密かつ端的に描かれていて、ようやくの思いで再会を果たした彼らが、朝を迎えるシーンで毎回「えっ、もう?」とあっけなく感じた。欲を言うならば、一晩かけて何をどんな風に話したのか、もっと知りたかった。きっとそれらが詳細に描かれていたとしても読後に感じることに変わりはないだろうが、一夜だけのその不思議な世界にもう少し浸っていたかった。それほどに引き込まれていた。 次は、映画版をぜひとも観てみたい。
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この世に残された人と、あの世に行ってしまった人、2人を繋ぐ使者(ツナグ)の話。 生きているうちに1回、死んだ後に1回 誰かに会えるとしたら。 私は誰に会いたいのだろう、私に会いたいと思ってくれる人は誰なのだろう。と考えた。 大事な人たちが胸によぎって、今すぐにでも抱きしめたい気持...
この世に残された人と、あの世に行ってしまった人、2人を繋ぐ使者(ツナグ)の話。 生きているうちに1回、死んだ後に1回 誰かに会えるとしたら。 私は誰に会いたいのだろう、私に会いたいと思ってくれる人は誰なのだろう。と考えた。 大事な人たちが胸によぎって、今すぐにでも抱きしめたい気持ちになった。 親友の心得、は胸が潰れそうになった。
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「一度だけ」死者と生きる人を繋ぐ役目を担った人を取り巻く物語です。 テーマがちょっとSFっぽいですが、もしかしたら自分も経験しそうなヒューマンドラマが展開されます。 「言わなきゃ伝わらない」と「伝えなくて良かった」 選ばなかった分岐点の先には色々な事情があるなと頷きました。 ...
「一度だけ」死者と生きる人を繋ぐ役目を担った人を取り巻く物語です。 テーマがちょっとSFっぽいですが、もしかしたら自分も経験しそうなヒューマンドラマが展開されます。 「言わなきゃ伝わらない」と「伝えなくて良かった」 選ばなかった分岐点の先には色々な事情があるなと頷きました。 サクサク読めて楽しい一冊でした。
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感想書くため再読。 あれ?こんなやるせない話だったっけ?もっと前向きだったような気がするが、あれれ? 登場人物、みんな家が裕福なのに、それぞれ悩みを抱えてる。なんとかしようと死者と会おうとするために、それを叶えてくれる使者を頼るのが、なんかせつない。んで、それでハッピーになるかと思いきや、行動によっては悲しい結末に。 やっぱりきついのは「親友の心得」 特別に会えた亡くなった親友に対し、最後まで曝け出せなかった、信頼できなかった結果は、どこまでも残る深〜い後悔。キツすぎる。 でもこれは、この物語だけの話じゃなくて、普段の生活でもそうなんだよね。キチンとそうするべき時に言う、行動する。そうせずに「いつか」とか思ってると後悔するよね。教訓です。 死者も生者も会える人は1人だけ、という設定が厳しくも、その後を想像すると、逆に慈悲を感じる。ちゃんと踏ん切りをつけて、先に進む機会にしなさい、と言われてるような。 この辺がポジティブかな。 そのポジティブさのおかげか、使者の決まり事を知ったアユムくんが、使者を前向きに捉えることができてよかった。
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