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の商品レビュー

3.6

228件のお客様レビュー

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    37

  2. 4つ

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  4. 2つ

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2014/02/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2014/02/15読了。デビュー作である『銃』と、短編の『火』の2編収録。読んだきっかけはピース又吉のブックレビューからでした。 『銃』は、たまたま通りかかった自殺者の傍らに落ちていた銃を拾った大学生が、その銃のもつ魅力にとりつかれ執着し、変化していく様を描いた小説。 淡々と冷静に、銃をもつ自分の心理を分析している主人公だが、だんだんと深みにはまっていき、一線を越えるかというところは非常に緊張感がありました。 引き金を引く場面は2回あり、その心理は対照的。ラストがとても印象に残ります。

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2014/02/08

雨が降りしきる河原で、大学生の西川が出会った死体。その傍らに落ちていた黒い物体。圧倒的な美しさと存在感を持つ「銃」に魅せられた彼は「私はいつか拳銃を撃つ」という確信を持つようになるのだが… 「掏摸(スリ)」を読んだときに感じた中村文則の筆力は、本人による文庫版のあと書きによれば...

雨が降りしきる河原で、大学生の西川が出会った死体。その傍らに落ちていた黒い物体。圧倒的な美しさと存在感を持つ「銃」に魅せられた彼は「私はいつか拳銃を撃つ」という確信を持つようになるのだが… 「掏摸(スリ)」を読んだときに感じた中村文則の筆力は、本人による文庫版のあと書きによれば「初めて書いた小説」というこの作品でも十分に感じられた。静かに狂っていく主人公に、別に共感するわけでもないのにどこか惹きつけられる。他の作品ももっと読んでみたいと思う作家であることは間違いない。 (B)

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2014/01/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

リズムを掴むのに苦労して少し読んでは積読、少し読んでは積読を繰り返しようやく読了。 ラスト17章の展開が良い。人って一たび何かに取り憑かれてしまうともうそれを知らなかった頃の自分には戻れないよな。必死に舵を切ろうとしても。 主人公は殺めた男の中に自分を捨てた親の姿を見たんだろうか。彼にザリガニを投げつけた隣の家の子供はいつか彼のように誰かを傷つける側にまわるんだろうか。 終始クールに振る舞っているのに「おかしいな」「おかしいな」と呟く主人公がとても幼く感じて、本当に純粋にただ撃ちたいから撃っただけなのかもしれないなあとも思った。なんだか問題を起こさない、手のかからない子供だった頃のまま時間が止まってるみたい。 内容とは逸れるけど、あとがきと、作者のサイトにも掲載されている「生きることは実に面倒なことも多いけれど、共に生きましょう」という一文がとても好き。

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2014/01/14

中村文則さんのデビュー作品。 銃を手に入れた少年がそれをきっかけに本当の自分に出会う。そのような印象を受けた。

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2014/01/12

デビュー作としては上々、悶々とした中で足掻くように産み出した作品か。 この作家の主題でもあろう暴力の一つの表現、確かに少々読み辛さはあるが確かな腕力で読ませる。 でこの作家の一番良いところは、最終的には希望の光を微かにでも表現するところ。これはこの作家の生きることへの確信から来る...

デビュー作としては上々、悶々とした中で足掻くように産み出した作品か。 この作家の主題でもあろう暴力の一つの表現、確かに少々読み辛さはあるが確かな腕力で読ませる。 でこの作家の一番良いところは、最終的には希望の光を微かにでも表現するところ。これはこの作家の生きることへの確信から来るものかな?

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2014/01/02

ひょんなことで拳銃を手に入れた主人公が、どう変わっていくのかという、物語としてはシンプルな構図。 主人公によると「銃」というあらゆる可能性を手に入れたという事実が重要らしい。 しかしその事実だけでは満足できないのが人間の性。ジョーカーを持ったら、いつか切るしかない。 ダークサ...

ひょんなことで拳銃を手に入れた主人公が、どう変わっていくのかという、物語としてはシンプルな構図。 主人公によると「銃」というあらゆる可能性を手に入れたという事実が重要らしい。 しかしその事実だけでは満足できないのが人間の性。ジョーカーを持ったら、いつか切るしかない。 ダークサイドに落ちていく主人公のさまを一人称の語りが際立たせている。プロセスの描写がとてもリアル。 綾野剛がポップで絶賛しとるのは、たぶん演技する立場から、感情の移り変わりとかが参考になるからなんじゃないかい。ねえ綾野剛。 あんなに理性的な主人公だったのに、結局は狂気の果てにあまりにも衝動的な感情に身を任せてしまう。人間のいい加減さ、愚かさを象徴した、好みのラストです。 理性と感情。日常と非日常。男と女。具体と抽象。崇拝と侮蔑。あらゆる対比構造が巧妙に組み込まれていて、美しさすら感じてしまう、そんな小説です。

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2013/11/03

何かを手に入れる事による心の安定と自信。そしてその存在が大きくなり、扱いきれなくなる事により生じる心の不安定。1人称語りによるその辺の心理描写がよかった。 「銃」ってのはひとつの比喩であって、カネでも権力でもなんでもいいのだろうと思う。

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2013/10/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

銃を拾った青年の運命・・・。人は何か自分の力以上のものを手にしたとき、隠れていた欲望や悪と言うものが首をもたげてくる。自分がもし銃を手にしたらどうなるのか?と考えると、主人公みたいになるかもしれない・・・。と思うほど、銃が人を支配している物語。 主人公は人物的には好きになれないけど、銃によって変わっていく様は理解できる気がする。

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2014/11/18

著者のデビュー作とあって、あとがきにもある通り、文章または文体が拙い(正しく言えば、文を綴った形が意図的なのか同一)印象を受けた。特に会話なんかは、海外の小説を翻訳したような文、倒置法にも似た喋り方をしていた。だから悪かった、という訳ではなく、そこから成した世界はむしろ引き込まれ...

著者のデビュー作とあって、あとがきにもある通り、文章または文体が拙い(正しく言えば、文を綴った形が意図的なのか同一)印象を受けた。特に会話なんかは、海外の小説を翻訳したような文、倒置法にも似た喋り方をしていた。だから悪かった、という訳ではなく、そこから成した世界はむしろ引き込まれた。短篇の「火」も、「銃」とはまた異なる内容ではあったが、それでも根底や主人公の突発的で無意識に発生してしまった判断の選択に抗えない様なんかはとても似ている風に感じられた。 まだ「土の中の子供」しか読んでいないからだろうが、今作は、鬱々とした雰囲気はもちろんあったし、回帰する孤独なんかも一緒だったが、深みと言うのか、そういったものが若干だけれども、浅かった気がした。

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2013/06/18

銃を拾った大学生の物語。 どんどん銃に魅せられていき、持ってるだけで満足していたはずがそれだけでは収まらずエスカレートしていく様子が、 人間の欲深さみたいなものをうまく表現できていたような気がします。 一人称の視点の文章ははじめは読みにくく感じる部分もありましたが、 自分の話...

銃を拾った大学生の物語。 どんどん銃に魅せられていき、持ってるだけで満足していたはずがそれだけでは収まらずエスカレートしていく様子が、 人間の欲深さみたいなものをうまく表現できていたような気がします。 一人称の視点の文章ははじめは読みにくく感じる部分もありましたが、 自分の話してる言葉もどこか他人の様に見える作りが面白かったです。

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