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の商品レビュー

3.6

228件のお客様レビュー

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2015/01/06

中村文則さんの小説は「悪意の手記」から始まり「なにもかも憂鬱な夜に」「掏摸」と3冊だけ読んでいたけど、今まで読んだものの中でこの作品が一番良かった。ラスト3ページはもう号泣で、しばらく涙が止まらなかった。 勝手に自分で自分を追い詰めて、苦しんで、もがいて、どうでもよくなって、焦...

中村文則さんの小説は「悪意の手記」から始まり「なにもかも憂鬱な夜に」「掏摸」と3冊だけ読んでいたけど、今まで読んだものの中でこの作品が一番良かった。ラスト3ページはもう号泣で、しばらく涙が止まらなかった。 勝手に自分で自分を追い詰めて、苦しんで、もがいて、どうでもよくなって、焦って。 この主人公が何をしたっていうんだろうか、と思うほど、彼にシンパシーを抱いた。育ってきた環境のせいにしたら怒られるかな。 特に好きなのはP.151~152、P.158で主人公がまくしたてるとこ、そしてラスト3ページです。 言葉では言い表せないくらい本当に好きな小説になった。 してほしくないけど、もしこの小説を実写化するなら伊野尾慧くんにやってもらいたいと思う。役者としてはまだ経験は少ない人だけれど、いつもふわふわしていて真意が読み取れない感じがこの主人公とリンクしている。そして単純に、彼にはこういった役をやってほしい。合うと思うんだけどなぁ。 「火」はなんとなく太宰治っぽいと思った。ストーンと読めますが、重い話です。

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2014/10/10

主人公の目線で淡々と物語が進みます。従って、登場人物の台詞が少ないです。こういった手のものは苦手で、「火」は未読のまま本を閉じてしまいました。しかし、普通の大学生がとんでもない事件に関与していく様(「銃」)を読んでいると、誰の心のなかにも、危険な好奇心が潜んでいることに気付かされ...

主人公の目線で淡々と物語が進みます。従って、登場人物の台詞が少ないです。こういった手のものは苦手で、「火」は未読のまま本を閉じてしまいました。しかし、普通の大学生がとんでもない事件に関与していく様(「銃」)を読んでいると、誰の心のなかにも、危険な好奇心が潜んでいることに気付かされます。

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2014/09/24

偶然拾った銃に人生を翻弄されていく男の物語。 正確には、銃が男の人生を翻弄していくと言ってもいいほど、強い影響力を持った書き方である。 弱い自分を出すことが出来なければ、そういう周りを受け入れることもできない。 その弱さを補うに余りある銃の存在は、支配していたと思っていた男...

偶然拾った銃に人生を翻弄されていく男の物語。 正確には、銃が男の人生を翻弄していくと言ってもいいほど、強い影響力を持った書き方である。 弱い自分を出すことが出来なければ、そういう周りを受け入れることもできない。 その弱さを補うに余りある銃の存在は、支配していたと思っていた男の人生を、逆に支配していく。 ドストエフスキーを思わせる、最近流行りの作家さんたちとは一味違う文体で書かれているのも、深く印象に残った。

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2014/09/20

ここでの”銃”は、世界を変える力をもった象徴なんだろう。 世界を変えるということは、今までの世界を壊してしまうことでもある。 でも、能動的に生きていない(生きることができない)人にとって、それは希望光のようなものなのかもしれない。 男子にしてはあまりにも銃のことを知らなさ過ぎる...

ここでの”銃”は、世界を変える力をもった象徴なんだろう。 世界を変えるということは、今までの世界を壊してしまうことでもある。 でも、能動的に生きていない(生きることができない)人にとって、それは希望光のようなものなのかもしれない。 男子にしてはあまりにも銃のことを知らなさ過ぎるところは、主人公の今までの死生観を表してるんだろうか。 禁断の果実を手に入れてしまった葛藤はなかなか興味深かった。 一瞬にして考えていたことと逆の行動をとってしまうラスト、少し前で言うところの”キレ”方は納得できるところがあった。

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2014/09/05

理屈では割り切れない発作的な欲望というものを『私』は秘めていたのだろうか。 だとするなら、彼は弾丸と一緒に、己の欲望も撃ち出していたのだろうか。 話としては、『私』が銃を手に入れて右往左往するというものなのかな これを読んで、自分自身というものが他人の心と同じぐらいわからなくな...

理屈では割り切れない発作的な欲望というものを『私』は秘めていたのだろうか。 だとするなら、彼は弾丸と一緒に、己の欲望も撃ち出していたのだろうか。 話としては、『私』が銃を手に入れて右往左往するというものなのかな これを読んで、自分自身というものが他人の心と同じぐらいわからなくなった。

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2014/08/01

大学生の男がある日、死体の傍らに「銃」を見つけ拾う。 そして男はひたすら日々、その「銃」だけを想い、考え、執着し、いつの間にか銃に支配されていくようにそちらへと向かって行く。 ここでの「銃」は、 死であり生であり、罪、憎しみ、哀しみ、解放、絶望、苦しみ… そういったものの象徴...

大学生の男がある日、死体の傍らに「銃」を見つけ拾う。 そして男はひたすら日々、その「銃」だけを想い、考え、執着し、いつの間にか銃に支配されていくようにそちらへと向かって行く。 ここでの「銃」は、 死であり生であり、罪、憎しみ、哀しみ、解放、絶望、苦しみ… そういったものの象徴であるのだろう。 ここに出てくる主人公もまた、 中村さんの他の小説と同様にとことん暗いのだが、 徹底的な闇に追いやられた(若しくは自分で自分を追いやった)者でなければ、 この暗さの中に秘められた微かな光を感じ取ることは難しいだろうと思う。

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2014/07/02

ごくごく普通に暮らしていた大学生が、ある日拳銃を手にしたことによって、崩壊していく話。 人って、実際には行動しなくても、心の中ではとんでもなく恐ろしいことを考えていたりすることがあったりするけれど、そういう人の内面の心理描写がすごくうまくてグイグイ引き込まれました。 拳銃を使う...

ごくごく普通に暮らしていた大学生が、ある日拳銃を手にしたことによって、崩壊していく話。 人って、実際には行動しなくても、心の中ではとんでもなく恐ろしいことを考えていたりすることがあったりするけれど、そういう人の内面の心理描写がすごくうまくてグイグイ引き込まれました。 拳銃を使うのか、使わないのか、ハラハラ緊張しながら読んで、最後はあまりにあっけなかったけれど、それが余計に怖かった。

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2014/06/01

中村氏の原点。 ある大学生が死体を見つけ、傍らに落ちていた銃に魅せられ持ち返ってしまったことから、衝撃的なラストへ向かって破綻していく様を、粘つくような一人称で描き切っている。 デビュー作だけあって粗削りだが、徐々に銃に魂を奪われていく青年の描写の中に鬼気迫るものがあり、それ...

中村氏の原点。 ある大学生が死体を見つけ、傍らに落ちていた銃に魅せられ持ち返ってしまったことから、衝撃的なラストへ向かって破綻していく様を、粘つくような一人称で描き切っている。 デビュー作だけあって粗削りだが、徐々に銃に魂を奪われていく青年の描写の中に鬼気迫るものがあり、それこそが凡百の作品と一線を画し、評価された理由だろうと思う。 「そういう」の多用が気になる。 個人的には、「掏摸」の抑えた文体が好み。 他に「火」併録。 2002年第34回新潮新人賞受賞作、 第128回芥川賞候補作。 2014.4.16読了

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2014/05/30

〜14.5.30 銃を読み終えた時は感じたことのないゾワッとした感覚がした。 人の内面をとにかく描くそんなイメージ。ストーリーとか展開とかで読ませる本ばかり読んでると新鮮な感じ。 表面と内面の違いとか行動に対して理由がわからないというのもリアル。 人って死ぬまで自分自身しか人生...

〜14.5.30 銃を読み終えた時は感じたことのないゾワッとした感覚がした。 人の内面をとにかく描くそんなイメージ。ストーリーとか展開とかで読ませる本ばかり読んでると新鮮な感じ。 表面と内面の違いとか行動に対して理由がわからないというのもリアル。 人って死ぬまで自分自身しか人生とか経験とか価値観しか感じられないと考えることがある。でもこの本はその他人の感覚を味わえるそんな感じがして引き込まれた。自分じゃこんな風に考えないなみたい…

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2014/05/30

主人公の心情がこれでもかとばかりに迫ってくる。 見た目には普通の人に見えてるけど、 頭や心の中は狂気の世界に住んでいて。 人間って多かれ少なかれ、そんなものなのかなぁーと 思った。 笑顔でいても心の中まではわからない、というような。 主人公が、心の中では正反対の思いでいるのに、...

主人公の心情がこれでもかとばかりに迫ってくる。 見た目には普通の人に見えてるけど、 頭や心の中は狂気の世界に住んでいて。 人間って多かれ少なかれ、そんなものなのかなぁーと 思った。 笑顔でいても心の中まではわからない、というような。 主人公が、心の中では正反対の思いでいるのに、 実際他者に対して取る態度は 「いい人っぽくしておこう」と考えながら演じてるのが 人間味があっておかしかった。 でもこういう作品って読んでると やっぱりけっこう疲れるな~。 本を読んでドキドキわくわくしたいっていう 気持ちはあるけど、 この手の、なんか心がざわざわする感じは 苦手だ。。

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