銃・病原菌・鉄(下) の商品レビュー
実に長い期間をかけて読み終わりました。 ざっくりと言えば、現在に続くヨーロッパの社会経済的発展の優位性が、地理的環境によって決定されたとする内容です。 わかりやすい文章でしたし、「なるほど!」と思うところもたくさんあり、おもしろかったです。 ただ、「環境決定論」「地理決定論」に...
実に長い期間をかけて読み終わりました。 ざっくりと言えば、現在に続くヨーロッパの社会経済的発展の優位性が、地理的環境によって決定されたとする内容です。 わかりやすい文章でしたし、「なるほど!」と思うところもたくさんあり、おもしろかったです。 ただ、「環境決定論」「地理決定論」に対する批判もわかります。 なので、次は批判論文を読んでみます(^^)
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
上巻と同じく問いの立て方が斬新でそれだけで引き込まれる。 「文字をもつ民族ともたなかった民族がいたのはなぜか?」「それはどのように広がったのか?真似か?刺激されて発明したのか?」 確かに、現実的に考えるとそういう問いが浮かんでくるが、歴史上のことはどこか非現実的に考えてしまいがち。 後半は興味が別のことに移り退屈してしまったが、また読み返したい。
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高い評価を得ている本書を漸く読了しました。領土問題とか人種問題とかを考えるには、こういうスケールの大きな視点を持つべきだと思います。読み物としても非常に面白く読めます。
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上巻に続いて下巻も説明がくどかったが、面白かった。 現代を生きる人間として記憶の片隅に置いておきたい内容。
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人類はどこで生まれ、どのような経緯で現在のような形になったのか。本書の内容を大まかに言うとそういうことであり、学問領域で云えば、人類学、という範疇に入るのであろう。それにしても、人類のこうした歴史を解明するのに、何と幅広い学問領域の知見を必要とすることか。生物学や地学を始め、医学...
人類はどこで生まれ、どのような経緯で現在のような形になったのか。本書の内容を大まかに言うとそういうことであり、学問領域で云えば、人類学、という範疇に入るのであろう。それにしても、人類のこうした歴史を解明するのに、何と幅広い学問領域の知見を必要とすることか。生物学や地学を始め、医学、そして言語学や物理学、etc.それらの組み合わせによって仮説が構成され、化石などの発見によって検証されていく。そのメカニズムが非常に説得力があり、長編にもかかわらず飽きのこない内容であった。
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自然環境の相違が食料生産性の改善に与えた影響によって今日の人類の勢力図は作り上げられた、と説く。21世紀の歴史叙述の基軸となりうる好著。 一人の人間によって書かれた世界通史であり、また史実列挙的なマクニールの世界史とは異なり、唯物史観に立脚しているという点で、エンゲルスの『家族・...
自然環境の相違が食料生産性の改善に与えた影響によって今日の人類の勢力図は作り上げられた、と説く。21世紀の歴史叙述の基軸となりうる好著。 一人の人間によって書かれた世界通史であり、また史実列挙的なマクニールの世界史とは異なり、唯物史観に立脚しているという点で、エンゲルスの『家族・私有財産・国家の起源』が1920年代後半以降の日本に与えたものと同じような社会的影響を与えるのではないかと予測している。 この下巻では、上巻で示したミクロのモデルをマクロに当てはめられることを示しつつ、大陸間の人種間の武力や食料生産性の相違の原因が自然環境の相違にあることを立証する。 特に最後の中国の事例は面白いが、さすがに論証の弱さが目立ち、また西洋主義的視点も感じざるを得ない。その辺りは、後進の研究に委ねられる点であろう。 ともあれ、この書は21世紀の唯物史観のバイブルともいうべきもので、必読の書であろうと思われる。ただし、唯物論的に表れる格差を所与として考える人々と、これを不満としてさらなる改革を求める人々の間に新しい対立が生まれることもあろう。今後、この書が社会に与える影響が興味深く感ぜられる。
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有益な新たな知見はたくさんあったが、本書が探ろうとしていた結論は、ほぼ上巻で語り尽くされていたようにも思う。
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上、下巻を半年以上かけて少しずつゆっくり読んだ。日本史よりもまずこういう内容に触れた方が、世界の大きな流れや日本の特殊な環境がよく理解できそう。下巻はちょっと繰り返しな部分が多かったので上巻のみでも十分かも。
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大著でした。これだけの情報を集め「一人で」横に並べて研究できたからこそこの本をものにできたんでしょう。 (全般的にもうちょっと本のボリュームを軽くできたんじゃ?と言う印象はあります) そこに文明が花開くか。他の地域まで広がっていけるか。あるいは単なる受け手の立場に立つのか。 ...
大著でした。これだけの情報を集め「一人で」横に並べて研究できたからこそこの本をものにできたんでしょう。 (全般的にもうちょっと本のボリュームを軽くできたんじゃ?と言う印象はあります) そこに文明が花開くか。他の地域まで広がっていけるか。あるいは単なる受け手の立場に立つのか。 それに影響を与えるのは、その地の地形、耕作可能な作物と飼育可能な大型動物があるか。 それらの条件が揃い、周囲に拡大して行く文明は、案外早いスピードで周囲に拡散して行く。 タイトルの、「銃、病原菌、鉄」が前面に出てくるのは近代の、「スペイン対インカ」「ヨーロッパ対アボリジニ」などの文明の衝突。わたしが興味深く思ったのが紀元前1万年位まで、世界のどの地域に文明が発生したか、どこで栽培農業が始まったか。アジア、捨てたものではないです。やはり大中国はスゴイ。言語、農耕、人口の多さをバックにした東南アジアからオセアニア、ポリネシアまでの進出。 こと著者は日本のこと、ちゃんと見てるかな、と思いましたら、世界で最初紀元前14000年に土器製作をはじめた、ときちんと書かれていました。
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読んでまず思ったのは、住む環境ってホント大事なんだなぁーってこと。 人間ってのはいかに環境から影響を受けているのかを改めて認識させられた。 俺は日本に生まれた時点ですでに「勝ち組」なのかもしれない。 もし俺がアフリカの貧しい国で生まれたなら日本のようなインフラの整った国で将来生活...
読んでまず思ったのは、住む環境ってホント大事なんだなぁーってこと。 人間ってのはいかに環境から影響を受けているのかを改めて認識させられた。 俺は日本に生まれた時点ですでに「勝ち組」なのかもしれない。 もし俺がアフリカの貧しい国で生まれたなら日本のようなインフラの整った国で将来生活できる可能性はないにしても極めて低かったはずだ。 つまり、この世界は不均等である。 なにをいまさらって感じだけど、でも今日の先進国と発展途上国にある富と権力の偏在はいったいどのように生じたのだろうか? この疑問を著者のジャレド・ダイアモンド氏は人類史1万3000年という長大なスパンをもって解明しようとしたのが本書『銃・病原菌・鉄』だ。 本書は著者がニューギニアに滞在している際、現地のヤリという名の政治家のある疑問から始まる。 「あなたがた白人は、たくさんのものを発展させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」 とても単純な問いだけど、それに答えるのは難しい。でも、彼らにとっては切実な問題なのかもしれない。 確かに、300円のコーヒーうち3%しか末端である農園業者にしか支払われていなくて、そのほとんどが先進国が経営する中間業者がいただいてる、ってのが当たり前の世の中だからねー。 こういうのって生物的な差異を持ち出して、ある人種はこの人種より優れてるみたいな優劣を振りかざすのかなーって最初思ってたんだ。だって、このジャレド氏はカリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部教授。進化生物学者っていうだからやっぱイヤな予感はするよね。 しかし、彼はヤリの質問に対して、今日の不均等を作り出しのは、「それぞれの大陸に居住した人びとが生まれつき異なっていたからではなく、それぞれの大陸ごとに環境が異なっていたからである」と、真っ向から生物的な差異が歴史的発展の差異の原因であること否定しているからおもしろい。 その答えを歴史学はもちろん、言語学、生物学を始めとした文理織り交ぜたあらゆる学問を総動員して、全19章、文庫本で約900ページにもわたって語り尽くす。 読めば読むほど、「うちらって運がよかっただけなのね」って思わざるを得なかったよ。 他にも叙述の細部もおもしろくて、例えば、「日本みたいに鎖国をするのは珍しいことではない」とか「歴史を作るのは数人の天才によるものではない」といった感じに読むともっと広い視野で物事を考えられるようにしてくれる一冊。 歴史に疎い俺でもとてもおもしろく読ませていただきました。
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