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銃・病原菌・鉄(下) の商品レビュー

4.1

312件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2012/02/25

 『銃・病原菌・鉄 下巻』を読んで、全体を通読。  著者が医学部の先生というのも、訳者あとがきで知った。どうりで、訳本にしては論理的で読みやすいと思った。理系の人の本は概して読みやすい。  全体を通じて、著者のいいたかった結論。 (1)ヨーロッパが近代化の成功したのは、人種...

 『銃・病原菌・鉄 下巻』を読んで、全体を通読。  著者が医学部の先生というのも、訳者あとがきで知った。どうりで、訳本にしては論理的で読みやすいと思った。理系の人の本は概して読みやすい。  全体を通じて、著者のいいたかった結論。 (1)ヨーロッパが近代化の成功したのは、人種的な差ではなく、環境の違い。 (2)人類の歴史において、差がでたのは、野生の植物で栽培に適したものがあったか、家畜になる野生の動物がいたか、新しい栽培種や家畜が移動しやすい大陸の形をしていたかによって違いがでる。ユーロシア大陸は他の大陸に比べ、穀物になる野生種がおおく、牛、馬、羊などの家畜にできる野生動物がたくさんいたこと、新しい家畜、穀物が移転するには、南北に長い大陸より東西に長い大陸であるユーロシア大陸が有利だったこと。(p363) (3)ユーロシア大陸の中では、中国は統一が進んでいたため、新しい技術が発明されていても、政府が一律的に禁止してしまい発展がとまった。これに対して、ヨーロッパは多数の小国に分かれていたため、統一性がないかわりに、新しい技術、新しい冒険などに支援する国を見つけることができたこと。(p382)  日本のことはあまり触れられていないが、日本人は遺伝的には、中国、南方、北方の三つの方向からの住民の混血だと言われている。このように、違う言葉を話す小規模なグループが、すくなくとも、小規模には殺戮をしたのかもしれないが、マクロ的には混血化したというのは、日本人の柔軟な優れた特性ではないかと思う。  日本民族とかいって肩肘はるのではなく、むしろ移住民にオープンな社会体質を誇りにすべきではないか。そのような他民族、あるいは他宗教への寛容性が、これからの日本人の活躍の場を広げるような気がする。

Posted byブクログ

2012/02/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ニューギニア人ヤリの疑問 「あなた方白人は、たくさんのものを発達させて ニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には 自分たちのものといえるものがほとんどない。 それはぜだろうか?」 への解答。 1. 大陸間での栽培化、家畜化が可能な動植物の分布に差があった。 ・ユーラシア大陸にはそれらが豊富にあったが  他の大陸には殆どなかった。 ・穀物の栽培、家畜の使用によって余剰食糧の備蓄が可能になり、  非生産社会級の専門職を養うゆとりが生まれ、  技術や文化の向上に繋がった。 ・その結果人口の稠密な大規模集団が形成され、  軍事面、技術面、政治面で有利になって他の集団を圧倒した。 *オーストラリア、南北アメリカでは人類が移住した頃に  前後して大型哺乳類が絶滅し、アフリカ大陸では家畜化に  適した性質の哺乳類がほとんどいなかった。 2.伝播、拡散速度の違い ・ユーラシア大陸は東西に長いが、アフリカ、南北アメリカ大陸は  南北に長い。南北方向への移動は気候の変化が大きいため  困難を伴い、時間がかかる。  東西方向には比較的障壁が少ないので  素早く伝播、拡散が起こる。   3.大陸間での伝播の困難度の違い ・オーストラリア大陸は海洋による隔離の影響が大きかった。   4.大陸の大きさ、総人口の違い ・人口が多いほど、文化や技術を発明する人間も増える。  また刺激し合うことでより発展の速度が増す。 ・人口が多いほど、多くの病原菌に触れる事になり、  死者も出るが抵抗力を持っ機会も増える。 以上のことから、著者は 「人類の進化の差は人種の優劣によるものではなく、  置かれた環境による影響が大きい。」 と結論づける。 ごく自然な結論であるが、 現実に圧倒的な征服者である欧米人が人種優勢論を唱えることは 現代に於いては道徳的なタブーであるのだろう、 そこは非常に気を遣って何度も否定しているのが印象的だった。 また、同じユーラシア大陸の中でも、先に文明が発達した メソポタミアと中国がヨーロッパに追い越されてしまった 理由については、次のように考察している。 ・メソポタミアは最初に穀物の栽培に成功したが、  少ない降雨量と低い森林再生率によってやがて生産力が  低下してしまい、文化の中心が西へと移っていった。 ・中国は早くから統一王朝ができて中央集権化が進み、  国内の権力闘争の影響を受けて海外渡航を禁止し、  孤立政策をとってしまった。  対してヨーロッパでは多くの国が存在したため、  他の大陸への探検を認める君主もいた。  それがコロンブスなどの遠征を可能にした。   つまり、持続可能な食糧生産と、 政治的多様性を持ち得た集団が、 生き残ったという事だろう。 現代に生きる我々にとっても、 ここから学ぶことは多いように思うんだけどなぁ。  

Posted byブクログ