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曾根崎心中 の商品レビュー

3.9

141件のお客様レビュー

  1. 5つ

    30

  2. 4つ

    61

  3. 3つ

    37

  4. 2つ

    2

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2012/07/09

曾根崎心中だけに心中するんだろうくらいしか知らなかったけど、 こんな切ない話だったんですね。やるせない。 それにしても翻案というのは素晴らしい。 時代ものはわりと話が逸れやすく、かつ説明が長ったらしかったりもするが こちらは簡潔に表現されていてとても読みやすかったです。 時代も...

曾根崎心中だけに心中するんだろうくらいしか知らなかったけど、 こんな切ない話だったんですね。やるせない。 それにしても翻案というのは素晴らしい。 時代ものはわりと話が逸れやすく、かつ説明が長ったらしかったりもするが こちらは簡潔に表現されていてとても読みやすかったです。 時代ものが苦手なひとにもお薦めしたい(装丁におそれることなかれ)

Posted byブクログ

2021/11/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

正味、半日で読んでしまった。そんな勢いで本を読むのは久しぶり。 角田光代が「曾根崎」を書くなんて面白そうだと思って図書館で借りてきたが、あれを原作にするなんてずるいなあ、という気持ち、また期待を裏切られたら…、という心配があり、最初はなかなか食指が動かなかった。でも、1ページ読んでそれは杞憂だったことを知る。女の情念を淡々を書く角田光代の世界に、この作品のヒロインはすっぽりと入り込み、馴染んだ。 人形浄瑠璃と歌舞伎で有名な近松の「曾根崎心中」。私は歌舞伎でしか観たことがないが、上演を観た限りでは主人公の二人に全く共感できず、思い入れのない作品だった(文楽の人形だったら違ったのかもしれない)。お初は運命に翻弄される無力な女にしか見えなかったし、徳兵衛は友人に騙されるただの愚かな男に思えた。 角田光代はお初の目線からこの作品を描き、彼女の人間像を掘り下げた。掘って掘って、お初という女の全てを描ききった。読み進めていくうちに、読者の目はお初の目になっていく。これがこの作品の成功したところ。描き方をひとつ間違えれば、表紙に堂々と「原作 近松門左衛門」とあるこの作品の改変に興ざめしてしまうはずだから。 冒頭、廓の仲間内で心中事件を話題にし「いっしょに死んだらほんまにいっしょにあの世にいけるんやろか。もし、途中ではぐれてしもたら、一年に一度でも生きて会える方がいいがな」と言っているお初が、最後には何故心中を選ぶのか。恋人、徳兵衛の窮地だけが動機ではない。彼女の心の変化が、過去と現在を行き来しながら語られる。お初に関わってきた遊郭の女たちの恋模様は、ひとつひとつが作品にできるぐらい印象的だ。 原作にはある久右衛門が九平次の悪事を暴く場面がなく、心中直前にお初は“本当にこの人は九平次に騙されたんだろうか?”“この人こそ、嘘を言っているんじゃないだろうか?”という疑問を持つ。「徳兵衛が嘘をついていたとしたら。(中略)それだとしたって、わたしはこの人と旅立つことを選ぶだろう。」それこそが恋なのだ。恋とは理性を無くし、身を焦がすように誰かを想うこと。理性と慈愛を持つ愛とは違う。この一文で、舞台では感じ取れなかったお初の血の熱さを知る。 私もそんな恋には覚えがある。今となってはお初のような恋に憧れることはできない。でも、読み終えた後、ふと目を閉じた一瞬の間に、自分がお初になって徳兵衛を愛し、死んだ、そんな気になった。

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2012/06/25

近松門左衛門の浄瑠璃話を角田光代が再話した作品。 じっとりねっとりとした角田さんの文章が、江戸の遊廓のいかがわしさ、女の情念をつぶさに表していて実によい。 初と徳兵衛の心中話はもちろんよいのだが、その二人だけではなく、恋に狂って人生ダメにした女や過去を隠しながら生きる遊廓の人間模...

近松門左衛門の浄瑠璃話を角田光代が再話した作品。 じっとりねっとりとした角田さんの文章が、江戸の遊廓のいかがわしさ、女の情念をつぶさに表していて実によい。 初と徳兵衛の心中話はもちろんよいのだが、その二人だけではなく、恋に狂って人生ダメにした女や過去を隠しながら生きる遊廓の人間模様の描き方がよかった。

Posted byブクログ

2012/06/14

あまりに有名なタイトルでよく知っていたけれど、読んだことがありませんでした。落語でもお初、徳兵衛と名前が出ることがあり是非読んでみたいと思っていましたし、まして角田さんの翻案ということで飛びつきました。とても読みやすかったです。浄瑠璃で見てみたいなぁ。

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2012/06/07

情死が、美しく幸せなものなのか、哀しく切ないものなのかという議論は別として、描かれる女の情と業と、そして狂おしさに圧倒。 これを読んだ後に、近松門左衛門原作の人形浄瑠璃を観たら、きっと味わい深いんだろうと思う。

Posted byブクログ

2012/06/08

心中とか…暗すぎ…多分苦手… と思いながら読み始めたのに、図らずも号泣(笑)作家ってすごい。 近松版を読んだことあるわけではないから比較はできないけど、しっかり女流作家もの!という味わいだった。 恋に狂う人のさまの描写(小説でも映画でも)が、自分はけっこう好きな気がする。 といっ...

心中とか…暗すぎ…多分苦手… と思いながら読み始めたのに、図らずも号泣(笑)作家ってすごい。 近松版を読んだことあるわけではないから比較はできないけど、しっかり女流作家もの!という味わいだった。 恋に狂う人のさまの描写(小説でも映画でも)が、自分はけっこう好きな気がする。 といっても、初は初めての恋で浮かれて盲目になって短慮ゆえに心中した、というわけではないところがいい。今の自分の立場で理性的に考えれば、社会的にほぼ破滅になった徳兵衛はともかく、それにつきあって若いあなたが命を落とすことはないよと諭したくもなる。けれども、幼いころに遊郭に売られ、先輩女郎のさまざまな人生を見てきて、若いながらも人生を達観してしまっている初が、今の生をこうして終わることを選んだことには説得力があり、その自然さが哀しい。

Posted byブクログ

2012/05/24

 近松門左衛門原作の人形浄瑠璃の古典演目を翻案した小説。ストーリーは本書を読んではじめて知ったのだけれど、以前観た映画「最後の忠臣蔵」でしばしば人形浄瑠璃のシーンが挿入されていたのを思い出した。  情死という結末は分かっているものの読み進めるにしたがって、300年前の遊廓の世界に...

 近松門左衛門原作の人形浄瑠璃の古典演目を翻案した小説。ストーリーは本書を読んではじめて知ったのだけれど、以前観た映画「最後の忠臣蔵」でしばしば人形浄瑠璃のシーンが挿入されていたのを思い出した。  情死という結末は分かっているものの読み進めるにしたがって、300年前の遊廓の世界に足を踏み入れたようなそんな錯覚に陥る。業というか彼女らの狂おしいほどの情念が迫ってくる!  ちなみに角田さんの作品はすべて読破してる訳ではないが、時代小説も素敵だ。

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2012/06/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

本日(5/22)開催のヨモウカフェ課題本。この本読んで愛とはなんだろう?と考える。 僕は以前にも書いたけど、人を本気で愛したことはない。いや正確に言えば家族愛とか、郷土愛とかはあるかもしれないが、一人の女性を心底から愛したことは無い。だから初の気持ちがよくわからんわけだが、本当に好きな人が出来れば苦しいと思ってた。でもそれは愛ではなくて恋なんだと最近分かった。 愛とは相手のことを思いやって、自分の人生はあなたに捧げるくらいの気持ちが湧くもんやと思う。会えなくてもその人のことを思うだけで幸せになる、それが愛じゃないのかな。だから例えば遠距離恋愛してて、相手のことを思って苦しむのは恋をしているだけじゃないのかな?愛していれば会えなくてもその人のこと考えるだけで幸せになるんじゃないかな?相手のすること、そばにいてくれるだけで満たされる、それが究極の愛ではないか。 学生時代の頃Kinki Kidsの歌で「愛されるよりも、愛したいマジで」というのがいまいち理解できなかった。今も理解できないのだが・・・。でも色んな本を読んでいると愛することは努力すればできることだと思う。自分の意識を変えることで人は誰しも愛することができると思う。そういう意味で言うと、僕はまだ意思が弱い。 またこの本を読むと運命はありえるのかと思ってしまう。あなたにもし配偶者がいるとすると、その方はあなたの運命の人と言えますか?初と徳兵衛はお互い運命の相手であると認識しているが、こういう情熱的な愛は冷めてしまうんじゃないかと思う。統計では恋愛結婚した人の幸せ度が結婚初期にピークに達し、月日がたつに連れて徐々に落ちていっているからだ。一方取り決め婚は結婚初期よりも夫婦連れそう期間が長くても落ちるどころか、むしろあがる傾向にある。そんな取り決め婚で出会った夫婦は運命だといえば、運命だが。そんな女性が仮にいたとすると、それは自分で認識出るのか、お互い直感でわかるんかな?考えれば考えるほど、分からなくなる(苦笑) 愛する人のために、自分の人生を、生活を犠牲にすることは美しい。それだけは言える。そしてそういう人が僕の目の前に現れたとき、僕は気付けるように日々、センスを研ぎ澄ましておかないと。幸運の女神は一瞬で消えてしまうように。

Posted byブクログ

2012/05/22

江戸時代中期の大阪で実際に起きた心中事件。 島原の太夫である初と、醤油屋の手代である徳兵衛は、現世で一緒になれない我が身を哀れみ、来世で一緒になろうと約束をして心中する。 この事件を基に近松門左衛門が描いた作品が曾根崎心中。 そして2012年、角田光代さんが「翻案」に挑戦したの...

江戸時代中期の大阪で実際に起きた心中事件。 島原の太夫である初と、醤油屋の手代である徳兵衛は、現世で一緒になれない我が身を哀れみ、来世で一緒になろうと約束をして心中する。 この事件を基に近松門左衛門が描いた作品が曾根崎心中。 そして2012年、角田光代さんが「翻案」に挑戦したのがこの作品。 この作品は、近松の描いた物語を現代風にアレンジしているほかに、角田光代がオリジナルの物語を挿入することで構成されている。 18世紀初頭の遊郭の世界を読者に身近に感じさせるためには、読み手側の知識を補完させるために、いくつかのエピソードが必要だと考えたからだとは思います。 この考え方自体は読者に親切ですし、読み手に江戸時代の遊郭という特殊な世界を伝えるには大切なことだとは思います。 が、しかし。。。 このオリジナルエピソードが非常にテレビ的というか、紋切り型のエピソードで食傷気味ではあります。 遊郭の女達の悲劇が、アイコン的になりすぎており、深いドラマ性を感じないのです。 この小説では、遊郭の女達の「終わらない日常」こそが、心中に走らせる最大の理由として描かれるのですが、この「終わらない日常」を考えた時のゾッとするような恐怖という点が描ききれていない感じです。 若者を死へ向かわせる「終わらない日常」を描いてこそ、曾根崎心中を現代の作家が描く意味というものが明確になると思うのですが、そのへんが非常に残念ではあります。 また、遊郭の女(お初)と間男(徳兵衛)のが満たされぬ思いを、限られた一夜で燃えたぎらせる性描写についても、筆が足りない感じがしました。 自由に逢うことが叶わぬ二人が解放される性的瞬間は、濃厚で永遠を感じるものでなければ、来世に対する希求という世界観に結びつきにくいとは思いました。 それともうひとつは、恋愛小説においては、男女のキャラクターが最も重要だと思うのですが、徳兵衛のキャラクターが非常に薄いのもこの小説のマイナス点ではあります。 お初が死を供にしてもいいと思えるほどの男とは感じられませんし、そもそも徳兵衛を魅力的に描こうとする描写はあるものの、ひとつも共感できませんでした。 原作である近松門左衛門作のほうですが、こちらに関しては冒頭から物語に引き込まれました。 主人公のお初の心象風景と大阪の街を重ね合わせて表現しているのですが、男女の儚い恋を仏教的な無常観に溶けこませて深淵な世界を作り出しています。 また、笑い・怒り・悲しみといったエモーショナルな抑揚を、美しすぎる日本語のリズムで物語るため、読み手を酔わせる魔力があります。 近松作品という非常に高いハードルに正々堂々立ち向かった勇気には感服しますし、流行作家である角田光代が作品を出すことによって、幅広い世代が古典に対する新たな発見をするキッカケとなればいいと思います。 私もこの作品をきっかけとして近松作品に触れることができたこともあったので、個人的には感謝しています。 江戸文学の入門としては、オススメです。

Posted byブクログ

2012/05/05

話は知ってますがちゃんと読んだことがありません。 レビューで見た「これが、恋。」に心惹かれました。ぜひ読みたいな。

Posted byブクログ