曾根崎心中 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
近松門左衛門の『曽根崎心中』をお初の目線で描く。 いやー、素晴らしかった。 文楽や歌舞伎では描ききれないお初の心情が丁寧に描かれていて、何故彼女はあんなにすっと心中に向かったのか、理解しきれないところもあった。 でもこの小説で初めて腑に落ちた。 遊女になって人を信じず、すべてに諦めていた女が、恋に堕ち、そこから女の哀しみと切なさを、まるで別の目から見ているかのような、ちょっと冷めた、でもなまめかしさを感じさせる。 徳兵衛が有罪であるかも?と匂わせる展開にもハッとさせられた。 お初の心情を描くとき、わざとなのかな? 漢字ではなくひらがなで描いているの。それがまた17というお初の幼さを表しているようで。
Posted by
文楽鑑賞の前にあらすじを知っておきたかったので購入。 お初さんの心情描写、人物描写が加えられて、いまふうな感じに。一方、徳兵衛さんのほうは、かっこ悪い。(お初からの視点だけどね。)
Posted by
切ないです。初の心情がこれでもか、これでもかと書かれていて、とても切ないです。角田さんの書きっぷりが見事です。
Posted by
角田光代さんが近松門左衛門の『曾根崎心中』を小説化。 近松作品を読んだことがないので、何とも言えないけれど・・・ 原作を読んでみたいと思ったのは確か。
Posted by
淡々とした語り口だけど背景には深い情念を感じさせる本。こういう本を書く人ってどれだけ心の中がコワいのだろう。それともそのコワさは、誰もが実は持っていて、それを表現するのが上手いということなのだろうか?平凡な日常を過ごす今の私にはかけ離れている恋への強い思い。だが、遠い日のかすかな...
淡々とした語り口だけど背景には深い情念を感じさせる本。こういう本を書く人ってどれだけ心の中がコワいのだろう。それともそのコワさは、誰もが実は持っていて、それを表現するのが上手いということなのだろうか?平凡な日常を過ごす今の私にはかけ離れている恋への強い思い。だが、遠い日のかすかな痛みのように懐かしく感じながら読んだ。
Posted by
家族の生活のために身を売られていた時代だから 愛する人と結ばれるために死を選ぶことなど 当然だったのかもしれない。 原作を読んでないのでアレなんですが 間違いなく2人は心中するのでしょうが 最後でほんとに徳兵衛心中できるんかなーと ちょっと疑ってしまいました。 徳兵衛...
家族の生活のために身を売られていた時代だから 愛する人と結ばれるために死を選ぶことなど 当然だったのかもしれない。 原作を読んでないのでアレなんですが 間違いなく2人は心中するのでしょうが 最後でほんとに徳兵衛心中できるんかなーと ちょっと疑ってしまいました。 徳兵衛って今で言う草食男子ですよねえ‥‥‥
Posted by
これぞ命懸けの恋。 現代に置き換えると、10代の初と、20代はじめの徳兵衛には もっと違う道があったんじゃないかと思う。 若気の至りにみえてしまったりする。 でも、今とは違うあの時代だと、やっぱりこの道を選ぶしかなかったのかな。 角田光代さんがはじめて時代物に挑戦したとい...
これぞ命懸けの恋。 現代に置き換えると、10代の初と、20代はじめの徳兵衛には もっと違う道があったんじゃないかと思う。 若気の至りにみえてしまったりする。 でも、今とは違うあの時代だと、やっぱりこの道を選ぶしかなかったのかな。 角田光代さんがはじめて時代物に挑戦したということと、 曽根崎心中ってちゃんと話し知らないということで読んでみた。 初の思いがストレートに伝わってくるなぁ。 読みやすくて、さくさく読める本。 若いなあ、バカだなあ、悔やまれるなあと思う反面、 二人の体当たりな恋愛は、ほんの少し、ほほえましかったりもした。
Posted by
近松門左衛門の浄瑠璃を角田光代さんが、 心情豊かに小説化したこの作品。 この白塗りの顔はあまり好きではないのですが、 どんなお話か、小説で読んでみたいとついにチャレンジしました。 あらすじは、といえば、 天満屋の女郎お初と醤油屋の手代徳兵衛の恋物語。 恋仲の二人でしたが、ちょっ...
近松門左衛門の浄瑠璃を角田光代さんが、 心情豊かに小説化したこの作品。 この白塗りの顔はあまり好きではないのですが、 どんなお話か、小説で読んでみたいとついにチャレンジしました。 あらすじは、といえば、 天満屋の女郎お初と醤油屋の手代徳兵衛の恋物語。 恋仲の二人でしたが、ちょっとしたはずみで罪を犯した徳兵衛と 連れ添う訳にもいかなくなり、 曾根崎の森へ逃げ出す二人・・・というものですが、 想像していたのと少し違っていました。 男性に騙されて復讐するような話だったかな、と 思っていたのですが、その反対ですね。 恋しくて恋しくてたまらず、 一緒にどこまでも行きますよ、という話。 ストーリーが初の眼を通してたんたんと書かれ、 会話文の関西弁が 温かでねっとりした雰囲気を出しています。 いやー、恐いです。 何が怖いって、一人の男性を思う恋心。 それは死ぬことすらを快楽としてしまうのですね。 あばたもえくぼ、ではないですが、 惚れた男のためなら、相手の素生がどうであれ、 なんでもよく見えてしまうものなのでしょうね。 スゴイ。と思いつつ、反面、 こんなに激しい恋愛を少し羨ましく思いました。
Posted by
江戸時代、元禄期の大坂で実際に起きた、醤油屋の手代・徳兵衛と堂島新地の遊女・初の心中事件をもとに書かれた、人形浄瑠璃の古典演目『曾根崎心中』の小説化に、角田光代が挑みました。 原作を知らないけど、こういうことがあったんだ、と角田さんの言葉を通じて知ることができた。というか角田さ...
江戸時代、元禄期の大坂で実際に起きた、醤油屋の手代・徳兵衛と堂島新地の遊女・初の心中事件をもとに書かれた、人形浄瑠璃の古典演目『曾根崎心中』の小説化に、角田光代が挑みました。 原作を知らないけど、こういうことがあったんだ、と角田さんの言葉を通じて知ることができた。というか角田さんの本じゃなきゃ読まなかったかも。12歳で遊女になった初や、姐さん他の恋が、現代小説のように書かれているのも読みやすかった。 江戸時代の話は「みをつくし料理帖シリーズ」でだいぶ慣れていたのですんなり入ってきた。大坂の言葉も良かったなぁ。 心中というぐらいだから最後にはそうなるのだけど、想像するに結構むごいシーンを恋・純愛調に描いているのはさすがだと思う。こんな風にしか想いを遂げられないってせつなすぎる。
Posted by
遊女の初めての恋‥その恋が心中という悲劇に向かってひた走るのを本人は知っていただろうか‥。 しかし、単に悲劇で終わらないのは、心中という形で恋が成就し、そして、『曽根崎心中』として後世まで語り継がれ、演じられ、人々の記憶に残っていくという歴史的ドラマが待っているのである。 そん...
遊女の初めての恋‥その恋が心中という悲劇に向かってひた走るのを本人は知っていただろうか‥。 しかし、単に悲劇で終わらないのは、心中という形で恋が成就し、そして、『曽根崎心中』として後世まで語り継がれ、演じられ、人々の記憶に残っていくという歴史的ドラマが待っているのである。 そんな悲劇の行方に読者は引き込まれ、美しささへ感じるのは、主人公の遊女、初に純真無垢な真剣さがあるからだろう。 実際に起こった事件をもとに作られた近松門左衛門の代表作を今最も脂の乗っている作家、角田光代が訳本した。 遊女、初の視点を通して、揺れ動く女の心のひだと性(さが)を女流作家ならではの筆致で刻み込んでいく、圧巻の書である。
Posted by