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曾根崎心中 の商品レビュー

3.9

141件のお客様レビュー

  1. 5つ

    30

  2. 4つ

    61

  3. 3つ

    37

  4. 2つ

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2012/03/08

心中してしまうような人に感情移入はしないつもりだったのだけど、しっかりと、感情移入してしまいました。最後、走る二人を、角田さんと一緒に追いかけた。角田さんが伴走しながら、私だけに狂言回しをしてくれているというぜいたくな気分にひたれる。

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2012/03/07

「曾根崎心中」は無論知っている。でもざっくりと知っているだけでちゃんとしたストーリーを知っている訳ではないので、原作をどの程度踏まえているのかはよくわからない。何しろ時代物などほとんど書かない角田さんの意欲作と思い、読んでみた。 言わずと知れた遊女の哀しい恋の物語。 遊郭で働く...

「曾根崎心中」は無論知っている。でもざっくりと知っているだけでちゃんとしたストーリーを知っている訳ではないので、原作をどの程度踏まえているのかはよくわからない。何しろ時代物などほとんど書かない角田さんの意欲作と思い、読んでみた。 言わずと知れた遊女の哀しい恋の物語。 遊郭で働くつらく切ない初の身の上が、我がことのように思えるのは何故だろう。哀しい生い立ちと、それに相対するように激しく一途な恋の情熱が、時代も境遇も全く違う私にもこれでもかと伝わってくる。 本当はどう終わったのかはっきりとはわからないそのラストも見事で、角田さんの筆力に脱帽。 初は徳兵衛はどんなふうに描かれているのか、近松作を読んでみたくなった。浄瑠璃も観てみたいな~。 もうひとつ。 話の本筋にはあまり関係ないけれど、主人公の初のほかにも、恋に命をかけてその生涯をとじた遊女たちが何人か出てくるが、身分違いの恋で子どもを身ごもり、堕胎するもその処置がまずく相手に身ごもった事実も伝えられないまま命を落とした、というエピソードを読み、三浦哲郎の「白夜を旅する人々」をちょっと思い出した。 男女の恋のもつれには、もちろんいろいろな背景やそれぞれの状況があるのだが、結局「妊娠」という身体的なリスクがある女性の方が、どうしても背負わなければならないものが大きい気がする。それはいつの時代であっても。

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2012/03/06

遊女の破滅的な恋とその顛末を描いた話。 原案の「曽根崎心中」をよく知らないまま、大筋は同じだろうと信じて読んだ。 姐さん遊女たちが破滅的な恋の末幸せになれずに遊郭を去るのを見て育ちながらも、自分には縁がないと思っていた主人公・初だったが、醤油屋の手代・徳兵衛と出会って溺れるように...

遊女の破滅的な恋とその顛末を描いた話。 原案の「曽根崎心中」をよく知らないまま、大筋は同じだろうと信じて読んだ。 姐さん遊女たちが破滅的な恋の末幸せになれずに遊郭を去るのを見て育ちながらも、自分には縁がないと思っていた主人公・初だったが、醤油屋の手代・徳兵衛と出会って溺れるように恋に落ちる。 しかし幸せな時は長くは続かず、タイトルに即した末路へ。 途中、ところどころ相手の男を疑うというか、幻滅するような描写があるというのに、「いやでもやっぱりこのひとしかいない」というように無理矢理思い直してしまうあたりが恋のなせる業なのか。 なんというか、徳兵衛がお人よしすぎるというか、ちょっと幼すぎる感じがして、どうしても魅力が感じられず、主人公に共感できないまま結末に向かったせいか、何も死ななくても、と思ってしまった。 病気の末だったり自ら首を吊ったりで、遊郭では死は珍しくなかったようだけど、だからといって死ぬ必要があったかなあ。

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2012/02/16

目を引く表紙。同名の近松作品の翻案。 アレンジはされているが奏でる主旋律は同じ。 一気に読める。

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2012/02/13
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誰もが知る結末を、どのように読ませるかで作者が工夫している。 心中を「女」だけの視点に限定して描くことで 読み手に裏切りやウソを想像させる。 結末がわかっている読者にさえ不安を感じさせる筆力は見事だと思う。

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2012/02/11

角田版「曾根崎心中」。 昔から語り継がれているモノは、やっぱりいいですな。 大筋はわかっているのに、引き込まれてしまった。

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2012/09/22
  • ネタバレ

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近松門左衛門作、初と徳兵衛の壮大な恋物語。純粋でひたむきに誰かを思う姿は、見ていてつらくなるくらい美しく、まっすぐすぎて時に違った方向に走ってしまう。でも、恋っていいもんだよね、どんなにつらくても、せつなくても。いつの時代も、恋ほどエネルギーを消費するものはないのではないか。これは大満足の星五つ!

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2012/02/06
  • ネタバレ

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御存知、近松門左衛門の「曽根崎心中」を角田光代さんがお初目線で語ります。 よかった!とてもよかったです! 私、近松の原典は読んだことがないのですが、この人形浄瑠璃は観ています。 太棹の三味線の深い音と太夫の語りによって連れて行かれたお初・徳兵衛の世界は、ただただ哀しく、美しく・・。。 人形遣いが繊細&大胆に動かす人形の表情や仕草もまた健気だったり、愛らしかったり。 どっぷり感情移入してしまったのを覚えています。 そして、時に、人間にはできない動きをしてくれる人形の所作や舞台使いには、あぁ、これは日本が生みだしたCGなんだなぁ、なんてまで。 で、現代に書き記された角田さんの物語によって、お初が俄然、自分の意思と奥行きを持つ1人の女、感じられたことに感嘆しております。 お初の生い立ち、親兄弟に対して思うこと、恋なんてするもんじゃないと言った姐さん方のその後、徳兵衛と突然恋に落ちてしまったとまどいとその止められない気持ち・・・。 終始、お初の気持ちから語られる廓の日々や恋の狂おしさ・やるせなさは、心中以外に道がなかった2人の定めをある意味、とてもリーズナブルに読者に伝えてくれて、哀しくてたまらないのに、うんうん、これでいいんだよね、と思わされました。 浄瑠璃の舞台でも、活字でも、徳兵衛の情けなさがなんとかならないか、とはもどかしいものを感じるのですが、角田さんは、お初がそんな徳兵衛を愛してしまったのだ、彼女を頼る徳兵衛の持つ煌めきには抗いようがなかったのだ、と教えてくれます。 そして、なんか変だけど・・・、これは突っ込んじゃいけないんだろうな、と思っていた、徳兵衛の継母から“取り返した”お金にまつわるあれこれに、なんと、大胆な疑念を提示!! うん、そうかも、と感じつつ、それでもお初は徳兵衛を好きなんだ、と、あぁ、これはもう角田さん、名人芸ですよ!!! また、あの有名な床下に徳兵衛を隠すところ。 舞台では、ぐいっと白い足で徳兵衛を押し、彼を宥める&自分の悔しさを示す大事な場面なのだけど、角田さんの描写により、徳兵衛の温かい掌と息遣いが急にそこだけ大きくアップされたような・・。視覚だけではなく、肌に感じる切なさが秀逸!! ネタばれ入ります。 しかも・・・ 浄瑠璃の舞台では、2人とも確かに刃を身体にあてて命果てたのだけど、角田版は、あくまでお初目線だから、先に死んでいく彼女が見えるものだけが描かれて、もしかして、徳兵衛は死に切れないのでは?情けなくても生き残ってしまうのでは?とまで思わせられるのがとても怖いくらいでした。

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2012/02/06

恋の話し。成就するものではなく、ままならぬものが恋であり、ままならぬ恋を成就させる為の唯一の手段が心中という哀しいお話。恋を全うするということが何を意味するのかを深く考えさせられた。恋する値が最大値の時に瞬間冷凍するのが心中だと考えたら、その恋が時を経て氷が解けて跡形なくなるまで...

恋の話し。成就するものではなく、ままならぬものが恋であり、ままならぬ恋を成就させる為の唯一の手段が心中という哀しいお話。恋を全うするということが何を意味するのかを深く考えさせられた。恋する値が最大値の時に瞬間冷凍するのが心中だと考えたら、その恋が時を経て氷が解けて跡形なくなるまで消えゆくのをお互いが見守るというのも、恋の全うの形なのではなかろうかと。この歳にして、曾根崎心中というお話そのものを初めて通読する。「恋のない人生なんか、犬にくれてやりますか、姐さん。」恋は痛み。

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2012/02/05

ぐいぐい引き込まれてあっという間に読み終わりました。 昨日までは何気なく通っていた大阪市内。この本を読んでしまったから、もう今までと同じ景色には見えない気がする。濃厚な情念の気配を感じて。 ほんとうに面白かったです。 ラジオで勧めてくれた小島慶子さんに大感謝!

Posted byブクログ