リリエンタールの末裔 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
オーシャンクロニクルシリーズの3冊目(?)。 シリーズについての下調べをしていなかったので、購入時はこれがシリーズ最初の長編だと思っていたが、読んでみると短編集で、『華竜の宮』よりも後の発表だったようだ。 ということでシリーズとしては『華竜の宮』が最初の長編だった。 公式にはつながりが明言されていない短編の作品群だが、どれも海・近来の(有機的な)テクノロジーが印象的な作品で、それぞれがオーシャンクロニクルシリーズの「同じ時間軸の別の時期の前日譚なのでは?」と思わせるものが多かった。 感想を書くのが半年以上後になったので、詳細は忘れてしまっているが「作者の感性が優れている」、「この感性が好きだなぁ」と何度も思ったのは強く印象に残っている。 作中の人物の心の機微がすばらしく描写されており、リアリティを持たせることが難しい近未来のSFも上手く描き出されている。
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上田早夕里さん、初読みです。 しっかりしたSFが読みたいと思って手に取りました。 短編集ですが、どれもいい。外れなしでした。 全編に女性らしさが感じられるとっても優しく、心が温かくなる物語。でもちゃんとサイエンスしていて、現実?とも思えるような書き込み(「幻のクロノメーター」は...
上田早夕里さん、初読みです。 しっかりしたSFが読みたいと思って手に取りました。 短編集ですが、どれもいい。外れなしでした。 全編に女性らしさが感じられるとっても優しく、心が温かくなる物語。でもちゃんとサイエンスしていて、現実?とも思えるような書き込み(「幻のクロノメーター」は実在した人が出てくるから余計に思う)これはものすごく面白い小説だ。 次は「リリエンタールの末裔」の舞台となった『華竜の宮』を絶対に読むぞ!
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「オーシャンクロニクル」シリーズの短編、 「リリエンタールの末裔」を含むSF短編集です。 目的はもちろん、「リリエンタールの末裔」 海上都市で働く山の民の話です。これも良かった。それぞれに生活があるよね~。 リリエンタールの末裔★×4 マグネフィオ★×2 ナイトブルーの記憶★...
「オーシャンクロニクル」シリーズの短編、 「リリエンタールの末裔」を含むSF短編集です。 目的はもちろん、「リリエンタールの末裔」 海上都市で働く山の民の話です。これも良かった。それぞれに生活があるよね~。 リリエンタールの末裔★×4 マグネフィオ★×2 ナイトブルーの記憶★×4 幻のクロノメーター★×4 な感じ。 「ナイトブルーの記憶」に関しては、「オーシャンクロニクル」に関係あると言ってももイイ内容だと思いました。
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300ページで四篇の短編集 表題作は、『華竜の宮』から続く上田早夕里さん独自の未来世界を描いたもの。 海上都市民と山岳民族の軋轢のなかで、「空を飛ぶ」という憧れに向けて進む主人公の強さが印象的。この世界は次に第4作『深紅の碑文』へつながる。 その他の短編で、お気に入りは 「ナイ...
300ページで四篇の短編集 表題作は、『華竜の宮』から続く上田早夕里さん独自の未来世界を描いたもの。 海上都市民と山岳民族の軋轢のなかで、「空を飛ぶ」という憧れに向けて進む主人公の強さが印象的。この世界は次に第4作『深紅の碑文』へつながる。 その他の短編で、お気に入りは 「ナイト・ブルーの記憶」 人と機械(AI)の結びつきを、SF風ではなく心理的アプローチから神秘的な世界へとつなげている。 表題作以外の3作品にはハッピーエンドもバッドエンドもない、淡々としたエンディングではあるが、不思議な余韻を味わうことができた。
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SF。短編集。 とても面白いだけに、もう終わるの…と、物足りなく感じてしまう。 一番ページ数の多い「幻のクロノメーター」が一番好き。泣いた。 表題作も爽やかな青春SFという感じで読後感が良い。 他「マグネフィオ」「ナイト・ブルーの記録」
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最初の作品は前作の大きな世界観を引き継いだ作品で、グライダーの話でもあり夢がある これからというとこで終わってる気がするけど、やはり面白い どれも新しい技術に挑戦する人間の情熱や情念といったものを描いている 新しい技術へのあこがれ、おそれ、多大な困難とそれを克服しようとする執念が...
最初の作品は前作の大きな世界観を引き継いだ作品で、グライダーの話でもあり夢がある これからというとこで終わってる気がするけど、やはり面白い どれも新しい技術に挑戦する人間の情熱や情念といったものを描いている 新しい技術へのあこがれ、おそれ、多大な困難とそれを克服しようとする執念が人生をかけたチャレンジとして描かれる ハッピーエンドだけではないけど、丹念な描写もあり真に迫るものがある
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図書館から借りたのに、返却ギリギリまで積読だった(笑)。「ナイトブルーの記憶」は既出だったので(NOVAかなんかで)、実質読んだのは以下の3編。 ・リリエンタールの末裔 『華竜の宮』は未読だが、それでも十分に楽しめた。 飛ぶ、ということで肉体的・社会的な差異を飛び越えるという希望に満ちた一遍だった。 ・「幻のクロノメーター」 最後におさめられていた中編。 限りなく史実に近い形をとりつつも、オチに「おお?そう来た?」となった。 ただ、そこに描かれた地球外生命体の姿が意外にリアルに感じた。もっと言うと、懐かしい感じ。 ちょうど直前に、ドロレスキャノンの「この星の守り手たち」を読んでいたせいかもしれない。 うん、そうそう、宇宙人って、けっこう定点観測に来てるんですよ。 ・「マグネフィオ」 「触覚」を強化し、故人との思い出の中に没することを選んだヒロインと、強化した「視覚」の中で彼女を思い続けることにした主人公。 技術による「感覚変容」というのは、「ナイトブルー~」もだけど、氏の作品の大きなテーマであるよう。 そして、感覚を(意図的にであれ、無意識にであれ)操作・強化した存在が、それまでと同じ人としての生活が送れるのか?という思考実験的な要素も多い。
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続けて上田作品を読みすぎたか、刺激が本来感じるよりも低かったかも。 共感するには時間がほしいか。 いよいよ深紅の碑文へ。
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オーシャン・クロニクルシリーズの「リリエンタールの末裔」を読みたかったのがきっかけ。嬉しい誤算だったのは、どの短編作品も掛け値なしに面白かったこと。個人的にはオールタイムベスト級である。また、「リリエンタールの末裔」や「幻のクロノメーター」は男が一生をかける夢や仕事についての物語...
オーシャン・クロニクルシリーズの「リリエンタールの末裔」を読みたかったのがきっかけ。嬉しい誤算だったのは、どの短編作品も掛け値なしに面白かったこと。個人的にはオールタイムベスト級である。また、「リリエンタールの末裔」や「幻のクロノメーター」は男が一生をかける夢や仕事についての物語であり、単純な行動ではあるが男としてこのような生き方に共感を覚える。特に「幻のクロノメーター」については、途中から登場する一つの石が人類の文明を変えてしまうようなものになり、自分の想像をはるかに越える展開にセンス・オヴ・ワンダーを感じた。ずるいくらい楽しませる作品である。
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