リリエンタールの末裔 の商品レビュー
ほんとうにわずかにだけど教科書くさいというか、さすがに説教くさいとまではいわないけど、もう少しその辺は弱くてもいいのにって思うのは、自分がひねくれものだからかもしれない。 SFとしては十分に楽しかったンだけど。 リリエンタールの末裔とか、幻のクロノメーターとか、タイトルが秀逸...
ほんとうにわずかにだけど教科書くさいというか、さすがに説教くさいとまではいわないけど、もう少しその辺は弱くてもいいのにって思うのは、自分がひねくれものだからかもしれない。 SFとしては十分に楽しかったンだけど。 リリエンタールの末裔とか、幻のクロノメーターとか、タイトルが秀逸だと思う。
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人の技術に関する短・中篇集。 ただ技術的なギミックというよりは人と技術のかかわりや価値観についての話が中心です。 話的に面白かったのは「幻のクロノメーター」。話としてのカタルシスには欠けますが、安定して読んでいけます。 印象に残ったのは「マグネフィオ」。オプティミズムな...
人の技術に関する短・中篇集。 ただ技術的なギミックというよりは人と技術のかかわりや価値観についての話が中心です。 話的に面白かったのは「幻のクロノメーター」。話としてのカタルシスには欠けますが、安定して読んでいけます。 印象に残ったのは「マグネフィオ」。オプティミズムな作品の中で、唯一これだけが異端的に見えました。 この短編に出てくる登場人物は誰一人として、客観的に見れば幸せではありません。けれど、そんな中で技術に縋り、幸せを見出そうとしているところがとても印象的でした。
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この作品が日本SFの最前線である。 現段階の技術を下地に過度に飛躍し過ぎず未知のモノに、どこまでステップアップさせられるかと言うのがSFだと思ってる。 これを描ける脳味噌を下さい!!
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空への憧れや職人のこだわり、機械への愛情はある意味「少年」の専売特許かと思い込んでいましたが、ひょっとしたら「少女」の方が向いているのかも・・・。男はいよいよ肩身が狭いです。
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先端の技術による人間と社会の変容を書いているのだが、ゴリゴリとした感触がなくサラッとした手触り。造語にそれ程のこだわりがないからではないかと思った。人物の心象が細かく描写されているので、スラスラ読める。その割に、内容はハード。21世紀の大原まり子? ポストヒューマンSFのよしもと...
先端の技術による人間と社会の変容を書いているのだが、ゴリゴリとした感触がなくサラッとした手触り。造語にそれ程のこだわりがないからではないかと思った。人物の心象が細かく描写されているので、スラスラ読める。その割に、内容はハード。21世紀の大原まり子? ポストヒューマンSFのよしもとばなな? 4編の登場人物に共通するのは、固執、だろうか。ハードボイルド調のこの手のSFは「人間的なものへの固執の無さ」で驚き仕掛ける事が多いが、この作者は人物の固執を描くことで、読者との架け橋を掛けている。 それにしても「ナイト・ブルーの記録」はニュータイプの話だなあ・・・。
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さまざまな技術と人とのかかわりを描いた短編集。 表題作でもある『リリエンタールの末裔』は「鉤腕」という背中にある小さな腕を使い子供の頃は自由に空を飛ぶことのできる一族であるチャムが、大人になってからも再び空を飛ぶことを目指し自分の村から外の社会へ出ていく話。 チャムが空を飛ぶ...
さまざまな技術と人とのかかわりを描いた短編集。 表題作でもある『リリエンタールの末裔』は「鉤腕」という背中にある小さな腕を使い子供の頃は自由に空を飛ぶことのできる一族であるチャムが、大人になってからも再び空を飛ぶことを目指し自分の村から外の社会へ出ていく話。 チャムが空を飛ぶためのハードルというのは、技術的なものだけでなく様々なものと闘わなければならず、そんな中でも夢をあきらめないチャムとチャムを助ける周囲の人たちの描写も素敵でした。 『マグネフィオ』は交通事故に巻き込まれ後遺症を持った主人公と目を覚まさなくなったその親友、そして親友の妻を描く話。 話の中に出てくる新たな脳波計などの科学技術も面白いですが、主人公と親友の妻のと微妙な関係や心情などが切なく、人間ドラマとしても良かったです。 『ナイトブルーの記録』は人工知能に自らの経験や勘を学習させる海洋オペレーターの話。 アイディアはもちろん、このオペレータもかっこよくそして海の素晴らしさも伝えてくれる話でした。 『幻のクロノメーター』は18世紀ロンドンを舞台に、時計職人の信念をその職人の家事手伝いの女性の回想から描く話。 語り手の口調が柔らかく、彼女から見た時計職人たちの様子がとても素敵で、彼女が職人たちに尊敬の念を抱いているんだなあ、ということが伝わってきてとても好感が持てます。 最後のセリフもとても印象的でした。 タイトルとカバーを見ての衝動買いでしたが、SFやファンタジーとしてのアイディアの面白さだけでなく、登場人物たちもしっかりと描けていて思った以上によかったです。またこの本を読んでいる時期に、この本の著者の上田早夕里さんが日本SF大賞を受賞され、とても得した気分にもなりました(笑)
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「幻のクロノメーター」よい。時々おかしい時間感覚はもちろん意図された物で種明かしもされるけれど、彼女は「誰に」話しているのかという仕掛けも想像膨らむ。楽しい。
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