なんでコンテンツにカネを払うのさ? の商品レビュー
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僕らが求めているのはコンテンツではない、という話に共感。 たしかに、本当にその作品や作者が好きならデジタル版よりも手元に残るパッケージの方が欲しい。 「私はこんなに好きなんだぞー」っていう意思表明になる。 あと、CDを買うのも、そのバンドやアーティストに「貢ぐ」感覚で買ってるなぁと思った。 「私が育てたと示したい欲」みたいなのが日本人にあるってことはAKBでも証明されたわけだし。 ライブに行くのは臨場感を味わえるという付加価値があるから、それを越えるものがないとデジタルコンテンツというのは成長を止めるだろうなとも思った。
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『おひねりをどう支払うのか?どう受け取るのか?』 クリエイターがコンテンツを作った。その時点ではまだ価値はない。 コンテンツを受け取った側が「これは自分への贈り物だ。ありがとう!」と感謝をした瞬間にはじめて価値が発生する。 街場のメディア論で内田樹さんはそう主張していた。 こ...
『おひねりをどう支払うのか?どう受け取るのか?』 クリエイターがコンテンツを作った。その時点ではまだ価値はない。 コンテンツを受け取った側が「これは自分への贈り物だ。ありがとう!」と感謝をした瞬間にはじめて価値が発生する。 街場のメディア論で内田樹さんはそう主張していた。 この「ありがとう」がクリエイターに貨幣のカタチで返る。 それが著作権料の本質だということなのだろう。 著作権料がなぜ問題になるのかというと、上の物とは順番が逆だからだ。 クリエイターがコンテンツを作った時点で価値が発生したと考える。 このコンテンツを使用する料金が著作権料としているのが現状だ。 この方法の問題はそのコンテンツが自分への贈り物であるかどうかわからないまま、クリエイターに対して「ありがとう」の代替である著作権料を支払うことになることだ。 実際には自分への贈り物に達していないコンテンツもあるだろう。 そういうことが多いのであれば、使用料を払わずにコンテンツを利用しようする利用者が出てくるのは仕方ないのではないかと僕は思う。 岡田さんが言うようにコンテンツを利用するのはタダにしてしまう。 大量にコンテンツを提供することで、自分への贈り物だと思ってくれる人の元にきちんと届ける。ありがとうの返礼は著作権料ではないカタチで受け取る方がシンプルであるべき姿のように思える。 FreeEXはその一つのカタチなんだろう。 たくさんの著者の本を読みたいし、その人たちにきちんとお礼をしたい。 だから今のままでも一人のユーザーとして別にいいんだけどなぁとも思った。
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4章が特に良かった。"クリエイターで食っていけるのは日本でせいぜい1000人。野球が好きな人は多いけど、野球で食える人は2軍合わせても840人。ちょっと絵が書けると、創作だけで食えるという幻想を抱いてしまう”というような内容。 今はやりの自炊問題から始まり、コンテンツ...
4章が特に良かった。"クリエイターで食っていけるのは日本でせいぜい1000人。野球が好きな人は多いけど、野球で食える人は2軍合わせても840人。ちょっと絵が書けると、創作だけで食えるという幻想を抱いてしまう”というような内容。 今はやりの自炊問題から始まり、コンテンツビジネスの今後についての対談本。著作権について知りたいときは、福井さんの著作を当たったほうがいいです。 岡田さんの言うことはすごく筋が通っているし毎回驚かされるからはまってしまう。だけど、実現可能性に欠けると感じるのは何だろう。 あとは、なぜこんなタイトルの本にカネを払って買ったのか考えると面白いですよ(笑)
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対話形式で読みやすい著作権本。 著作権にまつわる現時点での問題と、改善策につながりそうなアイデアが載っている。対話本らしく、かなり分散的な議論ではあるが、著作権という目に見えないものを様々な実例をもとに色々な角度から眺めることが出来て楽しい。 クリエイター側からの視点と、ユーザー...
対話形式で読みやすい著作権本。 著作権にまつわる現時点での問題と、改善策につながりそうなアイデアが載っている。対話本らしく、かなり分散的な議論ではあるが、著作権という目に見えないものを様々な実例をもとに色々な角度から眺めることが出来て楽しい。 クリエイター側からの視点と、ユーザー側からの視点とでごちゃ混ぜで議論されているが、そもそも両者のボーダレス化が進んでいるからやむなし。 結局のところ、ユーザーにとって著作権は敵ではなく共存した方が良質なコンテンツの産出には有効であり、そのためにはユーザーから広く薄くコストを頂戴するシンプルな仕組みが必要だってことかな。Paypal弾幕薄いよ何やってんの!ってことですかね。 イマイチだった点として、新たに総合的なプラットフォームを作る的な話と、臨在感うんぬんの話は個人的にはあまり共感できないなーと感じました。 以下、おもしろかった箇所など ・今の世の中、知られていないことが一番まずい ・DRMは音楽・映画業界の過剰規制 ・ネットが発達した現在、コンテンツがフォーマットから切り離せるため、流通の部分で私的複製うんぬんの問題が出てくる ・コンテンツホルダーより、プラットフォーム側(youtubeだのtwitterだのAmazonだの)の力が強くなりすぎている ・コンテンツホルダーを支えるのはファンからのお布施→お布施を簡単シンプルに実現できる決済手段が必要
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・今の状況について スキャン代行業の違法性 著作権はどういう当てはめ方をするのか。昔の物質媒体と今の電子データ。 ロングテールの理論とプラットフォームの利益のあげ方。 ・今後変わっていくもの(推測部分?) クリエイター総人口論の推測 全メディアのアーカイブ・・・ユーロピアーナ、メガストア。 ・著作権の使われ方 アメリカプラットフォームの規約と法律のアドバンテージ 過度期、でも完成するのは50~100年後くらい。少なくとも自分たちが生きている間に完成するかどうかも分からないが。提案しているところ。 ・思ったこと appストアの音楽に対する値段の設定にかんしては中々に対人説得の分量が大きいとスティーブ・ジョブズの伝記を読んでて感じたので、そういう場を作り成すのは難しそう。対象は法律でもなく人間とかの説得がメインなんだろうと。 メガストアにある価格のポイントシステムとかは確かにシステム上としては直ぐできそうではあるけれどどこか引っ掛かる。 SF小説の着想というべきか、一度かなり発送のロケットを打ち上げた後から話が展開されていく。 著作権、コンテンツビジネスというよりは発想性と将来の話。
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著作権とはなんだろうか。一言でいうと、「情報コントロール権」だ。著作権者が創出した情報の無断利用、無限増殖を防ぐための枠組みであるといえる。そしてデジタルネットワークの発達と、著作権というシステムは最悪の相性だということがわかるだろう。なぜなら、情報は食べ物のように減ったりしな...
著作権とはなんだろうか。一言でいうと、「情報コントロール権」だ。著作権者が創出した情報の無断利用、無限増殖を防ぐための枠組みであるといえる。そしてデジタルネットワークの発達と、著作権というシステムは最悪の相性だということがわかるだろう。なぜなら、情報は食べ物のように減ったりしない上に管理が相当難しいからだ。また、非排他性を持っている情報の性質上必然的に自由流通にならざるを得ない。情報と物が一体化していた時代は管理が比較的楽だったが、ネットがある今、情報は簡単に拡散していく。 さて、著作権を考える上で重要なのは、そもそも著作権は何ののためにあるのかということを根本的なところから問いただすことだ。ガチガチに法律で規制してしまえば、クリエーターの創造の源泉がシュリンクしてしまい、しょぼい作品が世に溢れる事態になりかねない。なぜなら創作は模倣を必要とするからである。一方で完全フリーにして、アナーキーな空間にしてしまうのも違う。そうするとそれはそれでクリエーターは飯を食っていけなくなり疲弊してしまう。流通と収益のバランスが最適になるような枠組みを構築していくことこそが目的のはずだ。著作権は壮大な社会実験であるといえる。その実験過程で改善していくことが今求められている。 とここまでマジメで堅苦しいことをつらつらと書いてきたが、本書には既成概念にとらわれない面白い発想やアイデア、ビジネスモデルが紹介されている。著作権云々よりむしろ夢想的なアイディアのほうが刺激的で本書のメインディッシュかもしれない。
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自分は以前から、コンテンツホルダーにお金が行くシステムにしないと、世の中面白くなくなると思っていた。だから、ユーザーがYouTubeとかをタダで見れる現状に違和感を感じていた(自分も良く利用するけどw)。 ただ、岡田さんの言うように、コンテンツをフリーに公開するようにしても、クリエーターが面白い物を作れるシステムにするという案は良いかも。新しい通貨を作ったり、タニマチ制度を使ってみたり。 まあ、楽しい未来になれば良いかな。
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コンテンツのフリーな流通を提唱する岡田氏と、著作権の専門家の福井氏の対談本。 結論から書けば、「今の著作権をとりまく社会の枠組みにはムリがある」という点で両者は一致している。 ただ、一部の大人気クリエイター以外はコンテンツでは金銭を得られないと主張する岡田氏と、著作権によってク...
コンテンツのフリーな流通を提唱する岡田氏と、著作権の専門家の福井氏の対談本。 結論から書けば、「今の著作権をとりまく社会の枠組みにはムリがある」という点で両者は一致している。 ただ、一部の大人気クリエイター以外はコンテンツでは金銭を得られないと主張する岡田氏と、著作権によってクリエイターに金銭的なメリットを還元することが豊かな文化を生み出すという福井氏で意見は異なる。 ただ、さっと読んでしまうと見落としてしまいそうになるが、この意見の違いはもっと根深い部分に起因している。 というのも、岡田氏は「法律の変化がなくても」コンテンツとクリエイターを取り巻く状況は変わると主張していて、その上で「より良いコンテンツ流通のための枠組み」を提唱している。 一方で、著作権の専門家である福井氏は、法律が現行のままであれば、コンテンツもクリエイターも今のまま大きく変化しないという認識をしている(そう明言はしていないが、変化について語るときは法律についても触れている)。 個人的には岡田氏に賛成である。 法律を現状維持したところで、クリエイターやコンテンツ、それらに関わる産業も現状維持できるとは限らないのだから。
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