名もなき毒 の商品レビュー
企業内広報紙の記者兼編集者の杉村三郎シリーズの、『誰か』に続く第2作。 未読ですが多くの地方新聞で連載されていた『ペテロの葬列』は、このシリーズの第3作になるそうです。
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人間の内面をえぐりだすような描写が優れている。誰にも潜んでいる「毒」が何かのきっかけで表出したり、表に出ないまでも内側でくすぶっていたり。 何かダークな空気が全体を覆っていて、かつ一つずつの事象がさらに暗さを増すような効果で、どんより怖い感じが臨場感たっぷりです。 三部作とい...
人間の内面をえぐりだすような描写が優れている。誰にも潜んでいる「毒」が何かのきっかけで表出したり、表に出ないまでも内側でくすぶっていたり。 何かダークな空気が全体を覆っていて、かつ一つずつの事象がさらに暗さを増すような効果で、どんより怖い感じが臨場感たっぷりです。 三部作ということをあとから知ったので、早速第一部も読んでみたいと思います。
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冒頭から、スッと話に入り込まされてしまう。とにかく状況、心境、情景をしつこいまでに描き込み、まるで登場人物が目の前にいるみたい。なんでこの人は、こんな文章が書けるのだろうか、と、いつも感心するしかない。 この話、主人公は、基本的には善良な一市民。ちょっと善良すぎるかもしれないが。...
冒頭から、スッと話に入り込まされてしまう。とにかく状況、心境、情景をしつこいまでに描き込み、まるで登場人物が目の前にいるみたい。なんでこの人は、こんな文章が書けるのだろうか、と、いつも感心するしかない。 この話、主人公は、基本的には善良な一市民。ちょっと善良すぎるかもしれないが。そんな「こんな人いるよね」主人公が、やはり「こんな事件あるよね」的な、毒殺事件、「こんな人いるよね」なトラブルメーカーが起こすトラブルに巻き込まれていく。その中でちょっとだけ、読む人を驚かせるような、心を動かすような描写もありつつ、でも全体としてはやはり平凡な事件を丁寧に描写し続けていく。 ありえない超能力とか、ありえない猟奇的連続殺人、そういった非日常で心を動かすのではなく、本当に、本当に平凡な日常、人物、出来事に、ぐいぐいと読む人を引きつけてしまう。「火車」もそうだけれど、こういう作品こそが、宮部みゆきの真骨頂ではないかなぁ、と個人的には思う。
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あまり読まない宮部みゆき。 何冊かは持っているんだけどね。 おばが間違って2冊買っちゃったというので貰いました。 そうでなきゃあまり読まないんだけど。 「毒」のお話。 一番怖い毒は「人間」って話。 いろんな「毒」が出てくるけど、ちょっと無理矢理感が・・・。 なんて...
あまり読まない宮部みゆき。 何冊かは持っているんだけどね。 おばが間違って2冊買っちゃったというので貰いました。 そうでなきゃあまり読まないんだけど。 「毒」のお話。 一番怖い毒は「人間」って話。 いろんな「毒」が出てくるけど、ちょっと無理矢理感が・・・。 なんて言ったって、犯人が唐突すぎる。 もっともっと深い伏線があっていいのに。 映画化しやすそうな映画って、 文章が浅い気がするのですが、 これもそんな感じです。 映画化しそう。 いまいちだった中でもゾッとしたのは、 「原田いずみ」みたいな人間。 物語の中の彼女は極端に描かれているけれど、 こんな若い子、最近多いよね。 扱いが非常に難しい。
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サラリーマンである杉村三郎が主人公のミステリーのシリーズ。「誰か」に続く第二作。 話の筋としては救いようのないものであり、好みとは言えないが、ミステリーとしてはよく出来ていると思う。
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吉川英治文学賞受賞作。 毒とは単なる毒薬のことではなく、人であり、人の世もまた毒となるのだ。その毒に全く当たらず生きることはできない。ノーリスクの人生はありえない。 強烈なストーカーが吐く言葉、行動は本当に毒々しいが、どこかに寂しさが見え隠れする。 ところどころに散りばめられた希...
吉川英治文学賞受賞作。 毒とは単なる毒薬のことではなく、人であり、人の世もまた毒となるのだ。その毒に全く当たらず生きることはできない。ノーリスクの人生はありえない。 強烈なストーカーが吐く言葉、行動は本当に毒々しいが、どこかに寂しさが見え隠れする。 ところどころに散りばめられた希望が解毒剤となっており、読後感は悪くない。 しかしながら、リスクのないと
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文字通りの毒もあれば人間関係や環境などから出てくる毒。目に見えるもの見えないもの。終盤は涙ぐんでしまった。
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人の心の闇の怖ろしさについて考えさせられる本。誰しもが持っている闇の面がどんどん悪い方悪い方に行ってしまうことの危うさと、いつでもありえる点の怖ろしさが読んでいて怖くなる。
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なんとも悲しい気分のまま読了してしまいました。 他人を攻撃する毒、自己を蝕む毒。 形あるものなら捉えることも滅することもできる。 けれどもこれらの毒には名前がないからコントロールできないという。 でも毒があれば解毒剤も存在する。それらは二つで一つだから。 自分の周りに存在...
なんとも悲しい気分のまま読了してしまいました。 他人を攻撃する毒、自己を蝕む毒。 形あるものなら捉えることも滅することもできる。 けれどもこれらの毒には名前がないからコントロールできないという。 でも毒があれば解毒剤も存在する。それらは二つで一つだから。 自分の周りに存在する人、今いる自分の環境、全てが毒にも解毒にもなる。 誰もが内包している毒だからこそ、誰もが手を差し伸べることができる。 そしてその手を求めることが出来る。 しかし素直さや謙虚さ、自信。これらを失ってしまっては、 その差し出す手を、求める手を自ら断ってしまうことに繋がってしまうような気がする。 悲しみが漂う結末に感じてしまったのは、解毒となる手を見つけられなかったからだと思う。
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