名もなき毒 の商品レビュー
最後は一気に読みました。 辛かった、、、 原田いずみが。 ケンジが。 そして、そこここにいる多くの「普通」の人たちが、 あまりに哀しくて切なくて、辛かったです。 原田いずみはまさに自分自身のネガでダークサイドな部分を見せつけられたようだし、 ケンジの生きづらさはやりきれないような...
最後は一気に読みました。 辛かった、、、 原田いずみが。 ケンジが。 そして、そこここにいる多くの「普通」の人たちが、 あまりに哀しくて切なくて、辛かったです。 原田いずみはまさに自分自身のネガでダークサイドな部分を見せつけられたようだし、 ケンジの生きづらさはやりきれないような思いがこみ上げてきたし、、、 そして、主人公の優しさや幸せが、多くの罪を作っていることを作者の宮部みゆきは丁寧に描いています。 幸せって一体なんだろうねぇ、普通ってどういうこと、と作中の人物たちに問いながら実は読者である私に問いかけていることは言うまでもありません。 本当に幸せってなんだろう? さて、タイトルの「名もなき毒」は本当に言いえて妙でした。 毒って即効性の毒もあるけれど、じんわりと効いてくる毒もあって、その毒の方が実は怖い。 毒は文字通りの毒もあるけれど、目に見えない毒、つまり心の闇が作り出す毒があって、その方が何倍もおそろしい。 誰もが持っている名もなき毒。 名なんてつけることができない曖昧で杳として掴めないけれど、絶対にある毒。 そんな毒が原田いずみを介してドンドンと表に出てくるのです。原田いずみは等身大とまではいかないが、自分自身が持っている毒の代弁者であることは間違いないと思いながら悲しく切なくて読みました。 実に辛かったです。
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ポイントポイントは面白いけれど、盛り上がりに欠ける。そういう何でもない日常に、人間の悪意があるということなのか。 宮部みゆきさんの、人間の悪意を毒と表現する感覚は素晴らしいと思う。
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最終章に入りやっとわかるタイトルの意味。読み終えた後に見えるようになる「闇」に対して、空虚感と、ほんの少しの希望を与えてくれる作品。「突っ立ってただ問いかけているだけでは、誰も毒のことを教えてはくれない。それがどこから来て、何のために生じ、どんなふうに広がるものであるのかを。どう...
最終章に入りやっとわかるタイトルの意味。読み終えた後に見えるようになる「闇」に対して、空虚感と、ほんの少しの希望を与えてくれる作品。「突っ立ってただ問いかけているだけでは、誰も毒のことを教えてはくれない。それがどこから来て、何のために生じ、どんなふうに広がるものであるのかを。どうすれば防げるのかということも。 」「杉村三郎はおそらくそうした『見る人』になろうとしている。・・・量の拳を握りしめ、杉村は闇の前で立ち尽くす。」
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巻き起こる事件を解きほどきながら、 誰もが持つ毒に少しづつ気づき、 それに対する人間の無力さを感じさせる。
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宮部みゆきさんらしい作品。模倣犯を読んだときも思ったけど、一歩間違えば誰にでも起こりえることを題材にしている。本当に怖い。犯罪者の行動をあまりにリアルに表現しているので、どこかで経験したようにも勘ぐってしまう。
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『誰か』の続編。今多コンツェルンの広報室に勤める杉村三郎は広報室のバイトを首になった原田いずみの対応を任される。しかし原田は自身の処遇に不満を抱き、杉村や広報室に嫌がらせやクレームを続ける。折しも街では連続毒殺事件が発生していた。ひょんなことから事件の被害者の孫娘と知り合いになっ...
『誰か』の続編。今多コンツェルンの広報室に勤める杉村三郎は広報室のバイトを首になった原田いずみの対応を任される。しかし原田は自身の処遇に不満を抱き、杉村や広報室に嫌がらせやクレームを続ける。折しも街では連続毒殺事件が発生していた。ひょんなことから事件の被害者の孫娘と知り合いになった杉村は毒殺事件にも徐々に踏み込んでいく。 今作も宮部さんの筆勢は圧巻! 『模倣犯』以降の宮部さんの人間の心情のひだの描き方、悪意の描き方は宮部さんにしか書きえないものになっているように思います。 今作でその悪意は名もなき毒として表現されます。原田いずみと毒殺事件の犯人が心に抱えた毒。それは単なる理解不能な悪意ではありません。なぜ自分だけがこんな目に遇うんだ、という不満、怒り、嘆き、嫉妬、歯がゆさ…そうしたものが背景にあります。 そうした毒を溜め込みつつも何とか懸命に生きようとする人もいれば、原田いずみのように少しの毒にも耐えられない人がいます。それがこの作品の一つのテーマでしょうか。 そして、なんとか毒をまき散らさないよう耐えてきた人でもあるきっかけ、ある瞬間にどうしようもなくなってしまうこともあります。原田いずみや毒殺事件の犯人のような、毒のまき散らし方は極端かもしれませんがそれは決して自分たちと無縁な毒ではないのです。 そしてその毒の怖さは、突然何の脈絡もなく人を襲うことでもあります。無差別な毒殺事件や作中で触れられる土壌汚染やハウスシック症候群はその具体的な典型例でもありますが、それは人がまき散らす毒にも言えるのです。 原田いずみに関わった杉村三郎をはじめ広報室の面々、原田いずみの身内も彼女のまき散らす毒に触れるうちに徐々に消耗してしまったり、何かを失ってしまったり、ということも描かれます。そしてそうした突然襲ってくる毒に対し自分たちはとても無力だということを悟らざるをえなくなるのです。 ラストシーンで杉村三郎はその毒に対し戦いたい、正体を知りたい、という気持ちとこれ以上それに触れ続けると何か大切なものを失うという狭間で揺れます。文庫版『ソロモンの偽証』で期せずして、杉村三郎がその狭間から選んだ回答を知ってしまったのですが、その回答に至るまでの具体的な道筋が描かれるのは次作『ペテロの葬列』になりそうな感じですね。本当に文庫化が待ち遠しい。そして願わくば”名もなき毒”に対し杉村三郎は、宮部さんはどんな答えを導き出すのか、知りたいなあ、と思います。 第41回吉川英治文学賞 2007年版このミステリーがすごい!6位 2007年本屋大賞10位 以下引用です。 引用ページでは文字数がオーバーしてしまいました… 250字だと会話文を載せるのは難しいですね(苦笑) 杉村三郎と、探偵の北見氏の会話の場面(p413~414)より 「じゃ、普通の人間とはどういう人間です?」 「私やあなたが、普通の人間じゃないですか」 「違います」 「じゃ、優秀な人間だとでも?」 「立派な人間と言いましょうよ」北見氏は疲れた顔で微笑んだ。「こんなにも複雑で面倒な世の中を、他人様に迷惑をかけることもなく、時には人に親切にしたり、一緒に暮らしている人を喜ばせたり、小さくても世の中の役に立つことをしたりして、まっとうに生き抜いているんですからね。立派ですよ。そう思いませんか」 「私に言わせれば、それこそが、”普通”です」 「今は違うんです。それだけのことができるなら、立派なんですよ。”普通”というのは、今のこの世の中では”生きにくく、他を生かしにくい”と同義語なんですよ”何もない”という意味でもある。つまらなくて退屈で空虚だということです」 だから怒るんですよと、呟いた。 「どこかの誰かさんが”自己実現”なんて厄介な言葉を考え出したばっかりにね」 普通の暮らしや生活、中流階級が崩壊し格差が広がり日々の余裕もなくなってしまった日本において、北見氏と杉村三郎のこの会話は妙な実感を持って響きました。
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タイトルの「名もなき毒」が印象的。 到底理解できないと思うような行動も、その人の心に毒が入り込んで、本人は毒におかされてることすら気づかない状態なのかもしれない。
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原田さんは、はたして「普通の人」なのだろうか?宮部先生らしく、淡々と事実を積み重ねながら導き出した結果が、なんとも救いがなくて。 杉村三郎シリーズ、第3弾、気になってあらすじをネットで調べてしまった事、後悔しちゃいました。 宮部先生はこの第3弾の内容をどの辺りから考えていたんだ...
原田さんは、はたして「普通の人」なのだろうか?宮部先生らしく、淡々と事実を積み重ねながら導き出した結果が、なんとも救いがなくて。 杉村三郎シリーズ、第3弾、気になってあらすじをネットで調べてしまった事、後悔しちゃいました。 宮部先生はこの第3弾の内容をどの辺りから考えていたんだろう???
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2007年本屋大賞10位 無差別毒殺事件とトラブルメーカーの事務アルバイトが巻き起こす些細な揉め事が同時進行していき… 杉村三郎シリーズの第2弾。 身近が故に強烈なインパクトでした。 怖い。 実生活でもモンスターと呼ばれる人種には2名ほど関わったことはありますが、まさにこの本...
2007年本屋大賞10位 無差別毒殺事件とトラブルメーカーの事務アルバイトが巻き起こす些細な揉め事が同時進行していき… 杉村三郎シリーズの第2弾。 身近が故に強烈なインパクトでした。 怖い。 実生活でもモンスターと呼ばれる人種には2名ほど関わったことはありますが、まさにこの本の通りで記憶がフラッシュバックしてしまったorz
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