名もなき毒 の商品レビュー
数年前も読んだのに忘れてまた買ってしまった。 わりと細かなところ忘れてたから、2回目も楽しめた。 小説を二回読むのって珍しい
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「毒」か主役の物語。 毒って、人間誰しも持っていて、それは伝播していく。 毒なんて持っていない。と思っている人の中にも、確実に毒は存在し、表に出てくることがある。 最後の方で美智香が行なっていた行動は、その毒を表に出さずに無毒化する行動だったのだと思う。 彼女は、強い。 その...
「毒」か主役の物語。 毒って、人間誰しも持っていて、それは伝播していく。 毒なんて持っていない。と思っている人の中にも、確実に毒は存在し、表に出てくることがある。 最後の方で美智香が行なっていた行動は、その毒を表に出さずに無毒化する行動だったのだと思う。 彼女は、強い。 その行動に読んでいてウルっとした。
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今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田いずみは、質の悪いトラブルメーカーだった。解雇された彼女の連絡窓口となった杉村三郎は、経歴詐称とクレーマーぶりに振り回される。折しも街では無差別と思しき連続毒殺事件が注目を集めていた。
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すごいボリュームだったけど面白かった! 連続無差別毒殺事件や土壌汚染、解雇した元同僚の異常なまでの嫌がらせというヘビーなテーマの割に、主人公がのほほんとした昼行灯というギャップのおかげで物語全体はほのぼのとした感じだった。 タイトルの『名もなき毒』とは、人間誰しも大なり小なり持...
すごいボリュームだったけど面白かった! 連続無差別毒殺事件や土壌汚染、解雇した元同僚の異常なまでの嫌がらせというヘビーなテーマの割に、主人公がのほほんとした昼行灯というギャップのおかげで物語全体はほのぼのとした感じだった。 タイトルの『名もなき毒』とは、人間誰しも大なり小なり持ち合わせている一種の悪意のようなものなんだろう。 あぁ、世の中には色んな人がいるなと身震いしたな。 人は、理屈だけでは動かない。 人は、たとえ仕事であっても感情込みでの話じゃないと乗ってくれない。 そのあたりを決してないがしろにせず、ウエットに動かないと、いずれ大きなトラブルを生んでしまう可能性も考慮しなくちゃいけないな。 損得勘定を抜きにした他人の感情が、一番怖いというイイ教訓になった。 また、他人のふり見て我がふり治せ。 自分自身も持っているであろうその毒に、犯されないようにしないといけない。
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宮部みゆきを読むと、ジャンルにこだわって本を選ぶのはやめようかなぁと思わせられる。少々怖そうでも、面白いと信じているからつい手に取ってしまう。そして、読んだら確実に面白いところが、本当にすごい。
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タイトルに惹かれて初めて宮部みゆき作品を読んだ。 本書で出てくる毒は、毒殺事件に出てくる「青酸カリ」、土壌汚染被害による「毒」、人の心に潜む「毒」。3つの毒が交錯しながらストーリーが進んでいく。 不幸な境遇をうらみ、「普通」に暮らしている人間の幸せを奪おうとする衝動、これが人間に...
タイトルに惹かれて初めて宮部みゆき作品を読んだ。 本書で出てくる毒は、毒殺事件に出てくる「青酸カリ」、土壌汚染被害による「毒」、人の心に潜む「毒」。3つの毒が交錯しながらストーリーが進んでいく。 不幸な境遇をうらみ、「普通」に暮らしている人間の幸せを奪おうとする衝動、これが人間に心に潜む「毒」。
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毒って確かに存在し、感染していく。自分が自分の毒に感染することも多い。毒に感染されないためにはどうすればいいか? 哀しいお話でしたが、少しだけ光明が書いてあり救われる。 いつもながら、宮部さんの語り口は絶妙で引き込まれてしまいました。 シリーズ第1作も読まなきゃ、と思っます。
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今多コンツェルン会長の娘婿、杉村三郎シリーズの一冊。今回の内容は、連続毒殺殺人事件と杉村の働くあおぞら広報室で雇ったアルバイトを巡る、物語である。 読み終わった感想は、全体を通貫するテーマとしてこの世界にある”無力”を挙げているように感じた。変質者や理解を超える人間が一方的に危害...
今多コンツェルン会長の娘婿、杉村三郎シリーズの一冊。今回の内容は、連続毒殺殺人事件と杉村の働くあおぞら広報室で雇ったアルバイトを巡る、物語である。 読み終わった感想は、全体を通貫するテーマとしてこの世界にある”無力”を挙げているように感じた。変質者や理解を超える人間が一方的に危害を加えてくるとき、我々になすすべはなく、無力であるということを感じさせられた。。
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再読。 宮部みゆき作品には痛ましい犠牲者の後ろに戦慄すべきサイコパスの影がちらつく。 「火車」では、心無い人間の行動原理について、子供に「彼らはまず壊してから、適当な理屈をでっちあげる」「だから何を言っても耳を貸してはだめだ」「ただし、自分がやったことを本当にわかって謝って来...
再読。 宮部みゆき作品には痛ましい犠牲者の後ろに戦慄すべきサイコパスの影がちらつく。 「火車」では、心無い人間の行動原理について、子供に「彼らはまず壊してから、適当な理屈をでっちあげる」「だから何を言っても耳を貸してはだめだ」「ただし、自分がやったことを本当にわかって謝って来たのなら許してあげなさい」と説明するシーンがあった。 本作の原田いずみもそうした人物として描かれているが、何よりもぞっとしたのは、原田いずみの嘘に園田編集長が「もしかしたら本当だったのかも」と、「世の中の男性は全て女性の敵だといわんばかりの目で」呟くシーンだ。 嘘に嘘を重ねる。周りがどうなろうと知ったことではない。常に自分は被害者「様」で、周りは自分に跪かなければならない...どこかの国そのまままの「悪」なのだが、それでも「その悪には原因があるのかもしれない」と考える純粋な人は騙されてしまう。 サイコパスへの対処は「隔離して矯正、でなければ駆除」以外にないのだが、現行法では財界の権力者である今多義親であっても、無法の限りを尽くす原田いずみに対して「犠牲者が出るまでは何もできない」。...これもどこかの国を除去できない現代社会の縮図のようだ。 本作の犠牲者は救われない。何の因果もなく不幸に見舞われ、「犯人」はいても「元凶」は消えてしまっている。誰が悪いのか。犯人を憎むことができる者はまだましかもしれない。我が身に降りかかった毒をばら撒くことでしか抗議の声を上げられず、その結果、もっと大きな不幸に塗れることになった者の心情はいかばかりか。 自由とグローバリズムの美名の下、世界中に「毒」をばら撒いて社会にツケを回す強欲資本主義に対し、「毒」に病んだ者の救いとなるセーフティネットはあまりにも脆い。 「困っている人を気にする」人間はもはや「普通の人」ではなく、狩られる対象となって絶滅に瀕している。 マスゴミがお手軽にねつ造し、世の中に広める「わかりやすい説明(これも「毒」だ)」を拒否するために、犯人から生の言葉を引き出そうとしたジャーナリストが、森達也「A3」の主張と重なった。
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杉村三郎シリーズ二作目。前作より面白かった。無差別連続殺人と思われる青酸カリ混入事件と、会社の精神のおかしいバイトとのいざこざが最後にリンクする。毒というのが、文字通り飲料に混入された青酸カリだったり、土壌汚染原因物質だったり、シックハウス症候群の原因物質だったりしたのだけど、一...
杉村三郎シリーズ二作目。前作より面白かった。無差別連続殺人と思われる青酸カリ混入事件と、会社の精神のおかしいバイトとのいざこざが最後にリンクする。毒というのが、文字通り飲料に混入された青酸カリだったり、土壌汚染原因物質だったり、シックハウス症候群の原因物質だったりしたのだけど、一番強い毒は人間の悪意なんだな。特にこの原田いずみの毒は強烈すぎた。こんな人間が回りにいなくてよかった。
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