1,800円以上の注文で送料無料

名もなき毒 の商品レビュー

3.9

424件のお客様レビュー

  1. 5つ

    76

  2. 4つ

    203

  3. 3つ

    108

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/03/14

おなじみ宮部みゆきの作品。どうやら第41回吉川英治文学賞受賞作だそうで。 今多コンツェルン会長の娘婿である主人公・杉村は、 自身が所属する社内報編集企画部の問題(元アルバイトの原田いずみによる嫌がらせ) を解決する為に北見という元刑事・現探偵の元を尋ねる。 一方、巷では飲料への...

おなじみ宮部みゆきの作品。どうやら第41回吉川英治文学賞受賞作だそうで。 今多コンツェルン会長の娘婿である主人公・杉村は、 自身が所属する社内報編集企画部の問題(元アルバイトの原田いずみによる嫌がらせ) を解決する為に北見という元刑事・現探偵の元を尋ねる。 一方、巷では飲料への青酸カリ混入による無差別連続殺人事件が発生していた。 北見の元で「無差別殺人」の被害者家族である女子高生・古屋美知香と出会う。 こうして杉村は“原田いずみ問題”と“古屋俊明殺人事件”の2つを生活の中に抱える事になった…。 宮部みゆきらしく、物語全体に流れる空気は柔らかなものがある。棘は無い。 およそ連続殺人が起きているとは思えないほどに。 その空気を作り出している一環が、主人公の杉村であるのは間違いない。 何しろ彼は ・巨大財閥・今多コンツェルン会長の娘婿 ・しかし今多家の持つ権力は与えられない。= 多大な責任は負わなくても良い という存在なのだから。 更にいうと、キャラクター的なアクも弱い。ピンチに上手く立ち回れるわけでもない。 物語の後半に原田いずみが行う犯罪行為に対しても、結局彼は何にも出来なかったのだ。 …しかし、それが普通の人間なのだと思うが。 とにかく、このように環境はともかく性格は至極“普通な”人が 世の中を騒がしている大事件の1つと、 一つ間違えれば『巨大財閥の会長の孫娘誘拐殺人』になりかねなかった事件を解決(?)してしまう。 そこには「普通の生活のすぐ隣に恐怖は潜んでいる」という暗黙のメッセージもあるのかもしれない。 (考えすぎかもしれない) なので、いわゆる「推理」とか「謎解き」という事が作品中でクローズアップされる類の小説でもない。 そういう作品が好きな人には好まれない物語であろう。 それにしても、宮部みゆきという作家は本当に上手い。 何が上手いって、登場する人物の創り方である。 それぞれの人物に生い立ちがあり、現状の悩みがあり、行動に理由がある。 どのキャラクターも生きているのだ。 原田いずみはとても酷い女である。外立君は酷い事をしたが、ある意味説得力のある青年だ。 古屋母娘も秋川氏もゴンちゃんも今多会長も、それぞれに考えとポリシーが感じられる。 登場人物がこのくらいの量であれば、宮部みゆきお得意の「掘り下げ過ぎ」癖も丁度良い。 この物語には色々な“毒”が登場する。 青酸カリ、土壌汚染といったリアルな毒から、人間の心に潜む様々な毒まで。 その中でも最も印象深いのは、やはり原田いずみ嬢の毒であろう。 自分が中心でないことに腹を立て、自分以外が幸せである事に毒づく。 自分が認められる為には大きな嘘も厭わない。たとえそれで人が亡くなっても、だ。 彼女のような人間も、実際に居ないわけでは無いだけに、 彼女関連の一連の出来事も現実に起こりかねないと感じる。 なお、本書は『誰か』という作品の続編であるようで、 物語の所々に前作との関連性を垣間見る事が出来る。 前作を読んでいればまた違う楽しみもあったのだろうが、残念ながら『誰か』を読んだ事が無い為 判断しかねる。 更に、「毒殺犯・被害者家族・探偵(もどき)・ジャーナリスト・嫌がらせ犯」 が一同に会するなんて、あまりありえない状況だったのも残念である。 その辺が減点ポイントではあるが、基本的には楽しめる作品であろう。3.5点。

Posted byブクログ

2021/03/05

久しぶりに宮部みゆき読んだらとても面白い。昔ハードカバーで買って読んで、たぶん通算3回目。 後作のペテロが面白いと聞いて名もなき毒から。 序盤から毒を見せつけてくるんだけど、それが蔓延した空間は何て恐ろしい。途中からタイトルから迫ってきて頭の中に設置されて終わる名作だと思う。

Posted byブクログ

2021/03/04

幾つかのストーリーが交差しながらクライマックスに繋がっていて、楽しく読めました。宮部みゆきさんの本は、読みやすくて大好きです。

Posted byブクログ

2021/03/01

原田さんの凄まじい毒には驚いた。ルサンチマンのようなものだけれど、さすがにあんな行動力が備わっていると、どんどん厄介者になっていく。 社長さん、最初嫌だったけど、最後サンダルで追いかけてきた姿には心に染みました。

Posted byブクログ

2020/10/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

運悪く不幸な境遇である心優しき者、恵まれた環境だが怒りに満ち溢れた者、人間は毒に侵され、また人を毒す。 世間において成功者、権力者に当たる義父のセリフ「他者の生殺与奪を奪うことが最大の権力であり禁忌の権力である」。

Posted byブクログ

2024/05/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

最初は、主人公の「お人好しで冷静に物事を客観視でき、行動力がある」ところを好意的にとらえていたが、次第になぜだかあまり好きではなくなってしまった。それは、原田が彼に対して抱く嫉妬という「毒」にわずかながら共感したからなのだろうかと感じた。とはいえ、毒に侵された原田がとった行動は理解の範疇に到底及ぶものではないが…。 また、黒井次長の娘の喘息の原因が、シックハウスや宅地土壌汚染などの物質的な毒ではなく、いじめという人間だけが持っている毒によるものであったという点からも題名である「名もなき毒」の意味について考えさせられた。 宮部みゆきさんの作品は今回初めて読んだが、細かい心情の描写と伏線が回収されていくような面白味が、書き方として個人的に好みだなと感じた。しかし、なんとなくモヤモヤを残したまま終わってしまったような、自分の中で不完全燃焼な感覚がある。

Posted byブクログ

2020/06/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

順番を間違えたらしく、事件はひとつ解決した後だった。 とにかく原田いずみが怖い。こんな人本当にいるのかな。いるんだろうな、きっと… 本当に酷い人間だと思うけど、彼女が何故こんなに歪んでしまったのか、原因が知りたくなる。最後、警察に捕まった後、取調官に話を聞いてもらって上機嫌になると言う事は、やはりそういう部分が彼女には不足していたのかも。 それとは別に、青酸カリによる無差別殺人事件が起きる。 こっちの真犯人も心も身体も病んでいて、結局人間の弱い部分が、人間を犯罪に引き込んでしまう。 土壌汚染の話も「毒」という意味では重要なのかもしれない。 杉村の奥さんがお嬢様過ぎて、ちょっとイライラする。

Posted byブクログ

2020/05/07

「誰か Somebody」の続編 毒殺事件、元アルバイトとのトラブル、シックハウスなど 別々に起きたいろいろな出来事が徐々に繋がり出し、クライマックスに一気に集中 前回は主人公の中に好奇心やお人好しの要素は見られるものの、正義感が感じられなかった ミステリーの刑事や探偵は正義...

「誰か Somebody」の続編 毒殺事件、元アルバイトとのトラブル、シックハウスなど 別々に起きたいろいろな出来事が徐々に繋がり出し、クライマックスに一気に集中 前回は主人公の中に好奇心やお人好しの要素は見られるものの、正義感が感じられなかった ミステリーの刑事や探偵は正義感につき動かされて真相を究明するものだ、という自分なりのこだわりがあるので、今一つしっくり来なかったけど、今回はこの主人公なりの正義感が感じられました マイナス要素はやっぱり奥さんかなー 悪い人じゃないんだけどね まぁ設定がセレブ探偵だから、奥さんありきだから 作家の秋山氏は率直にカッコ良かった、主人公はとても格好良いとは言えないキャラだからね それと元アルバイト原田の醜さが凄い!

Posted byブクログ

2020/04/27

宮部みゆきのミステリー作品は、トリックやストーリーが秀逸なのは言うまでもないが、それ以上に日常に潜む人の心の闇をこれでもかと見せてくれるから好き。読んでると痛いし苦しいけど。

Posted byブクログ

2020/04/01

衝撃的! 順番忘れたけど、ずっと杉村三郎シリーズにハマってる 私はずっと見守ってるよ、 しかしこの名もなき毒はすごい。 テレビでも上映されここからあの女優「名前が出てこない」すごすぎ 彼女にも目が釘付け これは経費で落ちませんにもで出る、人気者になった。やはり、上手い人はう...

衝撃的! 順番忘れたけど、ずっと杉村三郎シリーズにハマってる 私はずっと見守ってるよ、 しかしこの名もなき毒はすごい。 テレビでも上映されここからあの女優「名前が出てこない」すごすぎ 彼女にも目が釘付け これは経費で落ちませんにもで出る、人気者になった。やはり、上手い人はうまい。へんなレビューでおかしいね

Posted byブクログ