河北新報のいちばん長い日 の商品レビュー
[ふんばりの記録]宮城県を中心に東北六県を発行区域とする地方紙の「河北新報」が、東日本大震災の発生以降、どのように被災地の現状を伝えたかについて振り返った作品。河北新報社自身も被災する中で、情報というライフラインをどのように維持したかが克明に記されています。 「河北新報」が組...
[ふんばりの記録]宮城県を中心に東北六県を発行区域とする地方紙の「河北新報」が、東日本大震災の発生以降、どのように被災地の現状を伝えたかについて振り返った作品。河北新報社自身も被災する中で、情報というライフラインをどのように維持したかが克明に記されています。 「河北新報」が組んだ特集の題名にもなっていますが、新聞社の方々が、そして何より被災地の方々が、東日本大震災という限界下において「ふんばる」様子を克明に記録しています。今後も貴重な記録として読み継がれるであろうし、ぜひ読み継がれてほしい一冊です。 また、非常時における情報・メディアという点を考察する上で、河北新報がどう動いたかは一つの参照例になるのではないかと思います。デジタル化が進む中でのアナログの優位性や、地元に根ざしているからこそできること・できないことなどについての考える糧がたくさん見つかるかと。そしてなにより、震災当日の河北新報社主の下記の言葉が胸に突き刺さりました。 〜われわれは地域の住民に支えられて百年以上、この地で新聞を出すことができた。その住民が大震災で苦しんでいる。今こそ恩に報いる時だ。わが社も計り知れない打撃を受けるだろう。だが、いかなる状況になっても新聞を発行し続ける。それが使命であり、読者への恩返しだ。〜 もう5年、まだ5年☆5つ
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東北の地方新聞社である河北新報が、東日本大震災にどのように対応したかのドキュメンタリーである。 震災下において自ら被災者でありながらも、強い使命を持って新聞を作る社員たち。記者や編集者が英雄的に描かれているのと、文章がうまいのはなぜかと思いながら読んで、河北新報自体が発行した本だ...
東北の地方新聞社である河北新報が、東日本大震災にどのように対応したかのドキュメンタリーである。 震災下において自ら被災者でありながらも、強い使命を持って新聞を作る社員たち。記者や編集者が英雄的に描かれているのと、文章がうまいのはなぜかと思いながら読んで、河北新報自体が発行した本だと分かり、納得した。 休刊日以外は毎日、新聞を発行し続けるという会社の歴史を守ることは素晴らしいことだと思うが、震災当日くらいは自分や家族の安全確保を第一に考えて発行を休んでもいいのではないだろうか。それを責める人はいないはずである。 地元紙による報道の意義とは何か。震災の際、人々がどう支えあったか、報道しながらも助けることができなかった記者の苦悩など、記録として残さなければという強い意思が感じられる。
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「震災後、被災者が最も必要としていたのは生活関連情報である」 「災害時の国の要援護者に対する支援の根拠が「避難支援ガイドライン」しか存在しておらず、災害弱者の生活再建を支える仕組みそのものが存在しない」 「焦点3・11」(5/14付朝刊〜) 「証言3・11」(5/13付朝刊〜...
「震災後、被災者が最も必要としていたのは生活関連情報である」 「災害時の国の要援護者に対する支援の根拠が「避難支援ガイドライン」しか存在しておらず、災害弱者の生活再建を支える仕組みそのものが存在しない」 「焦点3・11」(5/14付朝刊〜) 「証言3・11」(5/13付朝刊〜)
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ジャーナリズムの使命について考えさせられる。新聞が、人々の生命線になる。地元に寄り添い100年以上続いてきた新聞は何をするべきか。 記者だけではなく、印刷、配送、新聞製作のパイプラインに関わるすべての方たちが使命を胸に、危険と隣り合わせの環境で仕事を全うしようとする姿を再現したル...
ジャーナリズムの使命について考えさせられる。新聞が、人々の生命線になる。地元に寄り添い100年以上続いてきた新聞は何をするべきか。 記者だけではなく、印刷、配送、新聞製作のパイプラインに関わるすべての方たちが使命を胸に、危険と隣り合わせの環境で仕事を全うしようとする姿を再現したルポルタージュ。 広告の消えた紙面を見ると、忘れかけていた震災当時の恐怖や不安を思い出す。 私もこういう記者になれるかな
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
新聞=ニュース、としか思っていませんでしたが、そうではなかったのだと気づきました。励ましや共感、あることに対するいろいろな角度からの意見などが詰まっているのです。いま、私にとっての新聞は「毎朝のプレゼント」です(登米市在住の読者)(p.57) 「よかった!」抱きしめても震えがとまらない。 猫の体温を受け止めながら、丹野は本当にひさしぶりに自分がいまこの世に生きていることを実感したような気がした。(p.98) 災害報道は記録に尽きる。巨大津波がどう街を襲い、どのように人命を奪ったのかを記録し、後世に伝える……それが原点だ。災害報道から得られる教訓は、後世の防災に生かされる。 記録が災害報道の原点であることは論を待たない。ただ、武田はそれに加えてもう一つ、災害報道には重要な役目があると考えていた。それは「教官のベース」を読者に示すことだ。(p.211) 何も改善されていない、むしろ悪化していると感じる被災者にとっては、復旧・復興の言葉は遠いです。逆に、「被災地以外の人々に、復旧が進んでいると思われることが何より怖い。支援の手が届かなくなる」と言い、取り残されることに恐怖を感じています。発信力のある支援者側の動きをフォローし、復旧の様子を伝えることで被災者を勇気付けることも大切だと思いますが、自ら発信することのできない弱い被災者の声にももっと耳を傾けてほしいと思います。(河北新報記者)(p.224) 「新聞に写真が載れば自衛隊や警察の目に留まり、速やかな救出活動につながるのではないか、そうすれば間接的にも人命救助に貢献したことになる……そんな思いで自分の気持ちを割り切っていたのだが、現実は遥かに厳しいものだった。医療チームが入るまで相当な時間がかかり、あの写真が結果として無力だったことが分かった。いったい報道とは何だ?俺の仕事は本当に人の役に立っているのだろうか?……」(河北新報記者)(p.249)
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東日本大震災を経験した宮城県の河北新報社のルポ。大きな被害にあってもなお、被災地の新聞社として人々に情報を届ける姿勢に感銘を受けた。印象に残った話としては、新潟県中越沖地震を経験した新潟の新聞社からの的確な救援物資、おにぎり隊の女性達など。全社一丸となって対応したことがよくわかっ...
東日本大震災を経験した宮城県の河北新報社のルポ。大きな被害にあってもなお、被災地の新聞社として人々に情報を届ける姿勢に感銘を受けた。印象に残った話としては、新潟県中越沖地震を経験した新潟の新聞社からの的確な救援物資、おにぎり隊の女性達など。全社一丸となって対応したことがよくわかった。新聞販売店を経営する旦那さんを震災で亡くした奥さんの話はちょっと泣きそうになってしまった。
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避難所に河北新報が届いた時、皆むさぼるように読んだ。 本当に欲しい情報が沢山載っていて有り難かった。 その陰には、こんな苦労があったのだということを知った。 本当にあの時はありがとうございました!!
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3.11のことについては、おそらく地元新聞社が一番現実を知っているのではないだろうか。全国紙や大手テレビ局は長期間現地にとどまるわけではない。地元テレビ局は取材力では新聞社の足元にも及ばないだろう。河北新報の記者が実際に目にして、記事にするものは実に真に迫った迫力を感じる。記者の...
3.11のことについては、おそらく地元新聞社が一番現実を知っているのではないだろうか。全国紙や大手テレビ局は長期間現地にとどまるわけではない。地元テレビ局は取材力では新聞社の足元にも及ばないだろう。河北新報の記者が実際に目にして、記事にするものは実に真に迫った迫力を感じる。記者の心意気も使命感に溢れつつも震災報道の有り方に自問する日々。その様子が痛いほど判る。ジャーナリズムの有り方を考えさせられた。
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB09605715
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あの日に、いつもの自分の仕事を 全うしようとしていた人がいたなんて すごいの一言。 私は何か起きるとその日やるべきこととか 全てストップしちゃうほうなんだけど この本を読んで、何があっても 自分のすべきことをやろうとする気力と 意志を持てるように努力しないといけないなと思った。
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