河北新報のいちばん長い日 の商品レビュー
地元紙河北新聞記者たちの文字通りの極限下の体験記です。 1897年創刊以来、休刊日を除いて一日も休まず新聞を出し続けてきた地元の新聞社としての強い使命感が、自らも被災者として数々の困難を抱えながらの新聞作りを支え、途絶えることなく新聞を発行し、そして配達を続けました。 あの時を多...
地元紙河北新聞記者たちの文字通りの極限下の体験記です。 1897年創刊以来、休刊日を除いて一日も休まず新聞を出し続けてきた地元の新聞社としての強い使命感が、自らも被災者として数々の困難を抱えながらの新聞作りを支え、途絶えることなく新聞を発行し、そして配達を続けました。 あの時を多かれ少なかれ体験してきた被災地宮城県に住む者なら誰もが この本に書かれていることに心を揺さぶられ読み進むことでしょう。 私も、記者さんたちや販売店の方々の気持ちが胸に深く沁みこんできました。 震災関連の報道では、全国紙の紙面やテレビなどの報道の内容に中央寄りで不満を募らせていましたから、「東北の人たちと歩む」スタンスにあらためて拍手喝采します。
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未曽有の大震災により亡くなられました方々のお冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。また東電事故により被害が今もって続いておられる皆様の心中いかばかりかと、悲しみに堪えません。一日も早い復旧復興を心より願っております。 伝 え る と は?...
未曽有の大震災により亡くなられました方々のお冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。また東電事故により被害が今もって続いておられる皆様の心中いかばかりかと、悲しみに堪えません。一日も早い復旧復興を心より願っております。 伝 え る と は? 伝 わ る と は? その2文字を深く考えさせられる著作でした。 不肖小生も昔新聞社勤めした経験があるので、大震災に見舞われながらも、報道の使命を果たした河北新報さんに深く敬意を表します。 以前から「不羈独立」と「東北振興」を社是として掲げ、今でも本質的なジャーナリズムの精神を残す新聞社としてあまたある新聞社のなかでも格別の存在感を示していると思います。 震災、津波といった「コト(事象)」ではなく「ヒト(人)」にスポットを当てた編集姿勢に敬意を表します。 官製発表に頼らず、足で取材した姿勢にも感銘を受けました。 わたくしごとになりますが、小生の大学時代のゼミ生が勤めており、その後どうしているかな?と気になっていたところ、ちゃんと登場していました。家族ともども元気そうで、かつ部下にも信頼されているようで、嬉しくなりました。 以下印象に残った文章。 「われわれは地域の住民に支えられて百年以上、 この地で新聞を出すことができた。その住民が大震災で苦しんでいる。今こそ恩に報いる時だ。わが社も計り知れない打撃を受けるだろう。 だが、いかなる状況になっても新聞を発行し続ける。それが使命であり、読者への恩返しだ」 一力(社主)はそう会議を締めくくった。 ヘッドライトの光線の中に、突然、浮かび上がったものがあった。 恐怖のあまり、思わず悲鳴を上げた。 それは何と形容したらよいのだろうか。墓場だった。全てのものが破壊されている。流されたのだろうか。無数の車がある。 署名記事を増やすことは報道部長の武田のこだわりがあった。私達の東北が、一千年に一度と言われる大震災に直面している。無表情な「客観報道」で紙幅を埋めることなど考えられない。被災地に入った記者たちの思いと感性を前面に出したい。誰がどこに足を踏み入れ、何を見て、どう感じたかが重要だ。 「備える」 河北は宮城県沖地震二十五年目に当たる二〇〇三年から、防災関連記事に必ずこのカットを付け、防災啓発に力を入れてきた。 (中略) 「それでも死者・行方不明者合わせて約二万人もの多大な犠牲者が出てしまった。いったい自分たちは何をしてきたのだろう?」 (中略) 啓発に努めるだけで良かったのか。より直接的で実際的なアプローチがあったのではないか。自分たちはほんとうに地元の力になりえたのか。 そして、そもそも報道とは何か? 武田の自問は続く。
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あの大震災から、8カ月が経とうとしている。 僕たちの暮らしは変わりましたか? あんなに被災地の報道で埋め尽くされていた紙面から徐々に、生の声が消えている気がする。 いま、伝えなければならないこと、伝えていきたいこと、これから寒さが厳しくなるからこそ、改めてやらないといけない...
あの大震災から、8カ月が経とうとしている。 僕たちの暮らしは変わりましたか? あんなに被災地の報道で埋め尽くされていた紙面から徐々に、生の声が消えている気がする。 いま、伝えなければならないこと、伝えていきたいこと、これから寒さが厳しくなるからこそ、改めてやらないといけないことがある。 また、「次」への備えはどうなっているのだろうか? もう8カ月が経とうとしているが、わが社は目に見えての変化はない。「備えあれば…」という言葉を噛み締めたい。 今年一番の本です。
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