要介護探偵の事件簿 の商品レビュー

中山七里【著】

2012/10/09

『要介護探偵の冒険』
玄太郎が売った地所に住む烏山が殺害された。密室の現場。烏山が設計したマンションで起きた事故。崩れたコンクリートを口に含んだ玄太郎が気がついた事実。玄太郎が取引する春見の秘密。

『要介護探偵の生還』
脳梗塞で倒れた玄太郎。言語や腕に障害が起きた玄太郎。介護事務所から派遣されたみち子。模型好きな玄太郎が取り組んだリハビリ。病院で起きた事件。株主総会で玄太郎を引きずり下ろす画策。

『要介護探偵の疾走』
新しい車いすを手に入れた玄太郎。玄太郎の周囲で起きる老人の襲撃事件。事件に疑問を持った玄太郎の主宰した車椅子レース。佐分利老人の正体。

『要介護探偵と四つの署名』
取引先の銀行にやってきた玄太郎が巻き込まれた銀行強盗事件。４人の犯人。人質となった玄太郎とみち子。

『要介護探偵最後の挨拶』
玄太郎が支援していた国会議員・金丸の死。金丸の２人の息子の関係。玄太郎の経営するマンションに入居を希望する岬先生の推理。

2012/10/06

ドビュッシーのお爺さんの話。
短編集だから読みやすかったけど推理としてはイマイチ。
でもこの話の後あんな事件に巻き込まれるかと思うと切なくなる。

2012/09/05

下半身不随の要介護車椅子老人の探偵小説。

・要介護探偵の冒険
・要介護探偵の生還
・要介護探偵の快走
・要介護探偵と四つの署名
・要介護探偵 最後の挨拶
の5編収録。
各タイトルはシャーロック・ホームズの作品名からだが、内容は全く関係ないようです。
兎に角、主人公である要介護探偵：香月玄太郎のキャラがすごすぎます。
小説としては、物語視点が変わるため、ちょっと読みづらいところもあるが、本格的ミステリーというより探偵小説そのものでした。
時系列的には「生還」「快走」「四つの署名」「冒険」「最後の挨拶」となり、「最後の挨拶」のラストが「さよならドビュッシー」につながります。
おそらく、続編はないと思われますので、要介護探偵キャラの活躍がこの5編に凝集されているといえます。

2012/08/26

時系列的には、さよならドビュッシーの前の話で、この主人公のおじいちゃんってこの後亡くなるんだなあと思うと、物語の中とはいえ、ちょっとさびしい気持ちで読み進めた。要介護の状態ながら、持ち前の性格（大胆不敵、反骨精神、口が達者）で周りで起きた事件を解決してしまう玄太郎おじいちゃんの活躍が描かれる。自身の関係する不動産で起きた殺人事件、おじいちゃんが倒れて要介護になった頃にリハビリ施設で起きた事件、町内で後期高齢者ばかりが狙われる事件、銀行強盗に巻き込まれた事件、知り合いの政治家が毒殺された事件、それぞれなるほどと思えるトリックとおじいちゃんの大胆な事件解決が面白かった。ネタもそれぞれ、年金詐欺や偽装建築、計画停電などの社会問題が反映されていたのが印象的。銀行強盗の４人の少年たちの話が、ことの顛末から最後に４人が署名するラストでほろりとしてよかった。

2012/08/25

(収録作品)要介護探偵の冒険／要介護探偵の生還／要介護探偵の快走（チェイス）／要介護探偵と四つの署名／要介護探偵最後の挨拶

2012/08/14

玄太郎さん、男前です。超人です。
短編ですが、長編並に文章が緻密でほんのわずかな文面がトリックの紐解きになり、見逃せません。
でも、「さよなら･･･」への伏線になる最終話では一末の寂しさを覚えます。

2012/07/28

「さよならドビュッシー」に登場した、印象的なおじいさん、香月玄太郎氏と介護者みち子さんとの探偵？小説！
安楽椅子探偵なら、部屋で考えるだけだけど、車椅子探偵は走る走る！

突然の病にたおれ、下半身不随の車椅子の生活を余儀なくされるが、
そんなことでへこたれる玄太郎氏ではなく、自身の仕事関係での殺人事件、
銀行強盗や、町内での老人に対する暴行事件、旧友の殺害事件、様々な場面でも反骨精神をモットーに、自身の考えを曲げずに突き進む・・・
２件目の「生還」が、発想も謎もおもしろかったけど、こわかった・・・

ああ、でも最後、岬先生が玄太郎を見送る場面・・・
その先の、ドビュッシーでの事件を思うと、つろうございます・・・

2012/07/25

この要介護探偵が秀逸。
こんな人、地域にひとりいてくれるといいな。
こんな人に認めてもらえる人になりたい。
最後の挨拶で、みち子さんがあまり出てこなかったこと、岬さんが出てくるのが無理やりっぽかったのが残念だった。

2012/06/27

さよならドビュッシーに登場する香月玄太郎氏が主人公のスピンオフ短編集。
玄太郎じいちゃんがとにかくいいキャラクターで、口は悪いけど言うことは小気味よくてもっとも。介護人のみち子さんも良いキャラしてた。
ミステリだけど、謎よりじいちゃんの活躍と快弁と作者のマニアックな感じを楽しむ本。
岬先生も出てきます。
気分よくすっと読めてこれ単体では楽しい本だったけれど、この後に起こることを知っていると、なんとも後味が悪いというか、こういう本を出すのは趣味が悪いなとも思う。

2012/06/08

文庫版のタイトルを見て新作かと思ったら改題だった。ドビュッシーは読んでなくても面白いから、それにふれない単行本のほうのタイトルでも潔いと思うけど、文庫でつけたってことはよほど要望がでたか売れなかったのか？最後は無理やり岬先生メインにしちゃったのがバランス悪い。