猫を抱いて象と泳ぐ の商品レビュー
最後まで読み終わるのが本当に嫌だった。この優しくて静かな物語が終わってしまうのが寂しくて寂しくて、残り数ページを捲るのが躊躇われた。 私はチェスのルールなんてこれっぽっちも知らなかったけれど、だからこそチェスの宇宙をその広さを存分に味わえたのかもしれない。 カツカツと音を立てな...
最後まで読み終わるのが本当に嫌だった。この優しくて静かな物語が終わってしまうのが寂しくて寂しくて、残り数ページを捲るのが躊躇われた。 私はチェスのルールなんてこれっぽっちも知らなかったけれど、だからこそチェスの宇宙をその広さを存分に味わえたのかもしれない。 カツカツと音を立てながら敵陣に攻め入っていくチェスというゲームはただただかっこいいものだと思っていた。こんなに優しさに満ちているなんて知らなかった。 物語に出てくる彼らが特別に不幸とか幸せ者だとかではない。なのに満ち足りた気持ちとまだ何か物足りなさと、二つの空気が一緒にあって今までにない読書体験でした。 特にエチュードでS氏とみんなでチェスを指すシーンは読者をも緊張で張り詰めたあの空間に閉じ込めてくれたことが何よりも嬉しかった。嵐の騒ぎさえも気づかないほどの集中を一緒に味わえた。 またもう一度読もうと思う。
Posted by
小学生の頃にチェスクラブに入っていたこともあり、とても楽しく読めた。チェスは好きだけど、そこまで奥深いものとは思っていなかったので、小川洋子さんの筆致によって「こんなに可能性のある世界なんだ」と新鮮な発見をした。久しぶりにまたチェスをやってみたいと思った。 駒の中では特にルーク...
小学生の頃にチェスクラブに入っていたこともあり、とても楽しく読めた。チェスは好きだけど、そこまで奥深いものとは思っていなかったので、小川洋子さんの筆致によって「こんなに可能性のある世界なんだ」と新鮮な発見をした。久しぶりにまたチェスをやってみたいと思った。 駒の中では特にルークが好き!最初は地味に思えるけど終盤になると一気に強さを発揮するところが魅力的。ビショップは使い方が少し難しいからこそ憧れもある。ナイトも独特で面白い駒だけどこの作品ではあまり目立たなかったなぁ。 小川洋子さんらしい独特な世界観とゆったりとした文体で、最初はページがすらすら進むタイプの本ではなかった。それでも「慌てるな坊や」というフレーズの繰り返しや、物語の中で先の展開を暗示するような構成は印象的で、読み進めるほどに心に残った。 結末はハッピーエンドを期待していただけに、あまりにも切なくて胸が痛む、、でも悲しいだけじゃない、読後にじんわりと余韻が残る感じ。結果として私にとって大切な一冊になった。
Posted by
友人の好きな本だと聞いて一読 静かで優しくて寂しくて綺麗な作品だった。 チェスを知っていたらもっと楽しめそうだなと思った。 小説もそこまで読んだことがなく活字への体力がない状態で読んだので、小川ワールドに浸かりきれなかった。少し難しかった。 またいつか読み直したい。
Posted by
書店で目について読んでみました。暖かくほろりとした物語でした。チェスにはまるで知識はありませんが興味が湧きました。さてどうしたものかなぁと。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最後の方までなかなか読書スピードが上がらず、読者の感受性が試される作品だと思った。自分は感受性が鈍い方と認識しているが、最後の急展開には引き込まれてページをめくる手が止まらなかった。 また何年後かに読み直したくなる作品だと思う。その時の感じ方も違いも楽しめると思う
Posted by
5年ぐらい読みたいリストに入れていた1冊 これが小川洋子ワールドか…! しっとりして繊細な世界観だ! 解説にあった『読み手にも相当のエネルギーを要する』は読みながら私も感じていて、睡眠不足の時や退勤後の疲れた時に読むとすぐ眠ってしまった… ボックスベッドや海底チェス倶楽部など...
5年ぐらい読みたいリストに入れていた1冊 これが小川洋子ワールドか…! しっとりして繊細な世界観だ! 解説にあった『読み手にも相当のエネルギーを要する』は読みながら私も感じていて、睡眠不足の時や退勤後の疲れた時に読むとすぐ眠ってしまった… ボックスベッドや海底チェス倶楽部など、使われる単語のひとつひとつがお洒落だなと思った タイトルのセンスもすごくいいなあと思う チェスに興味がなくてルールも全く知らなかったけど、チェスの面白さを知れたのも良かったな 読書で広がる世界である スマホにチェスのアプリ入れてみようかな
Posted by
勝敗ではなく、宇宙を描くように、リトル・アリョーヒンにとってチェスとはどんなものかに焦点を当てていて素敵でした。 「慌てるな、坊や」という言葉が印象的なマスターと素敵な丁度品とおやつの甘い匂いの中過ごした日々が好きです。 最近から最後まで美しいお話でした。
Posted by
一歩ずつ前進するポーンになぞらえて、謙虚に自分の役割を全うすることの尊さが繰り返し描かれており、まるで主人公のようだと感じた。 登場人物は善人ばかりではなく、だからこそマスターや老婆令嬢などの素敵な大人が際立った印象を残している。 マスターと過ごした日々は陽だまりのように温かく、...
一歩ずつ前進するポーンになぞらえて、謙虚に自分の役割を全うすることの尊さが繰り返し描かれており、まるで主人公のようだと感じた。 登場人物は善人ばかりではなく、だからこそマスターや老婆令嬢などの素敵な大人が際立った印象を残している。 マスターと過ごした日々は陽だまりのように温かく、老婆令嬢との再会は心臓を掴まれたように切なく、不思議な読了感だった。 自分も主人公と一緒に水中に揺蕩っているような感覚に陥る、ひっそりと美しい作品だった。
Posted by
小川洋子さん作品って本当にスキ。 大きくなることが不安。小さいことに安心する。いつも海をたゆたっている、インディラとミイラと共に。 大きな海の中に身を置くことで余計に自分は小さくなれるんだと思う。 最後の棺にぴったりと収まるリトル・アリョーヒン。その生き方を棋譜に残し、多くを語ら...
小川洋子さん作品って本当にスキ。 大きくなることが不安。小さいことに安心する。いつも海をたゆたっている、インディラとミイラと共に。 大きな海の中に身を置くことで余計に自分は小さくなれるんだと思う。 最後の棺にぴったりと収まるリトル・アリョーヒン。その生き方を棋譜に残し、多くを語らないミイラが彼の生き方を尊重してくれたと思った。
Posted by
序盤、次の文章に触れ、そうだった自分は小川洋子さんの文章が好きなんだ、と思い出した。久しぶりに一気読みした。「少年は生涯を通し、その日曜日の出来事を繰り返し思い返すことになる。他の思い出たちとは違う別格の小箱に仕舞い、何度でも開けてそっと慈しむことになる。チェスに裏切られたと感じ...
序盤、次の文章に触れ、そうだった自分は小川洋子さんの文章が好きなんだ、と思い出した。久しぶりに一気読みした。「少年は生涯を通し、その日曜日の出来事を繰り返し思い返すことになる。他の思い出たちとは違う別格の小箱に仕舞い、何度でも開けてそっと慈しむことになる。チェスに裏切られたと感じるほどに傷ついた時、マスターとの思い出に浸って涙ぐんでしまう時、あの柔らかい冬の日差しに包まれた回送バスでの一局をよみがえらせ、マスターが教えてくれたチェスの喜びに救いを見出すことになる。」
Posted by
