犯罪 の商品レビュー
最後の「エチオピアの男」が一番よかった。 通勤のバスの中で読んでいたのに、涙がでそうになって困った。 自分の居場所があることの幸せ、自分の存在を認めてもらえることの幸せ、 そこを衝かれると、心が揺さぶられてしまう。
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犯罪を犯した人々を扱った短編集。読売の書評で見て、興味を持って読んでみた。人がなぜ犯罪を犯すのか、それぞれ短いながらも深い意味を含めた物語が11編。ミステリーのようにトリックを暴いたりするのではなく、犯罪に走ったその背景をすっと書いて、こちら側に考えさせる内容だった。特に印象的な...
犯罪を犯した人々を扱った短編集。読売の書評で見て、興味を持って読んでみた。人がなぜ犯罪を犯すのか、それぞれ短いながらも深い意味を含めた物語が11編。ミステリーのようにトリックを暴いたりするのではなく、犯罪に走ったその背景をすっと書いて、こちら側に考えさせる内容だった。特に印象的なのは「棘」と「エチオピアの男」。少しグロイ描写もあるものの、短編で読みやすくおすすめ。
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ミステリ短編集。ミステリだけど、主眼は事件の動機。ありふれているような事件や奇怪な事件、そのそれぞれに潜む犯人の動機を探って突き詰める作品。その動機の数々には納得できるものや首を傾げざるをえないもの、いろいろあります。トリック本位のミステリももちろん面白いのだけれど。こういう動機...
ミステリ短編集。ミステリだけど、主眼は事件の動機。ありふれているような事件や奇怪な事件、そのそれぞれに潜む犯人の動機を探って突き詰める作品。その動機の数々には納得できるものや首を傾げざるをえないもの、いろいろあります。トリック本位のミステリももちろん面白いのだけれど。こういう動機ってのもないがしろにしてはいけませんね。 お気に入りは「棘」。この動機……想像してみると一番ぞっとしてしまいました。これはたしかにおかしくなりそうです。
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ミステリ、恋愛小説、成長小説等、いろいろな小説のネタが詰まっている。 短編なのだけれど、登場人物達の背景や人生を思い描くと、長編小説のようでもある。 最後の銀行強盗の人生が凄い。
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著者はドイツの高名な刑事弁護士で、実在した事件を材料に、この11編の連作短編集を書きあげたという。下世話な興味を含めて、抜群の面白さだ。 この作品集が他の犯罪小説と一線を画しているところは、その語り口の見事さばかりででなく、書かれている犯罪の特異性にもあるようだ。 罪の真実の...
著者はドイツの高名な刑事弁護士で、実在した事件を材料に、この11編の連作短編集を書きあげたという。下世話な興味を含めて、抜群の面白さだ。 この作品集が他の犯罪小説と一線を画しているところは、その語り口の見事さばかりででなく、書かれている犯罪の特異性にもあるようだ。 罪の真実の姿は、求刑される罪状や刑期でほど単純ではない。どんな犯罪にもそれを犯した人間の人生が投影されるのだ。それを明らかにしていく時、犯罪はその姿を変えていくようだ。警察や検察がしたためる調書とは、別の物語をひとりでに語り始める。 ただ、そうした真実な姿を引き出していくには特別な才能が必要だし、罪を犯した者とその才能を持つ弁護者との幸せな出会いが必要だ。 ここで語られる11編にはその姿が描かれている。
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すごい短編集だった。一編にひとつ、罪が犯される。罪を犯す人がひとりいる。謎が残されたり、憐憫を誘われたり、呆然とおしまいのページを見つめてしまったりする。後味もさまざま。
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私には合いません。気持ち悪い。おえええええ・・・・。トラウマになりそうな勢いでだめでした。あー失敗。
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「BOOK」データベースより 一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の息子。羊の目を恐れ、眼球をくり抜き続ける伯爵家の御曹司。彫像『棘を抜く少年』の棘に取り憑かれた博物館警備員。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。―魔に...
「BOOK」データベースより 一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の息子。羊の目を恐れ、眼球をくり抜き続ける伯爵家の御曹司。彫像『棘を抜く少年』の棘に取り憑かれた博物館警備員。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。―魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。高名な刑事事件弁護士である著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描きあげた珠玉の連作短篇集。 最後の「エチオピアの男」がよかった。
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犯罪の記録が淡々と書かれている。しかし、それぞれの犯罪には背景、動機、そのたもろもろの状況が複雑にからみあっている。それが、作者の立場では無く、刑事弁護人の立場で綴られているところが「淡々と」した記述になるゆえんである。 それぞれのエピソードがおもしろいが、やはり、最後の「愛...
犯罪の記録が淡々と書かれている。しかし、それぞれの犯罪には背景、動機、そのたもろもろの状況が複雑にからみあっている。それが、作者の立場では無く、刑事弁護人の立場で綴られているところが「淡々と」した記述になるゆえんである。 それぞれのエピソードがおもしろいが、やはり、最後の「愛情」がいちばん感動するところだ。人間は環境が異なるとこのように変わるのだ。まさに別人になってしまう。 それにしても、弁護人とは、このように犯罪被告人の深くまで立ち入るものなのだろうか。そうしないと、真の弁護はできないということか。この地の弁護士はいかに??? この作者の第二弾も出るそうなので、今からとても楽しみだ。
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弁護士である著者が現実の事件に材を得て描き上げた連作短篇集。 まるで供述調書のような淡々とした筆致で綴られる、罪を犯さざるを得なかった人々の人生の断片に魅了される。 個人的ベストは「棘」だけど、第1話「フェーナー氏」と最終話「エチオピアの男」のペアも捨てがたい。
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